2013年12月22日

◆ ティラノサウルスと羽毛 2

 ティラノサウルスには羽毛が生えていた、という説が近年は有力だ。しかし私は「そうではない」と思う。 ──

 ティラノサウルスには羽毛が生えていた、という説が近年は有力だ。
  → 【悲報】ティラノサウルスの想像図がいつの間にか変わってる : まとめでぃあ
  → 【画像】最近ティラノサウルスに、ダサい羽が生えてるの知ってるか?

 なお、Wikipedia には次の記述がある。
 ティラノサウルスが鳥類のような恒温動物であったか、一般的な爬虫類と同じく変温動物であったかについて、決定的な結論は出ていないが(恐竜恒温説も参照)、彼らは羽毛恐竜として知られるコエルロサウルス類の一種で、鳥類とも比較的近縁であることや活動的と思われる骨格構造などから恒温動物であった可能性は高い。羽毛があったか否かについては1990年代中頃から議論の的となっている。ティラノサウルス上科の原始的な種(ディロング)に羽毛の痕跡が発見されていることから、最近では、少なくとも幼体には羽毛が生えていたのではないかと考えられるようになってきている(この説では、体の大きさで体温を保てるようになる成体は羽毛を持たない)。

 ここでは、「原始的な種」(祖先に近い種)に羽毛があったから、というだけで、推論がなされている。しかしこれは論理の飛躍だろう。
  → 羽毛がじゃまになった?T.Rex

 ──

 この件は、私も前に論じたが、次の趣旨の判断を下した。
 ティラノサウルスに羽毛があった可能性はある。ただし、次の条件で。
  ・ 羽毛は、羽根ではなくて、ボア状である。
  ・ 生えるとしても、密集しない。領域の境界も曖昧。
  ・ 生える場所は、後頭部、背中、前脚全面など。(ゾウの赤ちゃんと同様。)
  ・ 生えるとしても、幼体に限られる。成体では生えない。
  ・ 幼体でも生えていなかった可能性も、十分にある。何とも決めがたい。

  → ティラノサウルスと羽毛

 ──

 しかし、このたびよく考えたすえ、次の判断を下すことにした。
 「羽毛と鱗(うろこ)は、どちらも皮膚の角質が変化したものである。羽毛と鱗の両者が同一の種において生じるはずがない 。羽毛なら羽毛、鱗なら鱗、そのどちらかであるはずだ。では、そのどちらか?
 次のように推論する。
  ・ 高速に動く身軽な鳥型恐竜では、羽毛。
  ・ 闘争する大型の肉食恐竜では、鱗。
 ティラノサウルスは、後者に属するので、鱗だ。鱗があるから、羽毛はなかったはずだ」

 一般に、肉食恐竜は、他の肉食恐竜と闘争することもあった、と推定される。恐竜は頭がよくないので、相手が草食恐竜であるかどうかを見極めることができないこともあっただろうし、間違えて肉食恐竜を食おうとすることもあっただろう。その場合、相手の攻撃を受けるから、体は鱗で覆われていた方が有利に決まっている。
 そして、鱗があれば、羽毛はありえない。ゆえに、羽毛はなかった、と推定できる。

 ──

 進化論学者は、単に「羽毛があるか否か」を考えるから、間違えてしまったのだ。むしろ、「羽毛か鱗か」と考えるべきだったのだ。そして、そう考えれば、肉食恐竜であるティラノサウルスにとって、どちらが有利であるかは、簡単にわかるはずだ。
 進化論学者は、恐竜と鳥の近縁性にとらわれすぎてしまっている。そのせいで恐竜を鳥っぽく考えすぎている。実は両者には大きな違いがあるのだが。



 [ 付記 ]
 進化論学者は、ティラノサウルスを「鳥の祖先」と考えがちだが、そうではない、と私は判断する。
 鳥型恐竜には2系統がある。そのうち、エウマニラプトル類の系統からは、鳥への進化がなかった。一方、オビラプトルの系統からは、鳥への進化があった。

         エウマニラプトル類 ── (絶滅)
  鳥型恐竜 <
         オビラプトル類   ──  鳥

 
 で、ティラノサウルスはどうかというと、エウマニラプトル類に属していたわけではなくて、そもそも鳥型恐竜には属していなかった。もっと古いところに共通点のある、従兄みたいなものだった。

         ティラノサウルス
  共通祖先 <
         鳥型恐竜


 こういう関係にある。ティラノサウルスは、鳥型恐竜と近縁ではあるが、鳥型恐竜ではないし、羽毛を持っていたと推定できる根拠は何もない。羽毛を持っていた仲間(鳥型恐竜)からは、いくらかズレているのである。
 このこと(系統関係)ゆえに、ティラノサウルスには羽毛はなかった、と推定して、ほぼ間違いないと思える。
 


 【 追記1 】
 あとで調べたら、次の記述を見出した。
 鳥類の羽毛も、祖先の爬虫類の鱗が変形したものだと考えられていたが、今日では鱗とは別起源との説が有力になっている。
( → Wikipedia

 あれれ。「羽毛と鱗は同じ起源」という生物学(進化論)の常識が崩れつつあるようだ。いつのまにか。…… (^^);
 となると、本項の骨子がぐらついてしまうことになる。困った。汗。 (^^);
 どうなんでしょうねえ。
 ただ、「羽毛と鱗は別起源」ということが成立したとしても、「羽毛と鱗が並立して存在した」というのは、ありえそうにない。目的がまるきり異なるからだ。そもそも同時存在はできそうにない。(毛があるならば、毛穴があるはずだが、鱗では毛穴は無理。)
 となると、根拠はぐらついても、結論は正しい……ということになりそうだ。(ただし、結論への根拠の妥当性は、いくらか弱まる。)

 【 追記2 】 
 「羽毛と鱗の両者が同一の種において生じるはずがない」
 と文中で述べた。これに対して、次の批判が来た。
 「鳥の脚には鱗があるぞ。同一種に、羽毛と鱗の両方があるぞ」
 それはそうですね。本文中の表現がまずかった。本文中の表現は、次のことを意味していた。
 「胴体や翼という主要部分に、鱗と羽毛が混在しているはずがない。鱗は硬い表皮だし、羽毛は柔らかい表皮から生える。両方は同時成立しない」……(
 一方、脚の部分に鱗があることは、次のことを意味する。
 「胴体や翼という主要部分は羽毛だとしても、脚という周辺的な一部領域には、鱗で覆われた領域がある。羽毛で覆われた部分と、鱗で覆われた部分は、同時成立する」
 これはこれで正しいが、すぐ上の () のことを否定しているわけじゃない。両方は別のことだ。
 本文中の表現はまぎらわしくて、後者であると理解される余地もあったが、私としては、 () の意味で語ったつもりだった。誤解の余地があったことについてはお詫びして、真意は () のことだ、と注記しておきます。

 なお、真意がその意味であることは、少し前に、
 「そもそも同時存在はできそうにない。(毛があるならば、毛穴があるはずだが、鱗では毛穴は無理。)」
 と記したことからも明らかでしょう。



 【 関連項目 】
 
 → 恐竜と鳥の系統図

 → ティラノサウルスと羽毛
posted by 管理人 at 21:04| Comment(0) | 一般(雑学)2 | 更新情報をチェックする
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