JR九州の豪華寝台列車「ななつ星」が大人気だ。かなり値段が張るのに、半年間の予約はすべて売り切れとなった。
ではなぜ、これほど大人気になったのか?
「豪華寝台列車というのはもともと需要があるんだよ」
と人々は思うかもしれない。もしそうなら、他のJR各社も真似をすれば、大儲けできそうだ。しかし、そうか?
ここで、興味深い記事があった。
JR九州は、この客車7両と機関車の1編成に新幹線なみの 30億円をかけた。シャワー室にはヒノキが張られ、客室の洗面鉢は佐賀・有田焼の人間国宝 14代酒井田柿右衛門の遺作。壁には福岡・大川の家具職人の繊細な装飾が組み込まれている。バイオリンやピアノの生演奏もあり、すし職人が目の前で腕をふるう。
社長の唐池恒二(60)の強い思い入れがあってこそだった。
ななつ星のことになると、唐池の指示は格段に細かくなる。「食堂車で出すフォークやスプーンは、ノーベル賞の晩餐(ばんさん)会で使われた新潟県のメーカー製にするように」
食事のメニューは、デザートまで自分で味わって厳選する。選ぶ楽しみは欠かせないと、シャンプーやリンスは2種類ずつ置かせ、乗務員のおじぎには「かしこまりすぎている」と注文。列車がまわるコースも唐池の提案を軸に決まる。ななつ星の担当部署は、社内では社長直轄の「天領」とささやかれる。
( → 朝日新聞 2013年10月16日 )
これで思い出したことがある。
(1) 元長野県知事の作家・田中康夫は、あちこちの高級ホテルに詳しくて、細かな点をあれこれと指摘できる。
(2) 「お役所の掟」を書いた著者は、海外のホテルに詳しくて、日本のホテルが既製品のオレンジジュースを出したら、「それじゃだめだ。オレンジジュースは、オレンジから生で絞れ」と教えて、生のオレンジジュースを作らせた。(金はけっこうかかったが、もちろん払ったんだろう。1杯2000円ぐらい?)
世の中はデフレ不況で貧困生活に喘いでいる人が多いが、リッチな人はいるのである。そして、リッチな人を対象にした商売では、売り手の側がリッチな生活に慣れていなくてはならない。
この社長はもともとリッチな生活に慣れていたのだろう。それだからこそ、ホテルの調度などにも詳しい指示を出すことができた。それは、ユニクロを着て、マクドナルドを食べている一般社員には、とうてい不可能なことだった。
──
こうして、正解を得ることができた。とすれば、次の質問に答えることは、可能だろう。
Q 貧しい JR北海道でも同じようなことはできるか?
あははは。言わぬが花。 (^^);
Q 重役でさえ年収 3000万円程度(手取りは 2000万円程度?)にすぎないトヨタという会社が、ベンツ や アストンマーチンのような高級車を作れるか?
あははは。事実が証明している。 (^^);
──
結論。
社員を薄給にすることばかり考えている日本企業は、いつまでたっても高級品を作ることはできない。
例外があるとしたら、贅沢にさんざん慣れた社長が自ら商品を細かく開発した場合だけだ。(社長にそれだけの能力があることが前提。)
教訓。
ケチなやつは、ケチな商売しかできない。
[ 余談 ]
関連する話題がある。下記サイト。
→ 日産車にノリノリで乗るトヨタ社長の覚悟
トヨタ社長の方針が示してある。『Love or Hate』で、好かれるか嫌われるか、どっちかになるような強い個性をもつものがいい、という主張。
アホじゃなかろうか。トヨタの方針はずっと「80点主義」だろ。そして、その事実は、トップの方針がそうだったからではなくて、会社そのものが事なかれ主義だったからだ。ここで、トップが方針を変えたところで、会社の方針を変えなければ、どうにもならない。
正しくは? 『Love or Hate』じゃない。『Rich or Poor』だ。そして、会社が従業員に Poor を強いている限り、会社の商品もまた Poor なものにならざるを得ない。
ピンクのクラウンなんてものを作って、「個性的だろ」と威張ったって、クラウンは日本国外じゃ1台も売れはしない。クラウンはしょせんは、 Poor な国民向けの「 Poor ななかの Rich 」にすぎない。それは欧州車のような Rich の集団にまぎれこめば、あまりにも Poor なことが歴然とする。
トヨタは、会社としては莫大な利益を得ているが、その金を無駄に貯め込んでいるだけだから、株主が金儲けするだけで、会社も従業員も Poor なままなのである。 Poor な会社。能力が Poor な社長。個性だけはあるけどね。
【 関連サイト 】
→ ななつ星の時刻表が発表された

タイムスタンプは 下記 ↓
リッチな生活に慣れた人でしか、上層社会の人をおもてなしすることはできない。
となると、中流社会で生まれ育った日本人は、世界の中流層を満足させるに適した存在であるといえるのではないでしょうか。そうすると最近いわれる「おもてなし文化」というのは中流層向けであって「ななつ星」は例外にあたるのかと。
もし富の総量が固定値であれば、社長が高給取りになればなるほど、多くの下流層を作ることになるのでは。これが間違っていたとしてもトヨタのような会社がいまさら欧米の高級車を倣う必要はない気がします。
本当に日本がまだ一億総中流と言われたイメージのままの国であるかすら意見が分かれそうですが…
これからアジア、エジプト方面で増える中流層に見本となるような文化を築いていくのも考え方のひとつなのではないでしょうか。
教訓を言い換えると「中流層は中流層向けの商売が得意である」と読むことができました。管理人さんはどう思われるでしょうか。