2014年08月02日

◆ 恐竜の小型化に5000万年

 恐竜が鳥類に進化する前の小型化には 5000万年かかった、という新説が出た。これをどう評価するか? ──
 
 まずは記事を紹介しよう。
 恐竜が約5000万年かけて体を小型化させた結果、鳥に進化したとする研究結果を、オーストラリアなどの研究チームが1日付の米科学誌サイエンスに発表した。従来は鳥へと進化する直前に一気に小型化したと考えられていたが、長い時間をかけて飛行や樹上生活に適した姿になったとみられるという。
 骨格の変化を調べると、鳥類に進化した系統の種はそれ以外と比べて体形の変化の度合いが4倍も大きく、大きな目や脳、短い鼻、小さな歯といった鳥特有の形態を次々と獲得していったと考えられるという。
( → 毎日新聞 2014年08月01日
 チームは、鳥類の祖先とされる獣脚類と呼ばれる恐竜や初期鳥類120種を対象に、1500以上の骨の特徴を統計的に比較し、進化に伴う体重の変化などを調べた。
 この結果、1億9800万年前までに出現した恐竜メガロサウルスの祖先の体重は、163キロ未満と推定した。
 1億7400万年前までに出現した恐竜の推定体重は46キロ未満、1億6750万年前の恐竜では3キロ未満と、鳥類に近づくにつれて減少。1億6300万年前の鳥類の祖先では800グラム未満になった。
 こうした小型化は少なくとも5千万年の間に12回起こったといい、チームは「長期にわたる小型化が、鳥の飛行能力や目や脳の肥大などの進化を促進したのではないか」としている。
 真鍋真・国立科学博物館グループ長は「解析が正しければ、恐竜の小型化は、樹上生活や飛行のはるか前から起こっていた可能性が高くなり、興味深い」と話している。〔共同〕
( → 日経 2014-08-02
 And when the theropods started shrinking there weren't many other small species that would compete with them, Lee said.
 "The dinosaur ancestors of birds found a new niche and a new way of life," Lee said.
 《 機械翻訳 》 獣脚類が縮小し始めたときに、それらと競合する他の多くの小さな種がありませんでした、と話した。
 「鳥の恐竜の祖先は、新たなニッチと生活の新しい方法を発見した」と話した。
( → cbc.ca
 The decrease in body size may have helped dinosaurs in the lineage that evolved into birds to take advantage of certain ecological niches that would have been off-limits to their larger relatives and to experiment with unique body shapes.
 “It would have permitted them to chase insects, climb trees, leap and glide, and eventually develop powered flight,” Lee said.
 《 機械翻訳 》 ボディサイズの減少は、その大きな親戚に立ち入りあったであろう、ユニークなボディシェイプを試して、特定の生態学的ニッチを利用するには、鳥へと進化系統で恐竜を助けている可能性があります。
 「それは、昆虫を追いかけ、木に登る、跳躍と滑空するためにそれらを許可されており、最終的には動力飛行を開発しただろう」と話した。
( → newsdaily

 ──

 要するに、恐竜の小型化は、従来思われていたよりも長い時間をかけて少しずつ進行していった、ということだ。
 このこと自体は、特に問題ないと思う。ただし、誤解の余地があるので、いくつか解説しておく。


 (1) 古鳥類

 この記事で言う鳥というのは、現代の鳥のことではない。次の区別が大切だ。
  ・ 古鳥類 …… 1億5000万年前ごろに誕生した。
  ・ 新鳥類 …… 7000〜8000万年前ごろに誕生した。

 前者(古鳥類)は、アンキオルニスや始祖鳥などに始まるもの。当初は四枚の翼を持っていて、樹上から滑空したもの。恐竜の一種。この系統は、(恐竜といっしょに)すべて絶滅した。
 後者(新鳥類)は、恐鳥類などに始まり、カモ類が現代にも残っている系統。この系統は、恐竜絶滅の時期を生き延びて、今日の鳥につながった。
 系統図は、下記にある。
  → 恐竜と鳥の系統図

 今回の記事は? もちろん、古鳥類を対象としたものであり、新鳥類は関係ない。この点、きちんと区別して理解しよう。


 (2) 樹上性/地上性

 今回の話題に似たことは、本サイトで前に言及した。
  → 樹上性/地上性(飛ぶ前)
 要旨は、次の通り。
  ・ 古鳥類 …… 樹上性である。小型化したあとで、樹上から滑空した。
  ・ 新鳥類 …… 地上性である。大型のまま地上で生活していたが、一部は小型化して、飛翔力を得た。キジ類。


 今回の例に当てはめれば、こうなる。
 「恐竜の一部はどんどん小型化したあとで、樹上性になった」
 これで問題ない。


 (3) 一部の恐竜のみ

 和文記事を読むと、「恐竜がどんどん小型化していった」というふうに読めるが、英文記事を読めば「そうではない」とわかるはずだ。
 あらゆる恐竜が小型化したのではない。一部の恐竜のみが小型化した。その小型化していった系列をたどると、「5000万年をかけて少しずつ小型化していった」と判明するだけだ。
 そして、それらの小型化していった系列は、「進化において有利だから小型化した」のではない。「大型恐竜よりも小型恐竜の方が有利だから、大型恐竜が絶滅して小型恐竜が生き延びた」のではない。
 では何か? 「小型化恐竜の棲息する場所は、大型恐竜のいないニッチだから、ニッチに進出した」というだけのことだ。
 では、そのニッチとは? 
 最終的には、樹上がニッチとなったのだろう。そこに進出した小型恐竜は、滑翔力を得て、かなり繁栄した。特に、十分な飛翔力を得たエナンティオルニスは、大いに繁栄した。
 ただし、樹上に進出する前には、地上にいたはずだ。その地上とは、大型恐竜のいないニッチ領域だろう。では、どこか? たぶん、森林の奥地だろう。今日でも、森林の奥地には、ゾウやキリンなどは入らない。小型の獣類がいるだけだ。同様に、恐竜の時代にも、シダ類や裸子植物の森林の奥地には、小型の恐竜だけが棲息したのだろう。……そう理解すれば、恐竜の小型化ということも理解できる。



 [ 付記 ]
 話は以上で足りる。なお、次のように誤解してはならない。
 「恐竜が何千万年もかけて、少しずつ小型化していったすえに、現代の鳥類になったんだな」
 これは完全な誤りだ。

 正誤は次の通り。
 × 「恐竜が 5000万年もかけて、少しずつ小型化していったすえに、現代の鳥類になった」
 ○ 「恐竜が 5000万年もかけて、少しずつ小型化していったすえに、1億5000万年ほど前の古鳥類になった」
 ○ 「恐竜が大型であるまま、巨鳥類になった。恐鳥類が小型化して、現代の鳥類になった」
posted by 管理人 at 09:54| Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
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