このようなことは、心理学ではよく知られている。具体的な例は、次の画像が有名だ。よく見てください。

男性ならば、見る箇所は女性の部分だけだろう。そのせいで、周辺に別の生物がいることに気づきにくい。
同様のものとして、次の動画もある。
ここでも、似た現象が起こっている。
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以上のようなことは、「選択的注意 selective attention 」と言われる。(心理学で)
特に、視覚認識などの感覚認識で顕著である。
もちろん、視覚に限らず、聴覚でも同様のことはある。たとえば、こうだ。
「ケータイ電話で相手と話しながら歩いていると、その話に集中しているせいで、歩く自分の周辺で起こっていることに気がつかない」
ここでは、「知るべきことが無視されてしまう」という現象が起こっている。このことは、「inattentional blindness 非注意性盲目」と言われる。(心理学で)
→ Inattentional blindness (Wikipedia 英語版)
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以上で示したのは、心理学で話題となっていることだ。これらは、視覚や感覚などの「知覚できるもの」つまり「機械で測定できるもの」が対象となっている。
一方、知覚できない概念が対象となることもある。
具体的には、こうだ。
「ある特定の概念にばかり着目しているせいで、他の概念が忘れられてしまう」
こういうことは、日常的には、よくある。たとえば、こうだ。
「女房に買物を頼まれたので、帰宅のときに買物をするつもりだった。だが、会社で大事件が発生して、それに気を取られすぎたので、買物のことを忘れてしまった。帰宅したあとで気づいて、女房に怒られた」
「彼女と初めてデートする約束をして、ウキウキしていたら、職場で大事な仕事のことを忘れてしまって、大失敗をした」
「将棋で飛車を取られまいとして、しきりに飛車を逃がそうとしていたら、いつのまにか王様を取られて、負けてしまった」
「 Open ブログの話が面白いので、暇つぶしに楽しく読んでいたら、肝心の事柄のタイムリミットを過ぎてしまって、大あわてになった」
こういうふうに、概念でも、「一つのことに集中するあまり、他のことがおろそかになる」ということがある。
このことを、「周辺無視」と呼ぶことにしよう。
( ※ 心理学用語では、先に「非注意性盲目」という用語を紹介したが、これでは不適切だろう。)
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さて。これが重要なのは、つぎのことがあるからだ。
「周辺無視は、ありふれた日常生活で起こるだけでなく、物事の重要な判断のときにも起こる」
(1) 台風
台風が来るとき、マスコミは、伊豆のことばかり報道しているせいで、他地域でも危険が迫っていることをなかなか報道しない。伊豆にばかり目を奪われて、他地域のことが忘れられがちだ。また、山の土砂崩れのことには注意しても、洪水などには注意を忘れがちだ。
(2) 地震
2011年に三陸沖で大地震が起こったが、それ以前では東海沖の地震のことばかりを報道していた。東海沖にばかり目を奪われて、他地域のことが忘れられがちだ。すると、三陸沖で 1000年に1度という規模の超大型地震が起こった。
実を言うと、明治三陸沖地震や、昭和三陸沖地震があったのだから、こっち(三陸沖)にこそ注意するべきだったのだ。なのに、東海沖という1点にばかり目を奪われて、他地域のことが忘れられていた。
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このように、「一つのことに集中するあまり、他のことがおろそかになる」ということ(周辺無視)は、しばしば起こる。
だからこそ、物事に集中しているときには、かえって別のことへの注意が必要となるのだ。
このことは大切なので、理解しておこう。
[ 余談 ]
伊豆大島の町長は、台風が訪れた日に、女性と酒を飲むことに熱中していたらしい。そちらに集中していたから、台風のことを忘れてしまったのだ。
→ 大島「共産党町長」進退浮上 台風接近中に女性のいる店で飲酒
こういうことがあるのだと、理解しておくことは大切だ。
※ 上の記事は要旨である。詳しくは「週刊新潮」を読むといい。
(私はそれを読んだが、それなりに詳しい話が書いてあった。)
【 関連サイト 】
→ 「選択的注視(selective-looking)」研究 (教えて goo )
