2014年03月09日

◆ STAP細胞の Oct4 発光を確認

 STAP細胞の再現実験で Oct4 発光(発現)を確認した、という報告が複数出た。 ──

 【 後日記 】
 本項は古い記述です。その後、新しい情報がいろいろと出ています。
 まずは、次の項目を先にお読みください。
  → STAP細胞事件を評価する
  → STAP細胞の真相は Oct4 発現の偽陽性






 この報告(Oct4発現)は、複数ある。
 一つは、日本人研究者によるもの。
 私は海外の小さなラボで研究しているものです。ESやiPSは専門ではありませんが、マウスを自由に使える環境にあるので、生後一週間のマウスの脾臓細胞(FACS分離なし)を酸処理した後、B27入り培地(LIFなし)で培養してみました。すると処理条件によっては3日後にOct4をタンパクレベルで検出できましたWesternです。コントロールとして処理前の脾臓細胞から抽出したサンプルを使いましたが全く発現なし。)どうやら、sublethalのストレスによってOct4の発現が誘導されるというのは確かにあるようです。ただし、他の幹細胞マーカーは調べてません(抗体がないので)。また、ここから多能性幹細胞として機能するSTAP細胞あるいはSTAP幹細胞を作成するまでにはかなり遠い道のりがありそうです。
( → slashdot

 ここでは「Oct4をタンパクレベルで検出できました」ということから、単なる自家蛍光ではないことがわかる。(方法は Western blotting
 また、Knoepfler ブログでも、同様に Oct4 発光の報告を聞いたと言う。
 I’ve heard several reports now that labs can sometimes see some kind of either Oct4-GFP reporter activity or pluripotency gene expression in acid treated cells, but the scientists do not seem particularly encouraged.

One said that the cells gave a glimmer of interesting gene expression, but would not grow at all and s/he thought the gene expression and Oct4-GFP may have been manifestations of cell death leading to weird chromatin decondensation events.
( → Knoepfler ブログ

 これらを見ると、「 3日後に Oct4 発光(発現)を確認した」ということから、小保方さんの言った通りに判明したので、「完全なる捏造」という説は否定されたと言えるだろう。

 一方で、「誤認」説は力を増した。
 上記英文には、「細胞は死につつあるらしい」という見解が見て取れる。
 実は、これは私が前に述べた「誤認」説と同様だ。
  → STAP細胞は自家蛍光か?

 ここでも、いったん捨てたはずの説が再浮上したことになる。先にこの仮説を捨てたときは、「細胞は死んでいないで増えている」という報告を信じたのだが、上記英文では、否定されたことが肯定されている。
 このあたりは、専門家の認識の仕方を信じるしかないので、私としてはどうとも言えない。
( ※ 私としては、いったん主張して捨てた見解がよみがえるのを見ると、気分としては複雑だ。嬉しいような、困ったような。)


 ──

 さて。「 Oct4 発光を確認したが、それらは自家蛍光だろう」という認識が正しいとしたら、どうなるか?
 この場合には、先の「 STAP細胞の由来は、既存の幹細胞だろう」という認識と整合的である。つまり、次のようになる。
  ・ 大量の Oct4 発光細胞は、自家蛍光する死滅細胞。
  ・ 一部の Oct4 発光細胞は、造血幹細胞に由来する STAP細胞。

 これで一応、矛盾なく説明できそうだ。
 この両者のうち、前者はただの誤認によるものだが、後者は多能性があるので、STAP細胞であることになる。
 ……
 
( ※ 造血幹細胞と STAP細胞の関係については、前項と前々項を参照。この二項目を理解しておくことが、上記の結論[]を理解するためには必須です。
( ※ Knoepfler ブログの記事は悲観的な観測がありますが、本項では希望的な観測となっています。どうして違いが出るかは、この二項目を理解することで、わかるでしょう。…… 本項は、Knoepfler ブログよりも、もっと先まで進んでいます。Knoepfler ブログは、の二箇条のうち、前者を見ているだけで、後者を見ていません。)



 [ 付記1 ]
 誤認である可能性が高まれば高まるほど、小保方さんが嘘をついていた(でっちあげをした)という可能性は低くなる。
 となると、多能性がある細胞が出現したこと(キメラマウスが誕生したこと)は、ますます真実である可能性が高まったと言えよう。
 
 結論としては、「大量の STAP細胞が出現した」というのは間違いだが、「(少数ながら)実際に STAP細胞が出現した」というのは真実であるようだ。現時点では、その可能性が最も高そうだ。……断言はできないが。
 
 [ 付記2 ]
 Oct4 発光をする細胞をつくった、という点では、嘘ではなかったことになる。
 となると、あとは「 Oct4 発光をする細胞で、キメラマウスが作れるかどうか」ということになる。
 ところがこれは、小保方さんの担当ではなくて、若山さんの担当だ。
 となると、残る問題は、「小保方さんが捏造したか否か」ではなく、「若山さんが捏造したか否か」となる。……だが、捏造の可能性は、限りなくゼロに近い。(自分の研究のためでなく他人の研究のために捏造をする馬鹿はいない。まして、有名な人であれば。)

 となると、「キメラマウスが作れるかどうか」については、限りなく肯定的な予想をできる。まず間違いなくキメラマウスはできるはずだ、とここで予想しておこう。
( ※ つまり、多能性をもつ STAP細胞は存在するはずだ、ということ。数は少ないだろうが。)
 

 [ 付記3 ]
 若山教授の話として、次のインタビュー記事がある。
 キメラマウスを作るには、マウスの胚に候補の細胞を注入して育てる。ES細胞などでは、細胞の塊を酵素処理し、ばらばらにして使うのが普通だが、その手法では STAP細胞はさっぱり胎児にならない。失敗続きだった。
 共同研究を始めて1年半たったころ、手法を変えた。細胞の大きな塊を単細胞にばらさず、20〜30個程度の小さな塊にして注入する方法だ。刃渡り1ミリの極小メスを顕微鏡で見ながら操作して切り分ける。細胞工学初期の60年代の技術だが、切り分けるのも注入も難しい。僕はその技を身につけていたからできた。
 すると、いきなり成功。体に取り込まれた STAP細胞が緑色に光るマウスの胎児を見ても、すぐには信じられなかった。
( → 朝日新聞 2014年2月6日

 この方法だと、多数の「他の血球に由来する死滅細胞」のなかに、「造血幹細胞に由来する STAP細胞」が少数だけ含まれていたことになる。だからこそ、この方法は成功したのだ、と思える。
 こう考えると、いろいろと整合的にとらえることができる。当然ながら、ここに捏造があるとは思えない。つまり、キメラマウスはまさしくつくられたのだろう。
 



 ※ 以下は重要ではないので、読まなくても構いません。



 [ 付記4 ]
 次の説がある。
 「小保方さんが若山さんに渡した細胞は、すり替えられたものだ。本当は、STAP細胞ではなくて、ES細胞だったのだ」
 これは、「すり替え説」である。これにについては、先に否定した。
  → STAP細胞の蛍光画像は捏造か?
 ここでは「実験の鬼である若山さんをだませるはずがない」と述べた。
 本項では新たに、次の根拠を述べる。
 「若山さんに渡した STAP細胞は、リンパ球と称したもの(実は造血幹細胞?)であるので、ES細胞とは見た目がまったく異なる。両者を混同するはずがない」
 画像を示す。
  → STAP細胞の動画リンパ球の画像
  → ES細胞の画像マウスES細胞の画像

 前者は球形であり、後者は歪んだ形だ。見た目がまったく異なる。リンパ球とマウスES細胞を見間違うはずがない。ゆえに、若山さんがすり替えに気づかないはずがない。ゆえに、すり替えは不可能だ。
 結論。すり替えはありえない。

 [ 付記5 ]
 次の説もある。
 「酸は、細胞の選別のためにあっただけで、STAP細胞を作る効果はなかった」
 それは理屈上では考えられるが、すでに否定されている。次の事実があるからだ。
 「小保方さんの方法を取らずに、単に酸にひたすだけでは、Oct4陽性にはならなかった」
 つまり、実験プロトコルが公表される以前になされた再現実験では、すべて再現に失敗した。いずれも「酸にひたす」という方式を採ったのに、Oct4陽性にはならなかった。
 このことゆえ、「酸は、細胞の選別のためにあっただけだ」という説は否定される。

 Oct4陽性になるためには、酸にひたすだけでなく、特別な処置を執る必要がある。それは小保方さんの実験プロトコルに書いてある方法だ。そこには「 IMPORTANT 」として失敗しやすい方法も書いてある。( → Nature Protocol Exchange
 つまり、ここに書いてある方法に、STAP細胞を作る核心がある。酸はそのうちの一つにすぎない。もちろん、「酸だけで選別できる」というようなことはない。
 




 【 追記 】
 STAP細胞の再現性については、新たに記事が出た。引用しよう。
  そもそもSTAP細胞は存在するのか。
 共著者の1人で理研の丹羽仁史プロジェクトリーダーは「STAP細胞の存在は真実だと確信している」と語る。
 存在を信じる根拠の一つは、作製手順書を書くために2月、STAP細胞を作ったことがない研究者が、小保方さんに教わりながら、実際にマウスのリンパ球からSTAP細胞をつくる過程を見届けたからだ。当初は同じ材料、分量で試みても小保方さんにしかできなかったが、次第にほかの研究者も作れるようになったという。できた細胞は、万能性を示す遺伝子の働きが確認できた。
( → 朝日新聞 2014-03-12

 つまり、Oct4 発現までは、多くの人々が容易に再現できているわけだ。したがって、この段階までの再現性については十分に確認されたと言っていいだろう。
posted by 管理人 at 14:55| Comment(17) |  STAP細胞 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
[ 付記1 ]〜[ 付記3 ] を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 15:41
今回の Oct4陽性は、不思議ではない。私は前に予想していた。以下、引用。

 ──

 第三者による再現報告は出るだろうか? 
 仮に第三者による再現報告が出ないとしたら、先日の理研の実験プロトコルは虚偽であったことになる。
 この場合には、理研そのものが虚偽報告をしたことになる。小保方さん一人の問題では済まない。理研そのものが「嘘つき組織」として世界中から糾弾されることになる。
 理研という組織がそれほどずさんであるとは思えないのだが。
 とすれば、先の実験プロトコルによって、少なくとも次のことが実現するはずだ。
 「手順を実行したあと、10%弱の細胞で Oct4-GFP 陽性となる」
 ここまでは再現が確認できそうだ。(理研を信頼するなら。)
 → http://openblog.meblog.biz/article/21432661.html

 ──

 以上の意味で、再現性の成功は、予想通り。どんぴしゃり。
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 16:04
Google検索で、2項目も上位に入っていますよ。
これは、貴ブログでは非常に珍しいことです。
もちろん、1位を飾ったことは存じてます。
10位と13位(本項目・・・わずか発信後50分で)
文系的論理を主とする者からしては、これには非常に興味のある現象です。
管理人は、(様々な、しかし意味のありそうな雑音をはねのけて)徐々にことの本質にせまっているようです。
Nature誌も、この本質的なことの確認を済ませているからこそ、掲載するという決断をしたと思っています。
木を見て、森を見ずですか。
Posted by 素人 at 2014年03月09日 16:31
本項に関係のないコメントは削除しました。
 掲載したい場合は、別項に記載して下さい。
  → http://openblog.meblog.biz/article/21421679.html
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 18:02
[ 付記4 ]〜[ 付記5 ] を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 19:37
「付記5について」細胞の増殖は、培養条件を少し変えただけでも影響を受ける。酸に浸すだけでなく、細胞の塊の状態だったり、酸に侵すタイミングで培養条件は変わるわけだから別に不思議な話ではない。ラボが変わると再現ができなくなるというのも恐らくこれ。
STAP細胞を作る効果はなかったという部分を、「細胞を初期化して万能性を獲得する効果がなかった」という意味で用いているならば「作る効果はない」という表現は曖昧だから、「初期化して万能性を獲得する効果はなかった」などと書くべき。
酸浸漬などの培養条件を最適化して、ある特定の細胞のみを効率良く増殖して選別された結果、万能細胞が作られている可能性もあるから。

ちなみに、ここまでの展開は私にとっても予想通り。
ただ、ここから、「得られた細胞は実は初期化(STAP細胞)によるものではなかったではなかった)」という結論にいたると予想する。

恐らく、今回の論文は、muse細胞のようなものを「小保方メソッド」を用いて選別して増殖させただけなのじゃないかと思う。その増殖細胞がある条件におかれると、キメラの胎盤を作製するほどの万能性を獲得するっていうことかな。だから、今回の業績は、muse細胞の「万能性」や可能性を押し広げたってことにあるのではないかと。そうだとすると、残念だけどノーベル賞級の発見とは言い難い。むしろ、最初に発見した東北大の先生の方が評価されるかもしれない。Muse細胞なら、他にもっと再現良く単離する方法がこの先生によって提示されているしね。ただ、胎盤を作るほどの万能性を獲得できたのはすごいし、そのメカニズムを解明したらもっと面白い方向に研究が展開するんじゃないかなと思う。
最近のIPSとかも、当初は4つの遺伝子注入が不可欠だったけど、今や化学物質を組み合わせれば1種類注入で作製できることもわかってきた。遺伝子発現を誘発するような環境を作ってさえあげれば、「全能性有する」細胞も遺伝子注入なしで作れるじゃないかって気がする。そういった意味でも小保方さんの発想は先進的だったと評価できる。2次分化細胞が外的刺激で初期化されるというのが、ちょっと飛びすぎてしまったね。それを実現するには恐らくまだ早すぎたんだよ、研究のステージが。理研のプレスリリースだけにしとけば、こんなことにはならなかった。マスコミを利用して予算を獲得しようとしたことが逆に仇となってしまった。ま、ここの所は小保方さんの上司のSさんの責任だろう。
ただ、将来的に小保方さんのいったような方法で、全能性細胞の作製ができるようになるんじゃないかっていう期待を持たしてくれた意味でも、今回の騒動は勉強になったわ。
Posted by 通りすがりの化学者 at 2014年03月10日 00:22
管理人の提示したslashdotの記事の他に、Bradley et al. (2012) Stem CellsにおいてHSP90がOct4発現を制御するという報告がある。

slashdotのコメントで議論されているように、sublethalストレスで誘導されるということは確かにあるのかもしれない。

ただし、このOct4発現が即ち胚性の獲得かと言われると、そうも思えない。
何か別の機構で、細胞死のに働いているのではないかと。
Posted by c-Myc at 2014年03月11日 02:51
とうとう若山先生が、渡された細胞の由来を信じられないと言うことでNature取り下げを案を出しました。

前にも書きましたが、一連の流れは、
マウスES細胞の実験中のコンタミによると考えれば、NGSデータとも合致します。
何十回も実験して、数回か1回の成功は、それを意味しています。
数株同時平行でに培養していると、とり違い、コンタミは起こりえます。
人間がやることですから。
問題は、そのコンタミが、故意か過失かです。
ですから、生まれたキメラマウスのサンプルを第三者機関に出して解析してもらうことです。
それが出せないというなら故意と疑われても仕方ありません。
Posted by at 2014年03月11日 09:02
この科学的な考察が終了しても、マスコミによる批判は終了しないんだろうな、と思った。
Posted by 残念ながら at 2014年03月11日 16:34
紛らわしいからエントリ消して。発光はSTAP細胞と関係ありますか?全く関係ない。STAP細胞で検索して、あなたのブログが出てくるとイライラする。
Posted by さか at 2014年03月11日 19:11
> 発光はSTAP細胞と関係ありますか?全く関係ない。

 ちゃんと本項を読んでください。関係ある、と説明しているでしょ。その内容は、前の二項目で説明しています。
 赤字で強調してあるところぐらい、きちんと読んでください。
Posted by 管理人 at 2014年03月11日 19:18
stap細胞の一件、多くのずさんさで多い隠されたその陰に、実は本当に存在していた!という真実の結末を心待ちにしています。
Posted by むむむ at 2014年03月26日 16:13
私も何かあると信じています。
そうでなければ一流の科学者たちが
共著者になるはずが無い。
問題はマターにあって全体がまだ本当には
解明されていないのだとしか考えられない。
捏造って?何のために?
Posted by ふふふ at 2014年07月19日 06:42
それも一流の科学者が複数で結託して捏造するって、、、、よくそんな想像ができるな。人間を理解できてないというレベルじゃないのかな。マスコミってそもそも羽織ゴロツキってことなのかな。明治維新以来進化してないのかな。リプログラミングしてもらったら?
Posted by ふふふ at 2014年07月19日 06:46
管理人さんは判断を変えたのね。
小保方は英語もろくに読めず、英文の機械操作マニュアルが読めないレベルで、
検体はコンタミだったって、
英語出来ないとハーバードに留学できないし、
コピペも無理よ。日本人でも機械音痴は
日本語の取説読んでも操作出来ないでしょ。
検体がコンタミではないと言ったのは丹羽で、
自家蛍光ではないと言ったのは笹井であって、
小保方ではないよ。
まだわかりませんよ。
Posted by ふふふ at 2014年07月19日 07:41
管理人さん、週刊誌の読みすぎ。
日本のマスコミも異常にレベル低いから
信用しすぎちゃだめよ。井戸端会議並み。
Posted by ふふふ at 2014年07月19日 07:45
管理人さんは文科省の天下り先確保動機に気づくと週刊誌やマスコミ操作をしているのが誰か分かる。こんな大騒ぎになるお膳立てしたのは予算確保や新たなセンター創設という利権漁りのための本庁だときづかないと。

ひょっとしてあなたもそうかな。

まあ、それは冗談としても、これは文科省の勇み足でしょ。失態です。失態を隠蔽しようとして小保方たたきをやっているんです。
小保方が無能ならただ解雇すればいいだけでしょ。所詮期間契約雇用じゃないか。役人の猟官は大概にさせないと国を潰すぞ。チャンコロ、チョンと同じになっちまう。
Posted by ふふふ at 2014年07月19日 07:53
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