2014年07月01日

◆ (手術で)縫合の前にテープ

 手術のあとで、縫合またはテープで傷口をふさぐのが普通だ。ただし、その両方を併用するといいだろう。 ──

 ここで、縫合とテープの併用といっても、ただの足し算ではない。ただの足し算だと、次のようになる。
 「縫合したで、テープを貼る。すると、糸の結び目の上にテープがくっつくので、隙間ができて、不衛生である」
 これはまずい。つまり、ただの足し算では、うまく行かないのだ。

 そこで、新たに、次の提案をする。
 「縫合するに、テープを貼る。すると、糸の結び目の下にテープがくっつくので、隙間がなくて、衛生的である」
 これは問題ない。この順序ならば、うまく行くだろう。

 ──

 実は、このことのメリットは、ただの「足し算」とは違う。別途、新たに、次のメリットが生じる。
 (1) テープが皮膚に付着して、テープの強度が追加される。そのことで、肉(組織)が強化されたのと同等の効果が得られる。それゆえ、針や糸を、従来よりも細くすることができる。たとえば、針や糸の太さを、従来の半分ぐらいにできそうだ。(ただしテープは丈夫であることが前提だ。)
 (2) 傷口の表面がテープでふさがれるので、傷口からの感染症を抑制できる。
 (3) 傷口が開きにくいので、傷口の左右を強く圧迫する必要がなくなる。つまり、傷口部で肉が凸状に盛り上がる必要がなくなる。このことで、盛り上がった瘢痕ができるという問題がなくなる。

( ※ 通常、盛り上がった瘢痕ができるのは、傷口の左右から強く圧迫して、傷口部分がもともと凸状になっているからである。それというのも、傷口が開いて感染症になることを避けるためだ。しかし、テープを貼っておけば、傷口が開いて感染症になる危険が減るから、傷口の左右から強く圧迫する必要がなくなる。そのことで、盛り上がりが減り、盛り上がった瘢痕が残らなくなる。)

 ──

 さらに、次のメリットがある。
 傷口が開きにくいことを利用して、縫合が容易になるのだ。具体的には、以下の通り。

 まず、傷口付近の肉をつまむことが可能だ。次の図のように。

    ___   ⇒  _∩_

  ちょっとわかりにくいが、下記のようになる。
   ・ もともとは、肉は平らになっている。(左図)
   ・ 傷口の左右をつまんで、傷口を凸状にふくらませる。(右図)
   ・ その状態で、針を刺して、糸を通せる。
   ・ 糸を通したあとで、つまむのをやめると、元に戻る。(左図)
   ・ 肉は平らになるが、糸が通っていて、縫合済み。

 
 上のことは、通常でもできなくはないが、その場合、傷口が開きやすい。しかし、あらかじめテープを貼っておけば、傷口が開かない。だから、上記のように「つまんで縫合する」ということが可能になる。

 このことは、次のことを意味する。
 「つまんで縫合することが可能なので、技術的に用意であり、初心者クラスの医師でも、上手に縫合ができる」
 「初心者がやるだけでなく、機械(ロボット)がやることもできる。つまり、つまんで縫合するという、自動縫合ロボットをつくれる」
 このようなロボットができると、便利そうだ。

 《 注 》

 以上のすべては、「縫合の前に、傷口にテープを貼っておく」ということから得られた結果である。ひるがえって、傷口にテープを貼っておかなければ、以上の効果は得られないだろう。



 【 追記 】
 次の工夫もある。
 「貼るテープは、大きな一枚ではなくて、小さな複数枚とする。それぞれの小さなものを、縫合の1箇所に1枚ずつ使う」

 図で示そう。
 まず、傷口と縫合はこうだ。

   : : : : : : : 

 横線のような傷口に対して、縫合が : のように何箇所かある。
 そこで、この縫合の箇所ごとに、テープを貼る。次のように。

   ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 

 これで、縫合の箇所ごとに、テープが貼られることになる。

 さて。この場合、以前とはどう違うか? こうだ。
 「テープは飛び飛びに貼られている。テープの貼られていない中間部がある」
 このことから、次のことが可能となる。
 「三日目に、テープを剥がして抜糸する。同時に、(その直前に)中間部に強力テープを貼って、この強力テープで縫合糸のかわりとする」
 つまり、次のようになる。
  ・ 三日目まで …… テープと縫合糸
  ・ 三日目から …… 強力テープのみ

 しかも、場所は交互的になる。
  ・ 三日目までは、奇数番の箇所。
  ・ 三日目以後は、偶数番の箇所。

 このように、場所が交互的になるから、かぶれや感染などの恐れも少なくなる。

( ※ なお、中間部にはテープを貼らないことになっているが、実際には、粘着力の弱いテープを貼ると良さそうだ。これによって感染防止とする。このテープは、縫合のためには役立たないが、感染防止のためには少し役立つ。空気との接触を避ける目的。消毒剤入り。)



 [ 付記 ]
 他に、次の方法もある。
 「真皮縫合」
 これは、皮膚の奥にある真皮だけを縫合して、表面はテープで接着するものだ。この場合、強度は縫合によって得られるが、外から飲みかけはテープに夜の同様だ。だから、手術のあとの手術痕がきれいになる。

 うまいことだらけのように見えるが、難点もある。
  ・ 技術的には高度であり難しい。
  ・ 保険の点数がろくに加算されず医者が儲からない。

   ( → 出典

 というわけで、現状では、「手先の器用な形成外科医が、(保険外の)自由診療の美容形成で用いる」というのが主体であるようだ。
 もっとも、普通の手術でも使われることもある。
  → 自治医大の例(腹部縫合)
 ただ、この手術をやったのは、形成外科医。普通の手術で、いちいち形成外科医が介入することもないだろうから、一般的ではない。そもそも、手間がかかって儲けも出ない、という方式が普及するはずもないが。

 というわけで、「高度な技術が要求される真皮縫合」のかわりに、「テープを貼ったあとで縫合する」という方式を、本項では提案しておく。
 なお、このテープは、3日間ぐらいたったら、剥がしてしまっていいと思う。あとは縫合の糸だけで足りるはずだ。

 《 注記 》

 本項はあくまで提案です。これでうまく行くかどうかは、実験してみないとわかりません。まずは動物実験から。
posted by 管理人 at 21:47| Comment(5) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アイディアは剣山より十分傾聴に値します。
(剣山はかなりダメダメなので^^;)
いくつかクリアすべき点がありますね。

■傷をテープで覆えば感染が抑制される=一概には正しくない

テープで覆う→蒸れる→菌が繁殖しやすくなる
テープで覆う→蒸れる→角質が駄目になる→皮膚の防御機能が破綻する(風呂でしわしわと同じ)

テープで傷そのものを覆う治療は頻繁に行われています。この場合、浅い傷なら縫合すら不要ですし、ステリを併用すれば一定の深い傷にも使えます。

ただし、重要な条件があって
「テープを適宜外して水で洗えること」

水で洗うことで、垢などの感染の温床となる物質を適宜除去する必要があります(おおむね1日1回)

テープの上から縫合すると、当然縫合糸が邪魔になってテープが除去できませんから、感染防止の対策がとれなくなりますので、本末転倒になります。

すると、

    縫合部     テープ     縫合部
傷傷傷 縫合部 傷傷傷 テープ 傷傷傷 縫合部 傷傷傷 
    縫合部     テープ     縫合部 


とすればテープがはがせてよいのですが、これは従来の縫合にステリテープを組み合わせた状態と同じです。正直、これが意味があるのならすでに行われていることになります。

テープで覆う方法は一定の価値があるのですが、残念なことに感染が起こりそうであれば中止することが必要です。つまり、頻繁に医療者が監視しなければなりません。ここさえクリアできれば、今でも実践されている方法です(そもそも縫合すらいらない)

http://www.wound-treatment.jp

このサイトが参考になるでしょう。

糸は細ければいいというものではなくて、細ければすぐ切れてしまって縫合がしにくいという欠点もありますし、細ければそれだけ組織を傷つけやすくなります(薄い紙がナイフになるのと一緒)

また、適度につまんで縫合するのは基本手技なので、あまりテープのメリットはなさそうです。
Posted by 一介の医師 at 2014年07月01日 22:42
> 細ければそれだけ組織を傷つけやすくなります

 ここは書き忘れていたけれど、細くした分、針穴の数を増やします。
 あと、本文中でも示したように、テープに強度を保ってもらいます。(肉が切れないように。)
 また、極端に細いわけではなく、せいぜい半分ぐらいの細さです。

> あまりテープのメリットはなさそうです。

 本項の目的はあくまで「手術痕をなくす」という美容の点です。医者から見ると、メリットには見えないのでしょうね。医者は見映えのことなんかほとんど考えないから。

> ステリテープ

 その場合は完全に治癒するまでテープを使うので、1週間以上もテープを使うことになります。何度も付けたり貼ったりするのでしょう。(縫合糸のかわりなので。)

 本項の場合は、三日目にはテープを剥がしてしまうので、使用法がかなり違います。
 最初の二日間は傷口を覆うことが主目的です。三日目以降は、いったんテープをはずしたあとで、傷口を覆うのとは別の目的で、普通のステリテープを使う(縫合糸のかわり or 補助に使う)のもよさそうです。
Posted by 管理人 at 2014年07月01日 23:21
テープごと縫合しちゃうと、縫合を維持したままテープをきちっとはがすのは困難です。この方法の致命的な弱点です。

はがせるようにするには、引っ張ればちぎれるような強度のごく弱いテープにする必要がありますが、すると皮膚の強度の補強になりません。細い糸にするなら、なおさらテープを引きちぎるときに糸まで切れてしまいますね。

>医者から見ると、メリットには見えないのでしょうね。医者は見映えのことなんかほとんど考えないから。

とんでもない!。参考ページを是非ご覧になってください。傷跡残さないような処置が書いてありますよ!
(ただし手術創の縫合とは概念がやや異なりますが)

「テープで覆う」という基本概念は傾聴に値すると申し上げています。すでに湿潤療法などで20年近く実践されている方法なので。

もう少し根本的に改良すれば、何か出てくるかもしれませんね。
Posted by 一介の医療者 at 2014年07月01日 23:35
> テープごと縫合しちゃうと、縫合を維持したままテープをきちっとはがすのは困難です。

 別にきちんと剥がす必要はないでしょう。剥がれるところだけ剥がして、その箇所の皮膚をきれいに洗浄するだけでいい。密着していて剥がせないようであれば、そのまま放置すればいい。

 なお、この方法のテープは、粘着力が弱いので、ちょっと力を入れるだけで、簡単に剥がれそうです。普通の絆創膏程度。
 針穴は飛び飛びにあるので、針穴のそばでテープを(メスで)カットすれば、あとは絆創膏と同様に剥がせます。
 下図のような感じ。

   ■:■:■:■:■:■

  針穴(:)のそばにメスを入れて、テープを分断してから、分断されたテープを絆創膏のように剥がす。剥がしたあとは、洗浄して、その後にステリテープでも貼っておく。
 
 メスで糸を切るとまずいですね。器用さが必要。
Posted by 管理人 at 2014年07月02日 00:20
<FONT COLOR="#dd0000">【 追記 】</FONT> を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2014年07月02日 12:51
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