新国立競技場のデザイン案をつくったザハ・ハディッドには、前例がある。それはイギリス五輪の前年完成した ロンドン・アクアティクス・センター である。
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これは、コストがかかりすぎるということで、規模が設計よりも大幅に縮小された。
屋根の面積は当初設計されていた35,000平方フィート (3,300 m2から11,200平方フィート (1,040 m2)に縮小された。
( → Wikipedia )
それにもかかわらず、コストは3倍を超えてしまった。
The London 2012 Olympics aquatics centre will cost more than three times as much as originally estimated, it has been confirmed.
The east London centre will cost £242m, not the £75m quoted in London's winning bid, despite a reduction in its size.
( → BBC NEWS )
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以上が前例となる。ここから、新国立競技場について試算すると、次のようになる。
・ 当初見積もり 1300億円
・ その3倍強 4000億円 (規模を大幅に縮小した場合)
・ その4倍強 5500億円 (規模を縮小しない場合)
これが予想価格だ。
つまり、報道されている「3000億円」という数字は、かなり甘い見積もりだと考えていいだろう。一般に、建設費というのは、実際に建設が始まると、どんどん高騰する。
業者の言い分:
「コストがかかると判明したんです。予定の5割アップを払ってください。それがイヤなら、工事を中止しますよ。その場合、これまでのコストはすべて無駄になりますが、それでも良いですか? 2000億円かけて、未完成品になっても、いいですか? それがイヤなら、総額 4000億円を払ってくださいね」
こういうハメになるのは、目に見えている。しかも、大幅縮小しない場合には、5000億円突破も考えられる。
一方、屋根なし球場の埼玉スタジアムは、たったの 356億円 で済んだ。( → 前項 )
お馬鹿な日本は、どのくらいの金を払うつもりなんだろう? 文科省あたりは、3000億円から値切るつもりらしいが、1割値切ったあとで、倍額を請求されることになりそうだ。だが、それでもいいさ、と思っているのだろう。
「どうせ国民の税金だから、構うことはない。おれたち官僚が身銭を切るわけじゃないし。大事なのは、おれたちの天下りにどれだけ有利になるか、ということだけさ。ゼネコンに 5000億円が回れば、おれたちの天下りもいっぱい増えるぞ。税金浪費で、天下り。うひひ」
というようなことを考えているのだろう。
【 関連サイト 】
→ 新国立競技場に異議あり! 東京の景観を変えるべきか、否か?
→ 「新国立競技場」めぐり縮小求める意見相次ぐ シンポ
→ 「新国立競技場」は規模縮小でもゼネコン資本主義は復活
→ 新国立競技場、計画の甘さを海外が批判