人類はこれほどにも進化できたのか?
その理由は、前項に書いてある。
→ 異種間交雑が起こりにくい理由(ゲノム・インプリンティング)
簡単に要旨を示そう。
ゲノム・インプリンティングという機構がある。これは、
「父母の双方の遺伝子がそろわないと、個体発生ができない」
という機構だ。
この機構は、哺乳類にだけ、備わっている。そして、この機構ゆえに、哺乳類では急激に進化が起こった。次の図のように。

そして、哺乳類ではこのような急激な進化が起こったから、そのうちの一部で、人類が誕生したわけだ。
人類もまた哺乳類として、ゲノム・インプリンティングという機構をもつ。それゆえ、人類もまた、他の哺乳類と同様に、急激な進化が起こった。
──
「父母の双方の遺伝子がそろわないと、個体発生ができない」
という機構がどうして大切か? それは、「異種間の交雑を防ぐ」という効果があるからだ。異なる種が交雑すると、どちらの種としても、(対立遺伝子のうちの)片方の遺伝子しかそろわない。そうなると、どちらの生物としても不完全となるから、ゲノム・インプリンティングという機構のせいで、個体発生が不完全となる。(流産する。)
ゲノム・インプリンティングという機構は、異種間の交雑を防ぐのだ。
なお、このことゆえに、「デニソワ人やネアンデルタール人と、ホモサピエンスとは、交雑しなかった」と結論できる。
[ 付記 ]
ゲノム・インプリンティングという機構があると、急激な進化が起こる。どうしてそうなのか……という話は、前項で説明されている。
→ 異種間交雑が起こりにくい理由(ゲノム・インプリンティング) (前項)
【 関連書籍 】
人類の進化 大図鑑
この本については、別項で紹介した。
→ ネアンデルタール人の顔
