東日本大震災の津波被害を受けた各地で、復旧が進んでいる。そのこと自体はいい。
ただし、陸前高田という地域が問題だ。ここでは、大幅な盛り土をしようとしている。それも不必要なほどに。高さが 10メートル程度の盛り土。使う土の量は東京ドーム九つ分。まるでピラミッドでも作ろうかというほどの大工事だ。
それにかかる金額は超巨額。高田地区は 650億円で、1戸あたり 4000万円。(これは東京近郊の一戸建てが買える値段だ。)田野地区を含めると、総額 2000億円。
これほどの巨額を、ただの盛り土のために費やす。しかも、これは建物価格を含まないから、これだけでは家は1軒も建たない。ほとんど何の価値もないものを作るために、超巨額の金が浪費されるのだ。
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まずは、記事を引用しよう。
東日本大震災の津波で被災した陸前高田市の市街地を再生する土地区画整理事業で、最大高さ12メートルという盛り土による宅地造成に対し、住民から安全性に不安の声が上がっている。今回は国内でも過去に例がないような大規模な盛り土造成。
陸前高田市では区画整理を行う高田、今泉両地区の約120ヘクタールで盛り土によるかさ上げ工事を2018年度完成をめどに実施。平均7・4メートル、最大12メートルの盛り土の上に、住宅地や商業地を整備する。約1100万立方メートル(東京ドーム九つ分)という膨大な盛り土量で、8月から本格的な造成工事に入る方針だ。
( → 巨大盛り土大丈夫? 陸前高田、宅地造成に住民不安:岩手日報 )
陸前高田市で計画されている土地区画整理事業は約300ヘクタールで本県全体の半分を占める。
道路建設やかさ上げなど土地の基盤整備のために導入する区画整理は現在、県内で17地区計約600ヘクタールで計画。下水道工事などを除き、計2千億円以上に上る大規模事業だ。
陸前高田市中心部の高田地区では約650億円をかけて約190ヘクタールを整備し、震災前に近い約1560戸の建設を見込む。計画上、1戸当たりにかかる費用が4千万円以上に及ぶ計算。
( → 岩手日報:いわて東日本大震災 検証と提言 )
具体的な図は、下記に地図がある。
→ 朝日新聞デジタル
ここでは、右側の大きなピンク色の領域が、(高田地区の)盛り土領域 だ。これを衛星写真に重ねると、次の図のようになる。

同じ箇所は、下の図(Google マップ)でも示せる。
下の図で、赤丸の箇所があるが、その右上には、広大な空地があるとわかる。おそらくは田畑である。
そこで、この地域をストリートビューで確認するといい。
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ストリートビューで確認すればわかるように、このあたりは、どこもかしこも、田んぼばかりである。つまり、空地の平地だらけだ。
ここでは、盛り土なんかしなくても、大量の住宅地を簡単に入手できるのだ。工事費ゼロ。田んぼ代という、ごく安価な土地代だけ。ざっと見て、総額で1億円ぐらいだろう。(田んぼとしての資産価格。)
つまり、2000億円もの金をかけなくても、それと同程度の広さの平地が、たったの1億円で入手できるのだ。そして、位置はたったの 500メートルぐらいしか違いはない。
要するに、土地を 500メートルほど海に近づけるために、2000億円もの金をかけて、馬鹿げた盛り土をするのである!
あまりにも愚の骨頂!
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しかも、愚の骨頂であるだけなら、まだいい。馬鹿は救いようがある。
救いようのないのは、狂人だ。というのは、12メートルの高さでは、津波に沈んでしまうからだ!
この中の表1に、陸前高田の津波浸水高は18mとあります。
( → 知恵袋 )
東北の太平洋沿岸を襲った大津波で壊滅的な被害を受けた岩手県の陸前高田市では、
内陸に流れ込んだ津波が20メートルの高さにまで駆け上がったとみられることが、航空写真を使った専門家の分析で分かりました。
( → NHKニュースのコピペ )
陸前高田を襲った津波は、18〜20メートルに達する。なのに、たったの 12メートルの盛り土で済ませようとする。もともとの標高が3メートルぐらいあったとしても、 12メートルの盛り土ではとうてい安全とは言えない。
しかも、である。この盛り土をする地域は、田んぼのある奥地よりも、海辺に近い。その分、津波に襲われる可能性が高いのだ。
結局、田んぼのある奥地に住むのならば、標高も高いし、途中で津波も減殺されるだろうから、安全であるはずだ。なのに、あえて海辺に近い危険な土地に、中途半端な高さの盛り土をすることで、危険な土地に住もうとしているのだ。金をかけなければ、安全な土地に住めるのに、2000億円もの金をかけて、あえて危険な土地に住もうとするのだ。
狂気の沙汰だ!
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もう少し詳しく見よう。(ストリートビューの風景。)
盛り土する地域(ピンク色の領域)の一部を見ると、コンクリの建物が一つ残っているぐらいで、荒涼としている。いかにも津波のあとでスッカラカンになった、という感じだ。(撮影時期:2013年6月)
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一方、右上の田んぼの地域は、多くの家があり、津波の被害があるようには見えない。(撮影時期:2013年6月)
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つまり、右上の地域は、もともと津波が寄せなかったのだ。その地域は、標高も高かったし、途中で津波は減殺されたから、津波の被害を受けなかった。
だから、この地域に住む限りは、同じ津波がまた来たとしても、安全なのである。
(さらに、万一に備えて、小さめの内陸堤防でも用意しておけば、万全だろう。仙台高速道路のような、土手のある道路を、海岸線と平行に走らせておけば、それが津波を阻止する。)
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結局、何をなすべきであり、何をなすべきでないかは、はっきりとした。
なすべきことは、金をかけずに人命を救うことだ。なしてはならないことは、莫大な金をかけて人命を失うことだ。
陸前高田では、狂気の事業が進んでいる。そこでは国民の大量の血税を費やして、大量殺害行為が推進されているのだ。
【 関連サイト 】
→ 被災地復興土地区画整理事業 陸前高田は2カ所で302ha 事業費は桁違いの1200億円
【 関連項目 】
陸前高田というのが、いかに狂気的であるかは、前にも論じた。
(1) 津波被害
津波の当時、陸前高田では、避難しようとしなかった。気象庁は「避難せよ」とテレビでさんざん訴えていたのに、陸前高田の市長も職員も、のほほんとして、だらけていた。そのせいで、市職員の犠牲は、全国でも最大規模だ。「震災前の市役所の職員の3分の一が死亡、行方不明となり、行政機能事態がマヒ状態」となった。
→ 陸前高田の津波動画
(2) 莫大な工事費
上記のように莫大な人的被害をもたらしたアホ市長が、アホに輪をかけて、巨額の費用を浪費しようとしている。この件は、前にも述べた。
→ 津波被災者の権利(陸前高田) (2011年08月14日)
この項目を見ればわかるように、本項で述べたことは、すでに3年前に述べていたことだ。要するに、3年前には計画であった巨額の狂気の工事が、3年を経た現在では、まさしく実行されつつある、ということだ。
日本広しといえども、これほどの狂気はあるまい。まるで原発をあえて暴走させる原発テロみたいな狂気である。しかも、肝心なことは、政府がそれに協力して、政府がそのスポンサーになっている、ということだ。
( ※ 莫大な巨費を投じて大災害をもたらす……という点では、自民党の原発政策と同様だ。一度では足りず、何度も狂気を繰り返したがっている。)
