2014年03月08日

◆ STAP細胞は造血幹細胞か?

  STAP細胞は造血幹細胞(および他の血球)らしい、という見解が浮上した。 ──

 造血幹細胞というのは、赤血球や白血球をつくる幹細胞だ。ここから分化する形で、赤血球や白血球が生じる。


kekkyu.jpg
Wikipedia


 上の図から理解できるだろう。詳しくは Wikipedia を読んでほしい。

 で、この造血幹細胞が STAP細胞の正体ではないか、という見解がある。正確に言えば、造血幹細胞のほかに、他の血球も候補となる。
 詳しい話は、下記のコメント欄で議論されているので、そこで「造血幹細胞」を検索するといい。
  → STAP細胞の議論

 本来ならばここで詳しく解説するべきなのだが、私はコメント欄の応対で疲れてしまったので、ここには詳しい解説を示さない。各人が勝手に上記項目のコメント欄を読んで理解してほしい。

 ──
 
 さて。上記コメント欄を参照にして、私なりに考えると、次の可能性が浮かぶ。
 「 STAP細胞は、造血幹細胞と、他の血球との、混合物である。しかも、実験の際には、都合のいいところをつまみ食いしている」


 これだと、あらゆる結果(誤認を含む)を説明できるように思える。
  ・ 大量の Oct4陽性 を見たのは、他の血球を調べたから。
  ・ TCR 再構成があったのは、他の血球を調べたとき。
  ・ TCR 再構成がなかったのは、造血幹細胞を調べたとき。
  ・ キメラの作成は、造血幹細胞から多能性幹細胞をつくったから。


 これでだいたい、説明が付く。
 1〜3番目は、ただの誤認である。(分化したリンパ球ではなかった。)
 4番目は、(真実であれば)新規の大きな研究業績となる。理由は下記。
 生体内の各組織にも 成体幹細胞(組織幹細胞、体性幹細胞)と呼ばれる種々の幹細胞があり、通常は分化することができる細胞の種類が限定されている。例えば骨髄中の造血幹細胞は血球のもととなり、……

 分化全能性(Totipotency)とは、胎盤などの胚体外組織を含む、一個体を形成するすべての細胞種へと分化可能な能力を指す。受精卵(および数回の卵分割まで)だけが持つ、細胞系列の頂点に立つ分化能力である。刺激惹起性多能性獲得細胞(STAP細胞)は、全能性を持つことが示唆されているが、まだ実証されていない
( → Wikipedia

 受精卵以外で全能性をもつ細胞は、これまで見つかっていない。体内の幹細胞を含めて、そんな細胞はこれまで見つかっていない。今回の造血幹細胞が、特殊な処理をすることで全能性をもつようになったとすれば、それは新たな研究業績となるだろう。
( ※ 当初の「初期化」という発見は否定されるが、別の発見があったことになる。)

 ──

 以上ですべてが説明ができると思う。
 ただ、以上に述べたことが確認されたわけではない。特に4番目ははっきりと確認されたわけではない。
 ここではとりあえず、有力な仮説として示しておくにとどめる。



 [ 付記1 ]
 造血幹細胞とか他の血球とか、そういう可能性を指摘したのは、私ではない。他の人です。間違えないでください。

 私が前に述べたのは、「STAP細胞は、Muse細胞のような、他の幹細胞だろう」という説でした。
  → STAP細胞は Muse細胞か?
 本項で述べたことが正しいとしたら、上記の話もおおむね正しかったことになる。ただ、上記の話には、「その幹細胞は造血幹細胞だろう」とまでは指摘していない。
 とはいえ、コメント欄には、造血幹細胞の話も出ている。
 
 [ 付記2 ]
 幹細胞と他の細胞との混在だろう、という仮説は、少し前に提出した。
  → STAP細胞は修正された

 この説は、いったん否定的に評価したのだが、それを改めて、肯定的に評価することにする。(本項の見解を取れば矛盾がないので。)
posted by 管理人 at 21:32| Comment(17) |  STAP細胞 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
《 お断り 》

コメント欄には余計なことを書かないようにしてください。本項の内容とは無関係のことは書かないでください。
 
 状況によっては、本項のコメント欄を閉鎖します。また、無関係のことを書いた人は、コメント禁止の対象となります。
Posted by 管理人 at 2014年03月08日 21:41
打ち間違いかとおもいますが、

TRC再構成 ⇒ TCR再構成

ですね、T-cell-receptor ですから。

管理人さんも様々な立場、様々なレベル、的は射ていても異論、といったコメントに対しての応対にお疲れなのでしょう。
Posted by 通りすがりですが at 2014年03月09日 00:29
表題の「STAP細胞は造血幹細胞か」について
だけ議論していきましょう。
中立、様子見の見解をしているのですから、管理人さんに対して言う事はもう何もありません。ただ、結論がどう出ても「やっぱり自分が正しかった」なんてのはなしね。

さて、本題ですが、
元々「著者達がSTAP細胞と呼んでいたもの」に造血幹細胞が混入していて、それでキメラを作製したのではないかということですが、その場合酸でつけたり、刺激を与えるというのが全くの無意味な操作であったのでないかという疑問が出てきます。むしろ、酸でつけた結果、多くの細胞を殺してしまってますから、幹細胞を選別する方法として効率がいいんでしょうか。他にこの幹細胞を効率的に取り出す方法はあるんじゃないでしょうか。
唯一ポジティブな可能性が残るとしたら、こういった「外的刺激」によって、造血幹細胞が何かのメカニズムで、「初期化ではなく」色々な細胞に分化しやすくなる「分化の促進」が起こるってことですね。まあ、そうだとすると面白くはなるんだけど、当初の筋とは全然変わってしまうし、さらに解析してみないと現時点では何もわからない。

リンパ球から何かの幹細胞を抽出して胎盤に分化するキメラを作ったこと自体がすごいうというのはわからなくはないですが、そもそも1回しか再現していないので、それ以外の部分が現時点で何一つ確かなことが言えない現状では、業績とは言えない。若山さんには、再度再現してもらわないとね。
それにしても、1回しか再現してないのをよく論文にするよね。するにしても、その時の遺伝子解析とか、色々詳細なデータとっておくだろ、普通。研究者としての資質を疑うわ。
Posted by 通りすがりの化学者 at 2014年03月09日 01:45
> 酸でつけたり、刺激を与えるというのが全くの無意味な操作であった

 それは否定されています。酸につけないと失敗したが、酸につけたらうまく行った、と小保方さんが言っています。


> 1回しか再現してないのをよく論文にするよね。

 1回というのはどこから出てきたの? 複数回と書いてあるはずだけど。
 (1) 写真から見るとキメラマウスは何匹もいる。
 (2) 胚の分割時期の異なる実験をしている。
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 07:33
> 結論がどう出ても「やっぱり自分が正しかった」なんてのはなしね。

 造血幹細胞説が正しくても正しくなくても、「捏造ではなかった」という説は成立しそうなんですけど。言っちゃ駄目なの?
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 07:44
管理人の中で、捏造だった、が成立するのは
オボカタさんらが「捏造でした、ごめんなさい」
って言ったときくらいでしょう?
そんなことはありそうにないし、
それ以外は、ミスとか誤認とかになっちゃうんだから
HSCだろうがそうでなかろうが
どうやっても「やっぱり自分が正しかった」ってことに
なる流れなんですよ。
だから捏造論は管理人のいうところの本項には
関係ない事なんでここに書くべきでないし、
議論するだけ無駄。
Posted by というか at 2014年03月09日 08:35
> 管理人の中で、捏造だった、が成立するのは
> オボカタさんらが「捏造でした、ごめんなさい」
> って言ったときくらいでしょう?

 いや、緑色の画像がフェイク画像だったとか、キメラマウスが存在しなかったとか、試料のすり替えで若山さんをだましたことが判明したとか、……そういうふうに判明したら、捏造説の言う通りなので、私が間違っていたことになります。その場合には誤りを認めます。

 この件、これで終わり。
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 08:48
本項の公開に伴って、前出2項目の評価を「否定的」から「肯定的」に変更しました。

  → STAP細胞は Muse細胞か?
    http://openblog.meblog.biz/article/21235106.html
  → STAP細胞は修正された
    http://openblog.meblog.biz/article/21414835.html

 前者は「既存の幹細胞を誤認したものでは?」という仮説。その一つ前の仮説が否定されたのに伴って、この項目もついでに否定しましたが、この項目だけは否定する必要がなかったようです。

 後者は「一部だけに幹細胞が含まれていた」という仮説。「他の細胞でもTCR再構成がなかった」という報を受けて、いったん否定的に評価しましたが、混在する可能性が出てきたので、否定的評価を取り消します。

 ※ 以上の二つは、「否定されなくなった」という形で仮説として存在しています。実証されたのとは違います。あくまで仮説としてあるだけです。
 ※ 私としては、多くの仮説を出していますが、今のところ、特定の一つを支持しているわけではありません。ただ、現時点では、本項および上記2項目が正しそうだという心証を得ています。
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 09:01
いえ、
管理人さんと私との間で言えば、
STAP細胞は真実か?
というところですから、
管理人さんと私では私の勝ちになりそうです。
ただし、本項の四番目が正しければ、管理人さんの部分的勝利無いし引き分け。

私が宣言した時点では、管理人さんは誤認説を否定していますし、
捏造と誤認の判定なんて長引いて、決着つかないなんて当然想定範囲内です。
捏造ではなく誤認であったとは、証明なんてできないでしょう。理研も内輪には甘いかもしれないし。

本件に関しては、当初の管理人さんの洞察は通じなく、意見大幅に修正せざるを得なかったことは事実。
負けを認めて潔く
修正したのは偉い。
Posted by 通りすがりA at 2014年03月09日 09:31
捏造論の話は別項に書いてください。
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 09:54
>捏造論の話は別項に書いてください。

管理人さん、
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 07:44
のコメントで自分でふってますよ。
おちゃめですね・・
Posted by Linux万歳 at 2014年03月09日 10:57
まあ、別に誰かを批判しているわけじゃなくて、頼んでいるだけですから。
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 11:36
>それは否定されています。酸につけないと失敗したが、酸につけたらうまく行った、と小保方さんが言っています。

確かに無意味だという表現は間違っているかもしれない。ただ、「単に酸で選ばれた」というだけだったら、他に論理的に抽出するもっと良い方法があるのではないかという疑問が残るんですよね。たとえば、管理人さんが以前に紹介された、乳酸菌を入れて幹細胞を発現させる研究なんかの方が効率がいいんじゃないかなあと思ってしまうわけですよ。あれなんか、「ヒト」の細胞でやってるのに、natureどころか特別インパクトもないplos one雑誌にしか載ってない。

この操作そのものに「単に選別した」という以外の意味がないならば正直あまり面白くないような気がしますね。有用性はおいておいて。

>あと、幹細胞といっても、どこまで分化するかという「万能性」の評価は重要で、今回の場合キメラで胎盤作製までできているところがすごいわけです。それが何度もやって1回しか再現しない

ココの部分は私の間違いでした。1回しか再現していないと若山さんが言ったのは、STAPの作製の所ですね。何回も成功しているのに、なぜ同じ胎盤の写真を使いまわしたりしたのか疑問だけど。
あと、再現よく作製できるなら、できたマウスの遺伝子解析を行うべきだと思うよ。
Posted by 通りすがりの化学者 at 2014年03月09日 16:03
> 酸につけないと失敗したが、酸につけたらうまく行った、

 この件は、本日の項目(再現実験に成功したという記事)でも、報告されています。
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 16:09
思うんだけど、
STAP細胞という言葉の定義を考えると、STAPを
造血「幹細胞」っていっちゃいけないと思う。

タイトル変えた方が良くない?
胎盤に分化したのは、造血幹細胞か?
とか別の表現にした方が誤解がなくなると思うけど。
Posted by 通りすがりの化学者 at 2014年03月09日 16:32
別項でも示したように、造血幹細胞には多能性はありません。血球以外には分化できません。
Posted by 管理人 at 2014年03月09日 16:40
さきほどのコメントに関しては私の誤解が入っていたので訂正します。以後は、全能性、万能性、多能性と分けて表現した方が良さそうですね。
Posted by 通りすがりの化学者 at 2014年03月09日 21:41
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