2014年05月27日

◆ 薬局・病院で声のプライバシー

 薬局・病院で声のプライバシーが侵害されている。他人に病気の内容を聞かれてしまうのだ。これを避ける機械がある。 ──

 朝日新聞の記事を紹介しよう。
 《 窓口、聞こえるプライバシー 薬局、病状 筒抜け 》
 薬局や銀行などの窓口で交わされるやりとりには、他人に聞かれたくない情報も含まれる。
 東京都内の会社役員の女性(42)は早期の子宮頸(けい)がんの治療を受け、経過観察中だった。結局そのことを伝えられず、「日焼けしやすいんで」とごまかした。
 女性は言う。「病気は人に知られたくないセンシティブ(繊細)な情報。病院でいろいろと説明した上に、今度は周囲に聞こえる状況で病状を話すのは抵抗がある」
 日本薬剤師会の藤原英憲常務理事は「昔はそういう苦情はほとんどなかった。03年に個人情報保護法が成立し、プライバシー意識が高まるにつれて目立ち始めた」と話す。
 薬局だけではない。役所の福祉関係部署や税務署、ハローワークに関しても、「仕切りのないカウンターで病気について話をされた」「大きな声で質問をされた」といった苦情が総務省に寄せられている。

 個人情報を守るため、窓口の声が周囲に聞こえないようにする装置も登場している。
 「ザザザー」。神奈川県厚木市のメディスンショップ厚木ピーチ薬局では、薬剤師と患者が処方窓口で話をすると待合スペースに音が響く。外国語のようにも聞こえる。1メートル離れると対話の内容はまったくつかめない。
 窓口に置いたマイクが声を感知すると、スピーカーから別の音が出る仕組み。「ボイスガード」「スピーチプライバシー」などの商品名で一般に販売されている。
( → 朝日新聞 2014年5月27日

 ──

 記事の内容はごもっとも。私も前に同様のことを書いたことがある。そのときは、「川のせせらぎのような環境音で、人の声をマスキングすればいい」という趣旨だった。
  → 環境音・自然音 (コメント欄 )
 
 ただ、上の朝日の記事では、もっと優れたものが開発されている。人間の声を電子的にデジタル解析して、あえて元の声をマスキングする(= かぶせて隠蔽する)ような合成音を、そのたびに新規に合成するものだ。このような方式だと、その声に特化してマスキングするだけで済むので、ずっと小さな音量で済むようになる。ハイテクですね。

 概念図と効果は、下記に説明がある。
  → スピーチプライバシーシステム (

 デジタル解析については、下記に説明がある。
  → システム ボイスガード

 ──

 では、これを導入すればいいか? 
 導入できるなら、導入した方がいいだろう。実際、導入した薬局もある。
  → ボイスガード導入 (薬局の例)

 しかし、ボイスガードは価格が高い。60万円もする!
  → 「ボイスガード」 販売価格は60万円 (日経 2011年8月26日)

 スピーチプライバシーは、どうか? これは、デジタル解析がない(発声に応じたカスタマイズはしない)ようだが、それでも十分に効果はあるし、価格は税別 10万円だ。(上記ページ
 というわけで、価格の点も考えると、スピーチプライバシーがお薦めだと言えるだろう。

 ──

 とはいえ、一般の病院(大病院を含む)だと、次のような構造が多い。
 「診療室と待合室との間は、筒抜けである。診療室で語っている話が、待合室まで聞こえてしまう」
 「大病院では、初診受付の窓口で語った内容が、まわりの人に筒抜けで聞こえてしまう」

 こういうのは、けっこうまずいですよね。それでいて、各室で声が漏れるから、機械を部屋ごとにいくつも用意する必要がありそうだ。
 特に、廊下が待合室を兼ねているところも多いので、廊下に声が漏れることも多い。廊下の場所が多いので、機械もたくさん必要となる。
 以上のような場合は、機械がたくさん必要なので、高額な機械だと、設置が大変だ。10万円なら何とかなりそうだが、貧乏な小病院では 「10万円を 数台」というのは難しいかもしれない。
 もっとうまい方法(金のかからない方法)は ないか? 

 ──

 そこで困ったときの Openブログ。ローコストで声をマスキングする方法を提案しよう。こうだ。
 「外国語のスピーチを流す。外国語ならば、言語音声なので、日本語の会話をマスキングすることができる」


 たとえば、英語とか中国語とかのスピーチをだらだらと流しておけば、それにマスキングされて、日本語の会話は聞こえにくくなるだろう。しかも、これらのスピーチは比較的安価に入手できる。たとえば、英語のニュースならば、ほとんど無料で入手できる。
( ※ 英語のニュースは、放送されているし、ネットでも入手できる。)

 ただ、英語や中国だと、それが言語だということがわかりやすいので、気に引っかかる。特に英語は、意味を理解できる人が多すぎる。そのせいで「うるさい」と感じやすい。むしろ、まったく意味不明な言語の方がいい。
 そこでお薦めなのは、ロシア語だ。ロシア語ならば、知っている人はほとんどいない。また、ドイツ語もお薦めだ。濁音が多いので、マスキング効果が高い。(逆にフランス語やイタリア語はお薦めしない。マスキング効果が低い。)

 ロシア語のスピーチは、どうやって入手するか? ロシア語の学習本を購入して、付属の CD のスピーチを使ってもいい。しかし、最もローコストなのは、ロシア語の音声をネット上で見つけて入手することだ。
 (1) 「ロシア語 ニュース」で検索して、ニュースサイトを見つける。
 (2) 「ロシア語 ニュース」で YouTube 検索して、音声付き動画を見つける。
 (3) 「ニュース」を意味するロシア語(Новости)で YouTube 検索して、音声付き動画を見つける。

 こうしてロシア語の音声データを入手したら、それを適当に加工してから、だらだらとリピート再生すればいい。これで日本語の会話はマスキングされる。

 ただし、ロシア語のスピーチばかりを流していると、うるさくて仕方ない。そこで、川のせせらぎなどの環境音も同時に流すといいだろう。これは、スピーチプライバシーシステム でもやっている方法だ。 ( → 出典



 【 関連項目 】

 川のせせらぎや、海辺の波音など、マスキング効果のある環境音については、別項で述べた。そちらを参照。
  → 環境音・自然音
 
( ※ これが有効なのは、特定の話者の言語内容をマスキングする場合でなくて、複数の話者の混然とした騒音を、うるさくないと感じさせる場合。大人数のいる大部屋などで有益だ。)
 


 [ 付記 ]
 ある病院では、待合室でテレビが NHK の番組をずっと放送していた。これはこれで有益だ。テレビの音声ならばマスキング効果があるし、待合室の患者が番組を見て聞いていれば、それだけで他人のプライバシーは聞こえにくくなる。(というより、聞かなくなる。)
posted by 管理人 at 21:00| Comment(0) | 科学トピック | 更新情報をチェックする
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