2014年02月04日

◆ STAP細胞の研究課題

 STAP細胞の研究課題は何だろうか? ざっと整理してみる。 ──

 STAP細胞の研究課題については、「こんなものだろう」と考えている人が多いだろうが、概念を整理する形で、はっきりとまとめてみよう。学問の進歩の一助になれば、というつもりで、私なりに整理してみる。

 まず、すでになされたことは、次のことだ。
 「 STAP細胞という現象が現実に存在すること」
 これは小保方さんの実験によってほぼ完璧に証明されたといってもいい。これ以上、やることがあるとしても、補足的なことにすぎないので、たいした意味はないだろう。
 また、追試もなされるだろうが、技術的に難しいこともないので、あちこちで追試がなされるだろう。ただ、それもたいして意味はない。(別に新規の事実が発見されるわけではない。)

 では、研究課題は何だろうか? 私としては、三つ思い浮かんだ。次の三点だ。
  ・ 原理の解明
  ・ 期間の延長
  ・ 増殖の推進


 これらについて、順に説明していこう。


 (1) 原理の解明

 STAP細胞の原理については、今のところ、何もわかっていない。だから、原理の解明を進めることが大切だ。
 原理については、いきなり証明する形にはならない。では、どうするか? 
   仮説を立てる → 仮説を立証する( or 否定する)

 という形で原理を解明していくことになる。
 では、仮説は? 今のところ、仮説らしいものとしては、次のものだけがある。
  → STAP 細胞の原理は?
 ここで記されているように、「多能性の獲得」の理由は、「DNA がほぐれること」というのが有力だ。(仮説)
 そこで、この仮説を立証したい。次の形の研究が望まれる。
  ・ 弱酸性下 で DNA がほぐれていることを、確認する。
  ・ DNA がほぐれる原理を探る。



 (2) 期間の延長

 STAP細胞 については、次の限界が知られている。
 「マウスにおいては 生後十日間まで」

 猿についてはまた別の事情にあるのだろうが、少なくともマウスについてはこのような限界が知られている。
 そして、このような限界が、STAP細胞の実用化を著しく阻害している。たとえば、次の限界がある。
 「高齢者のハゲを治療しようとしても、高齢者の細胞は STAP細胞にはならない」

  ( ※ 高齢者は、生後十日間をはるかに超えているから。)
  → STAP細胞でハゲを直す
 そこで、(再生医療の)実用化のためには、「生後十日間まで」という限界を何とかして突破したい。
 これが研究課題となる。
 
 では、この課題を解決するには、どうすればいいか?
 ここで重要なのが、上の (1) の「原理の解明」だ。原理を解明することで、「いかにして DNA がほぐれるか」という問題が解決するかもしれない。もし解決すれば、さらに、次のことが実現しそうだ。
  「 DNA をほぐすための人工物質を合成する」

 このような人工物質ができれば、普通の細胞の DNA をほぐすことができるようになるだろう。(生後十日間に限らず、いつでもほぐすことができるだろう。)そうすることで、細胞が多能性を持ち、STAP細胞になる……という道が開けそうだ。
 実際にそううまく行くかどうかはわからないが、とりあえずは、その道を探ってみると良さそうだ。
 こうして、これもまた研究課題となる。


 (3) 増殖の推進

 上の (2) で述べたこと(期間の延長)は、もしかしたら、うまく行かないかもしれない。つまり、大人の細胞は決して STAP細胞にはならないかもしれない。(その可能性もある。)
 では、もしそうだとしたら、STAP細胞の実用化はまったく不可能なのだろうか? 
 いや、実は、うまい方法がある。

 すでに iPS細胞では、「国際iPS細胞バンク」計画というものがある。
 再生医療などに使う拒絶反応を起こしにくい人工多能性幹細胞(iPS細胞)の各国の備蓄状況を一括管理し、国境を超えて使用できるようにする「国際 iPS細胞バンク」計画が、15日明らかになった。
 計画によると、各国の研究機関などが、患者へ移植しても拒絶反応を起こしにくいタイプの白血球型(HLA型)の提供者から iPS細胞を作製・備蓄し、それらの細胞のデータを「国際バンク」が一括管理し、必要なタイプの iPS細胞を検索したり取り寄せたりできるようにする。
( → 毎日新聞 2014年01月16日

 これは iPS細胞についてのものだが、同様のものを STAP細胞でも用意するといい。そうすれば、成人の STAP細胞を使うかわりに、生後十日間までの赤ん坊の細胞から STAP細胞を取り出すことができる。
( ※ 別に赤ん坊の細胞を取り出す必要はないだろう。胎盤や臍帯血(さいたいけつ)を利用すればいい。
 実は、白血病の治療のために、臍帯血バンクというものがすでにできている。だから、これを利用すればいい。新たに制度を設立する必要はなく、既存の制度を少し変えるだけで済むだろう。

 ただし、注意することがある。臍帯血バンクで細胞を集めることは可能だが、それを大量に利用することはできない。だから、そこで得た少量の細胞から、少量の STAP細胞を作成したあとで、その STAP細胞を増殖することが必要となる。
 ここでは、「STAP細胞を増殖する」ということが、非常に重要な課題となる。実を言うと、これが現在のところ、最大の研究課題だと言えそうだ。
 現実には、非常に高価な試薬を使うことで、少しだけ増殖ができているが、もっと安価な試薬を使って、大幅に増殖をすることが、望ましい。
 現在は、とりあえず試行錯誤で見つかったという方法を取っているが、今後はより効率的な方法を探る必要があるだろう。そして、それこそが、STAP細胞の実用化の最短の道だ。こここそが、喫緊の課題となるだろう。

 さて。以上の話を読んで、読者は「なるほど」と思っただろうか? それとも「くだらない」と思っただろうか? そこで、あなたの科学センスが分かれる。
 実は、あとで調べてわかったのだが、上記の「増殖する」という研究課題については、私が書くまでもなく、小保方さんがすでに自覚して実行している。
 というのは、先の Nature の発見論文といっしょに発表された別の論文に、そのことが書いてあるのだ。
  → Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency (有料)
   ※ ブラウザで読めないときは再読み込みするといい。


 この論文を見ればわかるように、小保方さんはすでに増殖の研究に邁進しているようだ。とっくに先行している。現在ではかなりの水準まで進んでいると推定される。(だけど秘密にしているのだろう。)
 他の人は、かなり遅れたところから、キャッチアップのための研究をすることになる。とはいえ、追い越すことは、不可能ではあるまい。今はまだ、ヨーイドンから、あまり時間がたっていないからだ。100メートル競争で、小保方さんは 20メートルぐらい先行しているが、あと 80メートルで追い越すことは不可能ではない。ウサイン・ボルトみたいな高い能力の持主であれば、追い越すこともできるかも。(とはいえ、小保方さんは、並みの素人じゃなくて、相当に高速の走者だから、追い越せないかも。)
 というわけで、この分野で研究がどう進展するかは、興味津々である。
 私としては、外野から面白がって観戦するにとどめよう。



 [ 付記1 ]
 この分野では、日本は非常に有利な状況にある。というのは、STAP細胞は、日本では大々的に報道されたが、海外ではたいして大きく報道されていないからだ。海外では、iPS細胞はものすごく評価されているし、実用化に向けてもどんどん研究が進展しているが、STAP細胞については、海外の人はあまり重視していない。大騒ぎしているのは、日本人だけだ。
 たとえば、 twitter で「 STAP cell」という英語で検索してさえ、引っかかるツイートは日本語のツイートが大半である。英語でツイートしている人はあまりいない。なお、日本語で「 STAP細胞」を検索すれば、日本語のツイートはその何十倍もある。
 また、世界の科学者に聞いた調査でも、日本人科学者の 75%は STAP細胞を信じているのに、英米では STAP細胞を信じている人はほとんどいないと判明した。
  → STAP stem cell poll

 こういう状況であるから、少なくとも人材の面では、日本は圧倒的に先行できる。
 さらに、資金面でも、政府が資金を投入することで、圧倒的に先行することが可能だろう。ただし、そのためには、次の二点が重要だ。
  ・ 政府が巨額資金の投入を表明する。( iPSの場合と同様。)
  ・ 巨額資金の受け入れをする専門機関を設立する。( iPSの場合と同様。)


 iPS の場合には、京都大学iPS細胞研究所が設立されて、山中伸弥さんが所長に就任した。
 同様に、STAP細胞については、専門の機関を設立して、小保方さんが所長に就任するべきだろう。

 以上の二点が実現すれば、日本は STAP細胞で圧倒的に先行することが可能となる。その重要性を、本項では指摘しておく。

 [ 付記2 ]
 「 STAP細胞の研究推進のために、各人が寄付しよう」
 という提言がある。
  → STAP細胞と小保方さんは日本を変えうる - むしブロ
  → STAP細胞で注目の理研、Webから寄附の申し込みできますよ
 これは、善意の提案であるが、ほとんど意味はない。なぜなら、個人の寄付なんか、たかが知れているからだ。スズメの涙にすぎない。無意味なほどの微小な額にしかならない。
 そもそも、国にとって必要な研究費は、個人レベルの寄付なんかでまかなうべきではないのだ。国家レベルの課題は、国家自身が解決するべきなのだ。

 では、国は、そのための資金を、どうやってひねり出すか? 簡単だ。浪費をなくすだけでいい。具体的には、次の二点だ。

 (1) 震災の無駄をやめる

  → サイト内検索
 これを見ればわかるように、震災の復興費は 19兆円。そのうち3分の1ぐらいは無駄な金である。たとえば、防潮堤というのは、被害を減らすどころか被害を増やす効果があるだけなのに、1箇所あたり数百億〜二千億円ぐらいの金がかかっている。そういう無駄が、たくさんある。積もり積もって、数兆円の無駄が発生している。

 (2) 公共事業費の無駄をやめる

 安倍政権になってから、道路建設などの公共事業費がやたらとふくらんでいる。
   → 「凍結」の国道予算、膨張 安倍政権で加速、10年度の8倍
 ここでも、一つの問題ごとに千億円ぐらいの金が無駄に吹っ飛んでいる。そういうのがいくつも合わさると、兆円規模になる。こういう無駄をなくせばいいのだ。
 で、そのあとは? そこから兆円規模の金を取り上げるか? いや、その必要はない。STAP細胞の研究費に必要なのは、年間で十億円単位の金で済む。年間で百億円になることはない。無駄に比べれば、はるかに小さな金で済む。そのくらいの金を、STAP細胞に投入すればいいのだ。
 一方、個人が寄付をしても、たかが知れている。全国でやっても、よくても千万円だろう。その程度の金しか、集まりそうにない。そんなものに期待しても仕方ない。
 なすべきことは、国家が金を投入することだ。

 とりあえずは、「新国立競技場」の建設をやめればいい。それで、2000億円の費用を削って、800億円で済ませればいい。
  → 新国立競技場の問題点と代案
  → 新国立競技場を無料で

 で、もしそうすれば、1200億円の金が浮く。その金があれば、毎年 10億円でも 120年分もの金となる。これを STAP細胞の研究費に投入すればいいのだ。
 これこそが賢明なやり方だ。「寄付しよう」なんて思うのは、あまりにも愚直すぎる。そんなことをして金を寄付しても、結局は、回り回って、建設業者の公共事業費を増やすための金に化けてしまうだけだ。そのまた一部は、自民党の選挙資金へ。
 


 [ 余談 ]
 Nature の論文は、ひとつ 3300円。二つで 6600円。まったく、がめついよね。自分で書いた論文でもないくせに。人のふんどしでボロ儲け。
 だから理研が自分で無償公開するべきなんだよ。その方がずっと人類のためになる。
 どうせなら、日本語で公開した方がいいかも。外国人には読めないようにしちゃえ。どうせ外国人は STAP細胞をろくに信じていないんだから。
 英語版を公開するのは、1年後でもいいさ。
posted by 管理人 at 22:36| Comment(5) |  STAP細胞 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
管理人さん 小保方さんに惚れましたね

 それを抜きにしても 管理人さんのこの件に対する意見 見解  専門バカをはじめとするアホたちと違って ごく素直な感じ 受けます 

 真摯な性質 そのまま 出てますよ  いいです
Posted by k at 2014年02月05日 00:15
効果なし薬→高価な試薬 訂正を
Posted by 愛読者 at 2014年02月05日 06:57
ガラス細管を通過する物理的ストレス、毒薬による化学的ストレス、その中で酸性環境ストレスが最大の効果を発揮したんですよね。
すると、細胞内にストレスによってDNAを解きほぐす化学物質を分泌するメカニズムがあると考えられますね。それは酵素のようなタンパク質なのか、酵素をそのように変異させる化学物質(ホルモン?)なのかもわかりませんが、原始的な単細胞生物程それを仮にSTAP因子(仮)とするとそういうものを分泌しやすいのでしょう。
進化の過程でSTAP因子(仮)発動をロックするメカニズムが生じた。今回はそのロックを解くキッカケがストレスであることが分かった。
次は鍵か、STAP因子(仮)そのものなのか、誰が見つけるのか、この考えを凌駕する素晴らしいメカニズムなのか、ワクワクします。
Posted by 京都の人 at 2014年02月05日 08:02
最新の英文情報。

http://p.tl/jqX1  → Vacanti 教授へのインタビュー
http://p.tl/QHd4  → 各種レポート。
Posted by 管理人 at 2014年02月05日 19:33
以下は、管理人様に伝えたい私の感想であって、非表示を承知で、かつ、記事が関係している内で、なるべく古い記事にコメントします。研和から面白い現象が幾例か出たようですが、1)DNAがほぐれることと、pHとは深い関係があるだろうと考えています。ヒストンは塩基性タンパクですし、精子の頭部内ではDNAはスペルミン、スペルミジンなどのポリアミンと共に存在します。好酸好熱古細菌もボリアミンを持っており、中には第四級アンモニウムイオンまで作る種もいます。2)温度はDNAのほぐれ具合ではなく、細胞膜の硬さを規定するうえで決定的な要素になると考えています。細胞骨格をSEMやAFMなどで見る際に細胞膜を界面活性剤で洗い落とすという手法があるのですが、細胞膜を洗い落として細胞骨格の形状まで壊さないようにするためには、それこそ自分でも気づかないような微妙なさじ加減が必要でした(私の学部の卒研での感想)。3)細胞死の過程や修復の過程で何が起きているのかという地味な研究成果を今後待ちたいと思います。では、失礼いたします。
Posted by Jackopoid at 2014年04月11日 04:56
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