2013年10月25日

◆ 周辺無視(選択的注意)

 何かにひとつのこと集中していると、他のことが見えなくなるものだ。つまり、知るべきことが無視されてしまう。 ──

 このようなことは、心理学ではよく知られている。具体的な例は、次の画像が有名だ。よく見てください。




gorilla.jpg



 男性ならば、見る箇所は女性の部分だけだろう。そのせいで、周辺に別の生物がいることに気づきにくい。

 同様のものとして、次の動画もある。





 ここでも、似た現象が起こっている。

 ──

 以上のようなことは、「選択的注意 selective attention 」と言われる。(心理学で)
 特に、視覚認識などの感覚認識で顕著である。

 もちろん、視覚に限らず、聴覚でも同様のことはある。たとえば、こうだ。
 「ケータイ電話で相手と話しながら歩いていると、その話に集中しているせいで、歩く自分の周辺で起こっていることに気がつかない」





 ここでは、「知るべきことが無視されてしまう」という現象が起こっている。このことは、「inattentional blindness 非注意性盲目」と言われる。(心理学で)
  → Inattentional blindness (Wikipedia 英語版)

 ──

 以上で示したのは、心理学で話題となっていることだ。これらは、視覚や感覚などの「知覚できるもの」つまり「機械で測定できるもの」が対象となっている。
 一方、知覚できない概念が対象となることもある。

 具体的には、こうだ。
 「ある特定の概念にばかり着目しているせいで、他の概念が忘れられてしまう」


 こういうことは、日常的には、よくある。たとえば、こうだ。
 「女房に買物を頼まれたので、帰宅のときに買物をするつもりだった。だが、会社で大事件が発生して、それに気を取られすぎたので、買物のことを忘れてしまった。帰宅したあとで気づいて、女房に怒られた」
 「彼女と初めてデートする約束をして、ウキウキしていたら、職場で大事な仕事のことを忘れてしまって、大失敗をした」
 「将棋で飛車を取られまいとして、しきりに飛車を逃がそうとしていたら、いつのまにか王様を取られて、負けてしまった」
 「 Open ブログの話が面白いので、暇つぶしに楽しく読んでいたら、肝心の事柄のタイムリミットを過ぎてしまって、大あわてになった」
 
 こういうふうに、概念でも、「一つのことに集中するあまり、他のことがおろそかになる」ということがある。
 このことを、「周辺無視」と呼ぶことにしよう。
( ※ 心理学用語では、先に「非注意性盲目」という用語を紹介したが、これでは不適切だろう。)

 ──

 さて。これが重要なのは、つぎのことがあるからだ。
 「周辺無視は、ありふれた日常生活で起こるだけでなく、物事の重要な判断のときにも起こる」

 (1) 台風

 台風が来るとき、マスコミは、伊豆のことばかり報道しているせいで、他地域でも危険が迫っていることをなかなか報道しない。伊豆にばかり目を奪われて、他地域のことが忘れられがちだ。また、山の土砂崩れのことには注意しても、洪水などには注意を忘れがちだ。

 (2) 地震

 2011年に三陸沖で大地震が起こったが、それ以前では東海沖の地震のことばかりを報道していた。東海沖にばかり目を奪われて、他地域のことが忘れられがちだ。すると、三陸沖で 1000年に1度という規模の超大型地震が起こった。
 実を言うと、明治三陸沖地震や、昭和三陸沖地震があったのだから、こっち(三陸沖)にこそ注意するべきだったのだ。なのに、東海沖という1点にばかり目を奪われて、他地域のことが忘れられていた。

 ──

 このように、「一つのことに集中するあまり、他のことがおろそかになる」ということ(周辺無視)は、しばしば起こる。
 だからこそ、物事に集中しているときには、かえって別のことへの注意が必要となるのだ。
 このことは大切なので、理解しておこう。



 [ 余談 ]
 伊豆大島の町長は、台風が訪れた日に、女性と酒を飲むことに熱中していたらしい。そちらに集中していたから、台風のことを忘れてしまったのだ。
  → 大島「共産党町長」進退浮上 台風接近中に女性のいる店で飲酒
 こういうことがあるのだと、理解しておくことは大切だ。

 ※ 上の記事は要旨である。詳しくは「週刊新潮」を読むといい。
   (私はそれを読んだが、それなりに詳しい話が書いてあった。)



 【 関連サイト 】

 → 「選択的注視(selective-looking)」研究 (教えて goo )
posted by 管理人 at 23:59| Comment(0) | 科学トピック | 更新情報をチェックする
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