この問題については、前に別項で論じた。
→ XPの期限切れ対策
その続編となる話題も、本サイトで数項目 書いてきたのだが、それらとは別に、NHK がこの問題について報道した。以下、一部転載しよう。
多くのXPパソコンが残っている自治体の1つ、東京・港区役所を取材しました。
港区役所では庁内にある2400台余りのパソコンのうち、およそ9割の基本ソフトがXPです。
住民情報の処理など区の業務をつかさどる基幹システムはXP上でしか動かず、XPの使用をやめればこの基幹システムも作り替えなければなりません。
システム開発やパソコンの入れ替えなどにかかる費用は総額8億円ほどと見込まれ、震災への対策などほかに必要なものがあるなか、港区はサポート打ち切りまでに予算を捻出することは難しいと判断し、XPを使い続けることにしました。
しかし、職員が業務をするうえで不便な面もあるといいます。
XPのパソコンはすべて内部のネットワークにしかつないでおらず、新しい基本ソフトを搭載したインターネットを利用できるパソコンは、それぞれの課に1台ほどしかありません。
ネットでダウンロードしたファイルをXPのパソコンに移す際もUSBメモリーは使えず、ウイルス感染の可能性が低いフロッピーディスクしか使えない規則です。
( → NHK 2013-10-10 )
いやはや。 (^^);
「内部のネットワークにしかつないでおらず」というのは、本サイトでも推奨した方式だ。これについて文句を言う人もいたが、現実的にはこの方式が採られることが多いだろう。(そうするしかないしね。)
ただ、その場合には別途、新パソコンをたくさん用意するべきなのだが、「それぞれの課に1台」だって。 (^^);
もしかしたら、「1台43万円」という業者の見積もりを真に受けて、「予算が 400万円しかないから、全部で9台しか買えないな」なんてことになったのかもね。で、「1台43万円という予算は正当だ」なんて息巻くIT技術者の声に従った結果、「それぞれの課に1台」となるわけだ。……これが「プロのIT技術者の推奨の方式」だ。
「プロの技術者としての推奨案を示します。それはそれぞれの課に1台だけにすることです。これで業務は最高の効率になるでしょう」
なんてね。 (^^);
あと「フロッピーディスク」というのにも呆れた。化石みたいな部品をどこから引っ張ってきたんだ? ……そう思って探したら、Amazon で今でも売っていた。なあんだ。まだ売っているのか。それにしても、 720KB/ 1.44MB という数字を見ると、頭がくらくらしてくる。
どうせなら、CD-R にすればいいのにね。それなら安全性もけっこう高いし……と思ったのだが、ふと気づいた。フロッピーディスクには「書き込み禁止用のツメ」ってのがある。その分、「ウイルスを勝手に書き込みされない」という安全性がある。化石的な製品にも、それなりの優位性があるようだ。
では、CD-R は? 「書き込み禁止」はできないのか? ちょっと疑問に思って、調べてみたら、標準ではできないが、ソフトを使えばできるそうだ。
→ CD-Rを書き込みに禁止にしたい
こんな方法があったんですね。だったら、フロッピーなんか使わないで、「書き込み禁止の CD-R 」を使うべきだろう。……とはいえ、素人には無理っぽい。「ツメを折るだけ」というフロッピーの利便性には叶わないな。……だとしても、720KB/ 1.44MB は、きつすぎる。やはり、「書き込み禁止の CD-R 」を使うべきだろう。
なお、私のお勧めは、もっとスマートな方式だ。
「職場に情報システム担当者(J)を置く。外部から導入して、内部に入れたい情報は、すべて、(J)を経由することにする」
「そのための媒体は、何でもいい。USB でも、 CD-R でも、フロッピーでも、メールでも、何でもいい。どんな媒体であっても構わないから、それを(J)に渡す」
「情報を渡された(J)は、その情報をクリーンにしてから、内部のシステムに組み込む」
最後の「クリーンにする」というのは、次の作業のことだ。
・ 得た情報を、指定のパソコンに入れる。
・ そのパソコンには、強力なウイルスチェックソフトが入っている。
・ 得た情報を、ウイルスチェックする。
・ 得た情報を、同じファイル形式で、保存し直す。
HTML ならば一太郎で保存し直す。
JPEG などならば画像ソフトで保存し直す。
Word ならば RTF その他に保存し直す。
Excel ならばマクロの有無をチェックをする。
・ 安全にしたら、それを CD−R (書き込み禁止)にして、相手に渡す。
これだと、情報システム担当者(J)は忙しくなりそうだが、「外部から内部システムに情報を入れる」ということは、1日に何十回もあるとは思えないから、たぶん大丈夫だろう。仕事だと思えば、十分にやれる範囲だ。別に頭を使うこともなく、ただのルーティン業務だから、疲れることもあるまい。「死にそうになる」ってことは、ないですよね。
そもそも、即時で対応する必要もない。情報を手渡されてから3時間ぐらいして手渡せば十分。のんびりやればいいだけだ。
……というのが私のお勧めだが、現実には、こうする会社や自治体はないでしょうね。たぶんフロッピーのままなんだろう。 (^^);
【 追記1 】
あとで思いついたことがある。
「ネットでダウンロードしたファイルをXPのパソコンに移す際もUSBメモリーは使えず」
というのが記事では問題点とされていた。しかしこの点は、うまく解決する方法がありそうだ。それは、
「ネットでダウンロードしたファイルをXPのパソコンに移すとき、文字情報だけを移すシステムを構築する」
という方式だ。この場合、文字情報(テキスト情報)しか伝達されないのだから、原理的に、ウイルスは潜り込めない。( javascript みたいなものがあったら自動的に排除される、というふうにしておくことも可能だ。)
この方法がお薦めかな。
【 追記2 】
新たに思いついたことがある。
「 XP につないだパソコンからは、CD-R の書き込みソフトを削除して、CD-R に書き込めないようにしておく。その上で、データは CD-R で渡す」
これならば、外部から情報を入れることはできても、外部に情報を出すことはできなくなるから、安全性はかなり高い。(ただしどこかに「穴」があると、そこから漏れる。すべてのパソコンで CD-R の書き込みソフトを削除して置くことが必要だ。例外は許されない。)
[ 付記 ]
上記の記事には、次の話もあった。
加賀谷さんは「根本的な解決策は、XPを使うのをやめ、サポートが行われている別の基本ソフトに乗り換えること」としたうえで、「対策をするにはどうしてもお金がかかってしまうのが現実です。サポート終了間際になると、パソコンが品薄になるなどスムーズに移行できないケースも考えられるので、今のうちから乗り換えの計画を立ててほしい」と話していました。
ふむふむ。私もそれを心配していた。来年2〜3月に買い換えればいいと思ったが、そのころは品切れになるんじゃないかな、と。
どうなるかは、来年1月ごろには判明するだろう。そのころ品薄になっていたら、早めに買った方がいい。2月、3月には、さらに品薄になる。
来年1月ごろに、どうってことがないのなら、2月、3月にも、たいしたことにはならないだろう。来年1月ごろに様子見をすればいいだろう。
素人考えを述べます。
予算が8億円で、入れ替え必要機が2400台
するとwindows7を一台33万3333円!で導入
何故こんなに莫大な費用がかかるのでしょうか。
私だっだら、3万円か4万円のwindows7機を2400台分買い、全部にウイルス防御ソフトを入れ、無線LANはXp時代のものを使用し、ハード面はこれで終わり。これにかかる費用はせいぜい2400万円
Xpで書いた特殊ソフトの書き換えは、いくらかかるか不明ですが、7億円もかかることはないでしょう。
だいたいwindowsソフトを使用するのが間違いの元で、最初からLinuxで組むべきだったのではないでしょうか。
以下、引用。
 ̄ ̄
The government has kept using Windows XP and Server 2003 despite warnings from the National Security Agency that "Windows XP and Windows Server 2003 lack critical security features and are near the end of their extended support lifecycle." Still, the federal government (much like most of the business world) largely took a pass on Windows Vista. And even though the National Institute of Standards and Technology added Windows 7 to the US Government Configuration Baseline a year after its release, most agencies didn't start migrating off Windows XP until 2011 or later.
→ http://arstechnica.com/information-technology/2013/10/why-us-government-it-fails-so-hard-so-often/
対応費用ですよね。
港区規模の自治体であれば、基幹システムの作り
替えで8億円というのは驚くほどの水準というわけ
ではありません。
住民情報、税、介護をはじめとする基幹システム
すべてを新OSへ対応させるのは相応の期間と経費を
要するということです。
加えて、財務会計、総務、人事給与などの内部事務の
システムもあるのです。
その意味では、当面XPを業務システム端末として
閉鎖環境で使い続けるという、港区の判断は妥当です。
因みに、最新PC各課一台の費用ですが、港区にいくつ
課があるか正確にはわかりませんが、HP公開の組織図
から推定すると、50〜100程度。
仮に50として、一台8万円でも総額400万円です。
まあ、今後はマイクロソフトの都合に振り回されない
よう、SaaS/ASPへの移行が進んでいくと思われますが。。。