伊豆大島の豪雨災害が起こったことで、「避難命令が出されなかったこと」と追及する記事がある。しかし、過去の責任を追及するよりは、未来の災害を予防するべきだ。 ──
伊豆大島の豪雨災害が起こったことで、「避難命令が出されなかったこと」を追及する記事がある。読売の記事と社説だ。下記を読むといい。
→ 土石流「警告」無視、防災計画に反し避難促さず
→ 伊豆大島災害 なぜ避難を促さなかったのか(10月18日付・読売社説)
たしかに、避難を促さなかったのは問題だ。しかし、それは新聞が追及することではあるまい。自社だって、避難を促してはいなかったからだ。「どのツラ下げてそんな追及ができるんだ」と言いたくなる。「おまえが言うな」である。
大切なことは、何か? 過去の責任を追及することよりは、未来の災害を予防することだ。
その意味では、今こそ、次のように語るべきだ。
「台風 27号が接近しつつある現時点において、数日後に予想される豪雨にそなれて、全国各地で避難体制を整備せよ」
実を言うと、今回の台風の伊豆大島の豪雨は、かなり局地的なもので、予想しにくいものであった、と判明している。つまり、現在の気象予報のレベルでは、事前に豪雨の場所を正確に予想できるほどではない。「台風が来たら全国各地で大雨の恐れがある」というぐらいのことしか言えない。
とすれば、台風 27号が接近しつつある現時点においても、「全国各地で避難の準備をしましょう」と警告するべきなのだ。「伊豆大島だけで避難体制を整えるのではなく、全国各地で避難体制を整えましょう。特に、土砂崩れや河川氾濫の起こりやすい地域は、要注意」と。
今度はたぶん、別のところで、豪雨の被害が起こるだろう。それが土砂崩れか、洪水かは、はっきりとしないが。
まったく。伊豆大島の責任追及なんかしているときじゃないんだよ。台風 27号が接近しつつあるというのに。
( ※ 馬が逃げてから厩の扉を閉めても無意味だ、ということ。どうせ扉を閉めるなら、逃げた馬の扉ではなく、別の馬の扉を閉めるべきなのだが、そのことを理解できない人が多すぎる。)
なお、被害が起こるとしたら、その被害地域は、伊豆大島ではない、ということは、ほぼ確実である。人々が伊豆大島に目を奪われているせいで、他地域での被害の予防の重要性が見失われてしまったのだ。
なぜ? 愚か者の視野は狭いからである。1を見ると、他の 99が見えなるなる。 (^^);
[ 付記 ]
ついでに言えば、次のような被害が起こりやすい、と予告しておこう。
「台風 26号によって貯水ダムが満杯になってしまったが、そのあとも放水をしないので、貯水量が 100%の状態を保ち続けている。そのせいで、ダムの余力が少ない。だから、次の台風が来たら、ダムの水の放流のせいで、下流域では、洪水が起こりやすい」
この件は、下記で述べたことと関連する。
→ 桂川 氾濫 とダム制御
→ 豪雨時のダムの事前放流
ダム貯水量に帰因する被害が、実際に起こるかどうかは明言できない。だが、被害が起こりやすくなっている、とは言える。
( ※ 追記:念のため、各地のダムの貯水状況を調べたら、「貯水ダムが満杯」という状況には程遠かった。前回の台風では、各地に大雨が降ったということはなかった。伊豆とか、千葉とか、太平洋側の沿岸に多く降ったようだ。内陸部では降水量は少なくて、そのせいで内陸部のダムにはあまり水が流れ込まなかったらしい。意外。……前回の台風は、たいしたことがなかったようだ。)
2013年10月19日
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