2014年08月20日

◆ 広島の豪雨・土砂崩れ

 広島で豪雨・土砂崩れがあった。これについて私の見解を示す。 ──

 本サイトは、普通は書きたいテーマがあって、そのテーマについて示すのだが、本項は時事ネタということで、特に語りたいことはないまま、とりあえず考えをまとめてみる。

 まず、概要の情報がある。記録的な豪雨のせいで、山の麓に近い平地に、土砂崩れが押し寄せて、死者多数。
  → 毎日新聞 2014年08月20日 (動画あり)

 似た動画は、下記にもある。





 これを見ると、土砂崩れのところには川のような傷跡がある。「だったら、ここはいつも危険なところだったのでは?」と思って、元の状態を調べてみた。Google マップ。 



大きな地図で見る


 該当箇所は、すぐに見つかった。赤い屋根と、いくつかつながる建物群が目印だ。(東照寺のそば)
 で、そのそばの山を見ると、緑だらけであり、川のような傷跡はない。つまり、今回土砂崩れがあったところは、予見不可能であった。
 とすれば、「事故を予見して避ける」という第一目標は、不可能だということになる。

 ──

 もう一つ、根本対策として、次のことも思い浮かぶ。
 「こんな危険な土地には住むべきではない。安全な平地に住むべきだ」

 ただ、これは誰でもすぐに思い浮かぶことだ。なのに、あえて危険な土地に住むとしたら、次の事情が推定される。
 「広島は、平地が少ないせいで、山のそばにまで住宅地がある」

 ちょっと調べてみたところ、たしかにそうだと判明した。地図を見るだけでも、すぐにわかる。
 というわけで、「危険なところには住まない」という根本対策もダメだとわかった。

 ──

 では、どうするべきか? さらに情報を探る。テレビニュースも見たが、ネットにも似た情報はある。







 見て気づくことが二つある。
 @ 多くの建物は、土石流が押し寄せても、一階部分に被害があるだけで、二階部分は保たれていることが多い。
 A ただし一部の建物は、土石流につぶされて埋もれてしまい、跡形もない。


 ここから、次の二つの結論が思いつく。
 (1) 豪雨で危険なときや就寝するときには、二階にいるべきだ。一階にいてはならない。(厳守するべき)
 (2) 建物は原則としてコンクリ3階建て以上にするべき。木造住宅は建築禁止にするべき。

 これならば、現実的な対策となるだろう。特に、(1) は即効的な効果があり、かつ、被害を激減させることができる。このことを強力に推進するべきだろう。

 ──

 一方、ハードウェア的に、次の提案もある。
 「砂防ダムを整備する」
 しかし、これはいろいろと難点がある。
  ・ 巨額の費用がかかる。
  ・ 全国各地に漏れなく実施するのは無理。(大変)
  ・ 今すぐに実施することは無理。
  ・ 効果は限定的。(大きな土砂崩れだと、あふれる。)


 いろいろと問題があるし、費用対効果で考えると無駄が多いので、私はお薦めできない。どうせなら、引っ越し費用を補助して転居させるか、コンクリ建築に改築させる費用でも補助した方が、よほどマシだろう。
 
 ──

 結論。

 私としては、上の (1)(2) を推奨する。つまり、「2階にいる(寝る)こと」と、「コンクリ建築の推奨」(木造建築の禁止)である。
 一方、砂防ダムは、金ばかり食う割りには効果が限定的なので、推奨しない。



 【 追記 】
 朝日の記事(朝刊 2014-08-21)から。
 原田さんは....1階で寝ていた両親を起こし、2階に避難した。1分後、濁流が1階に押し寄せた。
  ──
 岡野さんは「窓から離れろ!」と叫び、妻の由里恵さん(35)、小学生の子ども2人と一緒に2階へ駆け上った。数秒後。大量の土砂や流木が流れ込み、みるみるうちに1メートルを超えて階段の途中まで泥が上がってきたという。 体育館に身を寄せた岡野さんのそばでは、次男が眠っていた。その姿を見つめながら由里恵さんは「あと一歩遅れていたら、みんな窒息死していたかもしれない」と振り返った。
( → 朝日新聞 2014-08-21

 このことからして、「土砂崩れが予想されるときには2階にいるといい」、とわかる。
 「山がくぼんで沢になっている場所がほとんど崩れている」と、千木良教授は驚く。
( → 朝日新聞 2014-08-21

 このことからして、「山がくぼんで沢になっている場所」の下側には人家を配置しない(撤去する)ことが好ましい、とわかる。



  【 関連サイト 】
 危険はある程度予想されていた、という記事。
  → 広島豪雨:「危険な住宅地」土木学会が警告

 土木学会による以前の調査報告
  →6月29日集中豪雨による 広島県土砂災害
 ここでは「砂防ダム(治山ダム)が有効だ」という話がある。ただし、それはかなり規模の小さな土砂崩れの場合だ。今回のように大規模な土砂崩れの場合に、砂防ダムが十分に有効だとは言えないだろう。自然を人間が制御できると思うのは、思い上がりだ。
( ※ だいたい、砂防ダムなんかを用意すれば、「砂防ダムがあるから安心だ」と人々は慢心して逃げなくなり、かえって被害を増すだろう。そのことは、「防潮堤があるから安全だ」と思ったせいで、かえって被害が増えた……という東日本大震災の場合に似ている。)



 【 関連項目 】

 去年の豪雨災害の例。伊豆大島。
 → 伊豆大島の台風災害

 ここでも、大規模な土砂崩れがあった。砂防ダムはあったが、それを乗り越えて、大規模な被害を出した。
 
 要するに、砂防ダムが有効なのは、大規模でない土砂崩れの場合に限られる。いったん大規模な土砂崩れが起これば、人間はひとたまりもないのだ。
 とすれば、「被害を避ける」という方針を取るよりは、「被害が出ても人命だけは助かる」という方針に転じるべきだろう。
 フェイルセーフふう。
posted by 管理人 at 20:09 | Comment(6) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
花崗岩が水に弱いというのは以前から知られているので,
この山は花崗岩質ですからそもそも危険度が高かったと予測はできると思います。
Posted by 先生 at 2014年08月21日 10:33
管理人さんの言われる通り、今のままでは、命がけの被災不可避な重危険住宅地域ですね。
夫の隣で寝ていた妻が一瞬にして流されたという。悪夢です。

 「国土強靭化計画」の考えを推し進めるとすれば、この地域を、土石流被害確率ゼロにすること。
さらに発展的に考えれば、広島郊外のリゾート型高級住宅地に変えることでしょう。

1)このどうしようもない地域の山地を、県が買い取る(民有地なら、国有地なら県へ移管)。
  地上げなどで一儲けしようとする不心得者が出ないような立法措置が必要。
2)危険区域は立ち退き勧告(ゴネないように立法措置。後に、換地で救済する)。
3)工事用(後に一般利用)の幅広道路を通す。
4)山を削りとり、全体の高低差が10〜20mの緩やかな丘陵地にする。
5)岩石は砕石し、整地するときサンド・コンパクション工法など、地盤強化に利用する。
6)電線等は地下に敷設する。
7)排水路を整備する(地下にも)。
8)地盤強化の後、表面を舗装していく。
9)シャンゼリゼのような美しい街路樹の並木道や公園のある街にする。
 (根の周辺は透水性舗装)
A)リゾート施設を誘致する。
B)イベントができる施設も誘致する(後に負担になる箱物は作らない)。
C)郵便局・銀行・区役所など必要な公共施設を適正に配置する。
D)映画館・ショッピングセンターも誘致する。
E)瀬戸内海の味覚を楽しめる優良レストラン街も誘致する。
F)太陽光発電設置の高断熱の住宅群を作る。
G)低層の快適な外断熱の集合住宅も作る。
建築物の屋根には、太陽光発電を推奨する。
H)ベッドタウンではなく、快適で充足したコンパクトシティを創る。

 このサイズ(1.5km×5km×(200m))の山地なら、工事は可能。
 山林の木材は、無料で業者に提供する(条件、運び去ること)。
 山の土の大部分は、無料で業者に提供する(条件、運び去ること)。福島の学校の運動場に
1m厚程に敷き詰めて、表面を舗装すれば、校庭の放射線量は激減して安全性が高まる。
 総合開発の公開コンペをやり、優良プランに基づき、民間業者に開発を委託する。
 田中角栄氏のように「土地ころがし」をやって、本来は国家や国民のための公共工事の費用を
ネコババされると、公共工事への批判が巻き起こり後が続かなくなる。「土地ころがし」を禁止する
立法措置も必要ですね。

 自然破壊といえなくもないが、しばしば悲惨な災害をもたらす悪自然なので、手をくわえ、完全に
安全な地域に変更することに大きな反対はないでしょう。ほぼ平地にし地盤強化し舗装するので
土石流は起こりようがなくなる。快適なコンパクトシティになるので高級リゾート住宅地にもなる。
 巨額の資金が必要だが、工事費の一部は工夫により半減できる。費用の大部分は回収できる。
これらの金は国内で循環するので、景気浮揚に大いに役立つ「金は天下のまわりもの」。

 「国土強靭化計画」の精神に則り、便宜を図る法制面などでも特別措置を講じればいい。もし、
成功すれば、類似な危険地域を、順次に安全・快適なコンパクトシティに変えていけばいい。砂防
ダムや防潮ダム建設などより広汎で質の高い土木建築関係の巨きな仕事が継続することになる。
 国家に役立ちながら経済活性化になる仕事はやりがいがあるだろう。
 「災い転じて福となせ」です。
Posted by 思いやり at 2014年08月21日 16:29
花崗岩であるだけでなく、川の周辺はそれが長い年月で砕けて出来た真砂土で、西日本の平野部なんて殆どそんなので出来ているため、そんな危険な場所へ家を建てるなといわれると、まだ花崗岩が真砂土になっていないようなエリアを切り開いて岩の上に直接建物を建てるしかありませんね。
というわけで、私は管理人様の案にある新築はコンクリート住宅以外禁止みたいなのが現実的なんじゃないかと思います。木造+サイディングの家なんて50年もしないうちにかなりボロくなりますので、入れ替わるのにそう時間は掛からないかもしれませんね。

(現実にそういう案が大きく出る前に旭化成の株とか買っておいた方がいいかも:p)
Posted by クルマ好き at 2014年08月21日 21:52
本件についての本質的な対策について自分のブログに記しています。ご覧いただき、コメントをお聞きしたいと思います。

http://bb79a.blog.fc2.com/blog-date-20140821.html
Posted by 時の旅人 at 2014年08月22日 00:04
> by 時の旅人

その件は次項で説明しています。

> 各自治体に集中豪雨の襲来を予想できるのか、に対する答えはイエス。

 次項で説明済み。ノーです。正確に言えば、「プロには可能だが、素人である自治体には不可能」です。

> 各当該自治体が危険対象エリアの住人に避難勧告を個別に(電話で十分かもしれない)出せばよい。

 何万人もの人々に、1軒あたり5分で説明していたら、電話を掛ける人員がそれだけで莫大になります。電話を掛けている間に、土砂崩れが起こります。
 警報は「一瞬で全員に」という形でなくてはいけません。これも次項で説明済み。つまり大型スピーカー。

 http://bb79a.blog.fc2.com/blog-date-20140804.html
 の記事も見ましたが、自治体レベルでアルバイトのおばさんに任せるというのは、不適切。
  ・ アルバイトのおばさんはいつでも休める。特に深夜は休める。そんなものに多数の人命を預けるのは狂気の沙汰だ。
  ・ 多数の自治体で人を雇えばコストの総額は巨額になる。
  ・ プロの民間業者に任せれば、共通で依頼できるから、費用は激安で済む。しかも高品質。
Posted by 管理人 at 2014年08月22日 07:11
コメントありがとうございます。

ポイントは「各自治体に集中豪雨の襲来を予想できるのか」、に対する認識にあるようです。

もし、同意していただければ、影響力のある貴ブログで提案いただければ、犠牲者ゼロが、簡単に実現できると考えたためです。

なお、「おばさん」の話は、多忙で人が足りない、というありそうな言い訳に対する、皮肉です。
Posted by 時の旅人 at 2014年08月22日 11:05
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ