2014年01月27日

◆ ピースサインの意味(外国で)

 ピースサインは、日本では「友好」のような意味で用いられるのが普通だ。では、外国では? その逆に近い。 ──

 ピースサインは、日本では「友好」のような意味で用いられるのが普通だ。
 たとえば、楽天の田中投手が、ヤンキースに入団するに当たって、 twitter のアイコンを変えたが、そこではピースサインのアイコンが使われている。これはたぶん「友好」のような意味で用いているのだろう。




 では、海外でも同様の意味で用いられているだろうか? 実は、違う。

 ──

 そもそも、名前からして違う。「ピースサイン」とは呼ばず、 「 V sign 」 と呼ぶ。また、英語には peace sign という言葉は存在しない。あえて言うときは、「 so-called peace sign (in Japan)」と呼ぶ。「(日本では)ピースサインと呼ばれるもの」という意味。
  → 出典

 では、V sing の意味は? 国によっていくらかの違いがある。たとえば、ギリシアでは「侮辱」を意味する。
  → ピースサインはNG!外国でやっちゃいけない指づかい

 英語圏では、どうか?
 手の甲を相手に向ける形で V sign をすると、明らかに「侮辱」を意味する。一方、普通に手の甲を自分に向ける形で V sign をすると、「 Victory 」を意味する。
  → Wikipedia 英語版

 これは要するに、「勝ったぞ!」と勝ち誇っていることになる。謙虚とは正反対で、尊大な態度を意味する。
 たとえば、田中将大投手が、今回この V sign を見せていることは、「皆さん仲良くしましょうね」という「友好」を意味しているのではなくて、「勝ったぞ! イェイ!」と勝ち誇っていることになる。その意味は、常識的には、次のことだろう。
 「おれ様は世界一の球団であるヤンキースに入団できたぜ! さらに 160億円もの金を得たぜ! イェイ!」
 そして、彼が「勝ったぞ!」というとき、その相手は、勝てなかった人々のことだ。とすれば、彼が「負け組」と見なしているのは、次の人々のことだろう。
 「 160億円もの金を稼げない日本中の貧乏人ども」
 「(才能があるのにポスティング制度のせいで)半分もの金を球団に奪われてしまったダルビッシュ」
 「いくら投手が好投しても勝ち星が得られない弱小打線のレンジャーズなんかに行ったダルビッシュ」


 これらの人々に向けて、「おまえたちは負け組だよ! おれ様のような勝ち組とは違うんだよ!」という見下す目を向けているわけだ。
 その上で、
 「わかったか! おれ様は勝ったんだよ! イェイ!」と勝ち誇っていることになる。

 以上が、英語における V sign の意味だ。田中投手がそのつもりであったかどうかは知らないが、少なくともそのつもりであると解釈されがちであることになる。

 ちょっと似た例では、勝利の V sign をしているチャーチルとサッチャーの例がある。
  → チャーチル
  → サッチャー

 ──

 では、「友好」の意味でピースサインをするというのは、どういうことか? これは、次の事情にある。

 (1) 1960年代に、反体制運動などで、「平和」「友好」のような意味で用いられた。

 Peace, or friend -- used around the world by peace and counter-culture groups; popularized in the American peace movement of the 1960s.
( → Wikipedia 英語版
 1960年代に、ベトナム戦争に対する反戦運動がアメリカやイギリスなどをはじめとする西側諸国で高まり、盛んに反戦デモが行われるようになると、参加者が報道陣のカメラへ向けたアピールと、「平和への願い」を表す意思表示の手段として広く用いられるようになった。
( → Wikipedia

 (2) 日本では、(1) の影響が強く残った。

 日本におけるピースサインは、写真撮影の時のポーズとして広く知られている。経緯ははっきりしないが、1960年代末の全共闘で学生達がピースサインをしている姿をテレビで見て真似たのではないかという説……などがあるが、少なくとも1970年代から見られ始めた。
( → Wikipedia

 (3) 日本(を含むアジア)では、写真撮影の際にピースサインをするのが流行った。

 1980年頃から小学生を中心に、遠足や修学旅行、運動会などの盛り上がっている場面での写真撮影でカメラを向けられると「ピース」と言ってピースサインをするのが急速に広まった(peaceの意味はない)。その後、「ピース」と発する事は減ったが、楽しさを表現する行為としてピースサインは完全に定着し、「撮影される準備が整いました」という意味合いも持ち始め、40代以下であれば男女問わずに一般的な行動である。
( → Wikipedia

 田中投手も、たぶんこの意味で使っているのだろう。ただし、それは日本国内でのみ通じる使い方だ、と理解しておこう。
 
 (4) 外国では日本と違って、(3) の意味はない。単に「馬鹿丸出し」というふうに受け止められるだけだ。

 Why do young Japanese make the V sign when they pose for photos?

 They don't make the "V" sign, Churchill, and others before him, did that. They make the so-called Peace sign and, to me at least, it looks ridiculous.

 i really wish i knew. it`s stupid. 

 It may look stupid, as sillygirl says, when teenagers and kids do it, but when middle-aged people do it, it looks ridulous and childish.

  I think it's silly and immature.

( → JAPANTODAY

 要するに、「馬鹿丸出し」というふうにしか見えない。あるいはせいぜい、「何でそんなことをしているのかさっぱりわからん」という受け止め方だ。
 ま、同じような受け止め方をするものが(日本人向けに)あるとしたら、赤塚不二夫の「シェー」みたいなものだろう。これをやれば、見た人は、「馬鹿丸出し」とか、「意味がわからん」とか思うはずだ。それと同じような感じで、外人はピースサインを受け止めているわけだ。

 ──

 ま、田中投手が日本人向けの twitter で「シェー」と同じことをしても、アメリカン人には影響しないだろう。
 しかし、アメリカに行って「シェー」なんかをしたら、「何やっているの、こいつ」と思われるだけだ。
 だから、アメリカに行ったら、ピースサインなんかをしない方がいい。「馬鹿丸出しだ」と思われるだけだ。
 いや、それだけならまだいいが、下手をすると、勝利の「 V sign 」そのものだと受け止められかねない。
 「高額の金を得て、他の人々を見下している」
 「試合に勝利したあとで、相手チームを見下している」
 こういうふうに「侮辱」ないし「尊大」の意味で V sign をしていると受け止められかねない。

 松井秀喜選手(当時)は、ヤンキース時代には、謙虚な紳士として知られていた。なのに、田中投手が V sign をする尊大な人間だと思われたら、松井選手が構築した日本人の評判を一挙に崩壊させかねない。
 だから、アメリカでは V sign なんかをしないでほしいものだ。同じ身ぶりでも、その意味は、日本とアメリカではまったく異なっているのである。そもそも、名前からして全然違うのだ。
 「ピースサインという言葉も、その意味も、日本独自のものだ」

 と理解しておこう。

( ※ なお、弁解は最悪である。「そんなつもりはないんです。撮影のときに友好の意味を示したいんです」なんて弁解するのは、日本流の解釈を押しつけるのも同然だ。そんなことをすれば、「こいつは米国に日本流を押しつけようとする傲慢な奴だな。自分がまわりに合わせるのではなく、自分にまわりを合わせようとする奴なんだな」と思われるだけだ。)

 ──

 結論。

 ピースサインひとつでさえ、日本と外国には大きな違いがある。異文化に入れば、異文化を理解するべきだ。「自分はこういうつもりでした」なんていう、ひとりよがりな弁解は通用しない。
 日本に来た外国人選手が成功するコツはただ一つ。「日本の文化に適応すること」である。田中選手もその方針で心がけてほしいものだ。ピースサインひとつでもそうだが、他のことも同様だ。

 なお、できれば、ももクロのファンをやめて、外国人歌手のファンになるといいだろう。Tayler Swift なんかがお薦めです。






( ※ ももクロファンだと表明するなんて、「おれはロリコン趣味の変態です」と公言しているようなものだろう。アメリカでは、そう思われそうだ。ももクロなんて、アメリカでは 10歳ぐらいにしか見えないしね。)


posted by 管理人 at 19:53| Comment(1) | 一般(雑学)2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
100%賛同でございます!
Posted by asa at 2014年01月27日 22:36
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