最近、新たな情報が出たので、簡単に紹介しておく。
(1) MRJ
新たに受注したが、総計で 185機。採算ラインの 500機には遠く及ばず。
→ 三菱MRJ、米航空会社から20機受注:朝日
→ MRJ、1年半ぶり新規受注…三菱航空機発表:読売
→ 英で航空ショー「MRJ」40機受注見通し:NHK
- ( ※ ここで注意。朝日の数字と、読売・NHK の数字は、ちょうど倍違う。どうしてかというと、朝日の数字は実際の受注数。読売とNHKの方は、オプションという名前の「将来受注権」を込みにした数字。「将来受注権」なんてのはまったく意味がないのだから、要するに受注数を倍に見せかけるための詐欺数字だ。三菱は、MRJ があまりにも売れなくて困っているせいで、数字を倍に見せかけて、だましている。読売と NHK はペテン数字に引っかかって、そのペテン数字を報道している。……捏造と同様だね。意図的である分、ひどく悪質だ。[三菱が、です。])
一方、ブラジルの エンブラエル Embraer E-Jet E2 というライバル機は受注が好調だ。後発にもかかわらず、すでに MRJ をしのぐ受注。後から出て、追い越してしまった。
ブラジル・エンブラエルは13日、インドの地域航空会社「エアコスタ」から開発中のリージョナルジェット「E2」を50機受注したと発表した。 E2は今回の契約で確定受注が200機、オプション契約が200機の計400機となり、競合する日本の三菱航空機(名古屋市港区)の国産小型旅客機「MRJ」の計325機を抜いた。
( → 日刊工業新聞 2014年02月14日 )
なお、MRJ は 2013年に飛行の予定が遅れに遅れて、いまだに飛んでいない。1号機の引き渡しは 2017年の予定。それが実現するかどうかも不明。エンブラエルは 2018年の予定だが、MRJ がまた遅れれば、エンブラエルの方が早く飛ぶことになりそうだ。
「 MRJ は失敗作だ」と私が前から言っていたとおり。ろくに売れずに、大赤字を残すことになりそうだ。
(2) 心神
いろいろと技術開発は進んでいるようだが、基本デザインは昔からちっとも変わっていないようだ。ひどいデザイン。
→ 国産ステルス実証機ATD-X、三菱重工小牧南工場でロールアウト
ただ、垂直尾翼は廃止する、という方針もあるらしい(未定)。これだと、運動性能が悪くなるデメリットを越えるとは思えないので、かえって悪化するかも。
→ 技本「心神」の後に「i3ファイター」第6世代戦闘機
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結論。
三菱は、要素技術では、優れた点がいっぱいある。ボディやレーダーなどは世界一級だろう。
しかしながら、飛行機全体としては、ライバルにはとうてい及ばないようだ。何しろ、初めてやることばかりで、経験不足。あちこちで試行錯誤と失敗の連続であるようだ。
部分部分で突出した技術を持っているということと、マシン全体を統合的に完成させるということは、まったく別のことなのである。
ホンダ・ジェットでさえ、あれほど優れた機体でありながら、引き渡しはまだである。量産型の試作機が飛んだだけだ。
→ ホンダジェット量産1号機、初飛行に成功
飛行機を完成させるということは、生易しいものではないのだ。口先ばかりうまくて、自分を超優秀に見せかける三菱の言うことは、信用しない方がいい。実際の確定受注は 185機であっても、「 365機も受注しました」と嘘をつく会社である。こんな会社を信じる方が馬鹿すぎる。
一方、F35 の方は、ライセンス生産みたいになっているが、国産化率は 50%ぐらいで、肝心の部分はブラックボックス化されている。これではいつまでたっても1機全体の技術は得られない。(自力開発するしかなくなる。ゆえに非効率。)
国産機の技術開発を考えるなら、ユーロファイターのライセンス生産が最適だ。三菱はその方向で運動するべきだった。F35 のブラックボックス化された生産なんかを受け入れているようでは、もう下僕根性としか言いようがないね。
※ 与えられる技術の水準は、F35の方がずっと新しく、ユーロファイターの方が古い。しかしそれは問題ない。なぜなら日本は最新鋭の戦闘機を自主開発することはないからだ。日本がやろうとしているのは民生機の開発だ。F1を開発しようとしているのではなく、カローラを開発しようとしている段階だ。ここではF1のような技術を供与されてても仕方ない(供与されるはずもない)。
日本が必要なのは、戦闘機を丸ごと生産できる能力なのである。たとえ最新鋭ではなくとも。……それが民生機の生産には役立つからだ。
本文中の次の文句を再読してほしい。
「部分部分で突出した技術を持っているということと、マシン全体を統合的に完成させるということは、まったく別のことなのである。」