まず、池田信夫の論説がある。
→ STAP細胞は「第二の耐震偽装事件」
これを読んで思ったが、池田信夫というのは、実に有益な人である。彼の話を読めば、たちまち真相がわかる。次の二点で。
・ 真実の逆を言うので、彼の言説の逆が真実だとわかる。
・ 高度な分析をするので、それを利用できる。
だから、彼の話を読んで、言いたいことを理解した上で、彼の言説の逆を取れば、それが真実なのだ。その意味で、真実にたどり着くために、とても有益である。(反面教師とか、他山の石みたいなものだ。)
──
今回の例では、次の話がある。
・ 意図的な不正を予防するコストは非常に大きいこの二点が強調されている。
・「組織ぐるみの構造問題」ではない
この二点について、以下で私の見解を示そう。
(1) 意図的な不正を予防するコストは?
意図的な不正を予防するコストは非常に大きい
という点は、事実か? もちろん、事実ではない。正しくは、その逆だ。つまり、コストはゼロだ。なぜなら、意図的な不正があれば、笹井さんがあっさりチェックして発見するからだ。
すでに判明しているように、小保方さんの知的レベルはとても低い。まともな実験ノートすら書けない。このような人が笹井さんをうまくだませるはずがない。つまり、勝手に虚構を作って、その虚構を真実だと見せかけることなど、できるはずがない。
換言すれば、笹井さんが小保方さんの不正を見抜くことなど、朝飯前である。あまりにも容易だ。
そして、ここから得られる結論は、こうだ。
「意図的な不正があれば簡単に見つかるのに、実際にはそうはならなかった。とすれば、意図的な不正はなかった」
これが論理というものだ。(三段論法)
ここから、必然的に、次の推論に結びつく。
「意図的な不正がなかったのだとすれば、何らかのミスがあっただけだ」
では、何らかのミスとは何か? 単純なミスはありえそうにないが、だとしたら、どんなミスがあったのか?
(2) 組織ぐるみの構造問題か?
「組織ぐるみの構造問題」ではない
という点は、事実か? もちろん、事実ではない。正しくは、その逆だ。つまり、「組織ぐるみの構造問題」であった、ということだ。
ただし、「組織ぐるみの構造問題」ではあったが、「組織ぐるみの不正」ではなかった。この点を混同しないようにしよう。
まず、「組織ぐるみの構造問題」ではあった、という点は、簡単に証明できる。小保方さんには、次の権限はないからだ。
・ 小保方さんをユニットリーダーに任命する
・ ユニットリーダー就任の条件を異例ずくめにする
・ 理研が組織全体で STAP細胞を推進する
(竹市さんや笹井さんが STAP細胞を推進する)
小保方さんは、このような権限はなかった。つまり、理研CDB のセンター長や副センター長に命令するだけの権限はなかった。(当り前だ。)
では、誰がセンター長や副センター長を動かしたか? そう問えば、真相はただちに判明する。
もちろん、センター長や副センター長を動かしたのは、自分自身である。センター長自身と、副センター長自身である。さらに言えば、そこで同意をした関係者も同様だ。
これらの人々の全体が STAP細胞の研究を大々的に推進した。小保方さんは、それらに担がれた「御輿(みこし)」にすぎない。御輿は、担がれるだけであって、自分自身で推進する能力はない。御輿を動かすのは、それを運ぶ人々なのである。……ここでは、理研という組織が該当する。
というわけで、「理研 CDB の全体が STAP細胞を推進した」という事実からして、この問題の主導者は理研 CDB であった、と判定が付く。つまり、この問題は、「組織ぐるみの構造問題」なのである。
( ※ 従って、事件の再発を防ぐには、組織そのものを抜本的に変革する必要がある。「解体」は必要ないが、「抜本的な是正」は必要だ。……この点では、世間が正しい。組織責任を無視する池田信夫は間違い。)
──
さて。以上から、次の二点がわかった。
・ 意図的な不正は、なかった。
・ 「組織ぐるみの構造問題」は、あった。
この二点から、どんな結論が得られるか? こうだ。
「 STAP細胞事件は、意図的な不正によるものではなく、何らかのミスによるものである。ただしそのミスは、単純なミスではなく、組織的な構造問題ゆえに生じたものだった」
ここでは、「組織的な構造問題」というのが何か……というのが問題となる。それを私なりに示せば、こうだ。
・ 「STAP細胞は真実だ」という勝手な思い込み
・ 「STAP細胞で予算を獲得したい」という功名心
・ チェック体制の不備
詳しく言うと、こうだ。
- 「STAP細胞は真実だ」と勝手に思い込んだ。科学者にはあるまじきことだが、批判精神が不足した。自己への慢心があった。
- 「STAP細胞で予算を獲得したい」という功名心があった。この背景には、国の「選択と集中」という間違った科学政策があった。( → STAP細胞事件の背景 )
- 功名心に駆られたこともあって、研究の肯定的な面ばかりを見て、否定的な面を見なかった。チェック体制が不備だった。特に問題なのは、次の二つだ。
@再現実験をしなかったこと
A実験ノートをチェックしなかったこと
このような問題があった。これらは、理研 CDB または研究チームの「組織的な構造問題」とも言える。少なくとも小保方さん一人の問題ではなかった。
仮に、小保方さん一人が暴走したのであれば、
@ 再現実験をして、「再現不能」と判明
A 実験ノートを見て、「実験データがない」と判明
という形で、簡単に暴走をチェックできたはずだ。(1) でも述べたように、「意図的な不正を予防する」ことは、簡単にできるのである。
ところが今回は、チェックする立場の人がチェックしなかった。@もAもなされなかった。
これが問題の本質なのだ。
──
以上から、次のように結論できる。
第1に、意図的な不正[捏造]はなかった。(あれば笹井さんが簡単にチェックできたから。)
第2に、今回の問題は、組織的な欠陥から生じたものである。積極方向の推進は過剰にあったが、逆に、消極方向のチェックはまったく不足していた。そういう組織的な問題があった。
これらを換言すれば、こう言える。
「今回の事件の主導者は、小保方さんではなく、竹市さんと笹井さんである。この二人が STAP細胞の研究(間違った研究)を大々的に主導した。一方で、今回の事件の主謀者は、存在しない。なぜなら、そこには不正はないからである。犯罪がなければ犯罪者はいないように、不正がなければ(不正の)主謀者はいない」
というわけで、「主導者は竹市さんと笹井さん。主謀者は存在しない」というのが、結論となる。
[ 付記 ]
学術会議は「関係者を処分せよ」と主張した。
→ ITmedia ニュース 2014年07月25日
しかし、本項に従えば、「(不正の)主謀者は存在しない」となる。学術会議は、主導者と主謀者の区別が付いていない。物事の真相を理解しないまま、単に「関係者を処分すればいい」という判断だ。
学問というものは、「真実の解明」こそを目的とするべきなのだが、学術会議はそうではないようだ。(こういう人が多いから、日本の研究は低迷する。)
【 関連項目 】
→ 《 STAP細胞のご案内 》
※ 「意図的な不正」はなかったが、「意図的なミス」はあった。
そのことは、上記リンク先の三番目の項目で示されている。
※ コメントは受け付けません。
( STAP細胞の話題は終了しています。上記参照。)