2014年08月17日

◆ エボラ出血熱を流行させるべきか?

 エボラ出血熱は、どんどん流行させる方がいい。患者が増えれば増えるほど、薬を売って金儲けができるからだ。(製薬会社にとっては。) ──

 エボラ出血熱が流行しかかっている。すでに死者多数。
 ギニアをはじめとする西アフリカにてエボラ出血熱が流行している。2014年8月13日までの世界保健機関(WHO)のまとめでは、感染疑い例も含め2127名が感染し、1145名が死亡(死亡率54%)した。

治療法
 現在エボラ出血熱に対する効果的な治療薬、ワクチンはともにない。
  ・ 2014年8月6日、中央アフリカで感染が拡大しているエボラ出血熱の医療チームで感染した米国人2人に対して投与された実験用の抗体治療剤「ZMapp」の効果があったことから、この未承認薬のエボラ出血熱患者への投与承認を求める申請がWHOになされた。
  ・ 2014年8月7日、アメリカ国防総省当局者は富士フイルムホールディングスの傘下企業富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬『ファビピラビル』を、富士フイルムの米国での提携相手であるメディベクターがエボラ出血熱感染者の治療に使えるよう申請する意向で、FDAと協議していると述べた。承認されれば、エボラ出血熱の感染者治療で米当局が承認する初の医薬品の一つとなる見通し。
  ・ 2014年8月12日、WHO専門家委員会は、西アフリカで感染が拡大するエボラ出血熱をめぐり、開発段階の治療薬やワクチンを使用することの是非について議論した結果、使用は倫理的との認識で一致した。
( → Wikipedia

 「治療薬はまだない」という情報が多いが、「正式に確認されたものはない」というだけだ。「効果がない」と判明したわけではない。それどころか、「有効だ」という事例はすでに多く見つかっている。少なくとも動物実験では、かなり大きな効果が確認されている。
  → エボラ出血熱に対する未承認薬の効き目や副作用は?

 Zmapp とファビピラビルという2種類の薬があり、どちらも動物実験では有効性が確認されている。ここで、ウイルスは人間の場合と同様のウイルスだから、人間の場合にも同様に有効であると推定される。(内臓の機能に作用する薬ではそうは言えないが、ウイルスを攻撃するのは動物でも人間でも同様だ。)
 実際、Zmapp では人間の場合にもすでに効果が確認されたそうだ。(少数例だが。)

 問題は、副作用だ。しかし、この点もあまり心配しないでいいようだ。
  ・ 致死率が高いので、多少の副作用があっても問題ない。
  ・ ファビピラビルは、すでにインフルエンザ薬として、副作用が確認済み。


 実際、ファビピラビルは、すでに日本では普通の薬として販売許可が出ている。その意味で、副作用の心配は、ほとんどない。(治験も十分に済んでいる。)
  → T-705(ファビピラビル)が販売へ (コメント欄)

 というわけで、少なくともファビピラビルに関する限りは、副作用の心配もなく、今すぐにも大量生産が可能だし、それをエボラ出血熱の治療薬として大量に処方することは可能だ。
 いちいちエボラ出血熱の治療薬として治験しなくてもさっさと処方していい、ということは、WHO も打ち出している。
  → 未承認のエボラ治療薬、使用は倫理的=WHO委員会
  → 未承認のエボラ治療薬、WHOが使用認める見解

 というわけで、科学的にも、制度的にも、エボラ出血熱の治療薬はあるのだ。特に、ファビピラビルは有望で、これを大量生産すれば、エボラ出血熱が大流行する前に、小規模な状態で阻止することは十分に可能だろう。
( ※ 「絶対に可能だ」と断言はできないが、非常に有望な方法があることは確実だ。/ 比喩的に言えば、地球連邦軍にはガンダムがある、というようなものだ。「敵の強力なザクの前には無力である」というのとは正反対である。対抗策は、ある。)

 ──

 エボラ出血熱の対抗策は、ある。ではなぜ、それが用いられないのか? それは、「地球連邦軍が無能だからだ」と言っていいかもしれない。あくまで政治的な無能無策に由来する。

 そのわけは? こうだ。
 「ファビピラビルを生産するには、コストがかかる。そのコストを政治的に負担できない」


 比喩的に言えば、「ザクを打倒するガンダムというものはあるのだが、これを配備するための金がない。ごく小額の金で住むのだが、金は賄賂や一般予算などに消えてしまったので、地球防衛のためには金を出せない」というようなものだ。もうちょっと正確に言うと、「臨時費用は出せないから」という硬直性が問題だ。

 これはどういうことかというと、次のことが背景にある。
 「ファビピラビルを生産するには、コストがかかる。そのコストは、企業は負担できない。だから政府に負担してもらうしかない」


 で、政府はそれを負担しないから、企業は生産を開始しないのだ。
 では、企業はなぜ生産しないか? 患者数が少なすぎるからだ。現状では患者数は 2000人程度。報道の当初では 1000人程度。仮に、致死率が70%で、感染者が 1000人なら、生き残る人は 300人。ファビピラビルを生産しても、薬をもらう人は 300人だけ、となる。たったのこれっぽっちの人のために新薬を生産するという設備投資はできない。
 ファビピラビルは本来、世界で数十億人にもなるインフル冤罪の患者のために開発された。市場規模が数十億人ならば設備投資することも可能だが、市場規模が 300人では設備投資することはできない。
 ゆえに、民間企業ができるのは、次の場合だけだ。
 「エボラ出血熱が大流行して、死者が膨大な数になる。特に、治療薬を購入できる先進国の患者が大量に増えるまで待つ」

 これが正しい経営方針である。

 つまり、現在の経営方針は、こうだ。
 「エボラ出血熱は、どんどん流行させる方がいい。患者が増えれば増えるほど、薬を売って金儲けができるからだ。大流行が起こるまでは、治療薬は生産しないで、じっと待っている」


 では、これを改めさせるには? 次の方針を取ればいいだろう。
 「市場規模が小さいうちに、政府が製薬会社に助成金を出して、少量の薬を高額で生産させる。その全量を引き取る」

 これならば、感染者数が少ないうちに、エボラ出血熱の流行を阻止できる。

 しかし、先に述べたように、政府はその金を出さない。日本政府は「日本ではまだ流行していない」というし、米国政府は「米国ではまだ流行していない」という。
 結果的には、これらの政府が金を出すのは、エボラ出血熱が流行した後のことになる。「惨事が起こる前に少額の費用で予防する」という道は取らず、「惨事が起こった後で大量の金をかけて後始末に追われる」というふうになる。

 比喩的に言えば、「原発事故の再来」である。予防の段階で済ませれば、簡単に少額で予防できた。しかし、その少額の費用を惜しむから、大惨事が起こる。そしてそのあとで巨額の対策費を支払うハメになる。しかも大惨事のときには、莫大な死者が発生する。

 これが、現在の世界が取っている選択肢だ。
 私がいくら正しい選択肢を示しても、世界は常に最悪の選択肢を取る。

 STAP細胞事件では、人々は最悪の道を取ったあとで、笹井さんを死なせた。そういうことをした頭の悪い人々が、今度は自分自身が死の恐怖にさらされることになるわけだ。
 これについては、昔からことわざがある。
 「馬鹿は死ななきゃ治らない」

 手の打ちようがないね。エボラ出血熱への治療薬はあるが、馬鹿への治療薬はないのだ。



 [ 余談 ]
 日本で話題になったニュースはこれ。
  → エボラ対策で院長「エバラは焼き肉のタレ」「ズボラは私です」と投稿

 こんなことで大騒ぎしている。それが日本人の知的レベルだ。こんなことだから、「馬鹿は死ぬしかない」ということになる。
 
( ※ 文句を言う人がいそうだが、私が殺そうとしているわけじゃないので、お間違えなく。多くの人々が死ぬことになるのは、人々自身がその道を選択したからだ。ブーメランである。……かつてはその愚かさが笹井さんを死なせたが、今度はその愚かさが自分たちを死なせる。)



     【 注記 】 
     本項は、「日本でエボラ出血熱が流行して死者が出るだろう」というふうに予想しているわけではありません。お間違えなく。
     
     本項は、予想を述べているのではなく、潜在的な危険の存在を指摘しているだけです。(その点では、原発事故と同様です。)
     繰り返します。本項は予想ではありません。

     
posted by 管理人 at 17:46| Comment(8) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
関連サイト。
 → http://credo.asia/2014/08/16/ebola_danger/
   「エボラ出血熱 流行の理由と日本上陸の可能性」
Posted by 管理人 at 2014年08月17日 22:43

日本の未承認薬使用を検討 エボラ熱でナイジェリア
http://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201409/0007293438.shtml
Posted by 管理人 at 2014年09月02日 07:36
記事の一部抜粋。

 ──

 世界保健機関(WHO)は5日、西アフリカで拡大するエボラ出血熱の感染による死者数が、同日時点で2000人を突破したと発表した。
 WHOは8月下旬に6〜9か月での終息を目指すとの目標を明かし、最終的な死者が2万人を超えるとの推計を示したが、死者は同月上旬に1000人を超えてから、わずか1か月で倍増したことになる。封じ込めに向けた道筋は見えていない。
 → http://www.yomiuri.co.jp/world/20140906-OYT1T50046.html
Posted by 管理人 at 2014年09月06日 16:50
記事の一部抜粋。

 ──

 世界保健機関(WHO)は5日、西アフリカで拡大するエボラ出血熱の感染による死者数が、同日時点で2000人を突破したと発表した。
 WHOは8月下旬に6〜9か月での終息を目指すとの目標を明かし、最終的な死者が2万人を超えるとの推計を示したが、死者は同月上旬に1000人を超えてから、わずか1か月で倍増したことになる。封じ込めに向けた道筋は見えていない。
 → http://www.yomiuri.co.jp/world/20140906-OYT1T50046.html

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 別の記事

 ──

 エボラ熱の有望な治療薬として最も注目を集めているのは、米マップ・バイオファーマシューティカルが開発している「Zマップ」だろう。これまでに「Zマップ」はエボラ感染者7人に投与され、開発メーカーは在庫が底をついたと明らかにした。
 インフルエンザの治療に使われている「ファビピラビル」やエストロゲン受容体遮断薬は人間に使っても安全であることは分かっており、エボラ出血熱の治療にも有望ではあるが、エボラ感染者での効果は確かめられていない。
 → http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0GY0OQ20140903?sp=true

 ( ※ 引用者注:ファビピラビルは、動物実験ではエボラへの効果が確認されている。また、在庫は2万人分の備蓄がある。現状では唯一の対抗策だ。足りないのは、やる気だけ。ま、見殺しですね。本項の本文で述べたのと同趣旨。)
Posted by 管理人 at 2014年09月06日 16:56
アビガン(ファビピラビル)が有功だった、という最新記事。
 http://www.yomiuri.co.jp/world/20141020-OYT1T50076.html

 ──

● エボラ感染看護師が快方に、日本の薬投与と報道
 スペイン政府は19日、エボラ出血熱に感染し、マドリードの病院に隔離入院していた看護師が快方に向かっていると発表した。
 ウイルス検査で陰性の結果が出たためで、近く再検査を行う予定としている。
 政府は治療に使った薬を明らかにしていないが、スペイン紙エル・ムンドは、富士フイルムホールディングスのグループ会社が開発した抗インフルエンザ薬「アビガン」が投与されたと報じた。

 ──

 スペイン政府は、アフリカ大陸以外でエボラウイルスに感染した最初の患者となった同国の女性看護師テレサ・ロメロ(Teresa Romero)さん(44)が19日に行った検査で陰性反応が出たことを明らかにした。
 http://j.mp/10hsWZ8

 ────────────────

 動物実験で有功だったんだから、有功なのは当り前。なぜなら、動物の臓器に作用するのではなく、ウイルスに作用するから。動物でも人間でも、そこにいるウイルスはまったく同じなのだから、ウイルス撲滅の薬効も同じに決まっている。いちいち調べなくてもわかりきったことだ。
 薬を使わない方が馬鹿げている。

 ※ もちろん治験は必要だが、治験は「インフルエンザ薬」という目的で、すでに済んでいる。この問題もすでにクリアしているのだ。
Posted by 管理人 at 2014年10月20日 20:32
新たなニュース。以下、引用。
 
  ̄ ̄
 富士フイルムは10月20日、エボラ出血熱患者への投与拡大に備えて「アビガン錠200mg」(一般名・ファビピラビル)を11月中旬から追加生産する発表した。現時点で2万人分の錠剤と30万人分程度の原薬を在庫として保有しているが、感染拡大に備え、継続的に供給できるよう追加生産で備えておくとしている。
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1410/20/news154.html

 ──────────────────────────

 「エボラはアビガンで対応できるし、民間企業もそのために努力している」という事実が判明したわけだ。
 以上のことから、「良かった!」と思う人が多いだろうが、別に、状況が好転したわけではない。
 肝心の日本政府や外国政府は、相も変わらず、アビガンの使用をためらっている。試験採用が少しあるだけだ。大量の患者に対しては、何もしないで放置しているだけだ。
 その意味で、本項の最後の結論はそのままだ。つまり、「エボラ出血熱への治療薬はあるが、馬鹿への治療薬はない」ということだ。まったく、困ったことだ。
Posted by 管理人 at 2014年10月21日 19:18
新たなニュース。以下、引用。
 
  ̄ ̄
 エボラ出血熱の感染が拡大しているのを受け、厚生労働省は24日、患者を国内で治療する際の医療態勢や治療方法を検討する専門家会議を初めて開催した。エボラ熱の治療法が確立していない現状では未承認薬の使用も許容されるとの見解をまとめ、富山化学工業(東京都新宿区)の「ファビピラビル」(商品名「アビガン」)の使用を認めることで合意した。
http://mainichi.jp/select/news/20141025k0000m040105000c.html

 ──

 国内における治療用のみ。肝心のアフリカでの流行を阻止するためには使わない。根源対策ではなく、対症療法だけ、という感じですね。
 すべて泥縄。
Posted by 管理人 at 2014年10月25日 00:13
> 国内における治療用のみ。
> 肝心のアフリカでの流行を阻止するためには使わない。〜 すべて泥縄。

一連の報道を見た感想はこれです。
先進国での大流行ばかりを気にしていて、「西アフリカの人が4000人以上死んだ」という言葉がエボラウィルスの脅威の形容詞として使われているだけで、人命を尊重しているようには思えないのが憤りを感じさせます。

先進国の大流行予防を真剣に取り組むならば、まずは西アフリカの感染予防ですね。
とはいえ、政情不安定、国民の教育もままならない場所では時間がかかる…か。
Posted by ジョン・ヘンリー at 2014年10月25日 14:27
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ