2013年11月28日

◆ 学術専門誌の公開と審査

 学術専門誌については、論文の公開と審査を分離することが好ましい。それによって費用の低減を図れる。 ──

 読売新聞・朝刊 2013-11-25 に、ノーベル賞学者の野依良治教授の提言があった。次の趣旨:
 学術専門誌は、ほとんど電子化されている。費用も低下しつつある。しかし販売価格は高額で、さらに急上昇しつつある。これは学術専門誌が、欧米の出版社に牛耳られているからだ。そこで、学術専門誌を日本で独自につくればいい。公開は無償として、執筆者から金を取ればいい。編集長は海外の有名人を招けばいい。

 ──

 話の趣旨には、基本的に賛同したい。ただし私としては、次の一点を追加したい。
 「学術専門誌については、論文の公開と審査を分離することが好ましい。それによって費用の低減を図れる」


 ここでは「公開と審査を分離する」ということが重要だ。つまり、次のことだ。
  ・ 公開は、ほとんど無制限で受け入れる。(自動処理)
  ・ 審査は、高名な査読者が審査する。 


 販売は、次のようにする。
  ・ 論文自体は、無償で公開する。
  ・ 審査結果は、有償で販売する。


 野依教授の提案では、「玉石混淆では学術誌の水準が保てない」とのことだが、そのような玉石混淆の全体は、単にデータベースみたいにして、無償公開すればいい。( arXiv.org みたいに。)
 精選されたものは、講評などを付けて、「精選集」として販売すればいい。ここでは、「優れたものだけを精選する」という付加価値があるから、販売価値がある。

 ──

 ただし注意。後者の「精選」というのは、審査機関だけが実行できるわけじゃない。他の誰もができる。有力な評価者がいれば、その人が代行することもできる。
 また、「集合知」のような形で、多くの評価者の賛同を得たものが高く評価される、という仕組みを作ってもいい。たとえば、「はてなブックマークのはてなスター をたくさん集めた論文が上記にランクされる」というようなシステムだ。このようなシステムならば、コストをゼロ同然にして、きわめて低コストな評価が可能となる。

 以上を、私の提案とする。



 [ 付記 ]

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  【 関連サイト 】

 (1) 査読はどうあるべきなのか - システム論ブログ - 永井俊哉
  …… 本項と似た趣旨。

 (2) 学術誌問題の解決に向けて - 日本学術会議 [PDF]
  …… さまざまな情報。包括的。

 (3) 外国雑誌のRenewalと価格問題
  …… 高額さを指摘する。

 (4) 学術雑誌の価格高騰と 学術コミュニケーションの危機 [PDF]
  …… 価格高騰の影響

 (5) あまりにも異常な日本の論文数のカーブ
  …… 日本だけが論文数低迷。理由は研究費削減。
 
 (6) Open ブログ: 論文投稿の費用
  …… 査読料など。(私が以前書いた項目)

 (7) 情報の値段:論文誌出版社を学者がボイコット
  …… 暴利に反対する学者たちが、高額専門誌をボイコット。
posted by 管理人 at 20:31| Comment(5) | 科学トピック | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by 管理人 at 2013年11月28日 23:10
査読なしと査読ありと編集ありと編集なしの学術としての引用はどうするのですか?
引用がしっかりしてないと学術として訳わからなくなりませんか?
Posted by ひゃま at 2013年12月04日 12:34
> 引用はどうするのですか?

 どうするのかって、別にどうもしません。それぞれは別の学術誌ですから、それぞれの名称をつけて引用すれば、問題ありません。何も不思議なことはない。
Posted by 管理人 at 2013年12月04日 12:58
引用をしっかり間違いなく学術出版としての形式審査は、そのままジャーナルの本来の機能であり、そういうジャーナル機能とボランティア査読の窓口に立った立場を利用した暴利に文句を言ってるのであって

形式審査はそのままジャーナルがしっかり行って
内容審査は本来、引用やその成果にて行うのが筋なのでオープンにすべきですね。
Posted by ひゃま at 2013年12月05日 00:05
Posted by 管理人 at 2013年12月13日 19:29
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