2014年06月07日

◆ 炭酸ガス削減は尻抜け(中国)

 炭酸ガス削減という方針は、尻抜けになっている。世界最大の排出国である中国が、排出量を急増させているからだ。 ──

co2china.jpg  このことは、右図を見れば一目瞭然だ。(出典:朝日新聞 2014年6月7日

 見ればわかるように、中国が突出している。排出量の総量も多いし、増加量はものすごく多い。
 一方、他の国々は、リーマンショックのときの急減しているのを除けば、近年は微減である。いくらかは削減の効果がある、という程度だ。
 比喩的に言うと、他の国々が十円単位、百円単位で節約しているときに、中国が百万円単位で浪費している。これでは、他の国々がいくら節約しても、そのすべてを中国が無駄遣いしてしまうことになるので、何の効果もない。我々が爪に火を点すような努力をしても、何の意味もないのだ。たとえば、レジ袋の節約をして、一日に3グラムぐらいの石油を節約をしても、中国人が一人で百グラムぐらいの石油を浪費するから、何の効果もないわけだ。

 ──

 では、どうすればいいか? 
 簡単だ。中国が石油の浪費をなくせばいい。現状では、効率の悪い方法でエネルギーを浪費して、大気汚染も生じている。だから、「エネルギー効率を高める」というのと、「大気汚染を減らす」というのを、ともにやればいい。そのためには、日本が協力すればいい。この件は、前に述べた。
  → 中国の大気汚染と日本
 一部引用すると、次の通り。
 「西日本に押し寄せる中国からの汚染物質」は、決して無視できない被害となる。
 そういう被害を解決するために、ある程度の金を払うとしても、それは、「情けは人のためならず」(自分のためになる)ということになる。中国の大気汚染の解決は、日本自身のためにもなるのだ。


 また、図を見ればわかるように、米国も排出量が多い。人口やGDPが日本の 2.5倍であることを差し引いても、排出量が多い。(総量は日本の5倍であるから、一人あたりでは2倍となる。)
 とすれば、米国の排出量削減に日本が協力することでも、炭酸ガスの排出量を減らすことができるのだ。

 ──

 以上については、前にも同じ趣旨のことを述べたことがある。
  → 炭酸ガス削減は地球規模でやれ

 一部抜粋しよう。
 炭酸ガス削減は、国別に目標がある。しかし、国別よりも、地球規模でやるべきだ。つまり、個別量でなく総量の削減をめざすべきだ。

 日本は努力目標に従って、多大な炭酸ガス削減の努力をしている。しかし、日本で努力しても、「コストばかりがかかって、成果は少ない」というふうになる。
 どうせなら、炭酸ガスをいっぱい出している国で削減した方がいい。その方が、低コストで、多大な効果が出る。
 たとえば、米国では石炭発電が多大にある。そのせいで、炭酸ガスをたくさん出すだけでなく、排ガス(煤煙など)のせいで、呼吸器疾患の患者や死者をたくさん出す。
  → NRDCによると、全米の大気汚染による死者は年間10万人以上
 こういう問題のある石炭発電を廃止して、代わりにシェールガス発電にすれば、低コストで莫大な効果が出る。(炭酸ガス削減でも、死者数減少でも。)
 あと、もう一つ。中国で同様のことをやってもいい。中国では、石炭発電のせいで、大量の煤塵が出ている。これは何度も話題になった。ここで、日本の技術を入れて、石炭発電を LNG 発電などに転換させて、それを日本の炭酸ガス削減努力に勘定するのであれば、日本にとってもメリットがある。(日本に来る PM 2.5 の量が減るので、日本の健康にとってメリットがある。炭酸ガス削減の数値以外にも。)

 米国については、上の図を示した朝日の記事にも、記述がある。一部抜粋しよう。

 オバマ米大統領が、石炭火力を大幅に減らす新たな規制案を打ち出した。二酸化炭素(CO2)の排出量を、2030年までに3割削減する内容だ。
 国際社会では、京都議定書に続く温暖化対策の新たな枠組み作りが、15年末にヤマ場を迎える。世界最大の排出国でありながら削減義務を負っていない中国をどう巻き込むか――任期が残り3年を切ったオバマ政権には、交渉で主導権を発揮して歴史に残る成果につなげる狙いもある。
 米エネルギー情報局(EIA)によると、07年の時点で、米国は発電量の約半分を石炭でまかなっていた。だが、金融危機で需要が伸び悩み、シェールガス革命で天然ガスの価格が下がったことで、石炭は13年までに4割以下に減った。
 石炭生産の約7割は、ケンタッキー州など内陸部5州に集中しており、発電での石炭への依存度も高い。地元の雇用への影響も予想される。これらの州では共和党が優勢な地域も多く、11月の中間選挙を控えて反発が強まるのは必至だ。
 米ブルッキングス研究所のフィリップ・ワラック研究員は「(州や電力会社から)多くの訴訟が予想される。規制の本格導入は20年代半ばごろになるだろう」と予測している。

( → 朝日新聞 2014年6月7日

 米国も中国も、なかなか自分の国では削減できない。それで日本ばかりがやたらと割を食う。
 しかし、割を食うべきは、優等生ではなく、米国や中国であるべきなのだ。
 というか、そもそも、米国や中国でこそ大幅に削減が可能なのであって、日本ではもともと削減の余地がほとんどないのだ。また、たとえ日本が排出量を半減したとしても、その効果はたいしたことはないのだ。(もともと排出量が少ないのだから。)

 科学的に考えれば、世界の排出量の総量を減らすには、たやらと排出量の多い米国や中国でこそ削減するべきだ、とわかる。
 なのに、日本ばかりがやたらと努力を強いられるような制度は、科学的にも倫理的にも間違っている。
 日本としては、「日本も排出削減に努力します」なんて声明するよりは、「日本は世界全体の排出削減に向けて、排出量の多い国で技術協力をします」と言うべきだろう。やるべきことを間違えてはいけない。
 排出削減というのを狙うのであれば、「各国の努力の量」または「各国ごとの削減量」などを基準とせずに、「世界全体の排出量の総量の削減」を基準とするべきだろう。

( ※ その意味では、「排出量取引制度」は、よい制度である。日本で減らすかわりに、中国や米国で減らしても、同じ意義を認められるからだ。これならば、日本で減らすかわりに、中国や米国で減らすことが促進されるだろう。たとえば、日本企業が、中国の工場で技術指導をすれば、それを日本の分としてカウントできる。)
posted by 管理人 at 17:57| Comment(3) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
http://science.slashdot.jp/story/14/06/09/0331226/
のコメントに
>人口を無視するって、、
>中国人の排出量は4.9ton/人年、アメリカ人は18.6ton/人年、日本人が9.3ton/人年、アフリカ全体 1ton/人年
(中略)
>まずは、アメリカ人や日本人が、現在の中国人の同程度まで二酸化炭素排出量を
>減らして見せるべきではないか。
という意見が…。
Posted by NOGUE at 2014年06月10日 14:24
一人あたりの排出量を見る、というのは、それなりに意味がありそうですが、実は妥当ではない。

 なぜなら、炭酸ガスの排出は、経済活動に比例するものだからです。(生産であれ、消費であれ、金額に比例するはずです。)その意味では、一人あたりの国民所得に比例する、と考えるのが妥当でしょう。(途上国に対してはいくらか甘く見てもいいが。)

 仮に、人口を重視する発想だと、国全体の排出量は、国の人口に比例するはずだ、ということになります。
 これだと、中国の排出量は、アメリカや日本に比べて少ないように見えます。

 一方、GDP に比例するという考え方だと、次のようになります。
  ・ 中国の GDP は日本の2倍。
  ・ 中国の 排出量は日本の7倍。(冒頭のグラフ。)

 これを見ると、明らかに中国の排出量は過剰です。
 しかも、冒頭のグラフは、2010年まで。4年後の現在では、日本の 10倍ぐらいになっているはずです。そのあげく、北京ではひどいPM2.5のような状況になっている。

 中国の人口は日本の11倍。それが日本の10倍程度の炭酸ガスを排出している。一方で、GDPはたったの2倍でしかない。
 中国の状況がいかに異常であるか、気づくべきです。それは人口を見るだけではわからないことです。
Posted by 管理人 at 2014年06月10日 21:45
炭酸ガスだけでなかった。セメントの使用料もとんでもない量だそうだ。アメリカが過去 100年間で使ったセメントの総量を、たったの3年間で使ってしまう。
 下記記事を読んでほしい。
  → http://www.huffingtonpost.jp/2014/06/15/bill-gates-tweet_n_5497837.html
Posted by 管理人 at 2014年06月16日 23:20
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