記事は次の趣旨。(一部抜粋)
東日本大震災4日後の11年3月15日朝、第一原発にいた所員の9割にあたる約 650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた。その後、放射線量は急上昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた。
午前6時42分、吉田氏は前夜に想定した「第二原発への撤退」ではなく、「高線量の場所から一時退避し、すぐに現場に戻れる第一原発構内での待機」を社内のテレビ会議で命令した。「構内の線量の低いエリアで退避すること。その後異常でないことを確認できたら戻ってきてもらう」
吉田氏の証言によると、所員の誰かが免震重要棟の前に用意されていたバスの運転手に「第二原発に行け」と指示し、午前7時ごろに出発したという。自家用車で移動した所員もいた。道路は震災で傷んでいた上、第二原発に出入りする際は防護服やマスクを着脱しなければならず、第一原発へ戻るにも時間がかかった。9割の所員がすぐに戻れない場所にいたのだ。
( → 朝日新聞 2014年5月20日 )
ここでは「隠されていた新事実が判明した」というふうに報道されているが、これで真相が判明したというわけではない。なぜなら、これは関係者の一人による証言にすぎないからだ。情報の歪みは避けられない。
当然、この情報を聞くに際しては、他の情報と照合する必要がある。
では、他の情報とは? それは、本サイトで前に示したものだ。そちらを読むといい。
→ 原発事故調の報告に欠けているもの
→ 東電・全面撤退の真偽
→ 怒鳴った菅首相
ただ、今回の報告で、はっきりしたことがある。
政府事故調の畑村洋太郎・元委員長は「外に出すべきものは報告書にみんな入れたつもりだ。報告書に載せたこと以外は口外しないのが約束だ」と取材に答えた。
( → 朝日新聞 2014年5月20日 )
つまり、事故調の報告は、肝心なことが書いていないものだったのだ。いわば、脱殻だったのだ。
畑村洋太郎・(元)委員長は、失敗学の権威だから、真実を報告するものだと思えたが、実は、真実の隠蔽に加担していただけだったのだ。
そして、そのことは、今になって急に判明したわけではない。私も前に示唆していた。
→ 原発事故調の報告に欠けているもの
事故調の報告はすでに出ていたが、その時点で、十分な解明はなされていなかった。特に、東電首脳の発言や行動については、ろくに解明が進んでいなかった。
解明が不十分だったことは、当時からかなりはっきりしていたのである。
[ 余談 ]
ただ、今にして思い直せば、「解明が不十分だ」と強く指摘しておくべきだったな。
もっとも、いちいち言わなくても、調査が不十分であることは、当時から常識ふうではあった。だから、いちいち私が言うまでもないことだったかも。
何か、ろくに解明が進まないうちに、「民主党政権をつぶせ」という世論の風潮ばかりが高まって、そっちに話題が移ってしまったようだ。私も「原発事故の解明」については、すっかり興味をなくしていた。
今では世間の話題は、STAP とか、遠隔操作犯とかだ。世間は移り気。……私も。 (^^);
【 関連サイト 】
朝日の特集サイト。
→ 吉田調書 - 特集・連載:朝日新聞デジタル
是非、見るといいですよ。
で、「3号機への海水注入について、廃炉を避けるため極力淡水を使え、という官邸のある者の指示」とあります。
「この官邸のある者」とはいったい誰なのか?
推理していただければ幸いです。
→ http://www.asahi.com/articles/ASG5T7QVZG5TUUPI004.html?iref=comtop_6_03
結局、不明。本人も記憶がないので、すべては記憶違いかも。
一般に、海水を忌避したのは東電の経営者だ、というのが従来の定説です。首相は「何とかしろ」と言っただけらしい。ま、当然です。具体的な方法をいちいち指示するはずがない。
>一般に、海水を忌避したのは東電の経営者だ、というのが従来の定説です。首相は「何とかしろ」と言っただけらしい。ま、当然です。具体的な方法をいちいち指示するはずがない。
そうですね。可能性が高いのは東電の経営者の意をくんだ関係者と思いますが・・・。質問したのは、もしかしたら、吉田さんは恩義を感じた政治家をかばっているのかなと思ったからです。
推理小説ふうに考えてみると、、「3号機への海水注入について、廃炉を避けるため極力淡水を使え、という官邸のある者の指示」が「誰か不明」であることが確定したことで、「一番得をした人物」ということになるのでしょうが・・・
まあ、思い過ごしでしょうね。以上の件忘れてください。ありがとうございました。