2013年12月28日

◆ 産科医院を集中設置せよ

 産科医院は、各地に分散させず、集中的に設置した方がいい。突発的事態に即応できるからだ。 ──

 まずは、問題提起がある。次のことだ。
 「現状では、出産時の突発事態に、小規模病院はうまく対応できていない。そのせいで妊婦の出血死が多発している」

 詳しくは、次の報道だ。
 妊婦の命に関わる出血に対し、産科医療機関の4割が輸血用の血液がないなどの理由で対応できないと考えている。こんな結果が厚生労働省研究班の調査で分かった。重大な出血は妊婦の死因で最も多く、いち早い輸血が重要だ。しかし、小規模の医療機関は2割しか輸血血液を常備していなかった。
 出産や妊娠に伴う重大な出血は妊婦の300人に1人の割合で起きる。30年ほど前から妊婦の死因の1位となり、2012年は死亡した妊婦61人のうち3割を占めた。
 輸血が必要な出血に対し、小規模施設の50%、同センターの2%、全体の39%が「(自施設で対応できず他施設に)すべて搬送する」と答えた。
 小規模施設の多くが出血に対応できない背景には、人手不足に加え、輸血血液の不備がある。常備しているのは、同センターは90%だが、小規模施設は18%。
( → 朝日新聞 2013年12月28日

 この問題に対して、「金を出せ」「医者を出せ」「病院を作れ」というような案も出そうだが、より本質的に考えた方がいい。こうだ。
 「突発的事態というものは、確率的に正規分布ふうに発生する。それはあらかじめ予知しがたい確率的変動だ。このような確率的変動に対応するには、数を増やすといい」


 例示的に示そう。
 ある診療所の産科のベッド数が 10だったとする。ここで、ときどき出血事故が発生する。また、ときには出血事故が2件または3件、同時に発生する。1件だけでも対応できるのは 50%でしかない。(上記データによる)。なのに、2件または3件も同時に発生すると、とうてい対応できなくなる。
 一方、ある病院の(産科と外科)のベッド数が 200だったとする。ここで、産科の出血事故があるとしても、確率的には、あまり多くない数で安定しているはずだ。たとえば、1日に3〜5件ぐらいで安定した数値となる。この場合、病院の持つリソースは、無駄なく使われる。(輸血血液にせよ、医師の数にせよ、手術室にせよ、リソースは無駄なく使われる。)また、突発事の発生も、1〜2件ぐらいの変動に収まるだろうから、その1〜2件も空いた手術室などのリソースの範囲内に収まる。
 というわけで、処理の数が増えるにつれて、突発的事態への対応や容易になる。

 ──

 それゆえ、1箇所におけるベッド数を増やすために、小規模の産科医院を集中させた方がいい。(分散させずに。)

 また、集中させると、次の効果も出る。
 「ある医院で処理しきれなくなった場合に、他の医院(または病院)にすばやく搬送できる」

 これもまた、妊婦の死亡を減らす効果がある。というのは、産科の出血死では、一刻を争うことが多いからだ。現状では、救急車を呼んで、合計 20分以上をかけるのが普通だろうが、これを「隣室へ」というような形に変えれば、3分ぐらいの移動で済むようになるだろう。

 ──

 では、医院を集中的に設置するとして、そのためのコストはどうするか? 新しいビルを建設すると、莫大な費用がかかり、個人医院の負担では収まらなくなるが、どうすればいいか?

 それには、名案がある。こうだ。 
 「少子化で廃止された小学校の校舎を改造して使う」

 この場合、リフォームのためにいくらかの費用はかかるが、建物代と土地代は、事実上、ゼロ同然で済む。「公共の福祉のため」という名目で、タダ同然みたいに安い費用で貸し出してもいい。(今は産科不足なので、産科を優遇することには、名分が立つ。)
 また、ここに引っ越す医院は、従来の医院の建物を売却すればいいので、その売却益を充てることで、医院は引っ越しの費用をまかなえる。

 ──

 というわけで、すべてがうまく行くはずなので、ここに提案をしておこう。
 なお、私の目的は、「産科医院の優遇」や「産科医の優遇」ではない。「妊婦の生命を救うこと」だ。
 現状では、妊婦の命が無駄に失われている。これは、行政の方針しだいで、救われる命なのである。逆に言えば、現状では、行政の無策のせいで、多くの妊婦の命が失われているのだ。それを何とか是正したい、というのが私の望みである。



 【 関連項目 】
 廃校舎の利用として、保育園に使う、という案もある。
  → 学校跡地をどう利用するか?

 これと併用するのも一案だ。というのは、学校の校舎は大きすぎるから、保育園だけでも、産科医院だけでも、余ってしまいそうだからだ。
 


  【 関連サイト 】

 妊婦の出血死は多いというが、普通の出血死ではなくて、大部分は脳出血だという。だから、妊婦の死を防ぐには、脳外科の設置が大切だという。
  → 妊産婦死亡の一位「脳出血」
 
 ふむ。とすると、単に産科医院を集めるだけでなく、その中央あたりに、脳外科医も用意しておく必要があるだろう。
 なお、脳外科医は、高齢者医療でも大切なので、その意味でも今後はあちこちに設置するとよさそうだ。妊婦医療と高齢者医療が同じ領域内でなされるというのは、案外、良さそうな感じ。
posted by 管理人 at 19:30| Comment(0) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
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