2013年09月12日

◆ 被災の跡地をどうする?

 津波の被害を受けた土地(住宅地)は、住民の集団移転が進んでいるが、その跡地をどう利用するべきか? ──

 津波の被害を受けた土地は、リアス式海岸の部分では、水産加工の工場などに使うのが普通だろう。これらの地域では、平地部が少ないので、利用しないまま残すことは無駄だ。自然に跡地の利用が進むだろう。「居住地ではなく産業用」という形で。その場合は、「避難経路を整備する」という形で再開発を進めればいい。(前出)
  → 被災地の復興は必要か? [ 付記1 ]

 問題は、リアス式海岸の部分ではなく、仙台のような広い平野部だ。ここでは、非常に広い地域が水没したが、この広い部分はたいていが住宅地である。産業用の土地にするには、広すぎるし、交通の便も良くない。かといって、何にも使わないで、そのまま残すのは無駄である。なにしろ、「山手線の内側の3分の1に相当する広さ」なのだ。広すぎる。
 東日本大震災の津波被災地で、集団移転する住民から市町村が買い取ったり、買い取りを予定したりしている沿岸の住宅跡地のうち、86%に当たる約2320ヘクタールの利用方法が決まっていないことが、朝日新聞社の調べでわかった。山手線の内側の3分の1に相当する広さだ。
 市町村は、高台や内陸への集団移転を進める際に沿岸の跡地などを「災害危険区域」に指定し、居住を制限。残された広大な跡地の活用が復興の課題の一つになっていた。11日、震災から2年半を迎えたが、なお青写真ができていない実態が浮き彫りになった。
 調査は、防災集団移転事業に国の同意を得た岩手、宮城、福島3県の24市町村にたずねた。8月末の時点で、買い取ったり、買い取りを予定したりしている集団移転跡地は約3万1千戸分、計2686ヘクタールあった。
 このうち、移転後の利用計画を固めたり、再開発に向けた事業費をつけたりしたのは、11市町村の366ヘクタール。残りの2320ヘクタールは手つかずだった。
( → 朝日新聞 2013-09-12
( ※ 写真あり。仙台市若林区と、宮城県名取市閖上地区。 )

 では、どうすればいいか?
 考える前に、まずは現地を見よう。Google マップで、現地の状況をいくつか見る。すると、津波ですっかり更地になってしまった状況がわかる。
 
 
《 仙台市若林区 》

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 ただし、よく見ると、右方にある「仙台東部道路」というものが目に付く。
 「あれ? 変だな。ここはたしか、道路の土手があるので、土手によって洪水は止められていたはずだ」
 そう不思議に思って、道路のそばに近づく。
 すると、こうわかる。
 「仙台東部道路は、この地域では土手にはなっておらず、高架になっている。そのせいで、柱と柱の間の広い隙間から、津波の水は流れ込んでしまった。だから仙台東部道路によって津波を阻止することはできなかった」


 《 仙台市若林区 》

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 《 名取市閖上 》

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 一方、土手のあった地域ではどうかというと、こうだ。
 《 仙台市若林区北部 》

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 この地域は、土手があるので、土手の内陸側は守られている。ただ、トンネルのそばだけは、いくらか浸水して水没したらしい。それでも、トンネルから離れた大部分の土地は、土手によって守られている。
 ここで、この土手の高さを見ると、10メートルぐらいだとわかる。もう少し前後に移動すると、高さが7メートルぐらいの地域もあるとわかる。それでも津波を阻止することができているのだ。(トンネルから漏れる津波もあるが。)

 ──

 以上のことから、次のように結論できる。
 (1) 津波は、内陸堤防によって阻止することができる。
 (2) 仙台東部道路については、高架の部分を土で埋めて、土手にするべきだ。
 (3) これによって、仙台東部道路の内陸側は、住宅地としてそのまま使える。放棄する必要がなくなる。

 
 つまり、「移転したあとの跡地をどう利用するか?」という問題は消えてなくなる。そのまま現状通り、住宅地として利用していいのだ。仙台東部道路を土手に作り直しさえすれば。(つまり、高架の下を盛り土すれば。)

 ──

 それでも、次の問題は残る。
 「仙台東部道路よりも外側(海側)の広大な跡地をどうするか?」 

 
 これについても、次のように答えることができる。
 「海岸線から 300メートルぐらいのところに、内陸堤防を作ればいい。これによって、その内側の広大な領域も、住宅地としてそのまま利用できる」


 ただし、この場合、次の疑問が残る。
 「(海寄りの)内陸堤防のトンネル部から漏れてしまう津波をどうするか?」


 これについても、次のように答えることができる。
 「(海寄りの)内陸堤防では、トンネル部をなるべく減らす。この外側は、原則として利用禁止にするので、往来の必要がなくなる」 
 「(海寄りの)内陸堤防のごく一部にだけ、トンネル部を開けるが、その内陸側は、津波で水没することを前提とする。当然、住宅は置かない。かわりにコンクリートのビルをいくつか作って、水流を止める役割を果たさせる。また、土地を2メートルぐらいかさ上げして、津波が通りにくくする」


 基本的には、次のように言える。
 「海岸から 300メートルのところに内陸堤防を構築して、その外側の利用は避ける。放棄するべき土地は、この部分だけだ」
 「その内側(内陸側)の領域は、内陸堤防に守られるので、住宅地としてそのまま使える。ただし若干の危険は残る。万一の場合、床上浸水ぐらいはあるかもしれない。」
 「仙台東部道路の内側(内陸側)の領域は、仙台東部道路の土手に守られるので、二重の意味で安心だ。トンネル部から離れた地域なら、完全に安心できるだろう」

 ──

 まとめ。

 津波で被災した土地は、跡地の利用を考える必要はない。内陸堤防さえ構築すれば、そのまま住宅地として使える。移転のために超巨額を費やす必要はない。内陸堤防という土手をつくるだけで済む。簡単で、安上がりで、効率的。
 
( ※ タイトルは「被災の跡地をどう利用するか?」だが、それへの回答は、「元に戻す」である。つまり、「跡地」なんてものは、ない。……ただしこの回答は、宮城県の平野部に限定される。また、内陸堤防の内側に限定される。)
 


 [ 付記1 ]
 あとで思ったが、海岸線から 300メートルのところの内陸堤防には、トンネルは必要ないだろう。この内陸堤防の外側は、放棄された土地なので、往来の必要がないからだ。
 それでも、特別な場合では、内陸堤防の外側に行きたい事例も出てくるだろう。その場合は、内陸堤防の上に乗り上げてから、その向こうに行けばいい。下図のような感じ。

     ____/ ̄ ̄\____

 この図で中央は、内陸堤防。
 左側から右側へ行きたいときは、土手のなかをトンネルで通るのではなく、いったん土手の上に乗り上げてから、土手の向こうに出ればいい。こうして、トンネルは不要になる。
( ※ この内陸堤防は、道路ではない。当然、横断することはできる。)

 [ 付記2 ]
 上の案(付記1)は、海寄りの内陸堤防には使えるが、仙台東部道路には使えない。「高速道路を横断する」というのは、無理だからだ。
( ※ ただし、強引にやるなら、方法はある。たとえば、「4車線から6車線にふくらまして、中央の2車線で Uターンする」というふうに。……といっても、これでは費用が巨額になるので、実現性はない。)


 仙台東部道路の場合はどうするか? トンネルを作っておいていいだろう。通る車も多いはずなので、トンネルは欠かせまい。(現状通り。)
 また、このあたりの地域は、海寄りの内陸堤防によって守られているので、それほど危険性も高くない。



 【 関連項目 】
 次の項目に、似た話がある。画像あり。
  → 復興会議の提言(その核心)

teibou.gif    teibou2.gif 
posted by 管理人 at 18:59 | Comment(3) |  震災(東北・能登) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
[ 付記1 ]と [ 付記2 ]を修正・加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2013年09月12日 21:37
「内陸堤防は道路ではない」とのことですが、乗り降りするための狭くゆるやかなスロープを内陸側のみ設置し、普段は自転車専用道として使えばいいのではないですか?
300m先の海を見ながらサイクリングができますし、サイクリング中に地震にあったらスロープから降りて内陸に逃げればいいだけの話です。
Posted by のび18 at 2013年09月13日 17:04
>  by のび18

そうですね。普通の堤防はそういうふうに使っていますから、そうするとよさそうです。

ただ、海は見えないと思います。私の予定では、海岸線からの300メートルは、震災公園となります。
  → http://openblog.meblog.biz/article/5169653.html
 ここでは、少し盛り土してから、樹木をたくさん植える予定です。防潮林。この樹木に遮られて、海は見えないと思います。高さが 20メートル以上の樹木になる予定なので。こんなふうに。
  → http://livedoor.blogimg.jp/moochan803527/imgs/8/5/85d9e8bc.jpg
 かわりに、震災公園を歩いて行って、海辺まで来たら、海辺の防潮堤に乗っかると、海が見えます。

ま、海は見えなくても、樹木がいっぱいあるので、サイクリングは快適でしょう。
Posted by 管理人 at 2013年09月13日 19:30
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