最後に 【 追記 】 あり。 ──
この件は、前にも述べた。
→ 論文不正の話題(3件)
その後、いくらか改善されたかと思ったら、そうでない。東大は不正の指摘にほおかむり。
朝日の社説から一部抜粋しよう。
アルツハイマー病の大規模臨床研究「J-ADNI(アドニ)」をめぐる問題が混迷を深めている。
疑惑の渦中にあるのは日本の学界の頂点に立つ東大である。
研究のデータをめぐる不正の疑惑のさなかに、さらに不正を重ね、問題を隠蔽しようとした疑いが浮上している。
決して許されない行為の疑惑だが、東大は、ほとんど説明責任を果たそうとはしていない。ゆゆしい事態である。
研究データの改ざん疑惑を朝日新聞が報じたのは、ことし1月だった。その後、厚生労働省が被験者データの保全を求めたにもかかわらず、研究の事務局がデータを書き換えていた。
製薬会社エーザイからの出向者が、事務局の室長格として書き換えにかかわっていた。
さらに代表研究者の岩坪威(たけし)・東大教授が書き換えを知ったうえで、共同研究者に釈明と口止めのメールを送っていた。
証拠隠滅を図ったと疑われても仕方ない行為だ。
東大はいまだに調査メンバーの顔ぶれも、調査の途中経過も公表していない。沈黙を続けるのは無責任すぎる。
東大には官民の資金が集中するが、その半面、モラル感覚が世間から逸脱しているのではないか。社会的責任を改めて自覚し、猛省してもらいたい。
( → 朝日新聞・社説 2014年6月3日 )
理研は、曲がりなりにも調査報告書を出したが、東大はただのほおかむりである。あまりにもひどすぎる。
[ 付記 ]
とにかく、STAP細胞なんかより、こっちの方がはるかに大きな問題だ。
STAP細胞は、未熟な若手研究者の実験ミスにすぎない。故意の不正ではない。
一方、東大の方は、組織全体による不祥事の隠蔽である。組織的な隠蔽だ。それは故意の不正である。
どっちを問題にするべきか、よく考えてほしいものだ。
( ※ STAP細胞では、ただの実験ミスがあった。それを Nature 論文にして世界的な大問題にしたのは笹井さんだ。理研の調査委は「小保方さんの不正だ」と結論したが、それは責任を小保方さん一人になすりつけようとする自己保身だ。トカゲの尻尾切り。)
【 追記 】
この件は、6月3日に朝日新聞社説が強く指摘した。(本項)
その翌日、東大が反論した。「現在調査中であり、きちんと報告します」という趣旨。
→ 東大、朝日新聞の社説「研究不正疑惑」に反論
さて。それから3週間あまりたって、東大が報告を出した。「きちんとした報告」であるどころか、「東大内部については調査しました。だが、権限不足なので外部の調査はできません。国がやってください」というふうに、なかばお手上げの状態。
→ 朝日新聞 2014-06-28
一部抜粋すると、下記。
《 改ざん解明、押しつけ合い 厚労省「東大が再調査を」東大「国主導で」 》
東大は「調査は限界」として自らの調査を打ち切る考えを示している。厚労省と東大がそれぞれ疑惑解明の責任を転嫁している形だ。
朝日新聞の報道で疑惑が発覚した1月、厚労省は研究代表者の岩坪威教授が所属する東大に調査を依頼した。しかし、東大が聞き取りをしたのは岩坪教授ら7人のみ。東大が今月24日発表した調査報告は「東大の調査権限上、学外の調査には限界がある」「すべてのデータをあらためて検証することは行わない。膨大な人員と時間を要する」と認めながら、「悪意のある改ざんとは断定できず、不適切な担当者による不適切な修正があった」と結論づけるあいまいな内容となった。
東大の苫米地(とまべち)令理事は24日の会見で「学外への調査権限がない状況で可能な限りの調査を実施した」として東大の調査は終了したとの認識を示す一方、不十分な部分については「国主導による外部委員会の設置が望まれる」と述べ、国主導の調査で解明すべきだとの考えを示した。
これに対し、田村厚労相は「東大が自主的に調査されるということなのでそれを待つ」と述べた。
( → 朝日新聞 2014-06-28 )
【 関連項目 】
→ 理研の問題は高齢化
推測というのは証拠がないまま、「だろう」といふうに想像するものです。断定とは違います。
一方、実験における「ずさん」というのは、現実の行動における手順が良くないことであり、思考レベルの推測とはまったく違います。
思考の不確かさと、行動のいい加減さを、二つ並べて混同するあなたの発想が混乱しているだけです。全然別のものなのに、区別が付かない。
それよりは、私の推測については不確実さを批判し、捏造論の推測については不確実さを批判しないという、あなたの二重基準の方がおかしいですね。(しかも捏造論の矛盾については無視するし。)
──
そもそも、STAP細胞は、本項の話題ではない。項目違いです。それほどにも話がズレている。項目違いにも気づかないなんて、ずさんすぎる。