2013年11月12日

◆ 斜陽会社と退職強要

 斜陽会社が従業員に、退職を強要したり、出向を強要したりする例がある。そういう迫害を避けるにはどうするべきか? ──

 斜陽会社が従業員に退職を強要したり、窓際への出向を強要したりする例がある。最近では、mixi が話題になったが、新たにリコーの例も出た。
 社員2人が希望退職を拒否したために子会社に出向させられたのは人事権の乱用だとして出向命令の無効などを求めたのに対し、東京地方裁判所は12日、「社員が自主退職することを期待して行われた出向命令とみられ、人事権の乱用だ」として出向命令は無効だとする判決を言い渡しました。
( → NHKニュース 2013-11-12
 こうした判断は、リストラであれば何をやっても許されるという風潮に警鐘を鳴らしたと言える。
( → 毎日新聞 - Yahoo!ニュース

 これを読んで、「だったらどうすればいいの?」という疑問が湧くだろう。「このまま放置すれば会社が倒産しそうなのだから、やむをえないのでは?」と。
 そこで正解を教えよう。

 正解は、こうだ。
 「斜陽会社は、会社そのものを身売りすればいい。そのことで、会社と雇用を維持すればいい」


 その具体的な例は、コニカ・ミノルタだ。コニカは、まずはミノルタに吸収された。次に、ミノルタはソニーに吸収された。こうして、これらすべての技術者は、雇用を保障され、かつ、技術も維持された。これが正解である。
 この場合、ソニーは弱点だったカメラ部門を強化され、業界では確固たる位置を占めるようになった。ミノルタがソニーに吸収された時点では、たいした事業規模ではなかったのだが、現時点では、ソニーのコンパクトデジタルカメラは相当に強力になっている。カシオやパナソニックが弱体化したのとは逆である。

 以上のように、「斜陽会社は他の会社に吸収される」というのが正解だ。リコーの場合は、これほど弱体化するよりも、もっとずっと前(まだ会社の事業があまり弱体化していなかった時点)で、さっさと身売りするべきだった。
 現時点でも、いくつかの事業に分割した上で、事業を身売りするのが最善だろう。最低でも、工場の土地の資産価格ぐらいにはなりそうだ。それで従業員の雇用が守られるのであれば、それでいい。また、リコーの株価はかなり高いから、現時点で倒産する心配もないし、事業分割でそこそこの効果は出そうだ。

 なのに、そうしないのは、なぜか? 簡単だ。経営者(重役陣)の職を守るためだ。
 つまり、リコーがやっていることは、「会社を守るために従業員を退職させること」ではなくて、「経営者が自己の職を守るために、従業員を大量に退職させること」なのである。一種の責任転嫁だ。

 比喩的に言えば、半沢直樹だ。アホな重役が自分の失敗の尻ぬぐいをさせるために、部下に責任をなすりつける。自分の経営責任の失敗を隠して自分が職にしがみつくために、部下の責任にする。
 こういう阿呆な経営者(重役)には、「倍返しだ!」と言ってやるのが正しい。

 現実には、それとは逆に、
 「会社を守るためには、従業員をクビにするのは当然だ」
 と言う人もいるだろう。だが、そういうのは頭のネジが狂っているのである。
( ※ 池田信夫あたりが言いそうな予感。)
 


 [ 付記1 ]
 では、愚かな経営者に対抗するには、どうすればいいか? それは昔から決まっている。こうだ。
 「労働者が団結して、無期限ストをする」
 これで問題はあっさり解決する。通常、株主が経営者をクビにすることで、事態は収束に向かう。

 [ 付記2 ]
 ところが現実には、そうはならない。それは労働者がストをしないからだ。というのも、労働者が労働組合を作らない(つくっても参加しない)からだ。
 一人一人がバラバラになっていれば、経営者に対抗することはできないのである。現代の労働者地獄は、労働者が団結しないことによる、自業自得とも言える。
 スマホや 3DS のゲームなんかに夢中になっているから、人と人とのつながりができなくて、労働組合もできない。そのせいで(企業はボロ儲けでも)賃上げさえもできない。かくてデフレが続く。
 愚かな時代ですね。昔の労働者は毎年のようにストをしたから、毎年のように賃上げがあり、毎年のようにインフレが進んだ。だからデフレはなかった。
 人類はどんどん愚かになり、自分で自分の首を絞めるようになった。
posted by 管理人 at 22:44 | Comment(5) | コンピュータ_03 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あなたと池田信夫氏との間に一体何があったのか存じ上げませんですが、
彼もあなたと同じような事を言ってますよ。

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51493018.html
Posted by 通りすがり at 2013年11月13日 02:44
↑ の記事はあまり関係ありません。駄目経営者をクビにしろとは言っているが、労働者を守れというふうには言っていない。

むしろ次の記事の方がいい。
 → http://blogos.com/article/61523/
 → http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51872614.html

私は別に、池田信夫批判したいわけじゃなくて、単に彼の考え方を紹介しているだけです。彼の考え方は私とは正反対であることが多いが、別に毛嫌いしているわけじゃないですよ。彼がものすごく頭がいいのは事実。私と論争できそうなぐらい頭がいいのは、社会科学系では彼しかいない。茂木とか和田とかなんかに比べると、彼ははるかに頭がいい。考え方の方向が私とは全然違うだけで。
Posted by 管理人 at 2013年11月13日 06:53
サンヨーはパナソニックに吸収されましたが、
なおかつ従業員をクビにしようとしています。
ニュースにもなってますし、私の知り合いも一人退職勧告(戦力外通知)うけました。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131009/biz13100919160021-n1.htm
こういうのはどう考えるべきでしょうか?
ていうか一般的に、大きな会社に吸収合併されても、それとは別に不採算部門の人員削減はやるんじゃないでしょうか?コニカやミノルタにしたってやったんじゃないでしょうか?
Posted by のぐー at 2013年11月13日 12:09
上の記事よく読むと、パナソニックに吸収された三洋電機の話じゃなくオン・セミコンダクターに吸収された下請け会社の話でした。でも話の大筋は同じですね。
Posted by のぐー at 2013年11月13日 12:18
パナソニックと三洋電機の場合は、事業を吸収したんじゃなくて、パナソニックが三洋を買収してから、解体して、食いつぶしたんです。

比喩的に言うと、「病人を助けます」と言って引き受けてから、看護して健康にするかわりに、殺して遺産を独り占めしたわけです。最悪。

> 不採算部門の人員削減はやる

やったかもしれないが、希望退職ぐらいでしょう。別に不満は出なかったようですし。
Posted by 管理人 at 2013年11月13日 12:27
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