2014年07月25日

◆ 恐竜の鳥盤類に羽毛

 恐竜のうち鳥盤類に属する新種に羽毛があった、という新発見があった。これは何を意味するか? ──

 このことから、「あらゆる恐竜は羽毛をもっていたのかも」という推測まで出る始末だ。しかしそれはいかにも不自然だろう。そこで、この事情を調べよう。

 まず、次のような報道があった。
 ロシア・シベリア南東部の地層から、頭や胴体など全身に羽毛が生えた全長1.5メートルほどの小型の新種恐竜の化石を発見したと、ベルギーなどのチームが25日付の米科学誌サイエンスに発表した。発見した地名にちなみ「クリンダドロメウス」と名付けた。
 恐竜は「竜盤類」と「鳥盤類」に大別され、これまで羽毛は、鳥の祖先の恐竜を含む竜盤類で主に見つかっていた。発見された恐竜は原始的な鳥盤類のため、チームは「全ての恐竜に羽毛があったのかもしれない」と推測している。
 チームは、1億6千万年前ごろとみられるジュラ紀の地層から6つの頭骨と数百個の骨を見つけた。頭に長さ約1センチ、胴体に長さ2〜3センチの針状の羽毛があったほか、前後の脚には、現代の鳥に似た構造の長さ約1センチの羽毛があった。
( → 日本経済新聞
 この恐竜は鳥に近いグループではないと考えられ、研究チームでは進化の過程で恐竜がさまざまな種類に枝分かれする前から羽毛が備わっていた可能性があると分析しています。
 恐竜のうち鳥に近いグループには羽毛があり、進化の過程で恐竜にいつ羽毛が備わったのか研究者の議論の対象となっていましたが、見つかった恐竜は骨盤などの特徴から鳥に近いグループとは別の進化をたどった恐竜とみられることから、研究チームでは「さまざまな種類に枝分かれする前から羽毛が備わっていた可能性がある」としています。
 国立科学博物館の真鍋真グループ長は「羽毛の起源が最初の恐竜までさかのぼるかもしれないことの有力な証拠だ。恐竜の繁栄の理由としてほかの動物よりも活発に動けたことが挙げられているが、羽毛で体温を暖かく保ったことが活発な理由かもしれない」と話しています。
( → NHKニュース


umoukyo2.jpg
画像出典は論文作者

 以上のことから次の二点がポイントとなる。
  ・ あらゆる恐竜に羽毛が備わっていた
  ・ 恐竜が竜盤類と鳥盤類に分岐する以前に羽毛が備わっていた

 このことがいずれも「可能性」として示されている。さすがに学者だけあって「可能性」と述べるだけであり、断言はしていない。では、その可能性は、十分にあるのだろうか?
 それが問題となる。

 ──

 ここで私の見解を言えば、「その可能性は皆無である」と言える。つまり、今回の研究成果における推論は、ただの与太にすぎない。あり得ないことを「あるかもしれない」と言って、与太を吹聴しているだけだ。
 で、なぜ彼らがそういう与太を飛ばすかというと、生物学的な知識がろくにないからだ。生物学的な知識が十分にあれば、「そんなことはあり得ない」とわかるのだが、彼らは知識不足ゆえに、わからないのだ。それで、素人をたぶらかす。(最も自分自身も素人であるらしいが。)
 そこで、まともな知識で、私が解説しよう。

 ──

 (1) 竜盤類と鳥盤類

 恐竜は、大きく分けて、竜盤類と鳥盤類の2種類に分かれる。
 のちに繁栄したのは竜盤類の方だ。今日の鳥もまたこの系統の子孫である。
 鳥盤類の方は、名前には「鳥」という名前が付いているが、これは、昔の生物学における勘違いで付けたた名前のせいだ。ちょっと鳥に似ているところ(骨盤の形)があるので、鳥の仲間だと思って、勘違いして、「鳥盤類」という名前を付けたが、のちに、鳥とは関係ないと判明した。それでも名前には「鳥」の一字が残っている。
 竜盤類と鳥盤類は、系統的に大きく異なる。これが重要だ。
 そこで、竜盤類と鳥盤類に共通した形質があるのならば、その共通した形質は、この二つが分岐する前に備わったのだろう。……という発想が生じる。これが今回の発想だ。
 「竜盤類と鳥盤類には、羽毛という共通した形質がある。ならば、羽毛という共通した形質は、竜盤類と鳥盤類に分岐する前に出現したのだろう」
 「羽毛という形質が、竜盤類と鳥盤類に分岐する前に出現したのだとすれば、竜盤類と鳥盤類に属するあらゆる恐竜には、すべて羽毛が備わっていたはずだ。例外的に、備わっていないとしても、それはたまたま羽毛が退化しただけのことだ。恐竜にはすべて羽毛が備わっているのが当然なのだ」
 こういうふうに発想したわけだ。

 (2) 化石との矛盾

 いくらそういう理屈を唱えようが、現実にはその理屈は成立しない。というのは、化石的事実に矛盾するからだ。化石を調べる限り、羽毛を備えていなかった恐竜はとてもたくさんある。それが化石的事実だ。(「なかった」と断言できるのは、かなり厚い角質の皮膚があったらしいと推定できる場合が多いからだ。厚い角質の皮膚には羽毛が生えるはずがない。 → 別項

 (3) 体温との矛盾

 羽毛があった方がいいのは、原則として、小型の恐竜だけだ。大型になると、体の表面から逃げる熱が小さくなるので、特に羽毛を必要としなくなる。(類例:哺乳類でも、ゾウやサイのように大柄の動物は獣毛をもたない。)
 実際、ティラノサウルスその他の大型の恐竜では、(少なくとも大柄の成体になったあとでは)羽毛はなかったはずだ。……つまり、大型の恐竜では、羽毛を持つことのメリットがない。
 一方で、羽毛があるということは、体の表面が羽毛を生やせるほど柔らかいということ(硬い角質を持たないということ)だから、他の恐竜との闘争において著しく不利である。戦えばあっさり出血して、出血多量のせいで、すぐに負けて食われてしまうだろう。つまり、羽毛を持つことで、ひどいデメリットをもつことになる。
 つまり、大型の恐竜では、羽毛を持つことは、メリットが皆無で、デメリットは大きい。こういうものが淘汰の競争を生き残れるはずがない。

 (4) 結論は?

 以上の (2)(3) からして、(1) の推定は「成立しない」とわかる。つまり、「可能性はある」としても、「その可能性が現実化することはなかった」とわかる。(化石的事実からも、生物学的な理論的推論からも。)
 (1) の可能性は、あくまで可能性に留まる。ただの「提出されただけの仮説」であるに過ぎず、その仮説はあっさりと否定されてしまうわけだ。

 (5) 真相は?

 では、真相は何か? そのことは、論理的に考えれば、すぐにわかる。
 「竜盤類と鳥盤類に共通した形質があるのならば、その共通した形質は、この二つが分岐するに備わったのだろう」

 というのが、(1) の仮説だった。しかし、その仮説は否定された。となると、論理的に、次のことしかあり得ない。
 「竜盤類と鳥盤類に共通した形質があるが、その共通した形質は、この二つが分岐したに備わったのだろう」


 これは、一見、かなり奇妙な結論である。別々の系統で同様の突然変異が生じるというのは、偶然的すぎて、とてっも起こりそうにないからだ。
 では、そういうことは、本当に起こらないか? 理論的に考えると、そのようなことが起こることもある、とわかる。

 (6) 共通する突然変異の条件

 別々の系統で同様の突然変異が生じるとしたら、次の2条件を満たすことが必要だ。(発生学的に)
 (A)その突然変異は、確率的に容易に起こる。
 (B)その突然変異は、失敗しても致死的になりにくい。

 以下で詳しく説明しよう。

 (A)その突然変異は、確率的に容易に起こる

 このことは、一塩基変異ならば、「容易に起こる」と言えるだろう。あるいは、一塩基でなく二塩基や三塩基でもいい。一方、何十個か何百個もの多大な塩基がいっせいに置換することが必要となるような大規模な突然変異ならば、容易に起こるとは言えないだろう。要するに、小規模の突然変異である限り、確率的に容易に起こると言える。
 (B)その突然変異は、失敗しても致死的になりにくい。

 このことは、遺伝子の発現が発生の最終期に当たるのであれば、「大丈夫だ」と言える。その場合には、もはや個体はほとんど完成しており、残るのは微細な修飾にすぎないからだ。たとえ失敗しても、部分的な機能喪失のような程度のことで済む。(たとえば、兎口(みつくち)がそうだ。唇の癒合がうまく行かない失敗となっているが、生命には影響しないので、流産しないで誕生する。)一方、遺伝子の発現が発生の最終期よりも前に当たるのであれば、個体発生の重要な部分が失敗したことになるので、たいていは流産となる。

 さて。以上の条件 (A)(B)にかんがみて、「羽毛」という突然変異は、どうだろうか? もちろん、この2条件を満たす。
 (A) 皮膚が羽毛になるか角質になるかは、かなり少数の遺伝子の変異だけで決まる。(皮膚の形成に関与する遺伝子のうちの少数の変異だけで足りる。)
 (B) 皮膚が形成されるのは、個体発生のうちの最終期のころである。つまり、内臓や四肢や手指などがほぼ完成したあとのことである。この段階で、皮膚の遺伝子に変異があったとしても、その個体は致死的になることはない。たとえば、もともとは角質の遺伝子をもつ親から、突発的に羽毛の遺伝子をもつ子が出現したとしても、その子は、流産することなく、まともに誕生する。(その種においては奇形のような扱いになるだろうが、とにかくその個体は流産することもなく誕生する。)
     《 注記 》
     哺乳類でなく爬虫類だと、「流産」という言葉は不適切だが、同等の「発生の失敗による、個体発生の途中停止」として理解してほしい。


 というわけで、「羽毛の出現」という突然変異は、他の突然変異と違って、容易に起こる。その意味で、「別々の系統に同様の突然変異が起こる」としても、ちっとも不思議ではないのである。

 こうして、すべてはきちんと説明された。



 [ 付記 ]
 このことは、重大な結論をもたらす。
 普通の進化論では、「鳥類とは羽毛と翼をもつ生物部門だ」という発想をとる。それは単独の大きな生物部門であって、そこには多くの鳥類が系統的に含まれることになる。大昔の羽毛恐竜もそうだし、始祖鳥もそうだし、鳥型恐竜もそうだし、現在の鳥類もそうだ……というふうになる。
 しかし、本項の話を読めば、そういう発想は否定される、とわかるだろう。つまり、「鳥類とは羽毛と翼をもつ生物部門だ」ということはない。
 それはいわば、「魚類とはヒレを持ち水中を泳ぐ生物部門だ」という発想だ。そこには、魚類も、翼竜も、ペンギンも、クジラも含まれる。これらの水中動物はいずれも「魚類」(または他の名前の何か)という同一の生物部門に属することになる。……しかし、そんなことは馬鹿げている。魚類や、翼竜や、ペンギンや、クジラは、それぞれ別の部門に属する動物なのである。ここでは、形態的な類似性は意味を持たないのだ。ヒレを持つというような形態的な類似性は、たまたま偶然的にそうなったにすぎない。(相同器官)
 鳥類という概念もまたしかり。羽毛恐竜を含めて、多くの生物が羽毛や翼を持つが、それらにおいて、羽毛や翼を持つというような形態的な類似性は、たまたま偶然的にそうなったにすぎない。(相同器官)
 そのことが、本項で述べたことから、わかるわけだ。

( ※ だいたい、「翼を持つ生物が鳥だ」というのであれば、翼竜も、ムササビも、コウモリも、鳥だということになってしまう。ひょっとしたら、トビウオも。……その一方で、ダチョウやペンギンは、鳥ではなくなってしまう。)



 [ 付記 ]
 オマケ情報。(読まなくてもよい。)


 恐竜の仲間で羽毛を持つのは、小型のものが普通だが、例外的に、やや大型の恐竜の例も見つかった。
  → 中国で全長9mの羽毛がふさふさ生えていた巨大恐竜の化石が発見される
 これは、あくまで例外として考えるといいだろう。例外が成立する理由は「この地方(遼寧省)は冬季にはきわめて寒冷になるから」という説明で足りるだろう。遼寧省は、現在では、冬季にはマイナス 10度になる! 大昔はそうではなかったとしても、やはりかなりの寒冷になりそうだから、羽毛を持っていたことが有利になったとしても不思議ではない。
 一方、世界的に見れば、それほど寒冷になる土地は世界的には多くないから、たいていの土地では恐竜には羽毛がなかったものと推定される。
 羽毛をもつ大型の恐竜は、あくまで例外的なものだろう。そしてまた、その羽毛は、古い先祖の形質を引き継いだというより、比較的新しい先祖に置いて突発的に生じたものだろう。



 【 関連項目 】

  → ティラノサウルスと羽毛 2
  → 鳥の翼と羽毛
  → 鳥型生物の2系統
  → 恐竜と鳥の系統図



 【 関連サイト 】
 冒頭の新発見については、下記の報道もある。(英文)
  → New Fossil Find Suggests Its Possible All Dinosaurs Had Feathers
  → A new fossil suggests 'all dinosaurs' may have had feathers
  → Siberian Discovery Suggests Almost All Dinosaurs Were Feathered
  → Siberian dinosaur spreads feathers around the dinosaur tree



 【 関連書籍 】 




鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)
Amazon カテゴリ内 ベストセラー1位


 この本は、面白おかしく不真面目に書いているように見えて、案外、真面目に書いているらしい。ただしタイトル詐欺っぽい。恐竜のことを語っているのではなく、恐竜をダシにして鳥のことを語っているらしい。
 それなら、問題ないね。(鳥をダシにして恐竜のことを語るのならば、たいていはトンデモ論になるが、、その逆なら、問題ない。)

 ※ 私は読んでいません。
posted by 管理人 at 22:10| Comment(16) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
(*^_^*)
Posted by 心理学者 at 2014年07月26日 10:39
普通の人が何事も手広くチャレンジすると何もかも中途半端になりますが、
管理人さんの場合手広く思考範囲を広めても、
決して薄くはならずに逆に水準以上の知識を持ちますね。
特に素粒子論と生物学両方に驚くべき才能を持つ人物は管理人さん以外に皆無です。
秘訣は何でしょうか?
Posted by 虫宇日 at 2014年07月26日 12:32
> 素粒子論と生物学

 この二つの分野だけに、巨大な謎が残っています。
 他の科学分野は、謎はほとんど残っていない。もはやたいていが解明されている。その場合は、単に既存の知識を学ぶだけでいい。「名探偵」は必要ない。

> 秘訣は何でしょうか?

→ http://openblog.meblog.biz/article/23115381.html

の最後のコメント。
Posted by 管理人 at 2014年07月26日 12:50
「羽毛という形質が、竜盤類と鳥盤類に分岐する前に出現した可能性は皆無である」とまでは言えないと思います。
 管理人さんが認めているように、小型の恐竜では羽毛を持つメリットは大きいと考えられます。大型の恐竜でも子供時代は羽毛を持っていた可能性は皆無でなく可能性を考慮すべきと思います。ある種類の恐竜が子供時代だけでも羽毛を持っていたら、大きくなったときに失っていても、その種類の恐竜に羽毛があったことになると思います。
 竜盤類と鳥盤類の共通先祖が羽毛を持っていたかどうかは、今のところはどちらも可能性があるというところだと思います。
Posted by ishi at 2014年07月28日 08:25
> 「羽毛という形質が、竜盤類と鳥盤類に分岐する前に出現した可能性は皆無である」とまでは言えないと思います。

 それは別に問題ありません。羽毛を備えた種が一部のみに出現することは否定していません。
 本項で否定しているのは、「竜盤類と鳥盤類に分岐する前の共通祖先が羽毛を備えていて、羽毛という形質が竜盤類と鳥盤類の全体に拡散した」ということです。
 ひるがえって、共通祖先ではない別の祖先が(どこかでひっそりと)羽毛を備えていたとしても、それは本項の趣旨とは関係ないので、否定されません。

>  竜盤類と鳥盤類の共通先祖が羽毛を持っていたかどうかは、今のところはどちらも可能性があるというところだと思います。

 それはないでしょう。もしあるとしたら、(ティラノサウルスやトリケラプトスのように)角質を持っていた恐竜は、「羽毛 → 角質」という「進化の逆進」が起こったことになります。それはいわば「人間 → 猿」という「進化の逆進」が起こるようなものです。(ちょっと違うけど。)
 この手の「進化の逆進」は、通常はあり得ません。羽毛と角質の場合はどうか? やはり、ないでしょうね。羽毛を備えた種が羽毛を失うことは、ほぼ致死的になると考えられるからです。(羽毛を失うことのデメリットが大きすぎる。)
 実際、「鳥類が大型化して、角質を備えるようになった」という例は見つからないはずです。
Posted by 管理人 at 2014年07月28日 12:59
> それはないでしょう。もしあるとしたら、(ティラノサウルスやトリケラプトスのように)角質を持っていた恐竜は、「羽毛 → 角質」という「進化の逆進」が起こったことになります。それはいわば「人間 → 猿」という「進化の逆進」が起こるようなものです。(ちょっと違うけど。)
 この手の「進化の逆進」は、通常はあり得ません。

 竜盤類と鳥盤類の共通先祖が羽毛を持っていて、その子孫の竜盤類と鳥盤類の一部または大部分が角質の皮膚(うろこ状)を持つことは、鯨などの哺乳類が水棲に適した体に進化したことを「進化の逆進」と言わないように、「進化の逆進」とはいえないと思います。通常とまではいえなくても、このようなことは十分あり得ることだと思います。

> 羽毛を備えた種が羽毛を失うことは、ほぼ致死的になると考えられるからです。(羽毛を失うことのデメリットが大きすぎる。)

 体の大きさを含めた生活様式や生活環境が変化すれば、羽毛を失うメリットが大きくなる場合は十分考えられると思います。羽毛を失うデメリットが大きい場合は滅びてしまい、メリットが大きい場合は羽毛を失う方に進化したと考えられるのです。
例えば、体全体ではなく体の一部ですが、コンドル科の鳥やタカ科のなかのヒゲワシ亜科やハゲワシ亜科など、別々の系統に同様の突然変異が起こって、頭または首から上の羽毛を失っています、角質化はしていませんが。
Posted by ishi at 2014年07月28日 14:24
> 「羽毛の出現」という突然変異は、他の突然変異と違って、容易に起こる。

 管理人さんが以上のように書いておられるように、「羽毛の出現」という突然変異は容易に起こり、また「羽毛の消失」という突然変異も容易に起こるのだろうと考えます。
 獣盤類の一部が持っていた羽毛と鳥盤類の一部が持っていた羽毛をつくらせる遺伝子の違いをDNAレベルで比べないと結論は出ないかもしれません。遺伝子レベルで相同だったら、共通祖先が羽毛を持っていた(少なくとも羽毛をつくらせる遺伝子を持っていた)と考えられるでしょう。しかしながら、恐竜時代の化石から分析できるDNAが取れない現状では、分からない(どちらも可能性がある)としか言えないのではないかと。羽毛の形態の比較などで、可能性の高低は言えるようになるのではないかとも思いますが。
Posted by ishi at 2014年07月28日 15:53
> ハゲワシ亜科など、別々の系統に同様の突然変異が起こって、頭または首から上の羽毛を失っています

 あまり良い例じゃないようです。
 調べてみたら、ハゲワシがハゲているのは、腐肉を食べるときに頭が血だらけになるが、羽根があると血がこびりついて大変だから。だから頭だけがハゲている。全身で羽毛がなくなっているのとは違う。あくまで部分的な例外で、特別な事例。
 全身で羽毛がなくなった鳥はいないはずです。恐竜もまたしかり。全身で羽毛がなくなるということはありえない。

> 「羽毛の消失」という突然変異も容易に起こるのだろうと考えます。

 たとえ角質の方が有利な環境にいるとしても、その途中経路となるポイントが致死的になっているので、なだらかな進化は無理です。
 羽毛をむしられたような鳥は、鳥肌のまま、死ぬしかない。恐竜もまた同じ。

> 分からない(どちらも可能性がある)としか言えないのではないかと。

 たしかに断定という意味では、断定はできません。
 しかし、わざわざそういう奇妙な(行ったり来たりするような)経路を想定しなくても、「もともと角質であった」というだけで済むのだから、合理的な説明の方を取ればいい。
Posted by 管理人 at 2014年07月28日 18:58
> たとえ角質の方が有利な環境にいるとしても、その途中経路となるポイントが致死的になっているので、なだらかな進化は無理です。

私の理解不足だと思うのですが、管理人さんの「途中経路となるポイントが致死的になっている」という説明が全く分からないのです。どういうしくみなのか、教えてください。

>  しかし、わざわざそういう奇妙な(行ったり来たりするような)経路を想定しなくても、「もともと角質であった」というだけで済むのだから、合理的な説明の方を取ればいい。

 進化の過程で、水棲→陸生(浅瀬)→水棲と生息場所が変わったり、食性が植物食→動物食→植物食と変わったり、生活環境や生活様式が行ったり来たりすれば、形質の進化も行ったり来たりするのは十分あり得ることと思います。
 多くの硬骨魚類(条鰭類の大部分)がいったん空気呼吸のできる肺(うきぶくろ)を獲得した後に、空気呼吸のできないうきぶくろに変化させてしまってかわりに鰓を使うようになった例があるので、行ったり来たりするような経路も無視できないと思ったわけです。
Posted by ishi at 2014年07月28日 20:11
> どういうしくみなのか、教えてください。

 一つ前に下記のように書きました。

> 羽毛をむしられたような鳥は、鳥肌のまま、死ぬしかない。恐竜もまた同じ。

> 水棲→陸生(浅瀬)→水棲と生息場所が変わったり、食性が植物食→動物食→植物食

 住む場所や、食べ物ぐらいなら、変わるでしょう。しかし特定の器官が変化してから元に戻ることはないでしょう。
 たとえば、魚のヒレが手足になったあとで、それがまた魚のヒレになるかというと、そういうことはなくて、鯨のヒレみたいになります。鯨のヒレは、魚のヒレとはまったくの別物です。
 ここでは、進化は
   A → B → A
 というふうに戻ったように見えますが、実は、
   A → B → A'
 となっています。そして、新しい A' は、元の A よりも、レベルが高くなっています。
 その意味で、元に戻ったわけではありません。ちょっと見たところは、元に戻ったように見えますが、戻ってはいないのです。
 うきぶくろも同様です。ちょっと見たところは、元に戻ったように見えますが、戻ってはいないのです。
    角質 → 羽毛 → 角質
 というような変化は、まずあり得ません。「絶対に」とは言えないが。

 ──

 参考:
http://openblog.meblog.biz/article/2256916.html

「羽毛 → 角質」の進化が、1塩基レベルで足りるならば、逆行はあるでしょう。しかし、いくらか多めになると、難しいでしょう。
Posted by 管理人 at 2014年07月28日 21:45
> 羽毛をむしられたような鳥は、鳥肌のまま、死ぬしかない。恐竜もまた同じ。

 返事、ありがとうございます。管理人さんが言わんとしていることはたぶん分かったのではないかと思います。

 現在生息しているすべての鳥(ペンギン、ダチョウなどの飛ばない鳥でも)で、その生活様式と羽毛は深く結びついていますから、鳥が羽毛だけを失って、羽毛以外の形質はそのまま、生活様式や生活環境もそのまま変化なしであるなら、滅びてしまうように思います。羽毛を失うと同時に、羽毛以外の形質や生活様式、生活環境を大きく変えることも難しい(そんな進化が起こることは確率的にものすごく低い)でしょう。羽毛が無くなれば鳥でなくなるくらい、羽毛と鳥は結びついていて、「羽毛があれば鳥である」は偽ですが、「羽毛が無いと鳥ではない」は真ですので。
 
 わたしは、羽毛を持っていた恐竜の場合、羽毛をもつという形質と、羽毛以外の形質や生活様式や生活環境が、現在の鳥ほどには結びついていなかった種類が多かったのではないかと想像しています。羽毛という形質が現れてから時間もみじかいわけですし。その場合には羽毛を失っても即滅亡とはならずに別の生活様式や生活環境に移っていけたのでは考えたわけです。
 想像ですので、あくまで可能性に過ぎませんが。
Posted by ishi at 2014年07月29日 08:28
> 羽毛をむしられたような鳥は、鳥肌のまま、死ぬしかない。恐竜もまた同じ。

大型ほ乳類が毛を失うという事実は、小型のほ乳類の時に必須だった毛が大型化する際に失う課程が、特に致死的ではないことになります。

同じことが羽毛に言えない理由はないでしょう(羽毛も、鳥ならば「飛べない鳥はただの鳥だ」になりますが、恐竜なら単にほ乳類の毛ほどの意味であった時期もあるはずです)
Posted by 毛がなくてもOK! at 2014年07月29日 22:06
> 大型ほ乳類が毛を失うという事実は

 毛(獣毛)と羽毛は全然違います。羽毛は、羽根 feather のことです。

 獣毛は剃ることができますが、羽根は剃ることはできません。獣毛はミクロン単位の細さ。羽根はすごく太くて固い。

> 小型のほ乳類の時に必須だった毛が大型化する際に失う課程が、特に致死的ではないことになります。

 小型の哺乳類が大型化するまでには、ものすごく長い時間がかかりました。数千万年。それほど巨大な変化が必要だとしたら、数十万年ぐらいの変化で羽根がなくなれば致死的になります。数十万年ぐらいでは大型化はできないので。
Posted by 管理人 at 2014年07月30日 00:11
ほ乳類が大型化にともなって毛を失っても大丈夫なのに、鳥が大型化にともなって毛(羽毛)を失うと致死的になる理由は次の通りです。

 ほ乳類も鳥も、おそらくは恐竜も恒温動物です。
 ほ乳類は毛を失っても体内で胎児を育てられますが、鳥は卵を暖めるために羽毛が必要です。ほ乳類の大人はからだが大きくなっていると自分の体温と胎児の体温の両方を保持できます。鳥の大人はからだが大きくなっていると自分の体温を保持できても、羽毛を失っていると卵が孵らなくなって滅びてしまうことになります。鳥は体の小さいときは体温保持のために、体が大きくなった後は卵を暖めるために羽毛が必要なのです。
 恐竜が羽毛を使って卵を暖めるようになった後では、羽毛を失うことは難しかったと思います。ただし、繁殖期の気温が高く、羽毛なしでも卵を暖められる場合は羽毛を失ってもいいことになりますが、それでも気候変動には弱くなります。それに熱帯でも夜間は温度が下がりますし。
Posted by ishi at 2014年07月30日 20:21
既に2年前には大型の肉食恐竜に羽毛が発見されていますけれど。

http://nationalgeographic.jp/nng/article/20120620/313239/
Posted by うん? at 2014年07月31日 11:46
> 2年前には

関連項目で言及済み。リンク先を参照。
その最後に次のリンクがある。

http://openblog.meblog.biz/article/4939911.html

何か疑問があったら、サイト内検索ですぐにわかりますよ。
Posted by 管理人 at 2014年07月31日 12:20
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