2013年12月04日

◆ 恐怖は遺伝する?

 恐怖を感じたマウスの子孫も、同じ恐怖を感じるようになった……という実験結果が出たらしい。これは「獲得形質の遺伝」を意味するか? ──

 「獲得形質は遺伝する」というのはラマルク説だが、それは今日では否定されている。ところがこれに反するような実験が報告された。
 身の危険を感じると、その「記憶」は精子を介して子孫に伝えられる――。マウスを使った実験で、個体の経験が遺伝的に後の世代に引き継がれる現象が明らかになった。米国の研究チームが科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス電子版に発表した。
 実験は、オスのマウスの脚に電気ショックを与えながらサクラの花に似た匂いをかがせ、この匂いを恐れるように訓練。その後、メスとつがいにして、生まれてきた子どもに様々な匂いをかがせた。
 すると、父親が恐怖を感じたサクラの匂いのときだけ、強くおびえるしぐさをみせた。孫の世代でも、同様の反応が得られた。
 父マウスと子孫の精子のDNAを調べると、嗅覚(きゅうかく)を制御する遺伝子に変化の跡があり、脳の嗅覚神経細胞の集まりが大きく発達していた。これらの変化が親の「教育」によるものでないことを確かめるため、父マウスから精子を採り、人工授精で子を育ててその脳を調べると、同様の変化が見られた。
 生物の遺伝情報はDNAに刻まれて親から子へ引き継がれるが、生活習慣やストレスなど、後天的な要因で遺伝子のスイッチの入り方が変わることが知られている。研究チームは「今回の成果は、ある種の精神神経疾患の解明につながる可能性がある」としている。
( → 朝日新聞 2013年12月4日

 これを読んで、私は疑わしく思った。
 「桜の花の匂いについてのみ恐怖を感じる、というふうに書かれているが、本当にそうか? 桜の花に限らず、どんな匂いに対しても過敏になっているだけではないか?」
 その根拠は、「脳の嗅覚神経細胞の集まりが大きく発達していた」ということだ。このことは、嗅覚における過敏症を発症させることはあるだろうが、特に桜の花の匂いについてのみ(その匂いを他の匂いと区別して)過敏になるとは思えないからだ。

 そこで、英文記事を検索してみると、まさしくその通りだとわかった。
 the odour of cherry blossom compared to a neutral odour
( → 英文記事

 つまり、比較対象は、a neutral odour (ひとつの中立的な匂い)だけである。複数の多様な匂いと対比した上で、「桜の花の匂いだけに過敏になった」のではない。「ありふれた 中立的な匂いに比べると過敏になった」だけだ。これはつまり、「匂いに過敏になった」というだけであり、「嗅覚過敏症を発症した」というだけのことだ。
 ここには「桜の匂いの記憶」という概念は出てこない。当然だが、「桜の匂い」でなくて、他の香水の匂いでも、同様に過敏になっているはずだ。もともとが嗅覚過敏症にすぎないのだから。
 結局、真相はこうだ。
 「桜の匂いを記憶したのではなく、単に(どのような さまざまな種類の匂いに対しても)嗅覚過敏症を発症しただけである」

 これで話は済んでいる。

 ついでだが、少し補足しておくと、「サクラの匂いのときだけ、強くおびえるしぐさをみせた」というのは、勝手な自己解釈だろう。「おびえるしぐさ」というが、本当におびえているかどうかは、わからないはずだ。人はネズミの気持ちを理解できないからだ。実際には、単に「過敏になって警戒心を見せているだけ」であろう。要するに、「強くおびえるしぐさをみせた」というのは、「過敏症のせいで、やたらと警戒している」というだけのことだ。それを「恐怖」と見なすのは、人の勝手な思い込みである。
 「勝手に私の気持ちを決めつけないでよね.知りもしないくせに」
 とネズミは思っているだろう。
( ※ 女心もわからない研究者が、ネズミの心を理解したつもりになるなんて、おこがましいにもほどがある。)

 ──

 さて。批判しているばかりじゃ、物足りない。これはいったい、どういう現象なのか? その真実を解明しよう。
 私の仮説はこうだ。
 「恐怖のせいでストレスが生じると、遺伝子にメチル化が起こって、嗅覚細胞に異常が発生して、嗅覚過敏症になる」

 ここでは、嗅覚過敏症が発症する理由は、桜の匂いではなくて、ただのストレスである。ストレスの原因は、桜の匂いである必要はなく、他のどんなストレスであってもいい。ネズミで言えば、鞭で打たれるとか、電気刺激を与えられるとか、針で刺されるとか、ヤケドさせられるとか、階段から転げ落とされるとか、いろいろとある。そのどんなストレスからも、同様に、嗅覚過敏症が発症するはずだ。

 これは私の仮説である。そこで、この仮説に合致する情報を探す。とはいえ、ネズミでそういう実験がなされているはずがないから、人間での情報を探す。すると、次の情報が見つかった。
  → ストレス要因により生じるエピジェネティック修飾 (PDF)
  → エピジェネティックな異常がパーキンソン病と関係?
  → パーキンソン病の患者が嗅覚過敏症を起こしやすい

 この三つをまとめると、次のような図式となる。
  ストレス → エピジェネティックス修飾(メチル化) → パーキンソン病 → 嗅覚過敏症

 これを簡単にまとめると、こうなる。
 「強いストレスを受けると、メチル化が起こり、そのせいで脳に異常が発生して、嗅覚過敏症になる」

 ここで、メチル化が起こるのは、通常はストレスを受けた個体だけだった。ところが、今回の実験によれば、ストレスを受けた影響は、個体の体細胞の遺伝子にとどまらず、個体の精子の遺伝子にまで及んでいたことになる。そのせいで次世代にまで、メチル化の影響が及んでいたことになる。
 
 では、この現象を、どう表現すればいいか? 「獲得形質の遺伝」と呼べばいいか? いや、この個体は、何か新しい形質を獲得したわけではない。逆に、正常な形質を喪失したのである。とすれば、「獲得形質の遺伝」に替えて、「喪失形質の遺伝」と呼ぶ方がいいだろう。得たものが遺伝したのではなく、失ったものが遺伝したのだ。それはつまり、「病気の遺伝」と同様である。
 本当のことを言えば、「病気が遺伝した」というよりは、「次世代において病気が発症した」というふうに解釈するべきだろう。親の世代の嗅覚過敏症が遺伝したのとは違うからだ。(親の世代の状況に関係なく、精子の異常により、次世代において嗅覚過敏症が発症する。)

 この問題は、どちらかと言えば、精神疾患の解明の問題だ。精神疾患の理由の一つに、親の世代の精子のメチル化があった、ということだ。それだけだ。そこには、「記憶の遺伝」というような概念は、入り込む余地はない。「記憶の遺伝」というのは、ただの与太だろう。
  


 【 関連サイト 】

 (1)
 上述の英文記事がある。
  → Phobias may be memories passed down in genes from ancestors

 ここでは、「PSTD の解明へ」というような話もある。たしかに、精神疾患の解明に役立ちそうだ。そのことは、すぐ上に述べたこととも関連する。

 (2)
 別の英文記事の翻訳。かなり詳しい。
  → http://blog.livedoor.jp/xcrex/archives/65773690.html

 ──

 なお、 Phobia というのは、「恐怖」ではなくて「恐怖症」である。「恐怖症」が遺伝するというのならまだわかるが、「恐怖」そのものが遺伝するというのは、てんでおかしな話だ。
 それをちょっと注記しておく。



 【 追記 】
 この実験について、次の見解がある。(コメント欄)
 “ 嗅覚受容体は基本的にスペシフィックである。ゆえに、この実験では、「アセトフェノンなどの結合する受容体(M71)を発現する嗅覚受容神経」が増えたということだ。だから、アセトフェノン以外にも敏感になる可能性はあるが、他の全ての匂いに敏感になるわけではない。”
 この見解はいくつかの誤解を含む。
 第1に、嗅覚過敏症の発症は、「嗅覚受容神経が増えた」ことを意味しない。むしろ、感覚の閾値が下がるというふうな、何らかの神経過敏症を発症した可能性が高い。一般に、どのような過敏症であれ、感覚そのものが鋭敏になって発症するのではない。感覚そのものは従来のままでも、それを受け止める脳の感受性が過敏になって発症するのが普通だ。たとえば、小さな音に過敏になるとしたら、小さな音が大きく聞こえるからではなくて、小さな音に耐えきれなくなっているから過敏になる。この違いを理解しよう。
 第2に、嗅覚受容体がスペシフィックであることと、実験がスペシフィックであることとは異なる。両者を混同しないようにしよう。感覚受容体がアセトフェノンに対してスペシフィックであるとしても、今回の実験がスペシフィックであることにはならない。つまり、今回の実験では、アセトフェノンに対する対比群がないのだから、「特にアセトフェノンの匂いについてのみ過敏になったのか」あるいは「あらゆる匂いについて過敏になったのか」は、わからない。現実には後者である可能性が高い。なのに前者である(特にアセトフェノンの匂いについてのみ過敏になった)と結論しているのが、今回の実験報告だ。その報告は解釈を間違えている(後者の可能性が高い)、と指摘しているのが、本項である。
 とにかく、対比群がなければ、「特にアセトフェノンの匂いについてのみ過敏になった」とは言えないはずだ。対比群もなしにその結論に飛びつくのは、論理的飛躍である。その論理的飛躍に留意しよう。ここを勘違いすると、「アセトフェノンなどの結合する受容体(M71)を発現する嗅覚受容神経が増えた」というような誤解に飛びつくことになる。現実的には、「特定の嗅覚受容神経だけが増えた」というようなことは、およそありえないことである。
( ※ 遺伝子は、特定の細胞組織ごとに存在するのではなく、さまざまな細胞組織を一挙に構成するような基本的な原理のために存在しているのが普通だからだ。そもそも、臭いの感覚ごとに遺伝子が存在しているのだとしたら、多数の遺伝子がそのために使われてしまうことになるので、遺伝子の浪費となる。ほとんどありえないことだ。)
 
posted by 管理人 at 23:40| Comment(20) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
興味深く読ませていただきました。
この論文を読んでみると、neutral odourとしてpropanolが使われています。
これはアルコールの一種で独特の臭いがします(人間にとってですが)ので「ありふれた匂い」というものでもないと思います。
書かれているように2種類の物質を比べているだけなので、他の物質や遺伝子を調べればよりはっきりすると思います。
Posted by 通りすがり at 2013年12月05日 12:55
世代連鎖心理にも関わる重要な再発見だと思います。
Posted by わか爺 at 2013年12月05日 20:17
電気ショックなどのストレスにより、性染色体に存在する嗅覚神経細胞数を制御する遺伝子に変異が起こり、嗅覚過敏症が伴性遺伝を呈するようになったと認識しました。
Posted by 吉崎 at 2013年12月07日 11:44
変異じゃなくて、メチル化ですね。
Posted by 管理人 at 2013年12月07日 14:07
「獲得形質か喪失形質か、というのは用語の問題にすぎない」
 という指摘があった。(はてなブックマーク)
 そこで解説しておく。

 (1)
 何か誤読しているようだが、「用語の問題にすぎない」というのは、もともと本文中で書いてあることだ。つまり、「どう表現すればいいか?」と問題提起して、「〜と呼ぶ方がいいだろう」と結論している。つまり、ただの表現の仕方の問題である。もともとそう書いてあるのだから、それを批判しても意味がない。トートロジーみたいなものだ。
 例。
 「Aは実はBである」 
 「それは間違いだ! 本当は、AはBであるにすぎない!」
 もともと文中に書いてあることなのに。イチャモンだけ付けている。

 (2)
 言葉遣いは別として、より本質的に問題を解説しよう。
    ※ 以下は、かなり長い話になる。だが、有益性はあまりない。
      特に読む必要はない。

 ある突然変異に対して、「獲得形質か喪失形質か」というのは認識の問題だが、実はこれは、ダーウィン説における「有利な突然変異」という物を認識するかどうかという問題にかかる。
 木村資生が中立説で示したように、「有利な突然変異」というものはほとんど観察されなかった。彼の弟子の太田朋子によれば、ほとんどの突然変異は弱有害であった。(ほぼ中立説。)
  → http://openblog.meblog.biz/article/2080627.html
 一方、突然変異の頻度を数理的に計算したところ、一塩基遺伝子の変異が組み合わさって有益な意味のある遺伝子の組み合わせになる確率は、ものすごく低頻度であり、数百億年に1ぺんぐらいでしかなかった。つまり、宇宙誕生以来の時間をかけても、生物にたった一つの「有利な突然変異」が起こる確率は、ほとんどゼロなのだ。(ただし注意。皮膚の色が変わるとか、血液型が変わるとか、そういう単純な塩基レベルの突然変異ではなくて、前肢が[未熟な]翼になるというような巨大な突然変異について考える。)

 以上のことから、次のように言える。
 「ある種において、獲得形質と言えるような有利な突然変異が誕生する確率は、数理的にゼロ同然である。事実上、ありえない。たとえ何百億年をかけても」
 つまり、「有利な突然変異の蓄積」というダーウィン説の発想は、数理的に否定される。

 これを解決するのが、クラス進化論の発想だ。次のことを骨子とする。
 「旧種にとって不利な遺伝子が複数個組み合わさることで、新種が誕生する。旧種にとって不利な遺伝子は、新種にとっては有利な遺伝子である」
 
 この発想に従えば、何らかの突然変異があったとき、次のように言える。
 「その遺伝子は、新種にとっては有利だろうが、旧種にとっては不利である」

 ここから、次の結論が得られる。
 「今回の例を含めて、どのような突然変異があっても、それは通常、現在の種にとっては不利である。それはただの遺伝病にすぎない。嗅覚過敏症もそうだ。それが(メチル化でなく)遺伝子レベルの突然変異だとしよう。そうであっても、その突然変異は、現在の種にとっては不利である。それが獲得形質と呼ばれることはない。仮に将来、新種が誕生して、その新種の1形質として含まれることがあれば、その形質は、新種にとっては獲得形質になる。しかし、いまだ新種が誕生していないのだから、「新種にとって」ということはありえない。現在の種から見れば、その形質は、あくまで「喪失した形質」にすぎないのである。
 要するに、ある形質が「獲得形質」と呼ばれるためには、それを有利な形質と見なす新種が誕生していることが必要だ。そして、新種から見て「獲得形質」となるだけだ。旧種の側から見て、それが(新種の)「獲得形質」となることはないのだ。
 
 【 注 】例外はある。小規模な変異だ。たとえば、ラマルクで言えば、「ネズミの尻尾が短くなる」というふうな。その程度の変異ならば、「獲得形質」となることも、なくはない。「シッポの短いネズミ」が有利になることもあり得るので。(すぐ上で述べたことは、その程度の形質差ではなくて、もっと大規模な形質差の話。小進化ではなく大進化のレベルの話。)


 ……ただしまあ、それも「言葉レベルのことにすぎない」と言われれば、たしかにその通りだが。それでも、ここでは、言葉よりも深いレベルの話を、ちょっとだけ考察してみた。
 たいした話ではないので、忘れてしまってもいい。
Posted by 管理人 at 2013年12月08日 10:16
嗅覚受容体は基本的にスペシフィックですよ。なので「嗅覚受容神経」が増えたというのは、正確には「アセトフェノンに対する嗅覚受容神経」が増えたということです。
しかし実際には、1つの嗅覚受容体が別々の物質を異なるレベルで結合させることもあります。なぜプロパノールを比較対象に利用したかというと、アセトフェノンが結合するある受容体(M71)にはプロパノールは結合せず、脳の反応などが重複しないからです。
なのでもっと正確に言うと「アセトフェノンなどの結合する受容体(M71)を発現する嗅覚受容神経」が増えたということですね。なので、アセトフェノン以外にも敏感になる可能性はありますが、他の全ての匂いに敏感になるわけではありません。
またアセトフェノンはM71以外にも多くの受容体に結合します。比較された物質や遺伝子の数が少ないのはこれが原因だと思われます。嗅覚受容体はそれほど研究が進んでいるわけではないので、アセトフェノンとそれに伴う受容体・神経細胞以外を対象とするのは難しかったのでしょう。
この研究自体とは関係ないのですが、もし科学系の記事で疑問に思うことがあったら、まずは他の記事ではなく論文を読むことをお勧めします。大抵の疑問はそこで解決しますし、記事に誇張があったらすぐに分かるので、研究内容や成果を誤解する危険も減ると思います。
Posted by 通りすがり at 2013年12月09日 13:35
> 嗅覚受容体は基本的にスペシフィックです

 Wikipedia の「嗅覚受容神経」には次の記述があります。

 「嗅覚受容体は多様なにおい分子に結合出来る」

 ──

 あと、本項の趣旨を間違えないでください。アセトフェノンであろうがなかろうが、その細胞異常は何に由来するか、ということ。ただのストレスなのか、嗅いの体験なのか。そこがポイント。
Posted by 管理人 at 2013年12月09日 14:09
嗅覚受容体は多種多様に存在するので、その記述は特定の受容体を対象としたものではないでしょう。上にあるように、一つの受容体が複数の物質を結合させることはありますが、そのレベルは構造によって変わり、一つの物質が複数の受容体へ異なるレベルで結合するのと合わさって、様々な受容体が様々なレベルで活性化される組み合わせによって匂いを判断します。
記事の趣旨に関わらず、明らかな誤解が含まれているので指摘しただけですよ。タンパク質のスペシフィシティは生化学の基本中の基本なので覚えておいた方がいいと思いますよ。あと科学に関して日本語版wikipediaを参照にするのは絶対にやめましょう。するのならば参考文献の整った英語版です。一番いいのはアクセス権があるならば、上にあるように実際の論文です。
Posted by 通りすがり at 2013年12月09日 19:39
細かい話をします。

> 正確には「アセトフェノンに対する嗅覚受容神経」が増えた

 それはどこにある文章ですか? 典拠があるのですか?
 そもそも、そういうことがあるとは思えません。特定物質についての嗅覚受容神経だけが選択的に増えるということは起こりそうにないし、仮に起こったとしても、それを神経レベルで解析する方法があるとは思えません。人類の科学は(何百億もの神経について)神経レベルで機能を測定するほど発達していないはずです。
 私の個人的な推測を言えば、今回の嗅覚過敏症は、どちらかというと、化学的な理由が大きく影響しているはずです。それならば選択的な結果も出る。

> 明らかな誤解

 誤解というよりは、「単純化のしすぎ」または「言いすぎ」への批判でしょう。「話を簡単に書くな」という形で、反例を上げているわけ。一言でいえば、揚げ足取り。よく来るんですよね、そういうのが。
 というのは……

> 他の全ての匂いに敏感になるわけではありません。

 それはそうでしょうけど、私は別に「他のすべての匂いに敏感になるのだ」というふうに自説を唱えているわけではありません。本項は、私の自説を提唱する場所ではありません。
 新聞記事を読んで、そこに論理の穴を指摘するのが、本項の目的です。その際、
  「桜の匂いを記憶したのではなく、単に(どのような匂いに対しても)嗅覚過敏症を発症しただけである」
 というふうに書いたけど、たしかにこれは話を単純化しすぎていますね。しかしそれは、本来の論点ではない。反論をわかりやすく示しただけだ。「他のすべての匂いに敏感になるのだ」というふうに自説を唱えているわけではありません。そういう解釈で、記事の趣旨を否定できる、というふうに示しただけです。カッコの内の話は、不正確であるとしても、もともとカッコ内の話であるにすぎないし、単純化されすぎているだけです。そこはもともと論点ではない。そのような可能性を示すことで、「恐怖の記憶」という仮説が否定されうる、と示しただけ。仮説の論理的な欠陥を示しただけ。本項は、元記事(の論理)の否定が目的であって、私が自説を提出しているわけではありません。(私は何も実験していませんから。)

> 記事に誇張があったらすぐに分かる

 今回の問題は、記事の誇張ではありません。「対比群に対象が1つしかない」というのが、実験の根本的な難点です。たった1つの対照群からは、何も結論できないのに、勝手に「記憶は遺伝する」という趣旨の結論を出してしまった。そこには大きな論理的な飛躍がある。
 はっきり言って、「今回の実験からは、何も結論は得られない」と実験者は明示するべきだった。あるいは、「こういう結果は得られたが、その理由が、何らかの記憶や体験であるかは、まったく不明である」と語るべきだった。その上で、別の人が「ストレスが理由だろう」という推測を出すことはできるが、とにかく、「この実験からは何もわからない。なぜなら実験が不備であるからだ」と語るべきだった。
 記事を読めば、もともと不備な実験であることはわかる。そして、不備な実験について、論文をいくら読んでも、真実はわかりません。
 
> 一番いいのはアクセス権があるならば、上にあるように実際の論文です。

 不備な実験の論文をいくら読んでも、真実はわかりません。論文を読めば真実がわかるというのは、思い込みです。
 駄目論文はいくら読んでも駄目だ、というのが、本項の趣旨。「(肝心の実験が抜けているような)駄目論文であっても、原文を読めば真実がわかる」というのは、あなたの独自の発想です。
Posted by 管理人 at 2013年12月09日 19:56

 少し上のコメントに、通りすがりさんのコメントがあるが、ここでは誤読があるので、注記しておく。

 私は「嗅覚過敏症」と述べた。だが、これはあくまで、私の「仮説」である。私が実験的に実証したことではない。そもそも私は何の実験もしていない。なのに、どこをどう間違ったか、私が「これは嗅覚過敏症であると断定している」と思い込む人もいるようだ。
 誤読しないでほしい。嗅覚過敏症というのは、私の「仮説」である。文中では次のように記してある。

> 私の仮説はこうだ。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
> これは私の仮説である。

 こういうふに、はっきりと「仮説」だと明示している。当然ながら、嗅覚過敏の対象が何になるかという細かい話は、まったくわかっていない。

 本項の目的は何か? 私の仮説を主張することか? 違う。こうだ。
 「恐怖の記憶という、インチキっぽい仮説の代わりに、もっと科学的な仮説を提供すること。それによって、恐怖の記憶という、インチキっぽい仮説を否定すること」
 これだけだ。私の説の提出ではなく、別の説の否定である。
 したがって、私に向かって、「おまえの仮説は正しくないぞ!」と批判しても、意味がない。私は別に、何らかの仮説を提出したいわけではないからだ。
 本項の目的は、あくまで、トンデモ仮説の否定だ。それだけだ。
 
( ※ どうも、専門家ほど、細かな枝葉末節にとらわれすぎて、話の本筋を見失ってしまうようだ。「ウォーリーを探せ」ばかりやっているようなものかな。思考のタコツボ化。)
Posted by 管理人 at 2013年12月09日 23:55
あなたの指摘しているのは「記事の不備」であって「論文の不備」ではありません。ニュース記事というのは、論文をかいつまんで説明しているので至らない部分や、読者を楽しませるための誇張が含まれます。
例えば説明の至らない部分とは、あなたが勘違いしたようにスペシフィシティであり、誇張の部分とは環境ストレスに対する表現型の遺伝を恐怖の遺伝と表現したことです。
論文の著者は恐怖が遺伝するなどとは一言も述べていません。生体内の特定の神経細胞や物質の活性を観察するには、ラベリングという方法を用います。基本的実験の一つですし、論文内で説明もちゃんとあります。比較対象の数に関しては、上記の説明とタンパク質の性質を理解すれば、なぜそうなったのか分かります。
英語論文を元にした科学に関しては、参照していい順序というものがあります。論文、教科書、英語版wikipedia、英語ニュース記事、日本語版wikipedia、日本語ニュース記事、他にもソースは多くありますが、大まかにいってこんな感じで、後ろにいくほど正確さは低下する傾向にあります。正確ではなくとも基礎知識があれば誤解することは少ないですが、基礎知識の欠如している人は簡単に引っかかってしまいます。
一言で言うなら的外れってことです。あなたの仮説に興味はありません。そもそも指摘が間違っているのですから。まずはつべこべ言わず論文を読んでみましょう。アクセス権がなくても図書館とか行けば読めると思いますよ。あとは生化学の知識が絶対的に不足しています。興味があるならば英語版wikipediaで勉強ですね。
Posted by 通りすがり at 2013年12月10日 04:39
> あなたの指摘しているのは「記事の不備」であって「論文の不備」ではありません。

 そうですよ。読めばわかる通り。いちいち指摘する必要はない。

> まずはつべこべ言わず論文を読んでみましょう。

 意味不明。「記事の不備」を指摘するために、どうして原文を読む必要があるの? 
 それにあなたは、大きな勘違いをしている。「記事の不備」というが、特定または不特定の一つの記事が間違えたのではない。世界中の記事がみんな間違えている。それは研究者が何らかのミスリードを招く表現をしていたからだ、と考えられます。
 記者のせいにすればそれで終わり、というわけじゃない。著者の責任はきわめて大きい。特に、世界中でミスリードの表現が出たあとで、訂正を要請しなかった罪は大きい。

> 環境ストレスに対する表現型の遺伝を恐怖の遺伝と表現したことです。

 「環境ストレスに対する表現型の遺伝」というのは、私の認識です。そのような認識は原文には出ていなかったはずです。(あれば世界中の記者が勘違いするはずがない。)

> 比較対象の数に関しては、上記の説明とタンパク質の性質を理解すれば、なぜそうなったのか分かります。

 そんなことは関係ない。「数が一つだから、実験的には何も言えない」という結論を明示することが必要。

> 一言で言うなら的外れ

 だったら、「誇張の部分とは環境ストレスに対する表現型の遺伝を恐怖の遺伝と表現したことです」という指摘が的外れ、ということになるので、あなたは自分で言っていることが矛盾しています。「恐怖の遺伝」という説は正しいのだ、と言っているのと同じ。

> そもそも指摘が間違っているのですから。

 どこが間違っているの? それがちっとも示していないじゃない。あなたの言っているのは、単に「おまえは素人だ。おまえは間違っている」と悪口を言っているだけで、具体的な間違いの点は一つも示していない、ということ。

 あなたは偉そうにいろいろ言っているから、論文の書き方を教えて上げます。下記です。
  ・ 具体的な科学的論拠のみを指摘する。
  ・ 相手の批判をするときは引用する。
  ・ 相手の悪口・罵倒を言わない。
  ・ 自分自身については謙虚に語る。
 これが論文を書くときの注意点です。しかしあなたはそのうちの一つとして満たしていない。そのことからして、あなたは専門的論文を読んだことはあっても書いたことがない、と推定されます。
 
> 説明の至らない部分とは、あなたが勘違いしたようにスペシフィシティ

 スペシフィシティのことは、記事本文中には出てきません。あなたが勝手に持ち出しただけ。あと、別に勘違いしたわけじゃない。あなたが自説にこだわって、「オレが正しい」「Wikipedia 日本語版は間違っている」と言い張っているだけ。

 ──

 あとね。あれこれと語るのなら、通りすがりじゃないんだし、きちんと署名してください。たとえば charliecgo というふうに。
Posted by 管理人 at 2013年12月10日 06:50
まあなんというか、無駄そうなので一つだけ言っておきますね。成長の秘訣は間違いを認め、理解し、改善に努力することです。恥ずかしいことは間違えることではなく、認められないことだと思いますよ。教授ですら間違えることはあるんですから。よく言われることですが、下っ端でも研究や教育に携わると意味がよく分かります。
「通りすがり」というのは確かにあまりフェアではありませんね。ちょっと指摘するだけのつもりでしたので。もし次に書き込むことがあればTexanとでもしておきます。
Posted by 通りすがり=Texan at 2013年12月10日 09:29
ちょっと和訳を調べてみたけれど、次の記述があった。

> アセトフェノンと電気ショックの関連付けを行われたマウスやその子孫の脳内では、匂いを感知する受容体がより多く見られた。
 → http://blog.livedoor.jp/xcrex/archives/65773690.html

 ここでは「匂いを感知する受容体がより多く見られた」のであって、「アセトフェノンの匂いを感知する受容体がより多く見られた」のではない。
 ゆえに、通りすがり=Texan さんの言っていること(正確には「アセトフェノンに対する嗅覚受容神経」が増えた、という文言)は、すべて誤り。話の土台が間違っているので、その先の話もすべて間違い。
 一方、「感覚過敏症の疑い」という私の認識は、いっそう裏付けられたことになる。

 ──

 なお、次の記述はある。

> 条件付けが行われたマウスの精子細胞内では、アセトフェノン感覚遺伝子のメチル化の減少がみられた

 しかしこれは精子細胞内の話であり、子の神経細胞ではないから、直接の証拠ではない。
 また、次の難点もあるので、きわめて疑わしい。

> アセトフェノン感覚遺伝子上にはメチル化が起こりうる部位が存在しない

 ──

 最後に、スペシフィシティについては、次の記述がある。

> ヒトでは約350種類、マウスにおいては約1000種類もの嗅覚受容体遺伝子が存在する。また、ヒトやマウスはその嗅覚受容体を用いて数10万種類もの匂い物質を識別することが可能だ。
 → http://news.mynavi.jp/news/2013/09/17/101/

 同様の記述は、ネット上にたくさんある。特に Wikipedia には、次の記述がある。

> それぞれの嗅覚受容体は特定の一種類の物質のみが結合するわけではなく、いくつかの類似した分子が結合できる。

 まだ信じられないなら、英文の Wikipedia でも読めば? 

> Each glomerulus receives signals from multiple receptors that detect similar odorant features. Because multiple receptor types are activated due to the different chemical features of the odorant, multiple glomeruli will be activated as well. All of the signals from the glomeruli will then be sent to the brain, where the combination of glomeruli activation will encode the different chemical features of the odorant. The brain will then essentially put the pieces of the activation pattern back together in order to identify and perceive the odorant.[

 ──

 話の核心に戻ると、「アセトフェノンのレセプターだけが選択的に励起した」という証拠は、今回の実験ではわかっていない。2種類しか実験していないんだから。
 そこで、「他のレセプター( or 臭い)についてはわからない。何も言えない」と指摘したのが、本項の主題です。この主題をきちんと理解してください。「アセトフェノンのレセプターだけが選択的に励起した or その神経細胞が増えた」などと認識するのは、実験事実に反するし、私の見解をまともに読んでいないことになります。
 基本的には、あなたの主張は、最初から誤読の上に成立しています。すべて勘違いの上に基づいた批判。

 ──

 通りすがり=Texan さんの言っていることは、あまりにも過激だが、「字句が少し不正確だ」という程度ならば、受け入れます。特に必要はないと思うが、他の字句の修正といっしょに、該当箇所を少し修正しておきました。(打ち消し線の箇所。)
 いちいち悪口を言うのでなくて、簡単に指摘しておけば、私としても感謝の言葉を述べただろう。なのに、オマケで悪口を浴びせてくるから、余計な手間が双方にかかる。

 あと、通りすがり=Texan さんの誤解について理解を示しておけば、レセプターのスペシフィシティという発想は、昔は主流派の考え方だった。だから古い知識をずっと持っていたのだろう、と推定される。かなりお年を召した方なんですね。そのせいで、古い知識にこだわっている。
Posted by 管理人 at 2013年12月10日 12:26
まずその和訳は論文ではなくnatureの記事のものです。論文へのリンクは参照にあります。その部分ではアセトフェノンの匂いについて述べているので当然その受容体のことです。その後アセトフェノン感覚遺伝子について述べていることからも分かりますね。
受容体のスペシフィシティに関しての例外は、すでに二度も説明していますよ。その柔軟性のせいで、多くの比較対象を利用することが難しいということです。以前に述べたタンパク質のスペシフィシティに関しては、どんなタンパク質でも完璧ではなく、似た構造の様々な物質に結合します。なので毒や薬で活性がコントロールできるのです。
しかし実験対象にした受容体がアセトフェノンに高レベルでスペシフィックなのは以前に示されています。論文のreferenceで確認できます。だから実験対象に選ばれたということですね。ただし例外はあるので、ちゃんと調べた物質のみを比較に利用したということです。
話の核心も何も前も書きましたが、あなたの説などは話題にしていませんよ。間違いを指摘した。ただこの一点のみです。それに対する返答を説明を交えながら解説しているだけです。いい加減疲れましたが。
そもそもこの論文は基礎研究の一つであるので、完璧な説が唱えられるわけはありませんよ。論文の著者も当たり前ですが、そんなこと一言も言っていませんし、更なる研究が必要であると言っています。現にnatureの記事では異論が唱えられているでしょう。論文も読まないで記事だけで判断してしまうと、著者の意図が正確に伝わらないのですね。論文を読めとしつこく言っているのはそのためですよ。
Posted by Texan at 2013年12月10日 16:07
> 間違いを指摘した。

 だからどこが間違っているというの? 私の言及を引用して、「ここが間違っている」と書いてください。
 スペシフィシティなんて、全然関係ない。
 私が言っているのは、「他の臭いとは対比されていない」ということ。「必要な実験がなされていない」ということ。そこにはスペシフィシティという概念は出てこない。

> 間違いを指摘した。ただこの一点のみです。

 私が言っているのは、「必要な実験がなされていない」ということ。そのどこが間違っているのが、具体的に指摘してください。あなたは単に「間違っている」とばかり繰り返して、具体的な指摘が一つもありません。
 私が思うに、あなたはスペシフィシティという概念にとらわれて、私の話を勝手読みしているだけでしょ? だから私の文章を引用することもできないんでしょ? まずは私の話をきちんと読んでください。何度も言っているけど。人の話を読まないで誤読してばかり。

> 論文を読め

 私の言っていることは、「必要な実験がなされていない」ということ。なのに、原論文を読めば、ありもしない実験が「あった」と判明するんですか? 無意味です。読んでも読まなくても、存在しない実験のことはどこにも書かれていません。
 とにかく、私が何を言っているか、理解してください。あなたは「原論文を読め」とばかり言って、私の話をまるきり読んでいない。「読め」という人が、人の話をまったく読んでいない、という皮肉。
 
 ──

 なお、一番最初のあなたの言葉に戻ると、

> 嗅覚受容体は基本的にスペシフィックですよ。なので「嗅覚受容神経」が増えたというのは、正確には「アセトフェノンに対する嗅覚受容神経」が増えたということです。

 ここが、あなたの勘違いの原因ですね。わかりやすく解説すると、こうなります。

誤> 嗅覚受容体は基本的にスペシフィックですよ。なので「嗅覚受容神経」が増えたというのは、正確には「アセトフェノンに対する嗅覚受容神経」が増えたということです。

正> 嗅覚受容体は基本的にスペシフィックですよ。なので「嗅覚受容神経」が増えたというのは、正確には「アセトフェノンに対する嗅覚受容神経だけが増えた」ということではなくて、「アセトフェノンに対する嗅覚受容神経もまた増えた」ということだろう。他の嗅覚受容神経も同時に増えたかどうかは、今回の実験では判明していない。なぜなら、対比実験がなされていないから。

 こういうふうに相手の言葉を引用するのが、批判の仕方です。論文を書くときの作法を理解するといいですよ。

 ──

 あとね。論理関係をきちんと理解しましょう。スペシフィックという概念から得られるのは、次の論理関係です。

 ○ アセトフェノンに対する嗅覚受容神経だけが増えた ⇒ アセトフェノンに対して特異的に反応する

 × アセトフェノンに対しても反応する ⇒ アセトフェノンに対する嗅覚受容神経だけが増えた

 後者(×の方)は、論理的に成立しません。アセトフェノンに対しても反応するとしたら、アセトフェノンに対する嗅覚受容神経が増えた可能性は十分にありますが、他の嗅覚受容神経も増えた可能性は十分にあります。
 で、その可能性を指摘したのが、本項です。
 一方、「アセトフェノンに対する嗅覚受容神経だけが増えた」という認識は、誤りです。スペシフィックという概念からは、その結論は得られません。理由は、他の臭いについての実験はなされていないから。(まだ不明だから。)
 
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Posted by 管理人 at 2013年12月10日 19:39
長いコメントが寄せられたが、掲載しません。内容は空っぽだから。特に、「受容体を含むタンパク質というのは、基本的にスペシフィックでなくてはなりません」という間違った前提に基づいて議論しているのが、致命的。
 以下で説明します。一応ね。読んでもわからないだろうけど。

 ──

 よく調べたところ、Texan さんの言っていることが、まったくの間違い or 勘違いであることが判明した。

 第1に、嗅覚受容体は基本的にスペシフィックではない。次の引用文からも明らか。

> 自然界には数百万の化学物質があるので、約300の受容体でかぎ分けるのは不可能に思われます。しかし、最近の研究で匂い物質と受容体は1対1の関係でないことがわかってきました。匂い物質は複数の部分構造で構成されていて、複数の受容体が同時に1つの匂い物質を受容します。受容された情報は、脳の嗅球という部位で整理、統合されます。部分構造は匂い物質が異なっても共通なので、部分構造の組み合わせによって300程度の受容体の数でも多くの化学物質をかぎ分けることが可能です。
  → http://j.mp/1gWakAE

 これは、Wikipedia 英語版の内容とだいたい同じです。
 さらに、スペシフィックではないことは、論理的にも明らかです。生物はそのような無駄な構造をもたないからです。臭いに対してスペシフィックであるというのは、いわば、単一波長のスペクトルのみに反応する視覚細胞というようなものであって、ありえません。視覚細胞は(一定帯域の)さまざまな波長に反応します。それと同様に、嗅覚のレセプターも、さまざまな臭いに反応するのが当然です。アセトフェノンに反応する受容体も同様。

> 実験対象にした受容体がアセトフェノンに高レベルでスペシフィックなのは以前に示されています。

 それはあなたの勘違いでしょう。せいぜい、数十ぐらいの臭いに対してスペシフィックだという程度。ほとんど意味がない。百万ぐらいの臭いについてすべて実験したはずがないからだ。できもしない実験をやったはずがないので、上の言明は無効です。
 さらに核心を言うと、「実験対象にした受容体がアセトフェノンに高レベルでスペシフィック」という文言そのものが、ここではまったく無意味になっている。そんなことはここでは関係ないからだ。特定の受容体 R が、アセトフェノンの臭い A に対してスペシフィックであるかどうかは、まったく問題となっていない。問題となっているのは、アセトフェノンの臭い A に対して、特定の受容体 R がスペシフィックであるか、ということ。つまり、他のレセプターが反応するか否か、ということ。これが話題になっている。
 ゆえに、上の引用部の文言は、まったく見当違いのことを論じているわけだ。
 比喩的に言うと、「山は高い」という命題に対して、「いや、高いものには東京タワーもある。ゆえに、山は高いという命題は間違いだ」と主張するようなものだ。論理の倒錯。論理の方向が狂っている。何を論じているかということを、まったく理解できていない。

 ──

 オマケに一つ言うと、

> あなたにどのような問題があるのかというと、著者の研究の意図を拡大解釈しているところです。

 という文言も、どうしようもないね。拡大解釈しているのは、新聞記事でしょ。それで、拡大解釈をやめさせようとしているのが、私でしょ。話の方向をまったく理解できていない。主語が誰であるかも理解できていない。
 Texan さんは、日本語読解力に根本的な欠陥がある。概念レベルでは問題ないので、ウェルニッケじゃないが、ブローカ失語に近い。完全な失語症じゃないけど、10%ぐらい失語状態ですね。

 いろいろ考えたが、Texan さんの脳構造は、ブローカ失語に近い。こういう人には、何を説明しても、理解できないはずだ。自分が理解できずにいるということを、理解する能力が欠けているからだ。いくら説明しても無駄。話を理解できていない。
 これまで説明しようとしたことは、すべて無駄だった。失語症みたいな人に説明するのは、ただの時間の無駄。
Posted by 管理人 at 2013年12月11日 00:09
またしても長々と書いたコメントが来たが、本人は正しいことを言っているつもりなのだろう。まあ、彼の論じている範囲内では、正しいと言える。しかしそれは本項とはまったく関係のない領域の話だ。彼は自分が何を論じているか、理解できていないようなので、下記で示す。

 Texan さんの論理のどこがおかしいかを、比喩で説明しよう。

 彼の意見は、視覚で言うと、こうだ。
 「赤色の視覚細胞は、赤信号だけを検知する(スペシフィックである)。なぜなら実験でそうだったから」

 これは正しくない。
 第1に、その実験は赤信号・黄信号・青信号という三色しか対象としていない。そのような限られた範囲の実験は無意味。現実には、赤いものは多様にある。たとえば、苺や薔薇がそうだ。これらについても、赤色の視覚細胞は検知する。ゆえに、「赤色の視覚細胞は、赤信号にスペシフィックである」とは言えない。
 第2に、話題になっているのは、「赤色の視覚細胞が何かに対してスペシフィックであるか否か」ではない。(それはスペシフィックではありえない、とすでに判明しているから、問題とならない、ということもあるが、それはまた別の話。)話題になっているのは、「赤信号に対して、赤色の視覚細胞だけが反応するか」ということ。そして、これについいては、「否」と言える。赤という色に対して、赤色以外の(緑や青の)視覚細胞もまた、少しは反応するのである。(少しだけだが。)ここが重要であり、ここが本項で話題になっていることだ。だから、「緑色や青色についても赤細胞が反応するかどうか実験しないと、結論は出せない」と本項は言っている。

 比喩に対してさらに比喩で言うと、「赤色を見た子が興奮するのは、赤色への記憶が遺伝したからだ」という見解に対して、「青色や緑色にも興奮するかもしれないのだから、特に赤色への記憶が遺伝したとは言えない」というふうに反論するのが、本項だ。ここにおいて、冒頭のようなことを持ち出しても、反論への批判にはなっていない。単に筋違いの話をしているにすぎない。なぜなら、第2の点のような見当違いをしているからだ。

 ──

 おおまかに言えば、私が「山は高い」という話をしているのに、彼は「そうじゃない。東京タワーこそが高いのだ。ゆえに、山が高いというのは間違いだ」というふうに話して、「東京タワーが高い」という証拠を延々と示している。「どうだ。おれの言っていることはこれほどにも正しいのだ。おれの主張は完璧だ。ゆえに、山が高いという説は間違いだ!」
 自分がいかに見当違いの話をしているか、まったく理解できていない。自分が正しいと主張するだけで、まわりのことがまったく見えていない。人の話を理解できない。コミュ力の問題ですね。

 ま、彼が何を思おうが彼の勝手だが、彼が自説を展開したければ、自分のブログに書くべきだ。本項とは何の関係もない話を、延々と書き込まないでほしい。嗅覚のスペシフィックというような話は、本項とは何の関係もない。関係があると思っているのは、本人だけ。
Posted by 管理人 at 2013年12月11日 07:17
>山は高い
という管理人の主張に対して
>いや低い山もある。一概に山が高いというのは間違い
として天保山を挙げたところ
>そんなものは山とは認められない。丘だ
と管理人が駄々をこねているようにしか見えない
Posted by ひろゆき at 2014年01月08日 23:16
> そんなものは山とは認められない。丘だ

違いますね。こうです。

「低い山があるという例外をひとつ示したところで、『山は高い』という一般命題が否定されたことにはならない」

 数学命題じゃないんだから、例外を一つ示したところで、一般命題には影響しないんです。ここを理解しないで、例外を一つ示して鼻高々になる人が多すぎる。「自分は利口だ」と自惚れて、「他人に文句を付けるのが生きがい」だと感じている人だと、しばしばある。
Posted by 管理人 at 2014年01月09日 06:54
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