2014年02月21日

◆ STAP細胞と細胞分裂 (原理・再現性)

 STAP細胞と細胞分裂とは、強く関係しているはずだ。原理や再現性の疑問も、これで説明できそうだ。 【 重要 】 ──

 STAP細胞は再現性があまりよくない。前述の通り。
  → STAP細胞の再現性

 ただ、これまでの情報(理研など)を見ると、STAP細胞の作成にはもともと条件があることがわかる。
  ・ 生後 10日間までの細胞に限られる。
  ・ 十分にできるのは、白血球などだけである。


 さらに、上記項目のリンク先における情報を参考にして、これまでの十分に作成可能な細胞を列挙すると、次の部位となる。
   皮膚細胞 ,白血球 ,脾臓


 このように部位が限定される。こういう限定は、iPS細胞には見られないことだ。ここに STAP細胞の特殊な性質があることが窺える。
    ( ※ なお、「捏造だ」という疑惑は、ここからも否定できそうだ。というのは、捏造ならば、「これこれの場合以外ではできません」というような限定条件を付ける必要はないからだ。)

 ──

 さて。この「皮膚細胞 ,白血球 ,脾臓」という部位を見ると、次のことが窺われる。
 「いずれも細胞分裂に関わる」

 具体的には、下記の通り。

 (1) 皮膚細胞

 ハーバード大の研究では、「ヒトの皮膚細胞からSTAP細胞と思われるものを作成した」という報告がある。(作成の真偽はまだ不明。)
 ここで、皮膚細胞というのは、しきりに細胞分裂をする組織である。(代謝にともなう。)

 (2) 白血球

 Natureに発表された論文に書かれていた STAP細胞は、白血球だった。
 ここで、白血球というのは、しきりに細胞分裂をする組織である。(代謝にともなう。)
 骨髄は血液に富み、あらゆる血球系細胞(赤血球、白血球、リンパ球、血小板のもとになる巨核球など)に分化できる造血幹細胞が存在する。
( → 骨髄 - Wikipedia
 成人の骨髄では毎日数千億個の血液細胞が作られるがその大元になっているのは、ごく少数の造血幹細胞である。造血幹細胞は細胞分裂すると一つは完全な自己複製された細胞となり、もう一つは血液細胞への分化の道をたどり始める。血液細胞への分化の道をたどり始めると造血前駆細胞となり盛んに細胞分裂をして数を増やしながら成熟した血液細胞へと分化・成熟していく。
( → 造血幹細胞ニッチ - Wikipedia

 (3) 脾臓

 前出のリンク先には、「ラット脾臓細胞で論文通りにやったらウェスタンブロットでOct4遺伝子が検出された」という話があった。
 ここで、脾臓というのは、造血をなすこともある組織である。
 骨髄で造血が始まるまでの胎生期には、脾臓で赤血球が作られている。生後はその機能は失われるが、大量出血や骨髄の機能が抑制された状態では再び脾臓での造血が行われることがある(髄外造血)。ラットやマウスでは出生後も造血が行われる。
( → 脾臓 - Wikipedia

 ここには非常に重要な記述が見られる。造血機能は、脾臓にはないのが普通なのだが、胎生期にはある。また、ラットやマウスでは出生後もある。……このことは、STAP細胞の作成の条件と重なる!

 ──

 以上のことから、次のことが推断される。
 「 STAP細胞の作成が十分になされるのは、細胞分裂によってできた組織である。特に、骨髄や脾臓に存在する赤血球・白血球が該当する」

 
 ではなぜ、細胞分裂が重要なのか? それは、次のことだろう。(私の仮説)
 「細胞分裂した組織とは、できたてのホヤホヤである若い細胞である。それは、胚の時期の細胞である ES細胞に似ている。それゆえ、ES細胞と同様の性質(多能性)を備えることが可能になりやすくなっている」


 ではなぜ、できたてのホヤホヤである若い細胞は、多能性を備えるのか? それは、次のことだろう。(私の仮説)
 「できたてであること自体は、多能性をもたない。ただし、できたての細胞になる途中(細胞の形成の途中)が問題だ。ここで、強いストレスを受けると、新しい細胞(細胞分裂でできる細胞)は、不完全となる。つまり、誕生後に特定の細胞になる過程が完遂されない」


 このことは、次のように言える。
 「細胞分裂は、ここでは(減数分裂でなく)体細胞分裂[有糸分裂]である。その際、DNA は、いったんほぐれてから、倍増して、それから娘細胞において固まる。この際、DNA がほぐれたあとで、固まるまでの過程が不十分になると、機能の特定化が失われる。つまり、多能性をもつようになる。こうしてできた娘細胞が、STAP細胞である」


 だが、あとで考え直したら、この仮説には少し難点がある。説明しよう。
 上の仮説では、
 「できる途中で、過程が不完全となった」
 と述べた。だが、これはありえないようだ。
 というのは、STAP細胞は、細胞分裂の途中でストレスをかけるのではなくて、細胞分裂が完了したでストレスをかけるのであるらしいからだ。
 つまり、いったん娘細胞ができたあとで、その娘細胞にストレスをかけることになる。だから、「細胞分裂の途中でストレスをかけるから、細胞分裂が未熟だった」という説明は、成立しそうにない。
 というわけで、上の仮説は、そのままでは成立しない。

 では、上の仮説はあっさり廃棄されるのか? いや、上の仮説を、少し書き換えれば済む。次のように。
 「細胞分裂がなされて娘細胞ができたあとで、DNA がはっきりと固まるまでには、ある程度の時間がかかる。その時間が終わらないうちであれば、細胞分裂の途中状態の余韻がまだ残っている。その時期にストレスをかけることで、DNAがはっきりと固まらない状態のままとなる」


 ──

 結局、こういうことだ。
 STAP細胞は、既存の古い細胞が変化したものではなくて、細胞分裂によってできた新しい細胞である。
 新しい細胞は、できる途中で、過程が不完全となった。そのせいで、機能の特定化を喪失した。つまり、未熟だった。その未熟さが、多能性と呼ばれるものだ。
 ただし、できる途中というのは、細胞分裂の途中のことではない。細胞分裂が完遂した後で、娘細胞の DNA が完全に固まるまでの短い期間のことだ。
 この短い期間においては、DNA がほぐれやすい状態にある。それゆえ娘細胞は、機能の特定化ができないまま、多能性をもつことが可能になる。(常にそうなるのではなくて、ストレスをかけられることで、いったんかたまりかけた状態がほぐれやすい状況に戻ってしまう。)
 つまり、STAP細胞における多能性というのは、何らかの新しい機能を獲得したものではなくて、本来果たされるべき機能が果たされなかったがゆえの、未完成さのことなのだ。(その未完成さが、STAP細胞の多能性である。)
 そして、そのことは、「細胞分裂したあとで、ほぐれた DNA がうまく固まらない」ということによってもたらされる。それが STAP細胞のできるメカニズムとなる。
 ……以上が私の仮説だ。
 


 [ 付記 ]
 この仮説によれば、STAP細胞それ自体には、特に増殖の機能はないことになる。
 増殖のためには、別途、別の仕組みを使うことが必要になる。その仕組みは、STAP細胞の機能とは別の仕組みだ。だから、STAP細胞を増殖させることは、「STAP細胞の機能を高めること」には該当せず、「STAP細胞とは無関係に、単に増殖のための特殊な仕組みを用いる」というだけのことだ。
 たぶん、そういうことだろう。(仮説)
 


 【 追記 】
 再現性が得られない多能細胞というものは、前にも話題になったことがある。
 iPS細胞は互換性の高い技術です。……他の多能性幹細胞技術(例えば、MAPC細胞; Jiang et al., Nature 2002)は、当時、大きなニュースとなりましたが、再現性と互換性が十分ではなく普及しませんでした。
( → iPS細胞とSTAP幹細胞に関する考察|京都大学 iPS細胞研究所

 MAPC細胞については、ググると情報が見つかる。
  → MAPC細胞 - Google 検索
 たとえばこれ。
 この細胞は骨髄細胞中の接着細胞を長期間培養して得られる幹細胞で,その多分化能はES細胞に匹敵することから,究極の組織幹細胞とよばれている.
( → 骨髄幹細胞の多様性と可塑性をめぐる謎

 ここでも「骨髄」という用語が出てきた。これは本項の趣旨にも合致する。
 一方、次の記事もある。
 MAPC(多能性成人前駆細胞)の存在は,発表以来相当騒がれましたが,その存在の確からしさについては議論となっていました。私も,このMAPCの検出を彼らの詳しいプロトコールも参照しながらこころみたことがありますが(骨髄ではなく臍帯血ですが),何度も試してもそれらしき多能性の細胞は出ませんでした。
( → 骨髄多能性幹細胞は捏造だったのか

 ここでは、骨髄のかわりに臍帯血を使って、否定的な結論を出している。しかし、臍帯血では駄目でしょう。そこにある血液(というより血球)は、できたてのものとは限らないからだ。

 本項では「細胞分裂」という概念に着目して、「できたての細胞」というポイントを指摘した。このポイントを理解すれば、骨髄や脾臓などにあるできたての細胞が大切だ、とわかるはずだ。そしてまた、臍帯血なんかで実験しても駄目だ、ということもわかるはずだ。
 さらにまた、「増殖能がないから駄目だ」というような発想は根本的に認識ミスをしている、ということもわかるはずだ。

 物事の原理をとらえるということは、とても大切なことなのである。それによって、「見当違いな実験をして否定的な結論を出す」という過ちを、避けることができる。
 


 【 関連項目 】

 「DNA がほぐれる」ということが多能性に結びつく、という話は、下記項目で述べた。そちらを参照。
  → STAP 細胞の原理は?

 その他、関連する項目については、カテゴリページを参照。
  → カテゴリ : 科学トピック

 細かな話題(捏造とか再現性とか査読とか)についてピンポイントで項目を探りたければ、ページ左側の検索欄で検索するといい。
posted by 管理人 at 20:29| Comment(1) |  STAP細胞 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あとで追記した分を、本文と一体化させて、書き直しました。
 話の趣旨は特に変わっていませんが、整理されて、読みやすくなっています。

 さらに、(これまでの追記を削除したあとで)、新たに別の追記を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2014年02月22日 07:15
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