
鎌倉にある神奈川県立近代美術館というと、美しいモダニズム建築として知られている。私は多くの美術館に行ったが、この美術館は建物の構造が屈指の出来映えである美しさだ。上野にあるいくつかの平凡な美術館なんかとは、雲泥の差だ。

出典1 出典2
その特徴は、
・ 日本で最初の公立近代美術館
・ モダニズムと日本の伝統の融合
などだ。詳しい説明は下記で。
→ 神奈川県立近代美術館 ホームページ
ところが、この素晴らしい美術館が破壊されてしまうらしい。読売の記事から引用しよう。
国内初の公立近代美術館で、日本の代表的な近代建築として知られる神奈川県立近代美術館鎌倉館(鎌倉市)が2016年3月末で閉館する見通しとなっている。
財政難に苦しむ県が、敷地の所有者である鶴岡八幡宮との土地貸借契約を更新しない方針を示しているためだ。契約を打ち切る場合は更地にして返還しなければならない。
鎌倉館は終戦直後、当時の神奈川県知事が戦災からの復興と文化振興を願って建設を決めた。近代建築の第一人者・坂倉準三の設計で知られている。
白を基調としたシンプルな構造の建物は、鶴岡八幡宮の池にせり出すように建てられ、周囲の自然と調和するよう配慮されているなど優れた外観を持つ。近代建築の調査・保存を行う国際NGO「DOCOMOMO(ドコモモ)」(本部・スペイン)は1999年、「日本の近代建築20選」に選んでいる。
( → 2013年11月19日 読売新聞 )
さて。ここで美術館を解体する理由は何か? 特別な理由がありそうに見えるが、実は記事にもあるように、「財政難」ということだ。ただそれだけ。
では、神奈川県はいつからそんなにひどい財政難になったのか? 別に、たいして財政難にはなっていない。神奈川県は大阪府とは違う。関空という馬鹿げた投資などはしていない。たいして赤字などは出ていない。
ただしそれは、黒岩知事の前までだ。黒岩知事の代になると、神奈川県は浪費をするようになった。
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神奈川県知事の黒岩知事というと、ホメオパシー擁護で知られている。正確には「ホメオパシー擁護」というよりは「ホメオパシーに好意的」という程度だが、およそ科学的ではないことはたしかだ。この件は、前にも論じた。
→ 太陽光発電とホメオパシー
この人は知事選挙の際、「太陽光発電を大々的に建設する(そのために補助金を莫大に出す)」と主張して、知事に当選した。( → 上記項目 )
この公約は、のちに「無理だとわかりました」というふうにして撤回されたが、それでも撤回までには、そこそこ多額の出費がなされた。
→ 県の太陽光パネル普及策、年度内で補助打ち切り/神奈川
また、撤回したあとでも、規模を縮小して補助金事業はいくらか続いているようだ。さらには、別のことで補助金をばらまこうとしている。
→ 「スマートエネルギー構想」を推進する神奈川県知事、太陽光の次は水素に注目
のみならず、「水源税」という税を課して、県民から人頭税みたいな形で金を取り上げる。相当に巨額だ。「年額 約39億円(5年間で約195億円)」という規模。
→ 水源税 - 神奈川県ホームページ
これで「水源のみどりを保護する」という、という触れ込みだが、実際には、農業振興というような、本来の目的とは違う方向への使途が多い。そのせいで、議会では問題視されている。
以上をまとめると、こうだ。
・ 太陽光発電のための補助金
・ 水源税の課税のあとで莫大な目的外使途
こういう形で、「エコのための浪費」が莫大になされている。
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最初と最後を合わせると、こうなる。
「神奈川県では、『エコのため』という理由で、莫大な浪費がなされている。そのせいで財源難になった。そのせいで歴史的な美術館を破壊してしまう」
これが神奈川県のやっていることだ。その責任はすべて、黒岩知事にある。
( ※ 一般に、「エコ、エコ」と騒ぐ人は、胡散臭い人が多いですけどね。)
橋下・大阪府知事 or 大阪市長は、大阪でデタラメをやっていたが、歴史的な建築物である美術館を破壊するというようなことはしなかった。しかし、黒岩神奈川県知事は、そういうことをやる。建築テロ。

出典

鶴岡八幡宮に土地をお返しして、美術館として運営出来なくなるのは致し方ないとしても、歴史的建造物として建物だけでも残していただけたらと思います。
残すためにはどのようなプランがあり得るのでしょうね。
http://www.kanaloco.jp/article/120832
例の建築家が話題になった影響もありそうだ。
→ https://www.asahi.com/articles/DA3S14685174.html
→ https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/22902