ドコモが iPhone を販売する。ここで、アップルはドコモに「4割以上の販売台数」を義務づけている。(ソフトバンクと au は5割以上。)
→ ドコモ版iPhone 5S/5Cの販売ノルマは「新規契約の4割」に、
ドコモのシェアは下記だ。
→ 2013年7月の時点で42.7%
42.7% の 4割というと、全体の 17%だ。これだけのシェアが失われる。その被害を主に受けるのは、国産の Android 陣営だ。主としてソニーだが、富士通やシャープもシェアを失うことになる。( NEC とパナソニックは撤退を決定済み。)
ま、どっちみち、「一挙に4割減」というのは、経営的に大打撃だろう。
──
しかも、ここで大事なのは、「アップルが優越的な立場を利用して、強引に販売台数を強制している」ということだ。
→ iPhone 料金の犯罪性
つまり、日本企業がシェアを落とすのは、自社製品の性能が劣っているからではなくて、アップルが不当な制限を加えているからだ。
その不当さはどのくらいかというと、上記項目でも試算しているが、おおむね、次のようになる。
「正当な価格に比べて、iPhone利用者は 300円ぐらい安くなっており、他社製品ユーザーは 700円ぐらい高くなっている」
ここでは、料金の格差を月 1000円とみているが、実際に現状で試算してもみても、おおむね次のようになる。
「アップル製品は、Android 製品に比べて、月 1000円〜 2000円を優遇されている」
根拠は、次の三つだ。
→ iPhone
→ ドコモ スマートフォン料金
→ Xperia A SO-04E
ドコモの場合、一番安いのは iPhone5c で毎月 6555円。さらに 525円×12か月引きがあるので、1年間は 6030円。
ドコモの Android で一番安いのは 6730円。
ドコモで一番人気は 7990円。
iPhoneならば 6030〜 6555円 で済むのに、Android だと 6730 〜 7990円 も取られる。標準的なもので差を取ると、6290円と 7990円だから、1700円も差が付く。
要するに、Android 陣営は、これだけの差を付けられている。勝手にハンディを付けられているわけだ。一種の差別政策である。
( ※ 比喩的に言うと、ビールの販売で、キリン製品は 10円安くなり、朝日やサントリーの製品は10円高くなる。その理由は、キリンが「さもないとキリンの製品を卸してやらないぞ」と脅迫したから。こうしてキリン製品には販売促進費が投入され、その販売促進費の原資を朝日やサントリーが払うわけだ。何たる不条理。)
──
以上のように、とんでもない状況がある。では、なぜ?
その理由は、先にも述べたように、アップルが脅迫したからだ。独禁法違反(優越的地位の濫用)という形で。
→ iPhone 料金の犯罪性
ただ、本来ならば、このようなことは起こらないはずだ。なぜなら、アップルがこのような違法行為をすれば、公取委が乗り出して、アップルの不当な販売方式に制限を加えるはずだからだ。
こうしてみると、物事の本質がわかる。こうだ。
「日本企業がアップルの横暴で被害を受けているのは、公取委がアップルの違法行為を取り締まらないからだ」
公取委は、経済の警官である。警官が何もしないでサボっていれば、犯罪がのさばるのは当然である。……ここに本質がある。
ではなぜ、公取委はサボっているのか? ここまで考えて、物事の根源がわかる。
「公取委がサボっているのは、経団連などの企業側の要請を受けて、公取委が徹底的に骨抜き(牙抜き)にされてしまったからだ」
つまり、企業側が「警官である公取委を骨抜きにしてくれ」と政府に頼んで、政府はその要請を受けたから、まさしくその通りになったわけだ。
このとき、企業側は、「自分たちは強者の側であるから、弱者である下請け企業に横暴を働く方だ。その横暴をやりたい放題にさせてくれ」と思ったわけだ。
で、政府はその要請を受けた。「公取委を骨抜きにします」と。
すると企業側は、「しめしめ。これでおれたちは横暴をやり放題になれる」と思って、大喜びした。
ところがそこへ、日本企業を上回るアップルが出てきて、日本企業を下請けとして使った。このとき、アップルは横暴の限りを尽くしたが、そこで公取委はちっとも助けてくれないわけだ。なぜなら、そのことを、企業側が要請したからだ。
以上をまとめて言えば、こうだ。
「日本企業の側の自業自得」
ここで、正邪を逆の形で示したことわざがある。
「情けは人のためならず」
他者に情けをかけると、それが巡り巡って、自分への情けとなって帰ってくる。
それと同様だ。他者に横暴を尽くせば、それが巡り巡って、自分への横暴となって帰ってくる。そして自分自身がひどい目に遭う。
日本企業がやったのは、そういうことだ。これまでさんざん、悪の限りを尽くして、下請け企業に横暴を働いて、それを取り締まられないように公取委を骨抜きにした。
すると、彼らをはるかに上回る極悪のアップルが登場して、日本企業を食い散らかすわけだ。まるで、猛獣を食い散らす巨大怪獣のように。
パシフィック・リム [DVD]
悪人というものは、結局は、自分以上の悪人によって、滅ぼされるのである。そういうものなのさ。
( ※ 最初から公取委を骨抜きにしなければ良かったのに。ギャングみたいに、警察を買収しようという発想を取るから、最終的には、身を滅ぼす。)
[ 付記 ]
参考情報。
米国で Xperia の価格を見ると、230〜700ドルぐらい。低級品と高級品で、いろいろあるようだ。
→ Sony Xperia price - Google Search
米国で Android 機を利用するなら、かなり格安のプランもあるのだろう。ま、日本でも、b-mobile や IIJmio などもあるが。ただ、米国では、大きなキャリアでも、そういうプランを用意しているのだろう。たぶん。
【 関連項目 】
→ アップルは泥棒だ 2
前項で述べたのは、泥棒の話。
本項で述べたのは、警官の話。
泥棒に襲われた被害者が、警官に助けてもらえない。それはなぜか……というのが、本項のテーマだ。
( ※ これを読むと、意外に思う人もいるかもしれない。「おや。このブログの著者は、アップル嫌いじゃないのか?」と。…… そいつは勘違いです。私はアップル嫌いじゃないですよ。ついでだが、日本企業嫌いでもない。お間抜けさに、呆れているだけだ。)
→ http://reynotch.blog.fc2.com/blog-entry-609.html
期間限定ながら、こいつが超お買い得。
以下、引用。
──
> 日本でスマートフォンへの移行が進んでいるといっても、総務省が発表した2013年版の情報通信白書によれば、日本国内のスマートフォン利用率は38・2%。韓国(67・8%)、米国(47・6%)等と比べ、低い結果である。政令指定都市クラスでも、東名阪などの大都市以外では、スマートフォン利用者は少なく、さらに地方に行けば、ガラケーのユーザーは多い。
→ http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130915/dms1309150731008-n2.htm
──
安価な Android スマホが発売されていないことの影響が、こんなところに出ている。
3大キャリアが、暴利のむさぼりすぎ。
理由は:
(1)アップルが「言うことを聞かないとiPhoneを売ってやらない」と脅迫したから。(独禁法違反。不当。)
(2) 日本メーカーには不利だが、ドコモにとっては特に不利ではない。損得はメーカー間でのみ発生する。
※ すでに述べた通り。ちゃんと読みましょう。