大阪マルビルは、円筒形の高層ビルだ。これを、植物で覆って緑化しよう、というプロジェクトがある。実際、下の写真のようになっている。

上の図は、大和ハウスから得た。ここには多くの写真があるので、もっと見ることもできる。
このページから、緑化についての説明文を一部抜粋すると、下記だ。
「都市の大樹」は、大阪マルビルを大木に見立て、ツルや蔦などで壁面を覆い、大阪の新たなシンボルにしようと企画されたプロジェクトです。当社グループが安藤忠雄氏の呼びかけに賛同し、実施することになりました。
1階から6階のビル壁面は、ツルや蔦で覆いました。
本プロジェクトは、大阪府が進める「みどりの風を感じる大都市・大阪」(※2)実現のため...(以下略)
※2.みどりを増やすことを通じて、都市の魅力を高めるとともに、ヒートアイランド現象の緩和など都市環境の改善を図るために大阪府が取り組んでいる事業。
●ポイント
大阪マルビルの1階から6階の壁面(1,000u)を緑化する壮大なプロジェクト
2.植栽計画
(2)1階〜6階(ビル壁面の緑化)
1階から3階までの柱部分および4階から6階まで、ステンレス製のワイヤーメッシュを壁面に設置し、ツルと蔦の蔓を巻きつけました。
1階から6階までのビル壁面の緑化については、年4回の定期巡回を行い、剪定や整枝、除草や追肥、消毒などを行います。
( → 大阪マルビル緑化プロジェクト「都市の大樹」 )
次のページの説明もある。(画像あり)
まず1階〜6階までの壁にツルやツタを植え、その後高さ124メートル、30階建ての壁面全体を10年かけ緑化しようという計画です。
( → 緑化計画 新梅田シティ/マルビル )
こうしてビルの壁面の緑化をする。素晴らしい案だと見える。拍手喝采してもいいところだ。
──
だが、実は、これは偽装であるらしい。というのは、この緑化では、本物の植物のかわりに、プラスチック製の造花を使っているからだ。
この呆れた実状については、多くの人々が指摘している。実際に現場に足を運んで調査した人の報告もある。以下のページを読んでほしい。
→ 決してやってはならないこと
→ マルビル緑化偽装問題について
さらに、次の指摘もある。(サーモグラフィにより、本物か造花かをチェックした結果)

@の部分は全て本物である。潅水管理も行き届いており、ここ数年来で最悪の高温条件下であっても生き生きと生育を続けており、温度も極めて低い。
Aの部分は本物、フェイクが混じったハイブリッド緑化である。しかしながら、F(フェイク)/O(オリジナル:本物)比は9:1程度であり、現状、ほとんどがフェイクである。上部の円環部分は本物だと思っていたので、これは少々ショックである。
Bの部分もハイブリッド緑化だが、F/O比は1:9程度で、ほぼ本物と言っていい。
Cは、今回用いたサーモグラフィで見た限りでは、100%フェイクである。
( → フェイク緑化の見分け方 〜大阪マルビル壁面緑化の検証〜 )
下部には本物の植物を置いて、通行人に「本物の植物ですよ」と見せかける。しかし上部に行くにつれて造花が増えて、上の方ではほとんどが造花である。
このように、偽装であることが完全に判明した!
──
以上の批判に対して、次のように擁護する意見もある。
私自身は壁面の緑化を楽しんでいる市民のひとりです。10年後に当初のイメージ画像のような緑で覆われたマルビルになるとええなぁと思っています。工事完成時から葉っぱが造花だという指摘はありましたが、工事の予算も限られているでしょうから部分的に造花を使っていても別にいいのではと思っていました。ただ、造花を使っていることはHPに書いたほうがいいでしょう。要は5年後、10年後も植物がちゃんと育つ造園計画になっているかが重要だと思っています。植物が育てば造花を取り除けばいい。壁面の緑化部分は、年4回の定期巡回を行い、剪定や整枝、除草や追肥、消毒などを行うと言っている。数年後、現在は6階までしかない緑化部分を継ぎ足していくことになるかもしれない。しかしイメージ通りに育たないかもしれない。それはそれでいいのではないか。とにかくやってみないとわからない。とりあえずやってみなはれ精神的なところが大阪らしくて好きなのです。
( → 大阪マルビルの壁面緑化を偽装とかいってるけどそんなに問題なの? )
つまり、今のところは造花が多いが、造花と絡ませて本物の植物もあるのだから、十年後には(造花に頼りながら)本物の植物がすべてを覆うようになるだろう……という楽観的な見込み。
最終的な姿(予想図)は、下記に画像がある。
→ 大阪駅前に120mの大木『大阪マルビル』緑化
では、これは実現するか? 「するはずがない」というのが私の見解だ。
第1に、高い位置まで水分を補給するのが容易ではない。
第2に、剪定(せんてい)などのコストが莫大にかかるので、そんなコスト負担に耐えられそうにない。
第3に、台風などで葉や茎(ツル)が切れたあとで、大きな塊が一挙に落下して、通行人を傷つける可能性がある。最悪の場合、死者が出る。
このうち、三番目が致命的だ。こんな「人殺しの装置」を空中に設置するなんて、言語道断である。
──
おりしも、台風が来る。
非常に強い台風18号の接近に伴って、気象庁は沖縄県の宮古島地方に暴風と波浪の特別警報を発令した。8日には猛烈な台風となって沖縄県に接近する見込みで、記録的な暴風や高波となる恐れがある。
「7月としては過去最強クラスとなる恐れがある」と警戒を促した。
( → 台風8号「過去最強クラスの恐れ )
これは風台風であるらしい。ものすごい強風が吹き荒れそうだ。で、そんな風が、高さ 100メートルの位置にある植物に吹きかかったら? ちぎれてて吹き飛ばされることは、十分に考えられる。そして、高さ 100メートルの位置にあったものが、吹き飛ばされて地上に落下したときには、大きな衝撃力を持つ。それが老人の頭にでもぶつかれば、老人を倒して老人を殺すことは容易だろう。いや、老人だけでなく、少女や子供を殺すこともあるし、妊婦と胎児を殺すこともある。
要するに、高さ 100メートルの緑の円柱というのは、殺人機械なのである。
とすれば、こんなものはおそらく建築許可が得られない。仮に建築許可が出たとしたら、将来的には許可が取り消しになるはずだ。少なくとも壁面緑化については。(たぶん高階については違法である。詳しくは知らないが。)
──
結局、これをどう評価するか?
まず、これを実現するということは、不可能である。技術的に可能だとは思えないし、仮に技術的に可能だとしても危険すぎて容認できない。
にもかかわらず、実現しそうもないものを実現するといって建築を推進した。( → 大和ハウス ) これは、「嘘をついた」「人々をだました」という「悪」に相当する。はやりの言葉で言えば、「捏造」と同様である。(造花という偽装も、捏造みたいなものだ。)
だが、実際には、会社や設計者(安藤忠雄)がそれほどの悪人だとは思えない。最初から人々をだますつもりでやったとは思えない。彼らが天性の詐欺師であったとは思えない。
では、どうだったのか? おそらく彼らは「錯誤」したのである。できもしないことを「できる」と勘違いしたのだ。小保方さんと同様の無知さゆえに、現実にはできもしないことを「できる」と思い込んだのだ。無知無能ゆえの誤り。
ただし、彼らは、すでにそれが不可能であることを理解している。そこで、とりあえずは、造花で取り繕った。ここまではやむを得ないかもしれない。
だが、そのあとが問題だ。彼らは、取り繕ったことを隠した。かわりに、虚偽を語った。「これはほとんどが造花です」と語るかわりに、「これは本物の植物です」と語った。公式ページから引用しよう。
●工事概要
緑化場所 大阪マルビル1階から6階(地上約30mまで)
緑化内容
・1階公開空地での緑化。(フランス・カネヴァフロール社製)
・4階壁面に人工地盤を設置し、4階から6階まで窓以外の部分に
ワイヤーメッシュを設置し、ツルや蔦などを這わせたもの。
植栽物名 へデラ(ツル)、サネカズラ(蔦)など
( → 公式ページ(大和ハウス) )
実際には植物は低層階だけだったのに、高層階まで植物があるように語る。実際には造花なのに、へデラ(ツル)、サネカズラ(蔦)という植物名を記す。ここには明らかに、故意の嘘がある。STAP細胞なんかよりもはるかに明々白々に「故意の嘘」があるのだ。
このような「嘘」という悪質さを指摘することは、重要だ。
人々は、STAP細胞という小さな試験管のなかの捏造(?)に大騒ぎしている。しかし、試験管(直径 1cm)に比べて 3000倍もの規模のある巨大な円柱ビルで、巨大な捏造が行なわれているのだ。
ただし、人々は、その捏造に気がつかない。直径 1cm の試験管は目に見えるが、直径 30メートルの構築物は視界からはみ出してしまうからである。小さな嘘にこだわる人々には、大きな嘘は見えないのである。
( ※ ついでだが、「ヒートアイランド現象の緩和」という目的も嘘である。現実には、プラスチックの造花が高温化するので、ヒートアイランド現象の緩和どころか増加をもたらす。白っぽい壁面ならともかく、黒っぽいプラスチックなんて、最悪だ。ここはプラスチックによる緑化のせいでますます暑くなる。)
[ 付記 ]
なぜこの偽装が問題か? おのれの「無知・無能」を隠蔽しているからだ。そのことで、将来の嘘が再発する危険が生じているからだ。
その典型は、新国立競技場だ。これもまた、同じ人物(安藤忠雄)が関わっている。どっちにしても、安藤忠雄の主導で事が運んでいる。
そして、「緑の円柱ビル」については、「できます」と言ったあとで、「できません。造花にします」となった。
とすれば、新国立競技場にしても、「できます」と言ったあとで、「できません」となりそうだ。もともとこの設計者のデザインは実現が困難であることが知れレ照るのだから。(途中で規模を縮小するとか、建設費高騰のせいで全体構造を簡略化するとか、そういうことがザラにある。)
過去の失敗に学ばないと、未来においてはいっそう大きな大失敗をしかねないのだ。新国立競技場は予定工事費が 1800億円だが、前例からすれば、実際の工事費は倍額になる。これほど巨額の金を失敗建築のために費やしていいのか? さらには毎年の巨額の維持費・補修費もある。もう、「とんでもない」のオンパレードになりそうな、狂気的な建築である。
過去に学ばない人は、何度でも同じ失敗を繰り返す。いや、どんどん大きな失敗へと拡大していく。雪ダルマが拡大するように。
【 追記 】
プラスチック製の造花は火災時に有毒ガスを出すので大変だ、という批判もある。
→ http://www.eonet.ne.jp/~gaiaction/abunaiandoumarubirupurasutikkkuryokka.pdf
安藤氏自身は、できないのを認めているという話もある。
→ http://www.eonet.ne.jp/~gaiaction/anndoupatimonnryokkakabe.pdf
これを読むと、どうも、100メートルの円柱の緑化という構想は、もはや捨ててしまったようだ。かわりに 30メートルだけの緑化に転じたようだ。
つまり、最初の構想はホラだった、ということになる。わざとホラを吹いたというよりは、無知ゆえに「可能だ」と思い込んでいたようだ。
そして、こういうことがあるからこそ、新国立競技場についても将来の危険性(まずいこと)が予想されるのである。
緑と寄り添う暮らし Home&Garden ~Green Life Book 4~ (私のカントリー別冊)
『できもしないことを「できる」と勘違い』というよりは、『それをやっちゃうのがカッコイイ』とお考えなのかも。
安藤忠雄の設計は、建築家としての素養が全然できてないものばかり、という評価も聞く。おかしいと思ったら、建築家としては独学で学んだだけらしい。そのあとデザイン面と意匠だけで売れっ子になったらしい。
ちょっと STAP細胞に似たところがある。
水は・・・屋上からチョロチョロ流したら良いんじゃないでしょうかねぇ。深く考えてませんが。
あと、ツタって結構がっちりくっつくのでそう簡単に落ちてこないと思いますよ。
コンクリ打ちっぱなしの安藤忠雄氏が監修ですか。へぇ〜。不思議な感じです。
甲子園みたいな4階ぐらいなら大丈夫だと思います。
だけど、造花と一体化すると、造花がおっかけたりして、造花といっしょに落下したり、造花単独で落下してきたりする。また、少しだけ落ちることはなくとも、猛烈台風で一挙に大量に落ちることがあるかも。特に高層階は風が強そうだし。台風や竜巻は、屋根を剥がしたり建物を倒壊させたりすることもあるぐらいだから、甘く見ない方が良さそうです。
しかしそれは機能性が最低らしい。
以下、引用。
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「雨の日に傘を差さないとトイレに行けない」
冬の寒さを訴える施主に対して「アスレチックに行け。」と言っているとのこと。
最近ではコンクリート打ちっ放し建築自体の健康に対する弊害が取りざたされており、なかにはコンクリート住宅に住むものは9年早死にするといった研究結果もあり
→ http://j.mp/1pUCows
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福島の放射線よりはるかに危険なほど、機能性がひどい住宅。
安藤さんは、小保方さんのレベルじゃないな。
タイムスタンプは 下記 ↓
安藤さんは、小保方さんのレベルじゃないな。
100%同意。福島の放射線は基本的に「あなたは放射能のせいで...」と指摘できるような害は生じないけど、私の知っている某学校系の建物は、採光わるい・地下室じめじめでカビだらけの最悪の建物に仕上がっているそうな...。
「なぜか週に二度も安藤忠雄さんの建築を見ることになりました。」
http://matsuosekkei.blog85.fc2.com/blog-entry-2488.html
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コシノヒロコさんが、湿気と寒さに耐えられず、自邸をアトリエに変えた。
「近所の安藤忠雄住宅がわずか9年で解体されています・・・」
http://matsuosekkei.blog85.fc2.com/blog-entry-2507.html
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構造上の欠陥を予想させる内容です。
「カッコ満点、中身はうんちゃら」が忠雄さんです。