2013年10月31日

◆ Webサービスの教訓

 Webサービスについては、業界1位のみが成立する。2位は何とかなるが、弱小はつぶれるしかない。 ──

 こんなことは当り前だ、と思う人が多いだろうが、理解できない人がけっこういるので、あらためて指摘しておく。

 一般に、IT産業そのものは、いろいろと多様性がある。実際、掃いて捨てるほど多くの会社があふれている。しかも、急成長した会社が多い。そこで、
 「おれも一発当てて金儲けしよう。あいつらだってできるなら、自分だってできるはずだ」
 と思って、IT産業に参入しようとする人が多い。特に、「これから急成長する分野ですよ」と言われると、その分野に参入しようとする人々がわんさと押し寄せる。
 で、その結果は? 死屍累々である。99%は倒産すると思っていい。ではなぜ、そうなのか? 

 ──

 ここでは、実例を挙げるのが手っ取り早い。
 かつて「電子書籍の販売が急上昇するだろう」と予想された。
 「これからは電子書籍だよ。Kindle みたいな専用端末や、iPhone や Android みたいなスマホや、iPad みたいなタブレットで、電子書籍を読むのが流行するだろう。もはや紙の本の時代じゃないよ」
 というふうに。
 で、「それならオレも電子書籍販売で大儲け」と思った個人が、この分野に参入した。大手販売会社ならともかく、個人レベルで参入した人々がいた。次のように。
  ・ アゴラブックス(跡地) の池田信夫
  ・ 漫画 on Web(跡地) の佐藤秀峰

 いずれのサイトも、今も残っているのは、跡地だけである。かつては多数の電子書籍が販売されていたが、今では痕跡(みたいなもの)があるだけだ。
 これは当然のことだ。電子書籍を販売するなら、今となっては、独自サイトを使うよりも、既存の Amazon などのサイトを使う方がずっと効率的だからだ。

 では、問題は? 次のことだ。
 「数年前という過去の時点で、現在の状況を予想できなかったこと」
 つまり、こうだ。
 「大手会社が参入する前には、個人レベルで小規模の販売会社を立ち上げて、先行者利益を狙った。だが、将来的には大手サイトに集約されて、個人レベルの会社はつぶれてしまう、ということを見通せなかった」

 ではなぜ、見通せなかったか? 

 ──

 ここで最初の話題に帰る。
 真実とは、次のことだ。
 「IT産業には、多様な会社が存在できるが、Webサービスについては業界1位のみが成立する」
 換言すれば、次のようになる。
 「IT産業には、多様な会社が存在できるが、Webサービスに関する限りは、特定分野ごとに1社ぐらいしか成立しない。多様な会社が存在しているのは、多様なサービスがあるからだ。それぞれのサービスごとに見れば、その分野では1社ぐらいしか成立しない」
 
 たとえば、SNS という広い分野には、多様なサービスが存在する。しかし、ツイッターとか、facebook とか、それぞれはまったく別のサービスとなっている。同一のサービスでは複数の会社は成立しがたい。
 換言すれば、最初に市場を制圧した会社が、ずっと優位を保ちつづける。その典型は、検索だ。初期は goo や Yahoo Japan や excite や infoseek などが並存したが、やがて Yahoo Japan が圧倒的シェアを握ると、他の検索サービスはつぶれてしまった。特に、世界最大の Google が来たときには、Yahoo の位置は揺らいだが、それでも1位の座を明け渡さなかった。検索エンジンの出来が悪い状態でも、1位を保っていた。その後、検索エンジンを Google のものに買えたあとでは、恒常的に1位を保ち続けている。
 つまり、世界最大の Google でさえ、日本という市場では Yahoo の牙城を崩せない。同様のことは、韓国や中国でも成立する。

 さらに言えば、電子モールでは楽天という会社が圧倒的優位を保っている。これに対抗しようとして、Yahooショッピングが頑張っているが、どうにも対抗できないので、とうとう「無料」という切り札を使うまでになった。これで何とかなるかもしれないが、それにしても、先行者の優位性というものが大いことがわかる。

 ──

 まとめ。

 急成長が予想される分野があると、人々はそこに参入したがる。「おれもここで一発当てて金儲けしよう」と。
 しかし、その結果は、死屍累々である。99%は倒産すると思っていい。
 そのわけは? Webサービスに関する限り、特定分野ごとに1社ぐらいしか成立しないからだ。いくら急成長が見込まれる分野があっても、そこで生き残れるのは、大手の1社ぐらいしかない。個人レベルでそこに参入しても、駆逐されるのが関の山だ。
 では、どうすればいい? 「他人の参入しない独自の分野を開拓する」ことだ。そうすれば、ライバルのない新規分野で、市場を独占できる。ライバルが気づいたときには、すでに市場を制圧することができる。
 

 教訓。

 「これから急成長するでしょう」と言われている分野に進出すれば、必ず失敗する。そこには多数の参入者が来るからだ。
 成功するコツは、「これから急成長するでしょう」とは言われていない分野(誰も気づいていない分野)を、こっそり探り当てることだ。そして、それは、独創性ということに近い。
 「人に先んじて進出すれば金儲けができる」
 と思うような人は、必ず失敗する。なぜなら、大会社というものは、「あわてる乞食はもらいが少ない」ということを、よく理解しているからである。
 巨人というものは、小さな先行者のあとを追いかけて、すごい巨歩で近づいてから、踏みつぶすのである。
 
( ※ 先行者が成功するのは、先行者自身が巨人である場合だけだ。小人が「先行者は儲かるぞ。おれも儲かるぞ」と思っても、それは、身の程知らずというものだ。)
( ※ 小人が成功するコツは、巨人に先行することではなくて、巨人の来ない未知の新領域を開拓した場合だけだ。)
posted by 管理人 at 23:59| Comment(0) | コンピュータ_03 | 更新情報をチェックする
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