2013年12月29日

◆ Google の新分野進出

 前項の続き。Google がロボット開発に力を入れる理由。目的ではなく原因を考える。 ──

 前項では、「Google がロボット開発に力を入れているのはなぜか?」という話題を扱った。その上で、次のように述べた。
  ・ ハード分野に進出する。
  ・ 技術開発をする。
  ・ 製造はしない。
  ・ 分野は民生用途(家電など)


 ──

 一方、前項と似たテーマを扱うページが見つかった。下記。
  → なぜGoogleはロボット開発に全力を挙げるのか ― ウェブに続いて現実世界を制覇するためだ
 その趣旨は:
 「将来はロボット社会になる。だから Google は、前途の有望なロボット分野に進出したのだ」
 これはロボット社会を前提にしているという意味で、SF 趣味が満載の記事だ。おまけに「 Google による世界制覇の野望」という SF 趣味もある。 (^^)

 その見解は正しいか?
 その理屈だったら、前途の有望な、別の分野に進出してもいいはずだ。ロボット以外にも、いろいろある。シェールガスと、太陽光発電とか、バイオ燃料とか、電気自動車とか、宇宙ロケットとか。
 実際、IT長者が、電気自動車と宇宙ロケットに進出した、という例もある。
  → イーロン・マスク(ペイパルの創業者)

 だから、Google がロボット分野に進出したことには、「前途が有望だ」ということ以外に、別の理由があるはずだ。
 特に、次の疑問に答えることが大切だ。
 「なぜ Google だけがロボット分野に進出したのか? マイクロソフトやアップルはそうしないで、ぐうだけがそうしたのは、いったいなぜか?」
 これが本項の主要な問題となる。

 ──

 ここで、私なりに回答を出そう。
 (1) Google がロボット分野に進出したことには、理由がある。それは、ロボット分野に進出するだけの能力を持ったことだ。
 (2) そのための能力は、Google の 20%ルールで得られた。(勤務時間の 20%を、自由研究に当てることができる、という制度。)


 詳しく言おう。

 (1) Google がロボット分野に進出したことには、理由がある。それは、ロボット分野に進出するだけの能力を持ったことだ。


 これは進化論の原理による。
 まず、普通の進化論(自然淘汰説)では、次の発想を取る。
 「生物は、新たな環境に進出すると、新たな環境に適応するように進化する」

 しかし私はこれを否定した。
  ・ 魚が陸に上がっても、魚に足は生えない。魚が干上がるだけだ。
  ・ 猿が草原に出ても、猿は直立しない。猿が肉食獣に食い殺されるだけだ。

 簡単に言えば、「自然淘汰」または「適者生存」は、「劣者を滅ぼす原理」にはなるが、「優者を誕生させる原理」にはならない。「市場原理」ないし「自然淘汰」は、優者と劣者がともに存在する状況で、劣者が消えることを説明することはできるが、新たな優者が存在しない状況で、新たな優者を誕生することを説明できない。(つまり進化を説明できない。)

 では、何が真実か? 私は次のように唱えた。
 「生物は、新たな環境に進出する能力を備えたあとで、新たな環境に進出する。そのための能力を獲得するのは、境界領域となるニッチである」

 これに対応して、Google では次のようなことがあったと考える。
 「 Google が新分野に進出したのは、新分野に進出したとたんに進化したからではない。あらかじめ新分野に進出するだけの能力を養成していたからだ。その能力の養成は、ニッチとなるような領域でなされた」

 では、「能力の養成をなすための、ニッチとなるような領域」とは、何か? それが、(2) だ。つまり、下記だ。

 (2) そのための能力は、Google の 20%ルールで得られた。(勤務時間の 20%を、自由研究に当てることができる、という制度。)


 ──

 要するに、Google には「20%ルール」という制度があった。勤務時間の 20%を、自由研究に当てることができる、という制度が。その制度によって、新しい分野に進出するための能力を、少しずつ獲得することができるようになった。だからこそ、新分野に進出できたのである。
 たとえば、ロボット分野に進出したのは、「そこに進出すると大儲けできるぞ」と経営者が判断したからではない。そんな判断だけなら、他の会社でもできる。マイクロソフトでも、アップルでも、はたまた、ユニクロでも、ワタミでもできる。しかし、これらの企業には、20%ルールはない。だから、新規分野に新種するだけの能力(つまり技術的知識を持つ人材)がない。能力がないから、進出できないのだ。
 一方、Google は違った。経営者がどう判断するか、ということ以前に、従業員に人材があった。その人材は、「20%ルール」という制度によって得られたのだ。

 ……これが、Google がロボット分野に進出できたことの理由(原因)だ。
  ※ 目的とは違うレベルの話。



 [ 付記 ]
 では、Google は盤石か? いや、どうもそうではないようだ。というのは、Google は近年では「20%ルール」という制度をなくしつつある(有名無実化 or 形骸化)しつつある、というふうに言われているからだ。
  → グーグルの”20%ルール”が無くなったって本当か!
  → 【続報】Google社員の「20%自由時間」が、事実上消滅・・・に関して

 20%ルールは実質的に消えつつあるようだ。とすると、Google が新分野に進出するのも、そろそろ打ち止めになりそうだ。
 ただ、個人レベルで新分野の研究をすることはなくなっても、公式の業務レベルで新分野に進出する研究をすることはあるだろう。自動運転する自動車の研究も、その一つだ。

 この先 Google が新分野に進出することが続くかどうかは、何とも予測しがたい。今ごろの勢いが、ピークではないか、という気もするが。

 [ 余談 ]
 余談だが、仮に Google がロボットで世界一になったとしても、世界を制覇することはできません。それが成立するとしたら、まずはロボットが人間を征服することが先になるはずだ。(いよいよ SF じみてくるな。 (^^); )
posted by 管理人 at 22:04| Comment(3) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Googleより先に3Mがやってましたね。5%だったかもしれませんが。ポストイットがそれで産まれたと。
いずれ、こき使うことを重視する会社では境界領域の探査はできないから、環境が変わると死ぬだけです。
研究所が数年先の事を研究していれば大丈夫と思い込んでいればおしまいですね。数年先って延長線上ですから。
研究開発費に効率を求める様になると・・・省略します。
Posted by 京都の人 at 2013年12月30日 00:09
日本企業では、これまでも、小集団活動/特許活動などのルーチンワーク以外活動は一般的に推奨支援してきた。比率はともかく、そう言った活動を積極的に支援してきた。
Googleや3Mはそれを真似しただけじゃないの?
Posted by ちゃちゃ at 2014年01月01日 10:16
日本企業が推奨してきたのは、サービス残業です。自由研究なんか、やる時間がない。物理的に無理。(1日は24時間しかないから。)
Posted by 管理人 at 2014年01月01日 10:39
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