新国立競技場の収支について、年3億円の黒字という試算がなされた。
→ 新国立競技場 年間3億円の黒字計画
→ 事業収支見込みは年間3億3千万円の黒字
論拠はこれだ。
計画では新国立競技場で年間に大規模なスポーツ大会が36日、コンサートが12日開催される想定で、9億8千万円のイベント収入を計上。
( → 日経 2014-08-20 )
しかしその論拠はデタラメであり、この試算はペテンだ。その理由は、以前述べたとおり。一部抜粋しよう。
コンサートは...「確かにドル箱だが、芝への影響が大きく、十二日も行えば肝心のスポーツで使えなくなる」と実現性に疑問を呈する。
芝への悪影響を避けるため多くの施設はコンサートを年数回に限定。一二年度実績で味スタは三日、埼玉スタジアム(さいたま市)はゼロだった。
実際、大規模な公共スポーツ施設で黒字運営の例はほとんどない。埼玉スタジアムや日産スタジアム(横浜市)でも一二年度にそれぞれ二億五千二百万円、四億三千六百万円の指定管理料を自治体から負担してもらって収支を保っている。
( → 新国立競技場の命運は? )
上記の話は、孫引きだが、ともあれ、そういう事実がある。これを無視して、「大規模なスポーツ大会が36日、コンサートが12日開催される想定」なんて、荒唐無稽でしかない。机上の空想プラン。砂上の楼閣。……要するに、ただの嘘予想だ。
この手の嘘予想は、他にもある。
専用シートやラウンジを利用できる会員権の収入として約12億円を計上していますが、10万円以上もする会員権が完売することを前提に試算するなど、見通しの甘さを指摘する声が早くも上がっています。
( → 新国立競技場 年3億円の黒字試算も「見通し甘い」 )
コンサートの嘘だけではまだ嘘をつき足りないから、10万円以上もする会員権の完売という嘘まで書き足す。呆れたものだ。嘘に嘘を重ねる。
政府の各省は、予算をもらうときに、この手の嘘予想をいつも書く。「これほどの黒字になりますよ」と。
で、その末に、実際には大赤字を出す。関西空港もそうだし、東京湾横断道路もそうだし、本四架橋もそうだ。どれもこれも、うまいことを言って建設してから、「実際には大赤字でした」と言って、莫大な赤字補填を強いる。ふざけた話だ。
こういうペテンにだまされるのは、いい加減にしたい。
【 関連項目 】
→ 新国立競技場の命運は?
以前述べた話。収支計画がいかにデタラメかを示す。とても面白いので、是非、お読みください。