2014年03月30日

◆ 将棋電王戦第3局(2014)

 将棋 電王戦 第3局。 豊島将之七段 v.s. YSS の対局は、前者の勝ち。 ──

 棋譜はこちら。
  → http://hantosidegodan.seesaa.net/article/393033208.html

 横歩取り。普通の戦いとは違って、陣形を築くようなことはなく、コマの取り合いになった乱戦だ。先手は居玉(いぎょく)のまま。
 コマの取り合いとなると、コンピュータの先読みが有利だと思えるが、現実にはコンピュータが駒損ばかりをしている状況だ。ただ、最初だけは角金交換で後手が得をした形。しかしすぐに香を取り返される。
 36手目の△2四飛が疑問手。これで飛角両取りを食らう形になってしまった。
 38手目の△2九飛成はバグだろうか? △2三銀にしないと、角を取られてしまう。とはいえ、△2三銀は王に竜が直撃する形だから、これも勝てない。どっちみち負け。となると、その前の36手目△2四飛で、形勢は大幅に傾いたことになる。

 コンピュータがポカをして負けた形かな。前の第2局では、コンピュータがポカをしても粘って逆転勝利したが、今回はポカがあまりにも大きすぎた。

 ただ、豊島将之七段は、将棋界でも屈指の強さだ。もともとすごく強い。勝利は順当だとも言える。
 欲を言えば、YSS は横歩取りではない戦法を採ってほしかったな。今回は、コンピュータが一方的に殴られて負ける形だったので、面白くなかった。これまでの電王戦では、最も詰まらなかった。悪役が弱いと、面白くない。



 【 追記1 】
 ソフト「やねうら王」の開発者による感想があった。
 今回の第三局でも序盤早々、定跡を抜けたところで62玉と指してしまった。これが大悪手である。YSSでも、もっと時間をかければこんな大悪手は指さないはずだ。おそらく、対戦相手の豊島七段は貸し出し時にこの手順を見つけていたのだろう。
( → 電王戦第三局について思うこと

 △62玉が悪いというのは、そのあとで▲2一角打ちを食らってしまったから。本来ならば、横歩取り戦法では、ここでは△5二王(または△4一王か△4二王か、居玉のまま)にするところ。それなら、角打ちはなかっただろう。
 ポカはここにあったということかな。

 【 追記2 】
 「いや、△6二王は悪手ではない」という記事も見つかった。
  → 将棋驚愕・YSS横歩取り戦法の6二玉
 どういう意味かは、よくわからない。他のソフトが指しているから、悪くはない、ということらしいが。
 

 【 追記3 】
 形勢分析があった。ソフトの分析内容(ログ)を調べた人の話。
 ・それなりに時間を使っても△6二玉しか考えていないので、時間を使えばこの手を回避できるのかどうか、YSSに限っては疑問とみる。

 ・△6二玉では△5二玉が定跡でプロで大流行しているが、コンピュータ将棋のお気には召さない。電王戦第2局の時に色々なソフトに定跡を外させて聞くと△5二玉を示すソフトは見当たらず。△5二玉以外の場所へは行こうとするので、もしや△5二玉は疑問手なのか?!

 ・△9九角成と△2四飛でYSSが一気に形勢を損ねたというのが控室の見解なのだが、YSSはどちらもほぼその一手とみていた。

 ・▲2九金打と指されたところでYSSは不利を自覚したようだ。

 ・△6二玉が大悪手で将棋は終わり、というのはいくらなんでも短絡的というか、将棋はそんなに簡単ではないはず。初見では悪い手だと思ったが、そういう手が革命的な手になる可能性もある。結果だけで判断してはいけない。△6二玉〜△2三銀が成立すると、横歩取りに新たな風が吹くかも。

 ・全体的に読みが噛み合っていない。
 ・読みに不可解な手が結構見受けられ、YSSにとって苦手な展開だったのかもしれない。
 ・コンピュータ将棋全般がこういう展開を苦手としている可能性もある。
 ・この一局は今後の対コンピュータ戦に於いて、エポックメイキングとなる可能性があります。
( → YSSのログを調べてみました


 【 追記4 】
 △6二玉が大悪手で将棋は終わり、という分析が下記にあった。かなり詳しい。
  → ものぐさ将棋観戦ブログ
 人間側が事前に 1000局近く対局していて、YSS が△6二玉を取りやすい、ということを察知していたそうだ。バグみたいなもの。で、その局面に誘導して、簡単に勝ってしまった、ということらしい。
 いちいち引用するより、上記の記事を直接読んでもらう方がいい。今回の対局の解説では、上の記事が一番良く書けていると思う。ぜひお読みになるといいだろう。(続編もある。)



 【 注記 】
 本項は素人による個人的な感想です。内容の妥当性には責任を持てません。分析は間違っているかも。
posted by 管理人 at 09:11 | Comment(7) |  将棋 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
【 追記3 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2014年03月30日 12:52
>△62玉が悪いというのは、そのあとで▲2一角打ちを食らってしまったから。本来ならば、横歩取り戦法では、ここでは△5二王(または△4一王か△4二王か、居玉のまま)にするところ。それなら、角打ちはなかっただろう。

△5二玉なら▲3三角成△同桂▲2一角はないということですか?
Posted by at 2014年03月30日 18:14
5二玉なら▲2一角の後、4一玉や4二玉で金に紐をつけて頑張るところ。
しかし今度は端攻めが受けにくい。
練習将棋でそこまで分かってるから決行できたのだろう。
Posted by 774 at 2014年03月30日 18:22
とすると△6二玉は早逃げの意味があったのかも。
Posted by at 2014年03月30日 18:24
△5二玉は▲4三角成りを防ぐためです。次に△3一金で角が死ぬので、▲2一角は不可能となります。
これは横歩取りの定跡です。
Posted by 管理人 at 2014年03月30日 19:08
【 追記4 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2014年03月30日 19:23
プロによる解説。
  → http://news.nicovideo.jp/watch/nw1014806
Posted by 管理人 at 2014年04月03日 23:07
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