2014年08月09日

◆ マスコミの不公正報道(STAP)

 笹井さんの死の直接的な引き金は何だったか? それはマスコミ(読売)の不公正報道だろう。 ──

 笹井さんの死の直接的な引き金は何だったか? これまでに次の候補を掲げた。
  ・ 分子生物学会
  ・ 学術会議
  ・ NHK の番組

 これらは、たしかに大きな影響をもたらしたが、直接的な影響ではなかっただろう。なぜなら、日付が古いからだ。
  ・ 分子生物学会 7月04日
  ・ 学術会議   7月25日
  ・ NHK の番組  7月27日
  ・ 笹井さんの死 8月05日


 直接的な引き金は、もっと日付が近いはずだ。となると、これしかない。
  ・ 読売新聞 2014-08-02転載

 これについては、前項でも述べた。この記事は、分子生物学会の大批判を紹介する形で、夕刊1面のトップ記事になった。
 とすれば、これは笹井さんに大々的な影響をもたらしたと言えるだろう。それまでじわじわと追い詰められていた笹井さんは、この1面トップ記事を見て、最後の決定的な打撃を受けたのに違いない。
 つまり、2日夕方に記事があり、3日に深刻な影響を及ぼし、4日に死を決意して、5日に死を決行した……ということだ。これでつじつまは合う。
 こうして、「読売の記事が直接的な引き金となった」という推定が得られる。

 ──

 では、読売に責任はあるのか? 一考したところでは、「マスコミには責任はない」という判断が付きそうだ。
 「マスコミは単に報道をするだけだ。問題があるとしたら、報道された対象の方にある。今回の例で言えば、分子生物学会が非難したのが問題だ。読売は、単にそれを報道しただけであり、責任のすべては分子生物学会にある」
 そう思えそうだ。では、本当にそうか? 

 ──

 私は「ノー」と答える。理由は、こうだ。
 分子生物学会の見解は、小保方さんと笹井さんに対する攻撃的内容である。事実の指摘というよりは、中傷的な内容を含む。特に、「捏造」がいまだ証明されていない時点(「実験ミスである可能性がある時点))では、「中傷」と言っても差し支えない。
 このような中傷的な内容を報道する場合には、公平性を留意する必要がある。当事者の一方の見解を載せるのではダメであり、当事者の双方の意見を載せる必要がある。
 今回の例で言えば、小保方さんと笹井さんの協力は得られなかった。どちらも神経衰弱(神経耗弱)の状態にあり、マスコミに対応できる状態にはなかった。とすれば、マスコミとしては、次のいずれかにするべきだった。
  ・ 記事の掲載そのものをやめる
  ・ 別の人の反対意見を掲載する

 このいずれでも良かった。それならば、バランスの取れた記事となり、不公正ではなかっただろう。
 しかし、読売はそうしなかった。分子生物学会による一方的な攻撃だけを掲載した。ここには、マスコミの不公正さがある。
 つまり、「不正だ」と唱える記事自体が、「不公正な」記事だったのである。ほとんど自己矛盾と言える。

 この意味では、読売の罪はきわめて重い。小保方さんや笹井さんのミスは、「再現性を確認しなかった」とか「実験ノートを確認しなかった」ということで、一種の手続きミスにすぎない。
 ところが、読売のやったことは、「賛否両論を掲載せずに、一方の側だけの一方的な攻撃だけを掲載する」というものだった。これはとんでもない不公正さだ。
 比喩的に言えば、小保方さんと笹井さんのミスは、「業務上過失の物損事故」ぐらいの小さなミスにすぎないが、読売のやったことは、「憲法違反」ぐらいの重要なミスである。ミスの大小で言えば、ネズミ花火と核爆弾ぐらいの規模の差がある。読売のやったミスの方が、圧倒的に大きいのだ。
 そのことは、結果からしてもわかる。一方は、ただの論文ミスであり、最終的には「論文の取り下げ」だけで済む問題だ。他方、読売のやったことは、人の命を奪ったミスだ。規模の違いは、あまりにも大きい。
 
 ──

 実は、読売だけでない。NHK もそうだ。NHK もまた、同じミスをやった。本当ならば、前述と同様で、こうするべきだった。
  ・ 番組の放送そのものをやめる
  ・ 別の人の反対意見を組み込む


 小保方さんも笹井さんも、番組に出演する精神状態ではなかった。とすれば、別の人の反対意見を組み込むべきだった。実際、そのような反対意見は、単にググるだけで見つかる。
 たとえば、読売新聞の場合で言えば、「分子生物学会への反対意見」は、この話題で検索すれば簡単に見つかる。
  → 分子生物学会 STAP - Google 検索
 
 7月31日ごろの時点で「分子生物学会 STAP」で検索すれば、7月04日の日付のある「Open ブログ: STAP:分子生物学会の謎」という記事が5番目ぐらいに見つかる。
 つまり、分子生物学会への反対記事は、容易に見つかる。だから、「別の人の反対意見」を組み込むことは容易だった。
 にもかかわらず、NHK も読売も、「別の人の反対意見」を示すことなく、一方の側による一方的な攻撃だけを掲載した。
 これはマスコミの「公正な報道」の基準に反する。明らかに不正な記事・不正な番組であった。
 そして、この二つが、笹井さんの死への決定的な引き金となったのだ。

 結論。

 実験の不正は人を殺さないが、報道の不正は人を殺す。……マスコミは、そのことを肝に銘じるべきだ。



 【 後日記 】 (2014-08-31)
 読売新聞は、社説(2014-08-31)でふたたび STAP 問題を取り上げた。
 《 STAP検証 実験を続ける意味があるのか 》
 こうした中で、公金を投じて検証実験を続ける意味はあるのか。理研が実施しているのは、「悪魔の証明」と呼ばれる不存在の証明実験とも言えるだろう。
 例えば、雪男を捕らえれば、その存在を証明できる。だが、存在しないことを証明するには、世界中をしらみ潰しに探す必要がある。日本分子生物学会が、実験凍結を求めたのは、もっともだ。
 STAP細胞論文の主要著者である笹井芳樹副センター長の自殺という痛ましい出来事もあった。
( → 読売新聞、社説 2014-08-31

 こういうふうに「実験停止」を主張している。しかしここにはいくつか問題がある。

 (1) 実験は「悪魔の証明」のためではない。「再現実験が成功しない」ということは、それなりに意味がある。「再現実験が成功する、ということを否定する」という意味だ。これは科学の世界ではとても大切なことだ。これを「悪魔の証明」と同一視するなんて、馬鹿馬鹿しすぎる。「再現実験とは何か」という意味すら理解していない素人の発想だろう。黙っていた方がいいね。

 (2) そもそもこの実験は、「再現実験を成功させるため」ではない。
 第1に、「再現実験が成功する、ということを否定する」ためだ。これはこれで明確に確認した方がいい。
 第2に、「実験のどこでミスが発生したか」を確認するためだ。実験のミスが生じたなら、そのミスがどこで生じたかを確認することは、とても大切だ。特に、今回は社会的な大騒動をもたらすほどの「事故」であったのだから、「事故」の原因を探ることはとても大切だ。(これは、スペース・シャトル爆発事故の原因を解明することが大切なのと同様である。→ ファインマンの例

 (3) 「公金を投じて検証実験を続ける意味」を問うているが、馬鹿げている。これにかかる公金など、1000万円程度であり、たかが知れている。国全体で数兆円規模であちこちで浪費がなされているのに、こんなのはスズメの涙にすぎない。どうせなら、もっとまともな方向で、数千億円の無駄を削るべきだろう。
 というか、こんな下らない話題で日本中で大騒ぎすることの方が、はるかに無駄だ。読売がこんな社説を書いて人々を騒がせることの損失は、何十億円にもなる。だったら、下らない社説を書くのをやめて、白紙にしておいた方がよかった。その方が圧倒的に節約できるはずだ。(ともあれ、下らない馬鹿騒動は、いい加減にやめてもらいたい。)

 (4) 「自殺という痛ましい出来事もあった」というが、どのツラ下げてそんなことが言えるんだ? 彼の自殺の直接的な引き金を引いたのは、ほかならぬ読売新聞である。そのことは、本項(上記)で記したとおりだ。読売があまりにも STAP にこだわりすぎたせいで、笹井さんを死なせたのである。読売は自分の手で彼の命を奪ったのだ。それでいて、まるで他人事みたいな口を利いている。呆れるしかない。

 (5) 笹井さんが死ぬほかなくなったのは、「不正がなかった」からである。仮に不正があったなら、死ぬかわりに、謝罪したはずだ。iPS細胞の捏造犯だって、ES細胞の捏造犯だって、謝罪することで生きる道を選んだ。謝罪を拒んで死ぬことを選んだ捏造犯などは一人も存在しない。「頭を下げるくらいなら死刑の方がいい」などと思う人は一人もいない。……このことからしても、「不正はなかった」と判断していいのだ。( → 前出

 マスコミはいい加減、「証拠もなしに人を悪党と決めつけて指弾すること」の罪を意識してほしいものだ。最低限、「そういう冤罪のせいで人を死なせた」ということを自覚してもらいたいものだ。一体、何人死なせれば気が済むんだ? 



 【 参考 】
 本項・後半へのコメントは、別項にあります。
  → 別項・コメント欄
posted by 管理人 at 22:18| Comment(3) |  STAP細胞 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あと、時系列的には自殺前日、8月4日に理研HPに、学術会議の提言を入れ、検証実験と同時並行に関係者の処分開始を始める、不正の全容解明を示すという理研方針が掲げられた事も、トリガーだったかと思います

なぶり殺しの感がありますね
Posted by 通りすがり at 2014年08月09日 22:29

7/22に発表された若山さんやニセ第三者機関、遠藤kaho氏の解析不正の調査はやらないのですかね。

論文撤回理由にも関係した若山さんらの解析不正をマスコミが騒がないのが不思議です。
Posted by ラッキー純 at 2014年08月09日 23:18
マスコミってこういうスタンスですから。
この件って角を矯めて牛を殺すという故事と同じですね。
Posted by 京都の人 at 2014年08月10日 10:16
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