この話題は、あちこちで紹介されているが、本ブログでも簡単に紹介しておこう。
iPod や iPhone の背面(裏蓋)の金属研磨は、とても高度な技術を必要とするので、世界のなかでも新潟県燕市の企業に発注された。これは日本の誇る技術として紹介された。
燕市「磨き屋シンジケート」の磨きの技術は名実共に世界一。
米国Apple社の当時のCEO、故 スティーブ・ジョブズにその腕を認められ、世界中の人が手にしているiPodの背面の鏡面磨きを請け負いました。
後に世界中の人々のライフスタイルを変えることになるiPodを、命を吹き込むように磨き込む、重要任務を任されたのです。
( → 3億台のiPodを支える世界一の磨き屋集団!新潟県燕市の「磨き屋シンジケート」 )
これが報道されたときには、まさかあとでとんでもない出来事が起こるとは、想像もしていなかっただろう。しかし、起こったのだ。
アッップルの支配は、取引先の情報をすべて把握することから始まる。「通常、10〜20人体制で"Audit(監査)"にやってくる」のだという。部材や工場に精通しているスペシャリストが多く、ごまかしで煙にまくことは不可能。鋭い設問が次々と投げかけられ、素材メーカーの幹部は「これだけ聞かれたら、原価計算ができてしまう」と。そして、不安は的中。
新潟県燕市の中小企業の作業場で、彼らの姿勢を象徴するような出来事が。
「iPod」の裏蓋を職人がひとつひとつ手作業で磨きあげていた、磨きのプロの仕事場。小型のビデオカメラを片手に、朝から晩まで、彼らの動作を撮影している男が立っていた。「ちょっと作業風景を撮影させてほしい」アップルに金属部品を収めている金属加工メーカーからきた男は、職人たちに近寄ると、手元にピントを合わせた。親方は、この撮影が何を意味するのか、直感的に理解した。安い人件費で、大量に磨けるところへ移転させようということ。録画された技術は、アジアの別の国に"移植"された。
地元の研磨業者約20社が1日で1万5000〜2万台も磨き上げていたiPodの仕事は、地元から消えてしまったのだ。
( → アップルの「植民地支配」が日本にもたらしたもの )
この記事では、元ネタ(引用元)となった書籍が紹介されている。下記だ。
アップル帝国の正体
ともあれ、この本に詳しく紹介されているように、アップルは日本企業の技術を盗んでいる。これはれっきとした泥棒だ。というか、(より罪の重い)強盗だろう。こっそり隠れて盗むのではなく、否応なく、正面から強奪しているからだ。
この件に関して、はてなブックマーク では、「日本企業は断れ」という批判を出す人がいる。しかしそれは無理筋というものだ。
アップルはすでに 数百万(1日2万弱)という数の大量発注をしている。企業側は、それを見込んで、莫大な設備投資をしている。ここでアップルの主張を拒めば、莫大な設備投資が無駄となって、あっという間に倒産する。従って、「拒む」ということは不可能なのだ。日本企業に与えられている選択肢は、次の二つしかない。
・ 「イエス」と言って、泥棒を認める。
・ 「ノー」と言って、倒産する。
となれば、泥棒を認めるしかないのだ。
──
では、これは、合法的か? もちろん、合法的ではない。泥棒が合法的であるはずがない。
ただ、法律違反の名目は、「泥棒」ではなくて、別の罪状だ。それは、「独禁法違反」である。詳しくは「優越的地位の濫用」である。
実は、これに似た事例を、アップルは前にもやらかしていた。
アップルは、ソフトバンクや au と契約するとき、「販売台数の5割以上を iPhone にすること」を義務づけた。また、今回はドコモに対して、同様のことを義務づけた。(ただし数字は5割でなく4割)。
→ ドコモ版iPhone 5S/5Cの販売ノルマは「新規契約の4割」に、
このような強引な押しつけによって、iPhoneは日本に限り、多大なシェアを獲得した。
→ 日本人は世界一iPhone好き!?調査国中で唯一Androidシェアを上回る (グラフあり)
結果的に、日本では iPhone の価格が Android 機よりも安くなっている。これはつまり、ケータイ電話会社を通じて、
Android 機の会社 → iPhone の会社(アップル)
というふうに、金が移転していることを意味する。ということは、ここでも、アップルは泥棒をしているのである。しかもここではまさしく金銭を盗み取っている。……この件、詳しくは下記で説明した。そちらを参照。
→ iPhone 料金の犯罪性
ここで説明したように、このような押しつけもまた、アップルによる独禁法違反(優越的地位の濫用)である。
──
以上で、二つの事例を示した。そのいずれにおいても、アップルは、独禁法違反(優越的地位の濫用)を通じて、泥棒をしている。一方では技術を盗み、一方では金を盗んでいる。しかも、これは犯罪行為(違法行為)である。
アップルとは、このような泥棒会社なのだ。そのことをはっきりと理解しよう。
「 アップルは優秀な技術があるから大儲けしている」
と思う人がいたら、おめでたすぎる。正しくは、
「 アップルは、優秀な技術や金を、他人から盗んでいるから、大儲けしている」
である。
[ 付記 ]
アップルのやっていることはれっきとした違法行為であるから、裁判に訴えれば、原告は超多額の金をせしめることができるだろう。数千億円をせしめることもできるかもしれない。
そこで、頭のいい弁護士がいたら、原告となる会社の委託を受けて、訴訟を起こすといいだろう。
「費用はたったの 10万円でいいですよ。そのかわり、勝ったときには成功報酬として、3割を下さい」
これでボロ儲けできそうだ。100億円の賠償金を得たら、その3割の 30億円をもらえる。しかも、正義の味方として、世間に名を売ることができる。名実ともに、カッコいい。
「巨人アップルと戦う、孤軍奮闘の弁護士」
という感じ。「エレン・ミカサ法律事務所」でもつくって、巨人と戦え。
進撃の巨人の謎研究
《 追記 》
実際に訴訟に持ち込むには、一つだけ注意点がある。「時効」だ。
上記の iPod の事例は、かなり古いと思える。独禁法の時効は、5年ぐらいらしいので、もはや時効にかかっているかもしれない。損害賠償請求の時効もある。……このあたり、私は法律の専門家ではないので、詳しくはないのだが、壁がありそうにも思える。
もしすでに時効であるとしたら、Apple は犯罪の やり逃げということになるな。泥棒に優位な法制度。
【 関連項目 】
→ iPhone 料金の犯罪性
→ ドコモで iPhone よりも
→ Apple は泥棒だ
( ※ 著作権泥棒の片棒を担いでいる、という話。)
ついでだが、「公害汚染」という話題もある。
→ アップルの公害汚染
アップルは、下請け企業を通じて、ひどい公害汚染をもたらしている。その対策をするように申し出を受けたら、「企業秘密」を理由に拒否した。
他人の(正当な)秘密は堂々と盗むくせに、自分の(不当な)秘密は断固として公開を拒む。悪徳企業そのものだ。
そのせいで、「工場で働いているうちに、化学品の中毒になった人」もいるそうだ。ひどいね。

【 追記 】
コメント欄で私のことを「アップル嫌いのアンチアップル」と思う人がいるが、勘違いしないでほしい。私は iPad mini を使っているアップルユーザーだし、アンチアップルなんかじゃない。iPad mini の使い方の記事なんていうのも何度か書いてきた。たとえば、次の検索を見れば、トップに来るほどだ。
→ 「iPad で Google マップ」 - Google 検索
→ 「stay hungry stay foolish」 - Google 検索
私が誰かの批判を言ったとしたら、それはその誰かを嫌っているからではない。勘違いしないでほしい。そういう勘違いをする人は、自分への忠告を正しく聞くことができないだろう。
「こいつはおれの短所を指摘したな。ということは、こいつは、おれを嫌いなわけだ。それなら、こっちも仕返ししてやる」
そういう人は性格が悪すぎる。性格を直した方がいいですよ。(と忠告すると、また嫌われるかな。)
※ 注記。
言わずもがなだと思うが、念のために言っておくと:
本項の目的は、アップルの悪口じゃない。「アップルは素晴らしい神のような企業だ」という世間の偶像を破壊することだ。つまり、偶像破壊が目的です。(悪口じゃない。口汚い悪口を読みたい人は、本サイトじゃなくて、2ちゃんねるに行くべし。)
※ 注記。
タイトルは、釣りっぽいです。引っかからないように。
最近は、タイトルだけ読んで、本文を読まない人が多すぎる。
【 追記 】
次項に続編があります。
→ 日本企業の自業自得(スマホ) (次項)
Appleに加担する気はありませんが、iPhoneのシェアはキャリアがコントロールするには難しいです。
結局はiPhoneが良いと思うから契約します。
技術も盗まれる方が悪いし、提携する時にしっかり
約束すればいいだけです。
Appleを批判したい方が書いた本に過ぎないように感じました。
日本は否定的だからガラパゴスと言われます。
簡単ですよ。iPhone の値段を Andoroid の値段よりも下げればいい。実際、そうなっているでしょ?
日本だけがそうです。日本だけがおかしなことをやっているから、日本だけが iPhone の方が安い。このことは、先の項目に記してあります。ちゃんと読んでください。
→ http://openblog.meblog.biz/article/7037427.html
なお、ドコモの場合、一番安いのは iPhone5c で毎月 6555円。さらに 525円×12か月引きで、1年間は 6030円。
ドコモの Android で一番安いのは 6730円。
→ http://www.nttdocomo.co.jp/charge/smartphone_xi.html
圧倒的な価格差を設定しています。こんなむちゃなことをやっているのは日本だけ。外国ではどこでも Android 機がずっと安い。
> 技術も盗まれる方が悪いし、提携する時にしっかり約束すればいいだけです。
それはレイプ犯の言い分ですよ。甘い言葉で誘っておいて、どこかに連れ込んだら、いきなり脅迫して、「逆らったら殺すぞ」と言って、抵抗できなくして、犯す。犯罪性丸出しでしょう。
アップルがやっているのは、それと同じです。あなたの言い分は、「レイプはされる方が悪い。用心しなかったから犯されるんだ」と言っているのと同じ。
だれ
──
> 新型Nexus 7「Nexus 7(2013)」の国内版のLTEモデル(ME571-LTE)が13日(金)に発売された。実売価格は39,800円
→ http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/news/news/20130913_615500.html
ざっと計算すると、月5000円というモデル。iPhoneの最安に比べて、月 1000円ちょっとぐらい安くなる。(ただし3大キャリアは使わないで。回線はドコモからの借り物。)
Q 職人の仕事っていうのは動画で撮影しただけで真似できるようなものなの?
A 「だけ」じゃ真似できないでしょう。あらかじめ詳しい専門知識があることが要件。見る人が見ればわかる、ということ。素人が見ても無理。
比喩で言うと、楽天の田中のフォームを素人が見たって真似はできないが、阪神の藤浪がそれを見て真似しようとすると、いくらか真似できるようになった、ということ。素人は学べないが、プロは学べる。
品質監査、環境監査による工場監査は合法的に産業スパイが出来る場ですが、前以て機密保持契約をしっかりすることで、監査員身元確認と保証、撮影禁止等を防ぐ事はできたでしょう。
同じ事は日本のメーカーも中小企業にやってきました。
Appleからの「磨き」の仕事が減った理由は技術漏洩による中国/台湾での生産開始ではないと思います。
・iPod Classic以外に裏面研磨製品が無いこと
・同製品がそろそろモデル末期であること
これらの方が大きいと思います。
年内に消えるという予測もある様です。(Wired)
http://www.wired.com/gadgetlab/2013/09/goodbye-ipod-classic/?mbid=social11600194
優越的地位の乱用とは思いません。
日本だけ強引な押し付けしたのでないですよね。
ガラ携についている日本の標準仕様が、iphoneに搭載されていないから安く設定しているとも考えられる。
それよりも、製品デザインやそれを示したブランドの力が日本人に受けたのだと思います。
日本だけですよ。シェアのグラフ(前出)を見ればわかるでしょ。日本だけ、iPhone のシェアが突出している。
> 日本の標準仕様が、iphoneに搭載されていないから安く設定しているとも考えられる。
日本の標準仕様なんて関係ない。ただの Android 機が、日本でだけ、iPhone よりも高い。諸外国では、Android 機の方がずっと安い。
別項の本文に書いてある通り。ちゃんと読んでください。下記。
→ http://openblog.meblog.biz/article/7037427.html
> 製品デザインやそれを示したブランドの力が日本人に受けた
品質ならどの国でも iPhone の方が人気があります。日本だけじゃない。どこの国でも iPhone が受けている。
ただし、高い。Android は、他の国ではずっと安い。そこが問題なんです。
> 日本だけ強引な押し付けしたのでないですよね。
日本でだけ独禁法が形骸化しているから、日本でだけ押しつけが可能になります。諸外国では独禁法違反により、禁止されます。
以前はdocomoユーザーで Nokia を買って失望し、iPhone 3G がsoftbank から出たのを機に、転向しました。
iPod と携帯電話が合体してポータブルな DataViewrPC という使い方を実現してくれました。
企業間でどういう取引があるかはビジネスの話で消費者としては、満足の行く製品を供給する限りその製品を購入すると思います。
アメリカの巨大企業はその成長過程で悪辣な話は結構あります。
MS-DOS とキルドールの DR-DOS の話。Nescape と IEとOSの抱き合わせの話。
Google の広告と検索の微妙なさじ加減の話。
徐々に巧妙化しつつあると思います。
日本のムラ社会での商慣習がアメリカの弱肉強食資本主義の商慣習との軋轢はあって当然として、お付き合いすべきでしょう。
因みに、NEC、Panasonic が携帯電話事業から撤退し、Panasonic は地上局関連設備事業まで手放そうとしていると聞きました。Nokia、Elicson もiPhone Android に駆逐されつつあるが、地上局設備事業ではきっちり収益を挙げている。
携帯電話の通信システムから日本の電機メーカーがゾロゾロと撤退している事のほうが経済的に重要なのでは?
ユーザー(消費者)の方を向いていない企業が社会的にも経済的に有害です。
その政策はアップルとの販売シェア契約があったからそうせざるを得なかった・・・という事でしょうね。
米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」に特許技術を利用され、特許権を侵害されたとして、日本のソフトウエア技術者
の男性側がアップルの日本法人に100億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、特許権侵害を認め、
アップルに約3億3千万円の支払いを命じた。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2602U_W3A920C1000000/
少しだけ溜飲が下がりますね。
しかし、日本の経営陣の力量が衰微している(ソニー、シャープ、パナ他)ので焼け石に水の感はあります。根本は、卓越
した理工系の知識とセンスがベースにあり国家的な視点でも洞察力のある経営者群を育成することでしょう。
>中国政府・国有企業が、日本や欧州から導入した技術に基づいて改良・開発した高速鉄道(中国版新幹線)車両について、
特許の国際出願を容易にするための特許協力条約(PCT)に基づき、21件の技術特許を既に出願していた…
中国・韓国へお人よし(自分の周辺の利益偏重)の経済交流をしたがる「日本経済団体連合会 会長」たちは困ったもの
です。ズル系の国に対応できる国家的な付き合い方、特許戦略、法整備が望まれますし、紙の上の10分で解ける程度の
思考と知識を競い、その発想で頭が馴染む「お受験」を脱却する教育改革も望まれます。日本から卓越技術をとったら、
日本の未来は悲惨です。
燕の東陽理化学が中国に工場を建てた、って話が有るんですよ。
アップル帝国の正体と、これ↓と、正しいのはどっちなんでしょうかね。
http://togetter.com/li/694733