2014年02月05日

◆ STAP細胞と iPS細胞の統合

 STAP細胞と iPS細胞は、究極的には統合されるかもしれない。 【 重要 】 ──

 STAP細胞と iPS細胞は、別々のものだと思われている。
 しかし、突き詰めていくと、両者が初期化する原理は同一である可能性がある。つまり、同じ現象が、条件しだいで異なる現れ方をしているだけだ、ということだ。
 この意味で、STAP細胞と iPS細胞は、究極的には統合されるかもしれない。

 ──

 これはどういうことか? まず、次の知見を見るといい。

 (1) iPS 細胞は、四つの遺伝子の注入によって、細胞が初期化した。しかしこの四つの遺伝子は、必要条件ではない。その後、遺伝子数をさらに減らすことができた。また、別の化学物質で代替されるようにもなった。最終的には遺伝子なしで、化学物質だけで化学物質が可能になった。
  → 化学物質だけでiPS細胞を作る! 遺伝子導入なしに成功
  → iPS細胞:「遺伝子なし」で作成…米独チームが新手法
  → とうとう遺伝子導入を必要としないiPS細胞が作られた
  → がん原因遺伝子の働きなしでES細胞の多能性を維持する仕組みを発見

 (2) STAP細胞は、現時点では生後十日間の壁があるが、原理を解明することで、その原理をもたらす化学物質を使えば、生後十日間の壁を突破できそうだ。
  → STAP細胞の研究課題 (前項)

 以上の二点から、「両方とも化学物質によって初期化が可能になる」と見込まれる。それぞれの化学物質が同一である保証はないが、化学物質が同一の作用原理をもつとすれば、初期化は同一の原理によって起こることになる。
 
 以上のことから、次のことが推定される。
 「細胞が初期化する原理は、同一である。ただし、初期化を発現させる過程には、いろいろとある。
  ・ 山中による、癌遺伝子4つの注入 (iPS細胞)
  ・ 化学物質の注入 (iPS細胞)
  ・ 過酷環境における細胞の自己変質 (STAP細胞)

 これらは、いずれも方法は異なる。しかしながら、そこに働く原理は同一である可能性がある」

 これは仮説だが、この仮説が正しければ、非常に重要な成果だと言えるだろう。(ノーベル賞は確実?)

 ──

 以上の推定を裏付ける事実が、一つある。次のことだ。
 理研が開発した副腎皮質刺激ホルモンを含む多能性細胞用の特殊な培養液を用いることでSTAP細胞の増殖を促し、STAP細胞からES細胞と同様の高い増殖性(自己複製能)を有する細胞株を得る方法も確立しました(図7)。この細胞株は、増殖能以外の点でもES細胞に近い性質を有しており、キメラマウスの形成能などの多能性を示す一方、胎盤組織への分化能は失っていることが分かりました。
( → 理研プレスリリース(STAP細胞)

 STAP細胞は増殖性がないが、特殊な液体にひたすことで増殖性を得るようになった。と同時に、胎盤への分化能力を失っており、ES細胞とそっくりになった。

 このことからして、STAP細胞からES細胞は、一定条件下ではほとんど同様のものになっていると推定される。機能が似ているだけでなく、物そのものが本質的に(ほぼ)同等のものになっていると推定される。
 つまり、STAP細胞とES細胞は、一定条件下では統合されることになる。

 とすれば、次の3種類は、すべてそっくりだ、ということになる。
  ・ ES細胞
  ・ iPS細胞
  ・ STAP細胞


 これらが初期化する原理は、いずれも同一なのだろう。
 ただし、その原理を阻害する要因が、いくらか異なっている。
 逆に言えば、初期化を阻害する要因としては、いくつもの要因が絡み合っている。そして、そのいくつかの要因を取り除くための経路が、それぞれの種類(3種類のどれか)ごとに異なっている。そのせいで、それぞれの種類ごとに、異なる発現の仕方となる。

 たとえば、阻害する要因として、Z,Y,X がある。そして、3種類においては、次のように要因が働く。
  ・ ES細胞   …… Z
  ・ iPS細胞  …… Y
  ・ STAP細胞 …… X


 ES細胞では、うまく初期化できたときには、阻害する要因がまったく働かないのだが、一定の条件下では、阻害要因 Z が働くので、胎盤への分化能力を失う。
 iPS細胞では、うまく初期化できたときには、阻害する要因がまったく働かないのだが、一定の条件下では、阻害要因 Y が働くので、細胞が癌化する。(【 追記 】を参照。)
 STAP細胞では、うまく初期化できたときには、阻害する要因がまったく働かないのだが、生後十日間の壁ができると、阻害要因 X が働くので、初期化できなくなる。また、阻害要因 W が働くと、増殖ができなくなる。ただし、増殖できなくなるときには、胎盤への分化能力を獲得できている。

 ──

 こうしてみると、この3種類のそれぞれには、それぞれ別個の阻害要因が働いていることになる。そして、その阻害要因をまったくもたない究極の初期化の状態というのが、別に考えられることになる。
 では、究極の初期化の状態というものは、成立するか? 私の考えでは、こうだ。
 「究極の初期化の状態は、モデル的には成立するが、現実的には成立しない。現実的には、ある状態から別の状態へ、というふうに遷移することで、複数の初期化のすべてを獲得できるが、一つの時期ですべての初期化の状態を獲得することはできない」
 その理由は、次の通りだ。

 ──

 STAP細胞では、うまく増殖ができない。それは、なぜか? 私見では、次のことが考えられる。(仮説)
 「多能性を獲得している状態では、DNA がほぐれている。DNA がほぐれている状態では、細胞分裂(体細胞分裂)が起こらない。ゆえに、増殖は不可能である」


 換言すれば、こうだ。
 「 STAP細胞が増殖するためには、ほぐれた DNA がふたたび固まる必要がある。そのためには何らかの作用(化学物質の作用など)が必要だ。このとき、ほぐれた DNA が固まると同時に、多能性を失う。多能性を発揮するには、増殖したあとで、ふたたび DNA がほぐれる必要がある。とはいえ、そこには、何らかの制限ないし限界ができそうだ」

 これは仮説だが、このような状況になっているのかもしれない、と推定できる。

 ──

 ともあれ、ES細胞と iPS細胞と STAP細胞には、何らかの共通の原理が働いていると推定される。その原理を解明することが、非常に重要である。
 その原理を解明するときに、「これらには共通の原理がある」とメドを付けておくと、その原理の発見が容易になるだろう。
 そして、この原理をうまく発見できれば、ES細胞と iPS細胞と STAP細胞を統合することができる。
 これをうまく解明すれば、ノーベル賞級の新発見となるだろう。
( ※ 一つの細胞についてだけ原理を解明しても物足りないが、三つに共通する原理を解明すれば画期的である。)
 


 [ 付記 ]
 研究をするとき、やみくもに手当たり次第に研究をしても、うまく大発見ができるとは限らない。
 一方、探しているものがどういうものであるか、おおまかに見当が付いていれば、大発見もしやすくなる。
 そういう意味で、「何を発見するべきか」という指針を、本項は与えることになる。あるいは、「新発見の予想」と言ってもいいだろう。
 
( ※ 本項の内容は、多くの人が意識化で漠然と想像していたことかもしれない。しかしそれをはっきりと言語化して指摘した、という点に、本項の意義がある。)
( ※ なお、小保方さん自身の予想は「iPS細胞と STAP細胞はまったく別の原理による」ということだ。これはまあ、常識的な発想だろう。とはいえ、現時点では、原理は判明していないから、どれが正しいかはまったく不明である。)
 


 【 追記 】
 iPS 細胞の癌化については、はっきりとしない点が多い。
 癌化は、注入する癌遺伝子に由来するので、癌遺伝子でない化学物質を使えばいい……と思われたのだが、この方法だと、増殖の効率が著しく低下する。その意味で、癌遺伝子と増殖とは、きわめて密接な関係があるようだ。
 その一方で、次の方法も開発されている。
  ・ c-Myc のかわりに Glis1という遺伝子を加える ( → Wikipedia
  ・ 特定のマイクロRNAの働きを抑える ( → 産経

 これらの方法で、癌化と増殖の問題は、かなり解決しつつある。つまり、癌化と増殖をかなり切り離すことに成功しつつある。
 ただ、これらの方法は、「いろいろ試してみたら、たまたまうまく行くのが見つかった」という感じに近い。原理がどうなっているのかは、さっぱりわかっていないようだ。
 癌遺伝子と増殖の関係については、根源的に原理を追及する研究が必要だと思える。その際、「癌とは細胞が異常に増殖する現象だ」という基本を理解しておくべきだろう。
 
( ※ コメント欄の3番目に、続報がある。京大の新しい研究。 2014/02/14 )
posted by 管理人 at 20:36| Comment(3) |  STAP細胞 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2014年02月05日 21:44
本項に似た趣旨の話がある。本項のパクリに近い感じだが。
 → http://blogos.com/article/79894/
   by 大隅典子  at 2014年02月08日 09:51
Posted by 管理人 at 2014年02月09日 11:09
iPS細胞と癌について、新たな研究成果が出た。
 以下、引用。

 ──

 がんは遺伝子の変異によってできるとされるが、遺伝子の働きを制御する仕組み(エピゲノム)が変化した場合もがんになることが、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使ったマウスの実験で分かった。
 がん細胞とiPS細胞は、無限に増殖する点が共通している。研究グループは、体の細胞が「初期化」され、さまざまな組織に変化するiPS細胞を作る過程では遺伝子が変異しない点に着目。初期化が不十分だった場合に、がんができるかどうか調べた。
 抗生物質の一種を投与すると、体内で遺伝子が働いて細胞が初期化されるマウスを作製。28日間投与を受けたマウスでは細胞が初期化されiPS細胞ができたが、投与を7日間でやめたマウスは腎臓や肝臓、膵臓(すいぞう)などに腫瘍ができた。腎臓の腫瘍は小児腎臓がんとよく似ており、エピゲノムが一部変化していたが、遺伝子に変異は起きていなかった。
 → http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140214-00000019-jij-sctch

 ──

 詳細は、京大のサイトにある。
  → http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140214-2/

 ──

 ざっと見たところ、「iPSの四遺伝子を注入したが、初期化が不十分な時点でやめたら、癌ができた」ということのようだ。
 
 この研究は、私の推察(本文)とかなり一致している。ただ、私の推察は、「四遺伝子のうちのいくつかだけが増殖で、いくつかだけが多能性」というものだった。そういう形での「不完全さ」を指摘した。
 一方、今回の研究は、「時間的な意味での不完全さ」を指摘している。
 詳細はまだよくわかっていないが、このように、「iPS細胞を作る途中での不完全な状態」というのは、私の述べたアイデアと同じだ。それはまた、STAP細胞とも部分的に重なる。いずれにせよ、興味深い。今後の研究は、このあたりが最前線となりそうだ。
Posted by 管理人 at 2014年02月14日 12:48
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