STAP細胞の追試がなされたが、再現性がよくない。今のところ追試の実験は 10件中9件が失敗で、1件が保留(のちに否定された)という状況だ。
→ STAP細胞追試掲示板の感想ツイートまとめ
ここで、「新生児マウス脾臓細胞でないと駄目」とか、「マウスの6ヶ月のラットの脾臓ではウェスタンブロットでOct4の検出に成功したけど、マウス胎児線維芽細胞とヒトのリンパ球では失敗した」とか、そういうふうに条件を限定する話もある。
( ※ 最初の報道では、特に細胞を限定せず、多くの種類の細胞で STAP細胞ができる、という話だったが、そうではないようだ。)
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上記ページでは、「 STAP細胞ができる条件はかなり限定されているようだ」という話がある。
また、「実験プロトコル(実験の手順)の詳細を公開するよう、理研に求めているが、理研からは肯定的な回答が得られない」という話もある。
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ここで、私なりの考えを述べよう。(仮説)
「 STAP細胞ができる条件は、かなり限定的である。『ストレスをかければいい』という条件は、それ単独では成立しない。それ以外にも別途、必要な条件がある。では、その必要な条件とは? それは、温度管理である」
ここでどうして温度が出てくるか? それは、次の二点による。
(1) STAP細胞ができる条件は、DNA がほぐれることである。( → 前出 )
(2) DNA を増やす PCR法のキモは、温度の調整である。( → 前出 )
DNA を操作することについては、エピジェネティックスの方法が重要だ、としばしば言われる。STAP細胞の論文でも、そのことが示唆されている。
ただ、化学的にはエピジェネティックスであるとしても、エピジェネティックスをもたらす実験手法としては「温度管理」こそが重要だ、というのが私の直感だ。
実は、生物が胎児(胚)を育てるときには、温度がとても重要である。たとえば、鳥は卵を温めるが、単に暖めるということだけで卵は孵化する。ここでは温度が決定的に重要な条件となっている。そしてそれは、単に「体温保持」というだけでなく、遺伝子が作用する過程で温度が重要であることを示唆する。
したがって、STAP細胞を作成する過程でも、温度管理が重要であるはずだ。それも、かなりシビアな温度管理が必要であるはずだ。具体的には、37度ぐらいで、かなり厳密な温度管理が必要となるはずだ。
逆に言えば、その温度管理の仕方を突き止めることが、STAP細胞を作成するための条件となる。その条件を示すことで、STAP細胞の特許を構築することができそうだ。
[ 付記1 ]
理研の提出した特許情報では、単に「ストレス」とだけ条件付けられていて、温度などの付帯条件は記していない。これでは STAP細胞ができるための十分条件とはならないので、これでは特許は成立しないと思える。
そもそも、単に「ストレス」とだけ条件付けるのでは、すでに先発明があるから、これはもともと特許とならない。この件は、下記に詳しい。
→ 小保方晴子博士の「STAP細胞」特許出願は基本特許となるか?
※ 特許情報(公開されている)を得る方法も記してある。
[ 付記2 ]
Nature に掲載された STAP細胞の2つの論文(ArticleとLetter)が無償公開された。
→ http://t.co/GweL11skWn
→ http://t.co/SEx5AjxFtR
【 関連項目 】
STAP細胞の原理についての前出項目。
→ STAP 細胞の原理は?
→ STAP細胞の研究課題
→ STAP細胞と iPS細胞の統合
→ STAP細胞と iPS細胞の類似
本項以後の項目。
→ STAP細胞と細胞分裂 (原理・再現性) 【 重要 】
→ STAP細胞の再現性が低いわけ
【 関連サイト 】
→ STAP細胞の追試が成功しない本当の理由
※ 2ちゃんねる・まとめ。院生の見解。
“ なぜ追試が成功しないか。それは、実は理研などが
「本当のやり方を隠してる」からなんだ。 ”
※ 実は、この件は、「実験プロトコル」という用語で説明済み。
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→ STAP細胞の追試が成功しない本当の理由を教えてやるよ
※ 上記と同じ出典からのまとめだが、より詳しい。次の話がある。
捏造疑惑に関してのnatureの記事で、担当教授の若山さんがこれについて答えてる箇所がある。
(中略)
つまり、実際に小保方さんだけじゃなくて、理研の教授も「(私も疑ってはいたが)実際に自分の手でやってみてできた」ということを公の場で書いているんだ。
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次の紹介サイトの記事もある。
若山博士でさえ、結果を再現することは困難であったという。若山博士や彼の生徒は、小保方博士の指導の下、個別でSTAP細胞の再現を行ったが、山梨大学へ移動した後は一度も上手くいかなかったという。酸に浸すだけという、一見するととても簡単に見えるが、それほど簡単ではなかったという。
若山博士によると、山梨大学へと移動する前に自ら行った再現実験だけで、STAP細胞は信じるに足るという。また、STAP細胞はES細胞ですら実現していない胎盤組織への分化をも示していることから、幹細胞が入れ替えられたということもあり得ないだろうという。彼は自身で実験を行い、自身でそれを見ているため、小保方博士の成果は真実であるという。
論文が発表された後、何人もの研究者が著者に実験手法の詳細を尋ねようとコンタクトを取ろうとしたが、誰も返事は受けていないようだ。北京大学のHongkui Deng博士によると、著者はすぐに実験手法の詳細を公開するだろうという。Vacanti博士によると、実験を繰り返すことに彼自身問題はなく、小保方博士が手法の詳細を公開することにも異論はないという。そうすることで、いらぬ混乱を避けることができるだろう。
ネイチャー誌のニュースチームは、現在のところ小保方博士からの返信は受け取っていない。
( → STAP細胞は本物か?:科学ニュースの森 )
酵素の働く至適温度が重要という仮説のようですが、STAP細胞の性質上、どちらかというと温度が変わることによるpH変化の方が影響強そうな気が私はしますが。つまり酵素の働く至適pH。
まあ何れにせよ本当にSTAP細胞が存在する場合のはなしですね