2014年01月21日

◆ 超長期の記録媒体

 通常の記録媒体は、あまり長持ちしない。そこで、千年程度の超長期の保存が可能な記録媒体の開発が進んでいる。しかし、無意味だ。 ──

 通常の記録媒体は、磁気などに頼るせいで、あまり長持ちしない。高温多湿の条件下では、数十年もたてば劣化が進むと推定される。これでは未来への資産として残せない。
 そこで、千年程度(〜数億年)という超長期の保存が可能な記録媒体の開発が進んでいる。画期的な新技術、という感じ。
  → 朝日新聞 2014年1月20日 (図あり)

 しかし、これらはすべて無意味だ。なぜか? 記憶媒体というものは、高密度化が急速に進んでいるからだ。
 たとえば、数億年の保存が低コストで可能となる媒体ができたとしよう。ここではモデル的に、その媒体のコストがゼロ円だとしよう。では、この媒体は、実際に使われるか? 使われない。なぜなら、かさばるからだ。
 媒体がかさばるとすれば、媒体を収容するためのビルの建設が必要となる。その建設費が莫大になる。だから、媒体がいくら低コストであっても、意味がないのだ。

 現実には、30年もすれば、記録媒体は完全に世代交代する。とすれば、古い低密度の媒体を超長期保存するよりは、新しい高密度の媒体に情報を移転して、古い媒体は廃棄する方がいい。ここでは、古い媒体の寿命がどれほど長くても関係ない。30年ぐらいで古い媒体は廃棄されることになる。

 たとえば、30年ぐらい前のフロッピーディスクがあったとしよう。この記録媒体の保存性が1億年もあったとする。しかも、コストがゼロ同然だったとする。その場合、このフロッピーディスクを今後も1億年ぐらい保存するか? まさか。むしろ、このフロッピーディスクのデータをすべて、ブルーレイか何かの最新媒体に移転して、フロッピーディスクの方は廃棄するはずだ。となると、フロッピーディスクの保存性がどれほど高くても、まったく無意味であることになる。なぜなら、記録密度が低すぎるからだ。

 ──

 記録密度が急速に高くなっている時代には、10〜30年ぐらいで記録媒体を交換するのが賢明である。そうすれば、記録媒体の収容のためのスペースが節約できるからだ。
 たとえば、ブルーレイの記録容量は、100GB(3層型)である。一方、フロッピーディスクは 2DD で 720KB であり、2HD で 1.44MB であった。平均して 1MB だとすると、100GB のブルーレイ1枚は 10万枚の フロッピーに相当する容量がある。だから、10万枚の フロッピーを何十年も保存するよりは、情報をブルーレイに移転して、10万枚の フロッピーを廃棄した方がいいのだ。

 それと同様のことが、今後も次々と起こるだろう。30年後ぐらいには、10万枚のブルーレイに相当する情報が、1枚のディスクに収まるようになる。とすれば、何億年も長期保存できる DVD みたいなものがあっても、まったく無意味なのである。そんな新媒体があったとしても、数十年もたてばゴミ箱行きになるだけだ。

 ──

 結論。

 超長期の記録媒体など、開発するのはまったく無意味である。
 それよりは、記録密度を高密度化するための研究開発を続ける方がいい。
 新たに高密度の新媒体が開発されたころには、既存の超長期記録ができる媒体は、ただの化石になってしまっている。
 「数億年も保たれる化石」
 なんて、ただの冗談商品でしかない。それはいわば、現代の DVD を、情報の記録媒体のかわりに、ガラスのコップを敷くためのコースターとして利用するようなものだ。馬鹿げている。
 それだったら、最初からコースターを買う方がマシというものだ。たとえば、木製のコースター。



コースター 6p


 というわけで、研究者は、無駄な研究をするのはやめましょう。研究の方向が狂っている。たとえ研究成果が出て、目的通りのものができたとしても、時代はもはやずっと先に進んでしまっているので、その成果は時代遅れだ。
 どうせ研究するなら、フロッピーの寿命を長くする研究でもする方がいい。同じく無意味だとしても、無意味さがすぐにわかるだけ、ジョークになっている。笑えるだけ、マシである。
posted by 管理人 at 23:54| Comment(5) | コンピュータ_03 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ディスク需要も失せると思います。
モバイルはシリコン系半導体、据置はHDD。サーバーとして、適宜買替え更新になるでしょう。cloudビジネスですが。
HDDの再利用生産という自己循環型で擬似生命的なサーバーシステムが生まれるかもしれません。
これは妄想です。

もしかしたら外宇宙へ記録媒体を運ぶ手段として超絶長寿命を考えているのかもしれません。
無駄ですが。
Posted by 京都の人 at 2014年01月22日 06:27
メディアが1000年持っても、1000年後に読み出すハードが無くなっていると思います。
Posted by ホンロン at 2014年01月22日 09:09
ちょっと疑問なんですが クラウドのサーバー?は 一般的に入手できる3.5インチのHDDなんですよね。とすると GoogleとかDropboxとかはどこかに何十万台?何百万台かのHDDを世界数か所に分散して運用していることになると思うのですが そうなんでしょうか?定期的にHDDの更新が必要になるでしょうし 故障したときに代替品をすぐに置き換えることも問題なくできているのでしょうか。
Posted by P助 at 2014年01月22日 18:30
>故障したときに代替品をすぐに置き換えることも問題なくできているのでしょうか。
サーバーのHDDは普通RAID5でホットスワップ可能になっているはずです。
http://www.tekwind.co.jp/faq/QNA/entry_37.php
Posted by SNAIL at 2014年01月22日 21:58
ランダムアクセスできて現在のHDDと同等のコストパフォーマンスを実現できる記録システムは、いまのところありません。記録密度を50%上げるために製造コストが5倍かかっては、誰も買わないからです。今後数年は現状のHDDの更新が続くでしょう。ただし50年間続いた年率100%というHDDの高記録密度化の速度はここ数年頭打ちになっています。理由はすでにビットのサイズが、原子の大きさを無視できないほどまで小さくなってしまったからです。
Posted by Putra at 2014年01月23日 00:14
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