2014年01月27日

◆ うどん発電は無駄だらけ

 うどんが大量に廃棄されている。それを利用して発電すれば、無駄がなくなるので、いいことずくめ……と思える。しかし実は、無駄だらけだ。 ──

 廃棄されたうどんで発電すれば、無駄がない……という趣旨の特集記事があった。(読売新聞・朝刊 2014-01-27 )
 この記事はネットにないのだが、同趣旨の記事が見つかる。
  → うどん発電、うどん県で始めます 朝日新聞デジタル
  → 香川県の「うどん発電」が本格稼動 - 週刊プレイボーイ
  → 温暖化に挑む:うどんかすを資源に - 毎日新聞

 なるほど、廃棄されたうどんを利用して、ゴミにするかわりに燃料にして、発電する……というのは、無駄がないように見える。しかし、本当にそうか? じっくり考えてみてほしい。一種の思考テストみたいなものだ。

 ── 

 私の見解を述べよう。
 ものごとの本質を考えるといい。せっかく小麦から、食品としてのうどんを作成したのだ。なのに、単に燃やして燃焼エネルギーにするのでは、それまでにかかったコストとエネルギーが無駄になってしまう。
 どうせ燃やすのであれば、うどんなんかではなくて、小麦のもみ殻とか茎とか、そういう役立たずのものを燃やせばいい。それらは燃やす以外には用途はなさそうだからだ。
 しかうに、せっかく手間暇を掛けて作ったうどんを、単に燃やす(燃料にする)だけでは、あまりにももったいない。それは、宝を燃やすようなものだ。いわば、「高価なダイヤを燃焼させて、その炭素エネルギーを発電に使います」と言っているようなものだ。
 こういうのは、
 「寒いので暖を取るために家を燃やしました」
 というのと同じぐらいの愚行である。

 そのことは、数字でも証明される。
 読売の記事では、この「うどん発電」のために 53億円もの資金が補助金として投入される。(税金の投入。)
 また、週プレの記事では、「国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度を利用すれば」という条件の下で、かろうじて採算ベースになるらしい。しかし、「国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度を利用すれば」という条件そのものが、大幅な補助金を得ているのと同様である。
 なぜなら、火力発電の4倍もの高価格で買い取りをすることになるからだ。( → 出典 )。この買い取り価格は、太陽光発電よりもさらに高い、特別な高価格である。

 直接税金で補填されるか、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度という制度を通じて補填されるか、という違いはあるが、どっちみち、莫大な金が税金で補填される。つまり、それだけ多大な無駄が発生している。「うどん発電」というのは、これほどにも多大な無駄が発生するのである。(10円分の電力を得るために、40円ものコストを掛けて、差額の 30円分を税金で補填している計算だ。75%の無駄、という、壮大な無駄。)

 ──

 では、どうすればいいか? 先の本質を考えれば、次のように言える。
 「せっかく食品を作ったのだから、燃やしたりしないで、食品として使えばいい」


 といっても、廃棄された食品を人間様が食べるわけにはいかないから、動物に似食べさせるしかない。具体的には、こうだ。
 「豚や鳥の飼料として食わせる」

 これなら、無駄は最小限で済むだろう。少なくとも、燃料として使うよりは、ずっとマシだ。

( ※ うどん発電の場合には、75%が無駄になるから、それより少ない無駄であれば、改善になる。たとえば、現状のように単にゴミにしてしまうだけでも、無駄の率はゴミ処理代だけで済むから、おおざっぱに4割ぐらいの無駄で済みそうだ。飼料にすれば、無駄の率は2割ぐらいで済むかもしれない。いずれにせよ、75%の無駄という「うどん発電」よりは、はるかにマシである。つまり、うどん発電なんかをやるくらいなら、廃棄うどんを単にゴミとして処理する方がずっとマシ。その方がずっと無駄がない。うどん発電は、単に無駄をやっているだけだ。詳しくは → 【 追記 】 を参照。)
 


 【 追記1 】
 うどん発電は、無駄だらけである。75%の無駄。
 にもかかわらず、「うどん発電には無駄がない」と見える。どうしてか?
 それは、差額の 75%の分を、「再生可能エネルギー固定価格買い取り制度」によって補填するからである。これのせいで、業者と自治体は 25%の負担だけで済む。残りの 75%は、国民全体にツケ回しをすることができる。(酒屋の飲み代を他人にツケ回しするようなものだ。ほとんど泥棒。)
 逆に言えば、「再生可能エネルギー固定価格買い取り制度」というのは、こういうインチキ(もしくは泥棒)を隠蔽するための制度である。実際には大幅赤字であるものを、黒字であると見せかけて、「素晴らしいことですよ」と吹聴しながら、国民の財布からがっぽりと金を奪う。
 国による詐欺制度ですね。国が詐欺師なんだから、国民は金を奪われるしかない。警察が泥棒である状況なんだから。
 そこで、そういうインチキな状況を指摘するのが、例によって私である。「詐欺師にだまされるな」と。
 毎度のことながら、「詐欺師にだまされるな」と指摘するのは、私ばかり。その一方で、世間の人々やマスコミは、「詐欺師は素晴らしい」と提灯持ちをするばかりだ。ちなみに、検索してみるといい。
  → うどん発電 - Google 検索
 誰もがうどん発電を称賛している。批判しているのは、私だけだ。
 もうどんなっているんでしょうね。 (^^);

 【 追記2 】
 詐欺師の片棒を担いでいるマスコミの一例が、読売新聞だ。本日の記事を紹介しよう。(一部抜粋。)
 《 うどん発電 無駄なき循環 》
 発電装置の出力は 25キロワット。1日あたり計3〜4トンのうどんや生ゴミを処理でき、年間発電量は18万kWh。固定価格買い取り制度を活用し、売電している。売電収入は年約 7000万円を見込んでいる。
 廃棄うどんを提供している「讃岐麺業」の社長は「うどんの5%程度を捨てている」と話す。年 150万トンを廃棄し、処理費は 450万円。製麺工場では感想や袋詰めの工程で床に落ちたり、短くなったりした麺を取り除く。いったん茹でて30分以上たった麺は客に提供せずに捨てている。うどん発電のおかげで処理費用も少しだけ軽くなったという。
 発酵させたうどんの残り滓は、液肥にして小麦畑などで使われ、まさに無駄のない循環が生まれている。
 環境省も 14年度予算案に新規に53億円を計上し、後押ししていく。補助事業のため、固定価格買い取り制度との併用はできないが。
( → 読売新聞・朝刊 2014-01-27 )

 【 追記3 】
 環境保護のためという名目で、「1円の無駄を減らすために、10円のコストを掛ける」というようなことは、あちこちでなされている。
 その典型的なものは、「エコキャップ」だ。 10円の無駄をなくすために、1000円のコストを掛ける、というようなことをやっている。
  → 該当項目



 [ 付記1 ]
 廃棄されるうどん大半は、うどん製造工場で発生するそうだ。一部は、店で茹ですぎたりして、使わずに捨ててしまうものだという。
  → 週プレ

 このうち、うどん製造工場の分は仕方ないが、店で茹ですぎた分については、「適切な在庫管理によって、作りすぎの発生を防ぐ」という方針で、廃棄量を減らすことができるはずだ。

 適切な在庫管理というのは、トヨタの「ジャストインタイム」方式にならった方式である。これは日本の工業系の会社が特異であるが、これを小売店でも採用すれば、無駄な廃棄を減らすことができる。

 実際、それを実行した会社がある。回転寿司チェーンのスシローがそうだ。紹介記事がある。

 回転寿司最大手の「スシロー」がデータ分析で成果を上げている。店舗に「回転すし総合管理システム」を導入し、1分後と15分後に必要な握りネタと数を常に予測。店長の勘と経験にIT(情報技術)の力を加味し、食べたい握り寿司をタイムリーに提供する。システムの導入で、回転して時間が経った皿が減り、廃棄量は4分の1ほどになった。
 15分後予測は、過去の統計データから曜日や時間帯ごとの傾向値を出し、それを基に必要な寿司の量を算出する。
 今では需要予測の精度も高まり、廃棄が大きく減った。具体的には、導入しなかったケースと比べて、廃棄を4分の1ほどに減らせた。
( → 2014/1/27 日本経済新聞

 うどん店でも同様だ。社会状況や天候などを加味して、需要の精確な予測ができるようになる。そうして、廃棄量を減らして、コストを減らして、企業利益を増大させることができる。
 「企業の利益を増やす最大のコツは、在庫管理の適切化だ」
 というのは、トヨタの経営方針の示すところだ。
 たとえば、企業利益が5%で、廃棄量が5%ならば、廃棄量をゼロにすることで、企業利益はほぼ倍増する。これほどにも在庫管理は決定的な重要性を帯びるのだ。
 読売の記事では、「うどんの品質を守るために、茹でて 30分たったうどんは捨てる」という店の方針が示されていた。
 なるほど。それはそれでいい。「茹でて 30分たったうどんは捨てる」という方針を守っても差し支えない。しかし、そうだとしても、「捨てる量を最小化する」ということは、十分に可能なのである。
 たとえば、次のような方式を取れる。
  ・ 余りそうなものは「特別タイムセール」で割引販売する。
  ・ 不足しそうなものがあれば、代わりのメニューに誘導する。

 このような形で需要を平準化すれば、「捨てる量」は激減する。
 だから、「余ったものを燃やす」という発想よりは、「もともと余らないようにする」という発想の方が、はるかに賢明なのである。

 [ 付記2 ]
 こういう在庫管理はセブンイレブンなどが上手だ。天候とか何とか、さまざまなパラメーターに応じて、発注量を変化させて、在庫量の最適化を図る。IT技術を上手に利用している。
 
 ついでだが、コンピュータ販売の Dell も、似たようなことをやっている。ときどき「限定割引セール」というのをやっているが、あれは、在庫管理のためらしい。
 「需要の偏りが生じて、ある特定の時期には特定商品の在庫が増えすぎてしまった」
 というようなことがあると、倉庫にいっぱい積み増すかわりに、安売りして、在庫を減らす。Dell がときどき「限定割引セール」のやる(ずっとやるのではない)ということには、こういう「在庫管理」が理由となっているのだ。
 うどん店でも、同様のことをやれば、むやみやたらと廃棄量を増やすことにはならない。むしろ、「値引きをすることで、かえって利益が増える」というふうになる。
 企業の利益を増やすコツは、適切な在庫管理をすることだ。このトヨタの教えを、よく理解しておくといい。

 [ 付記3 ]
 うどん店あたりだと、在庫管理なんかはうまくできないかもしれない。それなら、「在庫管理システムを教えます」というサービス業をやればいいだろう。NEC あたりだと、技術者がいっぱい余っているだろうから、在庫管理の方法をシステム化して、うどん店に教えます……というようなサービスを始めると良さそうだ。
 とはいえ、NEC そのものが、在庫管理の方法を知らない可能性がある。トヨタあたりに教えてもらうといいかもね。
posted by 管理人 at 21:04| Comment(3) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「うどん県」では、在庫がなくなると「店じまい」するお店が、けっこうあるんですけど…
Posted by あるみさん at 2014年01月27日 21:53
> 在庫がなくなると「店じまい」する

 それはまあ、そうでしょうねえ。開いていても、「開店休業」状態だから、どっちにしても同じ。(ないものは売れない。)

 これは本項の話題とは、ちょっと関係ない。というか、方向性が逆かな。本項は、「余ったもの」の話。

 p.s.
 あとで考え直したが、「余剰が出なくなるように、生産量をあえて少なめにしておく」というのは、廃棄量が減る方法なので、賢明ですね。
 各店がこの方式を採れば、売上げは少し減っても、地域全体では、廃棄量が減り、利益は向上する。実に賢明。
Posted by 管理人 at 2014年01月27日 22:52
利権のにおいがしますね。そういう彼等はうどんでも蕎麦でもいいのでしょう。すでに太陽光発電で土地の有効利用とか言って色々やってます。
Posted by 京都の人 at 2014年01月27日 23:31
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