「そんなことはできない」
と思う人が多いだろうが、ところがどっこい、大逆転だ。
以下、話が転々とするので、じっくり読んでほしい。
(1) 新型が登場
iPad と iPad mini に新型が登場した。
その特徴は Retina ディスプレイだが、他に、CPU 速度の向上や、iPad の軽量化もある。
特に、iPad の軽量化は大きな話題となっている。これまでの iPad は、重すぎて、とても停滞できず、実用性がほとんどなかった。しかし今度の iPad は、とても軽くなった。一方で、iPad mini は、重くなって、値上げした。
・ 重量の差が縮小した (軽さ469g)
・ 価格差は1万円だけ
これらの点から、両者の魅力度はかなり拮抗しつつある。「似たり寄ったりだ」とも言えるが。「どっちがいいかな」と迷う人も多くなるだろう。
(2) LTE に対応
今回の機種から、4G LTE に対応するようになった。つまり、Wi-Fi で使うだけでなく、一般的にどこでも使えるようになる。iPhone (スマホ)みたいなものだ。
だから、「画面の狭いスマホなんかやめて、iPad mini だけで済まそう」と思う人も出てくるだろう。そして、それは、十分に実現可能だ。3大キャリアで申し込めば、それが実現する。
ただ、価格は、iPhone の場合と似たり寄ったりになりそうだ。
(3) SIMフリー
3大キャリアで申し込むと、お金がかかる。どうしてかというと、3大キャリアは、ボロ儲け主義で、価格をつり上げているからだ。( → 前出)
それを避けるには? SIMフリーで使えばいい。では、SIMフリーは可能か?
「それは可能である」という報道が出たあとで、「実は誤報でした」という訂正が出た。
→ 【誤報】iPad Air と iPad mini Retina は国内モデル含め全世界共通SIMフリー
どうして誤報したのかと思ったら、
- ※ 「裏を取る」というのは、「情報の確認を取る」という意味じゃなくて、「まったく別のソースから取材する」という意味。同一のソースを経由して聞いたのでは駄目。それだと、深いところのソース(説明員の元ネタ)にミスがあった場合に修正できない。今回はそれに該当する。 (一般に、公式発表でない特ダネの場合には、そういう「裏を取る」ことが必要。特に、いかにも嘘っぽい情報では、必須だ。)
→ はてなブックマーク
誤報であることは残念だが、こういう方向に物事が進むこと自体は、そうあってしかるべきことなのだ。
むしろ、それを制限しているアップルの方が、おかしいのだ。それが世間の認識である。
(4) 裏技(抜け道)
というわけで、「 iPad mini を SIMフリーで使える」というのはぬか喜びであったわけだ。
ところが、そう思ったとたんに、番狂わせみたいな、意外な方法が見つかった。「 iPad mini を SIMフリーで使える」という方法が見つかったのだ!
といっても、「脱獄」みたいな非正規の方法を勝手にやるのではない。公式の方法を使って、正々堂々と実現できる。
その原理は、こうだ。
「3大キャリア以外の小さな通信会社(SIMフリーのための会社 : MVNO )は、ドコモの回線を使う。そこで、ドコモ版の iPad mini を購入すれば、これを SIMフリーと同様に使える」
( ※ 正確には SIMフリーではないが、実質的には SIMフリーと同様になる。ただし確定情報ではない。)
このことは、次のページに詳しく解説してある。
→ 「ドコモ版 iPad」は格安SIMで使えるか?
(5) 格安か?
では、その方法で、格安に済ませることはできるか? これは、案外、微妙であるようだ。
というのは、ドコモ版の iPad mini を購入するとして、その価格がどうなるか不明だからだ。(上記ページを参照)
常識的に考えれば、次のようになる。
「 iPad mini LTE は5万円ぐらいにして、月々の料金は引き下げる」
しかし現実には、次のようになりそうだ。
「 iPad mini LTE は無料( or キャッシュバックでマイナス5万円?)ぐらいにして、月々の料金は 7000円ぐらいにする」
もしこうだとしたら、たとえ別の小会社(IIJmio など)と契約しても、ドコモと契約した月々の料金 7000円ぐらいが残ることになる。これではちっとも安くならない。
だから、次のことが可能かどうかが分かれ目だ。
「 iPad mini LTE を、ドコモとの通信契約なしで、機械単体で購入できるか」
これが可能ならば、格安で iPad mini を使えることになる。SIM フリーの iPad mini を買ったのと同様だ。
一方、これが不可能ならば、ドコモと契約した月々の通信料金 7000円ぐらいが残るので、ちっともお安くならない。うまい手は使えないことになる。
現実にどうなるかは、ドコモの販売政策しだいだ。来月になると、ドコモの方針がわかるらしいので、それまで様子見した方が良さそうだ。
( ※ ただし、できないとしたら、「機械を通信契約との抱き合わせ販売する」ということになるので、独禁法違反に当たる。ドコモが独禁法違反をするかどうかは不明。現実には、すでに別のところでやっているから、「犯罪なんて、一つやるのも二つやるのも同じさ」と思えば、さらにやるかもしれない。)
[ 付記 ]
Nexus 7 LTE との比較はどうか?
価格面だけで言うなら、Nexus 7 LTE は本体価格が 38000円程度なので、 iPad mini よりも1ランク安い。
SIM フリーについては、使えることが確定している。はっきりとはしない iPad mini よりも、確実である。
あと一つ、大事なことがある。iPad と iPad mini の Retina ディスプレイというのは、解像度が「疑似的」であるらしい。公称では 2,048×1,536 ドットだということだが、現実にはその半分の 1,024×768 ドットの解像度でデータを得て、それをスムージングでソフトウェア的になめらかにして、2,048×1,536 で表示しているだけらしい。
ということは、「曲線のなめらかさ」は、きれいに出せるのだが、「縞模様のような細かな模様」は、つぶれてしまってきれいに出せないことになる。このことは、日本語の画数の多い漢字では、顕著になるだろう。つまり、字画の多い文字は、現状の iPad と同様で、「黒い細い線」が「灰色の太い線」になるというような問題(解像度が低い問題)が生じるだろう。
その意味で、「細かな漢字を読む」という「電子ブックリーダー」の用途としては、iPad mini は向いていないはずだ。現物を見ないと確認できないが、たぶん「字画が灰色につぶれる」という現象が見られるはずだ。現行機種と同様に。(いくらかは改善されているだろうが。)
その意味で、「電子ブックリーダー」の用途に使いたいのであれば、iPad mini ではなく、Nexus 7 LTE にするのがベストだろう。
【 続報 】
iPad mini Retina の液晶が疑似的であることは、確認が取れた。次のページに写真がある。
→ ITmedia ( 画像1 ,画像2 )
かなりきれいではあるが、一部の横線が灰色に にじんでしまっている(1ドットの横線が2ドットになってしまっている)ことがわかる。
【 追記 】 それでも、Retina は従来版よりも大幅に向上している。
下記に(文字の)比較画像がある。
→ http://www.landerblue.co.jp/blog/?p=10024
一方、Nexus 7 の方では、横線が灰色に にじんでしまうということはない。疑似的ではなく真の高解像度である。そのことは、下記の解説記事の画像を見ればわかる。
→ Nexus 7(2013)レビュー ( 画像 )
- ※ 少し にじんでいるように見えるが、このくらいは仕方ない。理由は true type フォントで縦横のスムージングのせい。
※ Windows フォントならば、縦のスムージングはないので、横線の にじみは皆無だ。詳しくは → 該当項目
【 後日記1 】
使えるかどうかについては、下記に参考情報がある。
→ [取材]IIJmioの格安SIMについて中の人に根掘り葉掘り聞いてきた
iPhone の例だと、使えることもあり、使えないこともあり、はっきりしていないそうだ。将来的には使える可能性もあるという。現状では未確定だが、はっきりと「使える」と言えるレベルではないようだ。
Nexus 7 ではどうか、というような情報もあるので、上記ページをよく読むといいだろう。
《 続報 》
iPad mini Retina (海外版SIMフリー)に、格安通信の SIM を挿入したら、うまくつながらなかったが、再起動したら、うまくつながった……という報告がある。下記。
→ http://www.landerblue.co.jp/blog/?p=10024
【 後日記2( 2013-11-11 ) 】
2013-11-11 現在、iPad mini Cellular ( LTE版 SIMフリー機)の並行輸入品の価格が、かなり下がってきている。55000円を割っている。これならば、十分に購入の価値がある。
→ http://j.mp/19cLEgP ( Amazon のページ)
……と思ったのだが、間違えた! 55000円を割っているのは、旧モデルだ! Retina ディスプレイではない! あやうく引っかかるところだった。この安いやつを買っては駄目ですよ!
Retina ディスプレイの新型モデルは、やはり高価格である。現時点では。(上記リンクを参照。)
この価格で買うことは、「お買い得」とは言えないので、あまりお薦めできるわけではないのだが、正規品(ドコモ・au・ソフトバンク)を買うよりは、ずっとマシだろう。というのは、2年縛りを越えたあとでは、格安で使えるからだ。2年目までは「少し安い」というぐらいだが、2年目を超えると、格安となる。その意味では、悪い選択ではない。
ただ、常識的には、数カ月待ってから Retina 版を買う方がいいだろう。
[ ※ 将来的には、Retina ディスプレイモデルも、上記の価格(55000円以下)まで下がりそうだ。]
どうしても待ちきれなくて今すぐ買いたいが、なおかつ格安がほしい……というのであれば、 Nexus 7 LTE がお薦めである。
→ iPhone よりも新 Nexus7 LTE
【 関連項目 】
格安 SIM を購入する方法については、別項で解説した。
→ ドコモで iPhone よりも
→ 格安のスマホプラン
→ 格安スマホ回線のどれを選ぶ?
《 Amazon ベストセラー 》
5万円( or キャッシュバックでマイナス5万円?) → 無料( or キャッシュバックでマイナス5万円?)
障害者 → 小会社
──
最後に、Nexus 7 の解像度について、補足情報を2〜3行ほど書き足しました。(他サイトの紹介。)
> 来月になると、ドコモの方針がわかるらしい
と記しています。
ドコモはまだiPadを扱っていませんが、来月あたりに扱うことを発表するらしい、と報道されています。
→ http://safx-dev.blogspot.jp/2013/02/ipad-mini.html
一つ前の iPad Retina の画像だが、iPad mini と比較して、かなり制裁になっていることがわかる。ギザギザについては1ランク向上している。(倍の解像度がものを言う。)
しかしながら、灰色の横線については、ほとんど解決されていないようだ。これは当然のことで、1024 ディスプレイで灰色の横線になっているものを、スムージングでなめらかにしたところで、灰色線が黒線と白線に分離されるはずがないからだ。(段差が消えるだけだ。)
というわけで、本文上で推定した通りだ。つまり、ギザギザの段差がなめらかになるだけで、細い線の解像度は向上しない。画数の多い漢字の描写は不得意だ。
この面からして、新型 Nexus 7 には及ばないし、電子ブックリーダーにも及ばないだろう。普通の Windows パソコンにも及ばない。
iPad で電子ブックを読むことは、諦めた方が良さそうだ。
(どうしても使うなら、フォントを特別に大きくするしかないが、それじゃかえって使いにくい。確認済み。)
タイムスタンプは 下記 ↓
結果的に、間違った情報を流してしまったことに変わりはないですが、記者としてはアップル社員の説明を公式の意見として捉えるのは無理もないことだとは思います。
→ http://news.mynavi.jp/articles/2013/10/31/ipad/
→ http://news.mynavi.jp/articles/2013/11/01/ipad_air02/
一方、ドコモはまだ iPad を発売しないらしい。
→ http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1311/01/news017.html
一部抜粋すると、下記。
──────────────────
―― 今回、あえてiPadを導入しなかった理由とは何なのですか。
加藤社長 導入しなかった。なかなか難しいお答えです。なかなか答えが難しいんです。難しいんです。そうですね、いい端末ですし、そうしたいのですが、一定の時間がかかるということなんでしょう。
(★ これ、自分の質問。加藤社長、急に言葉をひとつひとつ選び出し、苦し紛れに答えを出したという感じ。「一定の時間がかかる」というのが気になるところ)
―― アップルとの関係なんですか。
加藤社長 いやまぁまぁ。私たちが『これ、売ります』と言っても売れませんからね。
(★ これも自分。噂にきいたところでは「ドコモはiPhone販売に集中したいから、iPadを取り扱わない」という話もあったが、加藤社長のコメントを聞く限り、ドコモは売りたいけどアップルが売らせてくれないというのが真相なのかも)
→ http://j.mp/1iE4bbc
日本でも、ソフトバンクや au から発売される製品はそうであるらしい、という見解もある。
──
しかし、以上のすべてが正しいとしても、意味はない。なぜなら、価格は高額だからだ。
つまり、「製品だけを買う」ということはできず、「キャリアの SIM と通信契約」という形で買うしかない。そのせいで、製品は SIM フリー であっても、料金はSIMフリーではない。これじゃ、余計な金と手間がかかるだけであって、何の意味もない。
──
あと、別途、海外版の SIMフリーの機種が買える、という話もある。しかし、かなり高価格だ。
Nexus 7 LTE の方が、やはりお買い得であり、お薦めである。
まあ、その点は私も少し気になったのですが、ここではあくまで「既知の情報の確認のための画像」であるだけです。これが主要な根拠ではありません。主要な根拠は別途、文章で得ています。画像は単に確認しただけです。
> Nexus 7は疑似的ではなく真の高解像度である
これは、解像度の数値からしても自明でしょう。
仮に、その半分の解像度がもともとあったとしたら、1920×1200 の半分で、960×600 の解像度がデフォルトだったことになるが、そんな解像度の半導体は量産されていません。それを特注して、さらにスムージングする回路を追加したら、超高額になってしまいます。ゆえに、ありえない。
アップルの場合は、もともとのソフトがすべて 1024*800 を基準にして作られていたので、既存のソフトをすべて流用できるという意図で、疑似的に解像度を高める方式を選んだのでしょう。
最初に 1024*800 を選んだのが失敗だったかもね。将来の高解像度化への展望がなかった。長期的視野に欠けていた。あるいは、欧文文字圏だけを考えていて、漢字圏のことを無視していた。(これが正解かも。実際、欧文圏では何も問題は起こっていないと思える。)