2013年09月09日

◆ 次期スパコンの電力の名案

 次期スパコンの開発が予定されている。そこでは大量の電力が必要とされる。ここで、うまい方法がある。コロンブスの卵ふう。 ──

 次期スパコンの開発が予定されている。
 文部科学省の有識者会議は5月8日、理化学研究所のスーパーコンピューター「京(けい)」の100倍高い性能を持つ次世代スパコンを開発する計画をまとめた。
 2014年度に開発に着手し、20年ごろに稼働させる。総額1000億円規模の開発費を投じ、計算速度の世界一奪還を目指す方針だ。
 ただ、次世代スパコンは数十万キロワット以上にのぼる大量の電力を消費するため、有識者会議では、省電力や効率的な冷却システムの技術開発が課題として挙げられた。
( → SankeiBiz(サンケイビズ)

 ここでは、数十万キロワット以上にのぼる大量の電力が必要とされる。それが問題だ。原発1基が 100万キロワットだから、それに近い発電が必要とされるわけだ。川崎の LNG発電は1基が 42万kW だから、それと同程度だ。すごいですね。
 では、その電力を、どこから持ってくるか? 原発を一つつくるか? まさか。

 ──

 ここで、うまい方法がある。コロンブスの卵ふう。
 「 LNG ガスの冷熱を使って冷却する」


 つまり、大量の電力で冷熱をつくりだす代わりに、輸入した LNG の冷熱を使う。もともと捨てられていた冷熱を使うのだから、ものすごくエコである。(経費はゼロみたいなものだ。)
 このようなアイデアは、前にも述べたことがある。
  → 最強の省エネ:冷熱の利用

 このアイデア(冷熱の利用)を、スパコンに適用すればいいのだ。どうやって? 水冷式スパコンの水を冷やせばいいのだ。
 冷却は「京」プロジェクトにとって重要な課題だった。効率的に冷やし、プロジェクトの目標である「世界最先端・最高性能のスーパーコンピュータの開発」のために、冷却方法の一つとして選択されたのが低温水冷だ。1枚のシステムボード上で主にCPUとコントローラ素子の計8個を水で冷却する。
( → 世界最速の次世代スーパーコンピュータ「京」の冷却システム
 研究者の推定では、平均的な空冷式データセンターの消費電力の約50%は、冷却システムに動力を供給してプロセッサーの過熱を防ぐことに費やされている。
( → 水冷式で消費電力を4割削減

 次期スパコンでは、大量の電力を使用するが、そのかなり多くの部分は、冷熱発生のために使われる。とすれば、LNG の冷熱でスパコンを水冷することで、相当多くの電力を使わないで済むことになる。
 
 ま、問題があるとしたら、LNG の冷熱が巨大すぎることかな。うまくぴったりと帳尻を合わせることは難しそうだ。それでも、かなり優れたアイデアだと思う。何しろ、コストがゼロ同然のエネルギー発生機があるようなものだ。「これぞ名案」というものでしょう。……コストでも、エコでも。
posted by 管理人 at 22:29 | Comment(3) | コンピュータ_03 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ついでにサーバーなどを使う計算機センター(データセンター)も、LNG の冷熱で冷やすといいかも。……あまり発熱源が密集していないのが難だが、少なくとも事務用ビルの空調の場合よりは密集している。
 Google などは、サーバー類を寒い国に移しているが、そこまでやるのは大変だろう。メンテの問題もある。そこで、都会に「コストゼロ」の冷熱があるなら、とても使い勝手がいいはずだ。

 《 参考記事 》
  Googleがフィンランドで工夫するデータセンター
  → http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1306/10/news026.html

  Googleデータセンタの内部写真いろいろ
  → http://dailynewsagency.com/2012/10/18/google_datacenters_fer/
Posted by 管理人 at 2013年09月09日 23:57
卓抜なアイディアですね。スパコンを発電機と見るのは逆転の発想で、べらぼうに面白いですね。

 低沸点媒体による発電は、イスラエルが先進的ですが、日本も活発な基礎研究と実証実験を積み重ねてきているので、
実現可能な技術です。
 低沸点媒体による未利用エネルギー活用システム向け熱効率解析ソフトウェアの開発(電力中央研究所)
http://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/report/leaflet/M11007.pdf

 スパコンを冷やしながら発電する、冷やすほうは発電機がやるので、スパコンに使う電力は1/5になり、発熱は電気
に生まれ変わっていく。日本発の驚異の省エネ技術だと大いばりできますね。
 そんな夢のような省エネスパコンは、世界に飛ぶように売れます。
Posted by 思いやり at 2013年09月10日 19:00
「スパコンのそばにちょうど都合よく LNG の設備を持ってくることができるのか?」
 という疑問が生じそうだ。それに答える。

 これは発想を逆転させればいい。こうだ。
 「 LNG の設備ができたら、その隣にスパコンを設置する」
 したがって、スパコンの設置場所は、今すぐ決める必要はない。今後続々と LNG の輸入設備ができるから、その隣に敷地を用意してもらって、ビルを一つ作ればいい。それだけのことだ。

 ∵ LNG の設備は巨大な敷地を要するが、スパコンのビルにはあまり敷地を要しない。ビル一つで足りる。

 ──

 疑問 「 LNG の設備のそばにスパコンを設置するのは、危険度が高すぎるのでは?」

 回答 「スパコンはすぐに陳腐化する。5年も使えればそれで十分。5年のうちに危険が訪れる可能性(確率)は、ごく小さいから、あまり心配しなくていい。そんな心配をするよりは、価格の安そうなミニ・スパコンをたくさん設置するといい。富士通や NEC などの市販品がいろいろとある。」
Posted by 管理人 at 2013年09月10日 21:17
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