京都に豪雨が襲って、桂川が氾濫した。
→ 警戒 京都・桂川が“氾濫”27万人に避難指示
→ 都やばい。限界を超えた日吉ダムの放流。桂川が氾濫。
→ 京都嵐山の渡月橋が台風で流されそう!! 桂川が氾濫!?
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→ 台風18号で京都がヤバイ!
twitter の報告で、午前3時ごろにはほぼ満杯状態で氾濫しかけているとわかる。実際に氾濫が確認されたのは、16日午前7時20分ごろだという。
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ここで疑問なのは、ダムの役割だ。
「洪水を防止するダムがあったのに、役に立たなかったのか? ひょっとして、豪雨の前には放流しないで、豪雨が来たら大量に放水しているのでは?」
そう思って調べてみた。下記だ。
→ リアルタイムダム諸量一覧表(日吉ダム)
このページは刻々と書き換わるので、保存に適さない。そこで、見やすい形に整理して、保存しておこう。
→ 日吉ダムの貯水率
これを見ると、次のことがわかる。
- 15日の夕方までは、放水量は少なめ。
- 15日の夜には、流入量が少しずつ増えたが、放流はあまり増やさない。貯水率を高めている。
- 15日の深夜から 16日初期にかけて、流入量が急増したが、放流はいくらか増やすだけ(148程度)。貯水率を急激に高めている。
- 16日の午前3時ごろには、流入量が激増したが、放流は同程度(148程度)。貯水率を急激に高めている。
- 16日の午前6時〜8時ごろには、流入量が最大値となった。(このとき桂川は氾濫した。)放流は同程度(148程度)。貯水率を急激に高めている。
- その後はなだらかに流入量が減ったが、依然として高い水準。放流は同程度(148程度)。貯水率を急激に高めている。
- 16日の午後 12時過ぎになると、流入量は同程度だが、貯水率が 上限値( 380% )に近づいた。このままではダムが決壊する。そこで、放流を急激に増やした。これまでは 148程度だったが、一挙に 500以上に増やした。
- その後は、流入量と放流量をほぼ同程度に保ったまま、その値が少しずつ減っていった。
- 午後7時現在で、流入量と放流量はともに 300弱。このあとも漸減する見込み。
──
以上を見たあとで、次のように判断する。
(1) 台風が来る前には、放流しておくべきだった。
(2) 豪雨になる前にも、放流しておくべきだった。
(3) 以上によって、事前の貯水量を大幅に引き下げておくべきだった。
(4) 現実には、放流はなされなかった。そのせいで、貯水率は 97%からどんどん高まるばかりだった。午前6時以降の放水量をゼロにできなかった。
(5) もし(1)〜(3)の措置を取っておけば、午前6時以降の放水量をゼロにできたはずだ。そうすれば水位は1割ぐらいは低まったと見込まれる。その場合、氾濫は避けられた可能性が高い。
【 放流のモデル 】(数字は貯水率)
・ 12時間前:台風が来そうだ → 60% まで下げる。(大量放流)
・ 6時間前:豪雨はほぼ確実 → 30% まで下げる。(大量放流)
・ 3時間前:近辺で既に豪雨 → 10% まで下げる。(中量放流)
・ 0時間前:下流で氾濫していなければ放流は継続。(少量放流)
・ 6時間後:下流で氾濫しそうならば放流を停止。 (ゼロ放流)
──
まとめ。
豪雨の前には、放流を増やしてダムの貯水率を低めるべきだ。一方、豪雨のせいで下流が氾濫寸前になったら、ダムは放流をやめべきだ。
現実には、そうしなかった。豪雨の前には、放流を増やさずにダムの貯水率を高めていた。一方、豪雨のせいで下流が氾濫寸前になったら、ダムは多大な放流を続けて、下流の氾濫の一助となった。
要するに、今のダムの制御は、「氾濫を防ぐ」という目的には役立っていない。かわりに、「水資源としての貯水量を最大化する」ということばかり考えている。ダムの役割が根本的に狂っている。というか、ダムの制御の仕方を、根本的に間違えている。
制御の仕方しだいで、氾濫を防ぐこともできるし、氾濫を招くこともできる。今回の氾濫は、台風のせいで起こったというよりも、ダムの制御の仕方を間違えたから起こった、と言えそうだ。
IT時代とは言え、ダムの制御の仕方さえ、我々はまともにできていないのである。何たる愚かさ。IT技術がいくら進んでいても、それを使うための頭がパープリンであったなら、優れた技術も宝の持ち腐れになるだけだ。
豚に真珠
【 追記 】
民間の気象業者と提携して、気象を予想して、ダムの水域の降水量を予想すれば、
「いつどれだけ放水すれば被害を最小にできるか」
という数値計算ができるはずだ。
つまり、IT技術を上手に使えば、被害を最小化できるはずだ。
【 関連サイト 】
現状ではどうやっているか、という情報。
→ 日吉ダムの洪水調節について (PDF)
→ 日吉ダムの洪水調節について (HTML変換)
一定量、一定率一定量、ステップ放流方式について、1,240ケース余りのシミュレーションを行いました。
「300m3/s一定量 放流操作」は、如何なる洪水規模に対しても実施方針操作(300m3/s〜500m3/s定率定量)より浸水被害が軽減できるなどの理由から、最適洪水調節方法と判断し……
つまり、「定量、定率、階段式」という三種類の方法だけを取って、そのなかで「定量」を最適と見なしたわけだ。(ま、この三つのなかでなら、たしかに「定量」がベストである。)
一方、私が示したのは、次の方式だ。
・ 未来を予測して、事前に減らす。
・ 未来を予測するために気象予報を使う。
・ 予測とのズレを知るために下流を観測する。
(フィードバック式)
これらは、「定量、定率、階段式」に比べると、はるかに高度な情報操作をしている。
逆に言えば、現状の方式は、情報操作が欠けている。外部情報から隔離された状態で、単に独立的に放流の量を決めている。非常に原始的だ。
そして、そのせいで、大きな被害が起こったのである。(最悪ではないが。)
記憶では中禅寺湖の出口だけが(これは殆ど自然湖ですが)その効果がありました。
同じ様な現象は昨年か一昨年前に新潟でもあったような気がします。
仮にダムがなかったら、氾濫の時間は何時間か早まって、氾濫の水量は数倍になっていたでしょう。
本項は、「もうちょっと工夫すれば、被害をゼロにできただろう」という話。
( ※ ダムの制御は全然ダメだったが、ダムの存在そのものは基本的には有益だった。割合で言うと、ダムの存在によって[最大限の]7割ぐらいの有益性を発揮した。残りの3割は、うまくやればできたのだが、うまくやれなかったので無駄になってしまった。3割の分を失敗した。)
タイムスタンプは 下記 ↓
という記事。
→ http://matome.naver.jp/odai/2137930407974463101
俺はニラレバのほうが好きだよ。
この地域は少なくとも何十年も
豪雨災害などなかった(テレビで
住民のコメントを見た限りでは)。
そもそも今夏の日照り続きでダムの
貯水量は下がっていたのだろう。
できるだけ貯めたままにしておきたい
という心理が働いたと思われる。
そんなに雨が降るかどうかも確信が
持てない段階で放流とか無理だわな
近年は異常気候なので、各地で「史上最悪の豪雨」が起こっています。過去の経験は当てになりません。
あなたの発想を取ると、今後も各地で「異常気象のせいで多大な被害」が発生します。私の方式ならば、それを阻止できます。
原発事故であれ何であれ、「事前に予防できるならば予防する」というのが私の方針です。「事故や被害が起こってから騒ぐだけで、被害発生は看過する」という方針とは違います。つまり、「最善を尽くす」か「無為無策で諦める」か。
> 今夏の日照り続き……できるだけ貯めたままにしておきたい
8月ならば日照りで渇水になるのを心配するべきですが、9月中旬以降は台風の季節ですから、日照りの心配はありません。9月下旬に渇水になった例など、私は知りませんね。
> ダムの 貯水量は下がっていたのだろう。
データを見てください。台風が来る直前で、貯水率は 97%です。台風が来たあとは、377%です。もともと貯水率は 97%ですから、たっぷりとありました。
> そんなに雨が降るかどうかも確信が 持てない段階で放流とか無理だわな
放水の仕方は、本文中の 【 放流のモデル 】 を参考にしてください。これなら大丈夫。
そういう問題を差し引かないと、先のコメントにあるようにただの、ただればだ。
これのどこが異常気象を先取りした人間の考え方なのかな?
あなたが言わんとしていることなどこちらとて百も承知しているつもり。
異常とは台風がかつてないほど頻繁に日本列島を襲うという方向ばかりでなく、台風が来なくなる、あるいは来ても大した雨をもたらさないという方向も想定したほうがいいんじゃないの?
いまのところ雨ザーザー風ピューピューっていう
わかりやすい展開だけどさ
ガラッと逆の方向になったらどうすんの?
あなたの考える異常は随分と一方向に過ぎるよね
台風が来る1カ月前なら、そういう想定もありだけど、「台風が現実に来て、隣の地域ですでに豪雨を降らしていて、数時間後には当地を豪雨が襲うだろう」という事態になっているときに、「数時間後には台風が消失して日照りになるかも」と考えるような人は、よほどの変人だけでしょう。
私の言っている事前放水は、台風がすぐそこまで来てからの話ですよ。台風が来るずっと前に事前放水しろと言っているわけじゃない。
なお、近年の傾向は温暖化であり、その場合、降水量は増える傾向にあります。世界的にはともかく、アジア東部のモンスーン気候の地域では、降水量は増えるのが自然です。(というか、熱帯多雨型に近づく。)
> ガラッと逆の方向になったらどうすんの?
ご心配なく。「台風が来ないときに事前放水せよ」とは言っていません。すべては台風が目の前に来てからの話。
また、たとえ台風が一瞬にして消滅したとしても、大丈夫。
・ 他のダムがたくさんあって、そこに水がいっぱいある。
・ この地域の水源は淀川系で、琵琶湖が水源。
つまり、琵琶湖が干上がらない限りは、大丈夫です。
結局、もともと水がたっぷりあるときには、水不足の心配をする必要はない、ということ。一つのダムを見ているだけじゃ、わからないけどね。
日本は、乱開発と批判されながらダムを作り続けました。それらのダムを洪水調節に使えば、かなり
緩和できる能力があります。
問題は、
1)未来に起きる全てのデータが事前に分かっていることを前提にできないこと。
2)水利権は複雑に絡まりあっていますから、洪水調節を最優先にできないこと。
1)については、気象庁の降水予測の精度を、今少し向上させることはもちろんですが、降水予測
の精度は、昔に比べて向上(特に短時間予測)しているので、ダムを洪水調節が空振りになるリスク
は減少してきています。ダム利用のソフトウェアを更新していく時期ではないでしょうか。
2)については、人命や財産を守るために、どの程度、水利権を譲歩できるかでしょう。つまり、
水利で利益を得る集団と水害で被害を蒙る集団とが、多少ずれているので、合理性も望まれます。
3)組織ややり方を変えると、SONYではないですが、内部の抵抗摩擦も働きます。
カイゼンは技術的には可能でしょう。そのことは関係者の多くが同意されるのでは・・・
今回の日吉ダムの操作は総理大臣表彰ものです。
ピーク時の日吉ダムの洪水カットがなければ、16日9時ごろの渡月橋の洪水ピークはさらに1000m3/s以上アップし、水位では1m弱上昇していたことが想定されます。
また、ダムでは大量の流木をとめているので、これが一緒に流れれば、橋に詰まって、橋が壊れるか、壊れなければ、大氾濫、嵐山は壊滅していたかもしれません。
完全に誤読していますよ。先入見にとらわれず、読み直してごらん。あなたの思い込み(誤読)と正反対のことが書いてありますよ。
特に、コメント 2013年09月17日 00:41 を参照。
ということがわかっていれば事前に多少減らしたところで大した効果が無いのはわかるだろうにな
あと、事前に貯水量を減らすこと自体が、氾濫を防ぐのではない。放水を停止することが、氾濫を防ぐ。間違えないように。
仮に同時刻、すべてをため込むには206.1m、前日9/15 20:00からすべて貯水するには概算で82833E3m3 (207.8m)。
一方、150m3で排水を行わなければ緊急排水を行わなければ 16日13:00に202.16mとなり越流したと考えられる。また、9/15 20:00からすべての水を貯水していたならば10:00に越流し993m3/sを放水することになっていた。下流の河川の水位データを読み解けばどうなっていたか。今回非常に運がよかったとも考えられる。
ただ、残念ながら後からだからなんとでも言えるんだよね。。。ダムオタってや土木やさんて訳じゃ無いけど、16日の日吉ダム放水の様子を見て思わず書き込んでみたり。
計算間違ってたらすまそ
あとね。仮に私がプロだったら、なおさらやらないよ。プロが仕事をタダで請け合うはずがない。
> 土木生業としている連中、頭悪いね
そんなこと言うわけないでしょ。彼らはITのプロじゃないし。土木業者に「ITの技術がない」と文句を言うわけがないでしょうが。
あなたは本項を根本的に誤読しているね。本項の目的は悪口を言うことではない。悪口を言うのが生きがいの誰かさんとは違います。
理解力のない人のために、当たり前のことを書いておくと、本項の目的は、人命救助です。お間違えなく。
それはご自分のコメントにも当てはまるのでは?
ま、あなたのような人が「偉そうな話を聞いて腹を立てる」という気持ちは、わからなくもない。しかし、そもそも本項の目的は、人命救助です。あなたが腹を立てたからといって、人命救助に反対するということは、あなたは「腹が立ったから人殺しをする」というのと同じですよ。
もうちょっと正確に比喩を言うと、「ブラックジャックが生意気なことを言って、命を救って、大金を取るのは、けしからん。ゆえに、大金を取るのを妨害するために、彼の人命救済を妨害する」というようなもの。
「彼が人の命を救うのを妨害すれば、彼は大金を得られなくなる。ざまあみろ」
言っている本人は、自分が正しいことを主張しているつもりなんですよね。