2014年06月24日

◆ 過去の捏造・歪曲

 科学の発見でデータを捏造・歪曲した例は、STAP 細胞以前にも多く見られる。

 ──

 前に、捏造と歪曲(STAP) という項目で、次のように述べた。
 「捏造」…… それが虚偽であることを知っていながら、その虚偽である結果を意図的に作り上げる。
 「歪曲」…… それが真実であることを信じているので、その真実である結果を意図的に作り上げる。

 これに対して、「そのような歪曲は捏造も同然だ!」という批判コメントも届いた。
 その際、私は「メンデルは?」というふうに問い返したりしたものだった。

 ── 

 さて。本項は、次の書籍を紹介しよう。

     

背信の科学者たち (絶版)     背信の科学者たち (新版)


 左は古くからあるものだが、絶版だ。右はこのたび新たに発売されたものだ。(6月20日)

 内容は、有名な科学的発見とされるもので、その実験が「歪曲」と見なされるものだ。今日の基準でも、厳しい基準を取るなら、「捏造」と見なされる。
 つまり、STAP 細胞の実験を「歪曲」でなく「捏造」と見なして厳しく指弾するのであれば、ここで述べられた実験もまた厳しく指弾するべきである。

 具体的には、下記のものだ。
<衝撃的事例を多数報告!>
●プトレマイオス
自分が行わなかった天文観測をあたかも行ったように主張した
●ニュートン
大作『プリンキピア』には、自説を補強する「疑惑のデータ」が含まれていた
●メンデル
あまり正確すぎて、真実とは思えない統計結果。疑われるデータ改ざん
( → Amazon

 書籍から一部抜粋した文書を孫引きしよう。
  • プトレマイオスは、"古代の最も偉大な天文学者"として知られている。 しかし、彼の観測の大部分はエジプトの海岸で夜間に行われたのではなく、 白昼、アレクサンドリアの大図書館で行われた。 彼は図書館でギリシャの天文学者の研究を解析し、自 分が行った研究であると主張した。
  • ガリレオ・ガリレイは、真理の裁決者は実験であって、 アリストテレスの著作物ではないと主張し、 近代の科学的方法の創始者とあがめられている。 しかし、17世紀のイタリアの物理学者たちは、 ガリレオの実験結果を再現することは難しく、 彼がほんとうに信頼できるような実験を行ったかどうかについては疑いを抱いていた。
  • アイザック・ニュートンは、重力の法則を数式で示した天才だが、 彼の研究の予言能力を実際以上に大きなものに見せるため、 大作『プリンキア』の中で不明確な偽りとも思える要因をもち出した。
  • 化学結合の法則を発見し、 種々の原子の存在を証明した19世紀の偉大な化学者ジョン・ドルトンは、 今日の化学者でも再現不可能なほど見事な実験結果を発表した。
  • オーストリアの神父であった遺伝学の創始者グレゴール・メンデルは エンドウに関する論文を発表したが、 その中に見られる統計は事実としてはあまりにもできすぎたものであった。
  • アメリカの物理学者ロバート・ミリカンは、電子の荷電量を最初に測定し、 ノーベル賞を受賞した。 しかし、 彼は自分の実験結果に説得力をもたせるために 研究内容を広範囲にわたって誤まり伝えた。
( → 書籍からの抜粋

 さらに詳しい話は、上記ページに記してある。リンクをクリックして、読んでみるといいだろう。
 
 なお、Wikipedia にも項目がある。
  → 背信の科学者たち - Wikipedia

 こういう情報をいろいろと得たあとで、本を読みたくなったら、本を買って読むといいだろう。特に、「 STAP は捏造だ!」と主張する人に、お薦めする。



 【 関連サイト 】

 毎日新聞のコラムから。
 エンドウ豆の実験で遺伝の法則を発見したメンデルには実験データの操作の疑惑があるという。論文の実験ではメンデルがいうような法則通りの結果が出るはずがないと統計学者が指摘したのだ。
 「クッキング」とは実験で得られたデータのうち都合のいいものだけを選択して使う研究不正だが、メンデルの疑惑を発見した統計学者は助手が勝手にやったという見方を示した。別の遺伝学者は理論的な期待が大きすぎて無意識のうちに間違いを犯したと推測する。
 意図的なクッキングか、それとも無意識の過ちか。実験の生データがないために「遺伝学の父」の疑惑は永遠の謎となった(W・ブロード他著「背信の科学者たち」)。
( → 毎日新聞 2014年04月10日




 【 関連項目 】

 → 捏造と歪曲(STAP) 【 重要 】

  ※ この項目で述べたことが、本題である。
    その本題の参考文書として、本項で述べた書籍を紹介した。

 ──

 なお、メンデルの業績(遺伝子概念の提唱)については、前に解説したことがある。
   → 泉の波立ち (2004年7月31日

posted by 管理人 at 20:14| Comment(16) |  STAP細胞 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
問い回し?
初めて聞く表現だ、メンデルがどうのよりとりあえずそれについて問い回してみたい

”問い回したりしたものだった”
ってのもなにか昔の思い出を振り返っているようで不自然
大学時代にでも言われたのか?
 武勇伝のつもりかも知れないが、言葉の定義がどうのという話にもなってるんだからこれはない


 まぁ、どうでもいい事だが

マスコミや多くの人間には捏造かどうかなど実際興味も無いのだろう
 面白おかしく誹謗中傷を垂れ流し報道ごっこがしたいだけだ

そのためには捏造と言っている方が都合がいい
Posted by at 2014年06月24日 22:19
済みません。「といかえし」を「といかいし」と誤入力してしまいました。
 訂正しました。
Posted by 管理人 at 2014年06月24日 22:30
たった1字の打鍵ミスがあっただけでも、それを意図的なものだと曲解すると、大騒動になる……という見本かな。
Posted by 管理人 at 2014年06月24日 23:25
スキャンダルの科学史 朝日選書
も参考になるかと

すでに本屋では入手できないかも知れませんが図書館にはあるかも

誤解だった黄熱病病原菌の発見(野口英世)
・・・
血液型の似非科学(古川竹二)
・・・
ルイセンコ学説事件(徳田御稔)
など
Posted by at 2014年06月25日 17:07
管理人さん的には小保方さんの捏造を叩いている人達は、この偉大な科学者の面々の捏造に一方で目をつぶっていると言いたいのかもしれませんが、単にそうした事実を知らないだけ、あるいはやはり彼らに関しても憎々しく思ってるんじゃないかな。
小保方さんが意図的に捏造した最低の人間であると思っている私は、同時に野口英世もクソ研究者だと思っていますよ。
ただし小保方氏はまともな論文は一本も出していない研究者未満の人間であるのに対して、野口らは研究倫理と言う点ではクソではあっても、研究者としての能力は常人(私も含む)の数十倍有しており、莫大な社会貢献をしていることは不愉快ながらも認めざるを得ないわけで。
Posted by FOX at 2014年06月25日 18:17
> 管理人さん的には

 私は「もっと怒れ」とあおっているわけじゃありません。その逆です。「些細なことでいちいち怒るな。騒ぐな。鎮まれ」と言っています。

> 小保方さんが意図的に捏造した最低の人間であると思っている私

 もしそれが完全なる誤解だと判明した場合、どうしますか? すっとぼけますか? 

 例のセクハラ発言をした都議は、「私はそんなことは言っていません」と嘘をつき続けました。「最低」というのは、こういう人を表現するのにふさわしい。
Posted by 管理人 at 2014年06月25日 19:12
>もしそれが完全なる誤解だと判明した場合、どうしますか? すっとぼけますか?

別にすっとぼけませんよ。
その場合は私の間違いであったと素直に認めます。
本人に会う機会もないですし直接謝罪するわけにはいきませんが、少なくとも批判する様な書き込みはしませんし、客観的な立場で擁護し得る場合はそうした書き込みをするでしょう。

ただ、この場合の完全な誤解って何でしょう?
仮に全て管理人さんの言う通り実験ミスの繰り返しだったとしましょう。
では、現状は?
若山さんの解析で捏造あるいは細胞の取り違えの証拠が出てきていますね。
そんな現状においても小保方さんはミスは認めず、さらには若山さんに責任を押し付ける様な発言も繰り返しています(若山さんも保身のために上手く立ち回っているだけで、まったく罪のない被害者だとは言いませんが)。
やはり研究者としては最低の態度でしょう。
もし今なお自分は捏造もしていないし実験ミスもしていないと信じている度し難い阿呆だとしても、捏造が見つかっているのはSTAP論文だけではなく博論の頃からです(こちらに関しては意図的なのはさすがに間違いないでしょう)。

やはり彼女の研究倫理は今後どう転がっても最低だと断じ得ると思いますが。
Posted by FOX at 2014年06月25日 19:34
追記

というわけでSTAP論文のデータが実験ミスなら

「意図的に捏造した最低の人間」

から

「博士時代から常習的に捏造行為に手を染めており、最近の論文においても実験ミスによって得たデータを指摘後も撤回せず、責任をかつての恩師に押し付けた最低の人間」

に上書きされるだけで最低部分だけはどうあっても削除し得ません。
極稀に主張する人がいる馬鹿げた陰謀論(国やら製薬会社やらに全て仕立てられた、というような)でも採用しない限りは。
Posted by FOX at 2014年06月25日 19:45
> 若山さんに責任を押し付ける様な発言も

> 責任をかつての恩師に押し付けた

 話が矛盾していますよ。前者は「そう見えた」というだけで、はっきりとはしていない。後者は、断定している。

> 実験ミスによって得たデータを指摘後も撤回せず

 本人は実験ミスだとは思っていない、ということでしょう。そのくらいの勘違いはある。あなただって、実験ミスがあったとは思っていないのだから、その点では、小保方さんと共通します。
 実験ミスがあったとは思っていないという点で、両者は同じなのに、一方だけが「最低の人 間」だと見なすのは、変でしょ。
 
 人間は誰しも勘違いをするものです。小保方さんも、あなたも。……ただし、私は勘違いをした人を「最低の人間」とは思わず、「誰にもよくあること」と思います。

 ──

 早稲田のコピペについては、下記を参照。
 「 早稲田の場合は、教育体制がなっていないんです。国立大学に比べて大幅に教員の数が少ないので、大学院では、個別の教育がなされていません。なのに卒論を書く必要がある。教員から何も指導を受けていないし、論文の書き方さえ教わっていない。それでも博士論文提出を求められる。
 となったら、コピペするしかない、となるのも不思議ではない。……擁護はしないが、理解はできる。」
 http://openblog.meblog.biz/article/22775530.html
 
 この状況で学生の側ばかりを「最低だ」と批判するのは、倫理的にはおかしいですね。「猿に空を飛べと言っても、猿は空を飛べないから、猿を非難する」というようなものだ。
Posted by 管理人 at 2014年06月25日 20:44
>実験ミスがあったとは思っていないという点で、両者は同じなのに、一方だけが「最低の人 間」だと見なすのは、変でしょ。

実験ミスじゃなければ捏造って前提の上なわけで。

>話が矛盾していますよ。前者は「そう見えた」というだけで、はっきりとはしていない。後者は、断定している。

これにしても言葉尻捕えてるだけで、話の本質を見ないコメント過ぎ。
いつもの管理人さんの流儀に反するんでは?

早稲田の教育にしても本文のコピペ程度なら他の学生もしてるのかもしれませんが、さすがに企業サイトから持ってきた写真を自分の実験データとして提出するレベルの捏造は極々少数派でしょう。
データの捏造と文章のコピペではずいぶんハードルの高さが違いますよ。
もちろん大学側も責められるべきですが、だからといって学生側の罪が許されるわけではない。
Posted by なんと言うか at 2014年06月25日 21:22
> レベル

 それを言うんだったら、馬鹿でもできるコピペがあったからという理由で、特別な知識がないとできない遺伝子分析データを上手に捏造しただろうなんて、おかしいですね。両者は、レベルがあまりにも違いすぎて、同一人物のはずがない。前者は小保方さんレベルの知性でできるが、後者は笹井さんレベルの知性が必要だ。この両者を「同一人物の捏造だ」というふうにひっくるめる議論の方が滅茶苦茶すぎる。
Posted by 管理人 at 2014年06月25日 22:04
小保方さんほど大規模なものは珍しいですが、論文コピペ自体には手を出している研究者が実はけっこういて、今回の件で理研に限らず判定ソフトを導入している大学が急増しているというニュースを知ってますか?
小保方さんがどうだか知りませんが、本質的には専門的な知識を有していない研究者なんて存在しないわけですが。

そもそもレベルって単語だけで何でこんな議論へ話が展開するのか全く持って意味不明。
話を逸らしているだけか、本気で会話が成立しない人だ。
管理人さんは話せばわかる人だと思った私の間違いのようだ。
Posted by なんと言うか at 2014年06月26日 03:40
なんと言うかさんのレベルというのは
意識的なレベルであって
技術的なレベルの話ではなくて
それはレベルの種類が違いますよね。

反論されたり、否定されたりすると自分でも何を言ってるのか分からなくなるのかもしれませんが
冷静になってほしいと思います。
Posted by 通りすがり at 2014年06月26日 08:05
『背信の科学者たち』ですか。このご時世大変に参考になりますね。一般人の我々にこそ無知なる思い込みがあるわけですから。
そしてそれは<背信>なのでしょうかという疑問。色々なケースがあるのでしょうが、前人未踏の領域に挑んでいく孤独なチャレンジですので多々強引な思い込みや不適切行為も生まれるのでしょう。
人間は間違うものだという前提を想定しない社会は、行く行くは自分の首を絞めていきそうです。
某ブラック企業ほど社員の些細なミスに過敏になるもの。もっと大きな過失や不正があっけらかんとそこにあるのに。結局は利益と体裁。背信とは周到で巧妙なものでしょう。
過ちもまた試金石。最終的に社会に貢献できれば良いのでは。
<虚偽><不正><歪曲><捏造><背信>
ある事象を見ても受け取り方は様々で世の中にえん罪がなくならないのであれば
慎重に扱えですよね。組織や世論の暴走が一人の人間を事実と違う処で抹殺する危険を思うわけです。
Posted by 割烹義太郎 at 2014年06月26日 17:20
こんにちは、管理人さん、そして皆さん。

まあ、メンデルにしろニュートンにしろ自然科学の黎明期の人ですからね。何かの分野の黎明期というのは、ある意味でルールもまた黎明期なんですね。つまりはルールが確立していない訳です。

もともとルールなんてのは試行錯誤を経て確立されていくものなんですね。例えばフットボールのルールなんかも、今の統一ルールになる前には、地域ごとに異なったローカルルールだった時代もあります。バレーボールのルールなんて、私が子供時代に習った9人制のルールと今の6人制のルールではかなり違いますね(これはもはや別なスポーツというべきかもしれませんが、年寄りが集まって9人制でやっている人たちもいます、もちろん昔のルールで・・・)。

そういう意味ではルールが未整備な時代の研究者がやったことを今のルール感覚で評価しても仕方がないという気はします。
Posted by 分析化学者 at 2014年06月27日 09:29
私が思うに、言葉遊びだと思ってしまいました。

たしかに定義は必要だ。

しかし女性だから、女だからで何もかも許されるなら女子刑務所は存在しないでしょ?

それから幸福の科学総裁大川隆法や、反米極右小林よしのりも結果的に顔で判断してSTAP細胞を擁護しているわけですが、管理人南堂さんも結果的には同じ。この結果をどう受け止めますか?

科学の捏造・歪曲等でいえば、たしかによくあるはなしだが、その場合、悪意か不作為かが問われます。

まぁたしかに騒ぎすぎだし、カルト宗教の教祖なんかよりは美人で博士の小保方さんはよっぽどかマシなんでしょうが、とはいえ。

しちゃいけないことをしたのは事実。罪です。あとは最高裁までバカンティ教授と逝っちゃっていください。
Posted by 宗教学者武彦 at 2014年06月30日 18:25
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