本項で述べることは超重要だ。これを読んでさっさと実行すれば、ノーベル賞を取れることはほぼ確実だろう。
まず、仮説を示す。
「STAP細胞と iPS細胞が基本的には同一の原理による」
この仮説は、前出項目で示した。
→ STAP細胞と iPS細胞の統合
この仮説の核心は、次のことだ。
「多能性を獲得している状態では、DNA がほぐれている。DNA がほぐれている状態では、細胞分裂(体細胞分裂)が起こらない。ゆえに、増殖は不可能である」
ここまでは、すでに述べた通り。
──
ここで、私は新たに次の発想を得た。
「 iPS細胞でも同じ原理で多能性を獲得するとしたら、 DNA がほぐれているはずだ。ただし、そのために必要な条件は、 iPS細胞を作るために必要な四つの遺伝子ではない。なぜなら、四つの遺伝子は、多能性と増殖性の双方をもたらすからだ。換言すれば、四つの遺伝子のうちのいくつかは多能性のためにあり、いくつかは増殖性のためにある。そして、増殖性なしで多能性だけがあれば、それは STAP細胞と同等のもの(もしくは STAP細胞そのもの)であると言えそうだ」
たとえば、次のことが考えられる。
「四つの遺伝子のうちの三つは多能性のためにあり、一つは増殖性のためにある。このうち三つだけを注入すれば、増殖性のない iPS細胞(いわば不完全な iPS細胞)になる。これがすなわち、STAP細胞と同等のものである」
こうして、iPS細胞と STAP細胞は統合されることになる。
──
では、このことは実験的に証明できるか?
山中教授の方法では、証明できない。なぜなら、山中教授の方法は、「シャーレで細胞のコロニーを作る」という方法だからだ。この方法では、単一の細胞がコロニーを形成するまで増殖させることが必要だ。増殖なしには、iPS細胞を確認できない。ゆえに、「 増殖なしの iPS細胞(不完全な iPS細胞)」というものは、見出しえないのである。
しかしながら、小保方さんの手法を使えば、このことは証明できる。なぜなら、STAP細胞はもともと増殖能力を持たないがゆえに、「増殖機能のない多能性細胞」というものを確認することがすでにできているからだ。その手法を用いればいい。
( ※ 小保方さんの実験では、「増殖機能のない多能性細胞」が STAP細胞と呼ばれる。「増殖機能のある多能性細胞」は、STAP幹細胞と呼ばれる。 → 理研のページ )
──
だから、次の実験をすればいい。
(1) 山中さんの手法で、iPS細胞を作るが、四つの遺伝子のうちの1〜3個だけ(もしくは化学物質だけ)によって、「不完全な iPS細胞」(増殖性なし)をつくる。
(2) この「不完全な iPS細胞」(増殖性なし)について、STAP細胞と同等の多能性をもつことを確認する。
(3) 「不完全な iPS細胞」(増殖性なし)が STAP細胞とまったく同じものであることを、さまざまな実験によって確認する。
以上のうち、(1)(2)は、比較的容易だろう。すでになされた実験を真似するだけで済む。特に、小保方さんならば、お茶の子さいさいだろう。
(3) の実験は、研究者の創意が必要だ。その創意しだいで、他者と差別化できる。
こうして、STAP細胞と iPS細胞の統合が実現できれば、それはノーベル賞級の大発見となる。ノーベル賞をもらえるだろう。(たぶん小保方さんと折半する。)
[ 付記1 ]
小保方さん自身の認識では、STAP細胞と iPS細胞の統合はありえないことになっている。まったく別のものだということになっているからだ。
STAP現象の発見は、細胞の分化制御に関する全く新しい原理の存在を明らかにするものであり、……
STAPは全く新しい原理に基づくものであり、例えば、iPS細胞の樹立とは違い、STAPによる初期化は非常に迅速に起こります。iPS細胞では多能性細胞のコロニーの形成に2〜3週間を要しますが、STAPの場合、2日以内にOct4が発現し、3日目には複数の多能性マーカーが発現していることが確認されています。
( → 理研プレスリリース )
このように「全く新しい原理」という認識をしている。
しかし、表面上はそのように見えても、その背後には共通する原理がひそんでいるはずだ、というのが、私の推定だ。
私の考えでは、STAP細胞と iPS細胞は、単に増殖性の有無という違いがあるだけであって、多能性の基本原理は同一だ、というふうになる。
そして、多能性の基本原理とは「 DNA がほぐれることだ」というふうに推定する。
これが私の考えだ。
[ 付記2 ]
STAP細胞には増殖性がない。このことは、次の話とも関連する。(若山教授のインタビュー記事)
キメラマウスを作るには、マウスの胚に候補の細胞を注入して育てる。ES細胞などでは、細胞の塊を酵素処理し、ばらばらにして使うのが普通だが、その手法では STAP細胞はさっぱり胎児にならない。失敗続きだった。
共同研究を始めて1年半たったころ、手法を変えた。細胞の大きな塊を単細胞にばらさず、20〜30個程度の小さな塊にして注入する方法だ。刃渡り1ミリの極小メスを顕微鏡で見ながら操作して切り分ける。細胞工学初期の60年代の技術だが、切り分けるのも注入も難しい。僕はその技を身につけていたからできた。
すると、いきなり成功。体に取り込まれた STAP細胞が緑色に光るマウスの胎児を見ても、すぐには信じられなかった。
( → 朝日新聞 2014年2月6日 )
細胞をばらばらにして使ったのでは、実験は成功しなかった。なぜか? バラバラになった単独の細胞は、増殖性をもたなかったからだ。
一方、20〜30個程度の小さな塊にして使ったら、実験は成功した。なぜか? たぶん、STAP細胞のまわりにある一般の細胞から、STAP細胞を生かすための栄養補給などがなされていたからだろう。
STAP細胞は、DNA がほぐれた時点で、細胞としてのまともな機能性を失っている。だから STAP細胞単独では、まともに生きることができないのだ。STAP細胞が生きるためには、何らかの補助的な助けが必要となる。その助けを与えるものが、まわりの細胞( STAP細胞でない細胞)だ。
なお、STAP細胞がばらばらであっても、副腎皮質刺激ホルモンを含む特殊な培養液のなかではうまく生きることができる(さらには増殖性を獲得する)。このことも、いくらか関連しているように思える。
【 注記 】
本項で述べたことは、この分野の研究者のための示唆的なアイデアです。あくまで実験のテーマを示すものであって、真実性は判明していません。
本項を読んで、「新しい事実が発見された」などと勘違いしないように。そう思う人は、そそっかしすぎる。
……ま、こんなことは、いちいち書くまでもないのだが、本サイトに来る人には、そそっかしいせいか、やたらと勘違いして文句を言う人がいる。
そこで、「本項で述べたことは事実でも真実でもない」「これはただの仮説と実験課題であるにすぎない」と注記しておきます。あまり期待過剰にならないでください。
予想される誤読:
「これをやればノーベル賞を取れるという証拠を示せ!」
そういう文句を言う人には、こう答えておきます。
「取れません。あなたがノーベル賞を取れないことは、絶対確実です。私が保証します」 (^^);
山中先生と理化学研究所は網膜の増殖でタッグを組んで居られたはずなんで、STAP細胞についても良い流れになりそうです。
仮説に対して、なぜそう思うんだ、ソースを示せというツッコミがあれば愉快です。