2013年08月25日

◆ 医師・看護師不足の対策が実現!

 医師・看護師不足の対策が実現する運びとなった。本サイトでは珍しく、「喜ばしいニュース」である。 ──
 
 医師・看護師不足の対策が実現する運びとなった。出産でやめた女性医師や看護婦を、短時間勤務で呼び戻す、というもの。
 厚生労働省は、勤務医や看護師の長時間勤務が常態化している状況を改善するため、2014年度からすべての病院に労働環境の見直し計画を作成するよう求める。
 日中の短時間だけ勤務可能な制度の導入を働きかけるなどして、出産をきっかけに離職した医師や看護師らが職場復帰しやすい環境を作り、1人あたりの負担を軽くする狙いがある。
 退職金の受け取りや育休の取得ができるなど正規の職員と同様の待遇で数時間だけ勤務する「短時間正職員」制度や、夜勤時間を限定する「変則シフト制」の導入が望ましいとの考えを盛り込む。
 医療には携わらず、医師の事務作業だけ補助する「医療クラーク(医師事務作業補助者)」についても医師の負担軽減の観点から、積極的に採用することが望ましいとの考えを示す方針だ。
( → 2013年8月25日 読売新聞
 これらは私が以前から述べていたことだ。最近では、次の項目の記述がある。
 外国人看護師を日本に入れる必要はない。なぜか? 日本人の看護師が余っているからだ。
 実は、現実には、看護師の人手不足という問題がある。ただしこれは、人数が絶対的に足りないせいではない。夜勤などの勤務がきつすぎて、出産を機に仕事を辞めてしまう看護師が多いせいだ。そのせいで、現場では未婚( or 既婚だが出産前)の若い看護婦がとても多い。こんなに未婚女性の多い職場は、めったにない。それというのも、出産後には勤務が続けられない体制だからだ。こんなことをやっている国は、日本だけだろう。
 だから、第一義的には、出産でやめた看護師を病院に引き戻せばいい。
( → 外国人看護師は不要だ :2013年05月28日)
 これと似たことは、「泉の波立ち」で何度か書いたことがある。看護師よりも、女性医師の話題で。古いところでは 2008年の記述がある。
 NHKの9時のニュース( 2008-12-23 )によると、女性医師はどんどん辞めているという。理由は、出産のためだが、もっと重要なのは、出産後の復帰の制度がないせいだという。つまり、赤子や児童の保育施設がない。だから、医師の現場に復帰できない。
 逆に、一部の病院では、赤子や児童の保育施設があるので、女医さんが復帰できているという。しかしながら、そのような病院は、ごく限られているようだ。また、復帰する女医さんに対して、ブランクを補う研修制度も必要だが、そういう研修制度を用意している病院も少ない。

 結局、不足しているのは、医師ではない。次の二点だ。
  ・ 赤子や児童の保育施設
  ・ ブランクを補う研修制度

 この二点が足りないわけだ。だから、「医師不足を何とかせよ」と騒ぐときには、……上記の二点を拡充すればいいわけだ。
( → 2008年12月24日
 冒頭の新聞記事には、「医療には携わらず、医師の事務作業だけ補助する、医療クラーク(医師事務作業補助者)」という話題もある。これについても、私は古くから言及していた。
 医師の事務を代行する補助職を増やしたり、看護師も簡単な医療を分担できるようにしたりして、医師が医療に専念できる環境をつくることが大切だ。
( → 2008年1月29日b
 ま、これは私だけが言っていたわけじゃなくて、多くの人も言っていたのだが。というか、すでにそういう産業ができてしまっているが。(ググるとわかる。)

 ──

 ともあれ、私が以前から述べていたこと(出産で退職した医師や看護師が復職すること)が推進されるわけだ。
 「そんなことしたって、たいした量にはならないだろう」
 と批判する人もいたが、実は、これによる効果は多大である。読売の記事(紙の新聞)によれば、
 最近の医師国家試験では合格者の3割が女性だ。出産した女性医師の約1割が、産休制度が利用しづらいことを理由に離職している。
 看護職員約150万人のうち毎年1割が離職しており、……資格を持っているが勤務していない「潜在看護師」は約70万人にのぼるとみられている。
 うまく行けば看護師の総数が一挙に5割増しだ。「1割離職」というのは、医師も看護師も同様だから、看護師の数字を医師に当てはめると、(女性の比率は3割だから)
   0.5×0.3 = 0.15
 で、医師の総数は 15%も一挙に増えることになる。
 まとめると、
  ・ 看護師の総数は 50%増
  ・ 医師 の総数は 15%増

 というふうになりそうだ。(細かな数字の誤差は無視する。)

 現実には、この数字がまるまる戦力になるわけではない。大半は「子育てをかねての短時間勤務」となるだろう。それでも、「子育てをかねての短時間勤務」が数年間続いたあとでは、「子育てが終わったあとでフルタイム勤務」が可能となる。相当大きな戦力となりそうだ。

( ※ ひるがえって、「外国人看護師の養成」とか、「新規の医者養成」というのは、ほとんど効果がない。毎年の卒業生を2割アップするとしても、全体における効果は1%もないだろう。現実には、いきなり2割も増やすことは無理だから、1%未満の[コンマ単位の]微小な効果しかない。それに比べると、上記の 50%増や 15%増というのが、いかに巨大な増加効果を持つか、はっきりとわかるだろう。)

 ── 
 
 ともあれ、政府は正しい方向に進んだ。私の長年の提案がようやく実現する運びとなった。これで事態はかなり劇的に向上することになるだろう。
 あと、問題は、「仏作って魂入れず」にならないように、しっかりと制度を運用することだ。この先の成果を見守りたい。

( ※ 記事によると、「厚労省は今年度末までに、各病院が作成する計画の基本指針をまとめる」とのこと。また、支援するための法改正案は、14年の通常国会に提出する方針だとのこと。実際に改革が進むのは、来年度以降になりそうだ。……どうなるか、じっくりと見守りたい。)
( ※ この記事は、読売のスクープらしい。1面トップだ。他社の追っかけ記事も出そうだ。とりあえず、本サイトでは、読売のスクープを紹介しておいた。)
posted by 管理人 at 13:18| Comment(23) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この間のやりとりの続きですが、主婦が職場に復帰したとして、主婦の仕事を誰が引き継ぐんですか?

医療技術者は専門職だから賃金が高く、メイドさんは低賃金だから、比較優位で経済効率が上がるっていう理屈は成り立つが、今の日本だと、低賃金のメイドさんなんていません。

たとえば、補助金の入ってない認可外保育所だと、非常に保育料が高くて、時給1600円程度の看護師だと、働きに出る意味がない。

つまり、本質的には労働力不足があるわけです。労働力が遊休化しているんじゃなくて、絶対量が足らない。

格差問題を考慮すると、低賃金のメイドさんを輸入するよりも、高賃金の医療職を輸入した方がよほどましでしょう。
Posted by 井上晃宏 at 2013年08月26日 22:43
> 主婦の仕事を誰が引き継ぐんですか?

 電気釜・電気洗濯機・乾燥機・掃除ロボット。

 あとは、残業しなくなった夫と家事分担。

 夫婦がそろって大量残業なら無理ですけどね。世界の標準(普通の共働き)に合わせましょう。

> 高賃金の医療職を輸入

 即時で数万人を増やすことは不可能。うまく行って、5年で5000人かな。それもかなり困難。
Posted by 管理人 at 2013年08月26日 23:47
> 補助金の入ってない認可外保育所だと、非常に保育料が高くて、時給1600円程度の看護師だと、働きに出る意味がない

 そんなはずはない、と思って、先進的な横浜市の料金(助成後)を調べたら、下記の料金です。

  58,100円を上限

 → http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/unei/hoikuseido/file/ysitufutankeigen.pdf

 違いを見ると……
 井上さんの話は「補助金の入ってない」ですから、そこが違う。
 ならば、補助金を入れない自治体が悪い。ちゃんと補助金を入れれば済む問題。横浜市はそうしているし、国は「横浜市の真似をせよ」と号令をかけているから、まともな方向に進むでしょう。

 昔に比べたら、若い世代は大幅に恵まれています。それでいて、「高齢者ばかり優遇されている。若者は損している」と喚く。子供手当や高校無料化など、すっかり忘れているんだな。保育所で補助金をもらっても、補助金抜きで計算するのかも。こういう頭を治療する方が先決かも。

> 本質的には労働力不足

 失業者やニートはいっぱいいる。昔に比べると、家事に必要な労働力は大幅に減っているから、けっこう楽です。その証拠にみんなケータイやスマホやネットばかりやっている。暇人ばかり。
 「艦これやパズドラで忙しい」なんて喚いているのが多い。
Posted by 管理人 at 2013年08月27日 00:05
家事の機械化は40年くらい前にすでに完了してます。家電の普及率をみればわかる。何も新しいものなんて、出てきません。

「夫の労働時間を減らして」
通勤時間や引き継ぎのロスを考えると、短時間労働者が増えると生産性は低下します。それでもよい、生産性よりも重要な価値があるというのならともかく、今の話は違う。

>即時で数万人を増やすことは不可能。

海外で国家試験をするなら可能です。

「補助金を入れれば」って、そもそも補助金だろが自己負担だろうが、費用には違いないじゃありませんか。個人間の不平等の是正ならともかく、社会全体の費用を問題にしてるんです。

ニートがどうこうなんて、ネットのおかげで可視化されたから増えたような気がするだけです。高等遊民は昔からいくらもでいました。
Posted by 井上晃宏 at 2013年08月27日 01:09
> 短時間労働者が増えると生産性は低下します。

 失業者が労働するようになれば、国民全体の生産性は向上します。井上さんの計算は、(失業者を抜いた)「労働者だけの生産性」であって「国民全体の生産性」ではないので、数字のペテンです。

> 社会全体の費用

 妊娠期の女性が働けるようになることは、少子化を防ぎます。少子化の阻止が日本では最優先です。このままでは将来の日本経済の規模が縮小してしまい、社会を支えることができなくなります。
 コストが問題なんじゃない。社会の存続が問題なんです。「コストを惜しんで自殺する」のは最悪です。

> 高等遊民

 今のは低等遊民です。それが大量にいる。
 井上さんの発想には「失業者の解決」という発想が抜けている。
 結局、井上さんの言うようにすると、将来は、子供がいなくなり、失業者だらけになり、働く人はほとんどいなくなって、それを補うために外国人労働者を導入することになる。日本で働くのは外国人だけ。
 乗っ取られますよ。
Posted by 管理人 at 2013年08月27日 07:22
>失業者が労働するようになれば、国民全体の生産性は向上します。

失業者はどこにいるんですか?失業率は3.5-4.0の間をうろうろしてます。
求職活動をしていない人にはそれぞれ理由があるんです。

>妊娠期の女性が働けるようになることは、少子化を防ぎます。

出産育児を補助したいなら、必ずしも子持ち女性を雇用する必要はなく、福祉給付をしても同じです。誰かがその金を稼げればいい。あるいは、福祉給付の分だけ、別の人が貧しくなるが、仕方がない。

主婦を家庭から引っ張りだすコストと、主婦が稼ぐ所得と、どちらが大きいかという比較の問題かと思われます。現在は、各家庭が、前者が後者より大きいと判断しています。補助金を出して、大小関係を逆転させても、その補助金を誰かが負担しなきゃならないので、本質的な解決にはなりません。

横浜の認可外保育所は、補助金を出すだけではなくて、実質的な規制緩和を行ったのです。認可保育所の基準の中で、有用性に乏しいわりに、コストのかかる部分を削除した。大半の自治体には、保育の専門知識のある人がいなくて、行政が、既存保育所の言いなりになってるんでしょう。
Posted by 井上 晃宏 at 2013年08月27日 12:38
> 失業者はどこにいるんですか?

「女性の就業率は69.2%」
 → http://www.huffingtonpost.jp/2013/07/17/female_employment_ratio_n_3608437.html

 求職活動を諦めて求職しない人が30%以上もいるんです。失業率だけ見ていては正確な数値は判明しません。

 「男性の長時間残業をやめて、失業中の人が代わりに働けばいい」★
 というのが世界標準です。
 世界各国でできていることが日本だけできないはずがありません。
 井上さんの主張は、ユニクロの社長に似ていて、企業側の利益論理だけでやっています。もっと社会的な制度改革をしないと、社会的な最適化(= ★ )はできません。

> 主婦を家庭から引っ張りだすコスト

 コストはゼロですよ。たとえば主婦に5万円を払えば、主婦は5万円を得て、かわりに、他の人々がその分の損失を負います。国全体では、富の再配分があるだけで、コストとして消える分はありません。
 コスト計算をするのは、企業の立場でしょう。企業は何らかの負担を強いられるから。しかし国全体で見れば、コストはゼロです。(無駄に消える分はゼロです。)
 どちらからと言えば、「富の再配分」は、配分の最適化をもたらして、国全体の無駄を減らします。無駄に近いぜいたく品の消費が減り、有益な日常品の消費が増えます。これは一国全体の生活レベルを引き上げるので、無駄が減ることに相当します。

> 福祉給付をしても同じです。

 4万円の保育費補助により、15万円ぐらいの生産増(労働増)を見込めますから、同じではありません。およそ4倍の効果があります。

 また、福祉給付が生産増をもたらすのは、需給が不均衡であるデフレ経済のときだけです。一般の均衡経済条件では、福祉給付があっても、生産者数が同じで供給が同じなので、物価上昇があるだけで、生産増はありません。
( ※ 正確にはケインズの乗数効果の分の増加があるが、それは不況のときにのみ成立するものであり、均衡経済では効果は大幅減となる。特に、労働時間が最大化している条件下では、生産増がゼロなので、物価上昇が起こるだけとなる。 → つまり、生産増をもたらすには、供給側の増加がどうしても必要となる。需要増だけで済むのは、デフレのときだけ。)

> 横浜の認可外保育所は、補助金を出すだけではなくて、実質的な規制緩和を行ったのです。

 むしろ、「横浜の認可外保育所は、実質的な規制緩和を行っただけではなくて、補助金を出すのです」と読み替えましょう。
 規制緩和は必要ですが、それだけじゃ駄目なんです。そのことを理解できないから、小泉以来の自由主義路線はすべて失敗した。
Posted by 管理人 at 2013年08月27日 12:54
コストという点で考えると、「保育所に預ける」というのは、新たに発生したサービスなので、それが無駄のように思えて、「無駄なコスト」と思えるかもしれない。
 しかし、次の二点で違う。
  ・ 保育所の職員は給与を得る。
  ・ 母親は育児の負担がなくなる。

 このうち、後者が大きい。育児は、母親一人で子供1〜2人の面倒を見るが、保育所は、保育士一人で数人の面倒を見る。したがって効率は数倍となる。「労働生産性が数倍になる」というような感じである。

 対比
 (1) 10人の母親が15人の子供の面倒を見て、生産量はゼロ。
 (2) 10人の母親のうち3人が子供の面倒を見て、残りの7人は働く。働いた7人は、残りの3人に保育料を払う。

 この二つを比べて、どちらの生産量が多いか? 自明ですね? (2) では、7人分の生産が得られますから、その分、有益なわけです。
(3人分の負担をして、その分だけ利益が減ったので、10でなく7しか得られないとしても、ゼロである(1)よりはずっとマシです。)
Posted by 管理人 at 2013年08月27日 12:59
杉並区がデータを出してますが、認可保育所では、ゼロ歳児保育には、補助金と自己負担を含めて、404万円かかってます。これが、主婦を家庭から引き出すコスト。

この金は、保育以外の他の消費や投資を減らすことで捻出されるので、見返りに、これ以上の国民所得(GDP)が発生しなければ、まるごと損です。

保育所や保育士は、その金をもらえる?とんでもない。そもそも、保育サービスを母親が利用しなかったら、彼らは他の職業で別の財やサービスの生産をしたはずです。それらが、保育サービスに置き換わってしまったのです。これが損でなかったら何なのか。

あくまでも完全雇用の状態の話をしています。
Posted by 井上晃宏 at 2013年08月27日 18:59
> ゼロ歳児保育には、補助金と自己負担を含めて、404万円かかってます。

 それは事実でしょう。

> これが、主婦を家庭から引き出すコスト。

 違います。ゼロ歳児保育はたったの1年間です。生涯の一時期だけ。2歳〜6歳は、404万円もかかりません。

 さらに、ゼロ歳児については、家庭における保育が推奨されます。なぜならマンツーマンの保育が必要だからです。
 したがって「ゼロ歳児を家庭に入れよ」というのは、たしかに正しい。井上さんの主張は、ゼロ歳児についてのみは成立します。私も賛同します。たいていの人がゼロ歳児について「家庭保育」を支持しています。
 今話題になっているのは、ゼロ歳児じゃなくて、1歳以上の場合です。特に、2歳以上。
 安倍首相の「育休3年」も多くの人々から批判されました。「育休3年」なら、2歳児をまるまる保育することになりますが、それには大多数の人が批判しています。
 育休は原則1年で、長くても2年、というのが、たいていの人の意見です。私もそうです。「育休なしでゼロ歳児保育」を主張しているわけではありません。

> あくまでも完全雇用の状態の話をしています。

 それじゃ机上の空論。
 「日本は先進国では際立って女性就業率が低い」
 「日本は女性労働者虐待のせいでひどい少子化」
 という現実の直視から始めなくては。
Posted by 管理人 at 2013年08月27日 19:16
じゃあ、まず、日本の女性就業率がどうかという話から。
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/12/dl/1-05.pdf
日本は、男性就業率が先進国トップであるのに対して、女性就業率が中位程度(最低ではない)。つまり、男女の家庭内分業の程度が高くなっている。

これはこれで、効率的です。フェミニズム的には不愉快だが、仕事と家事とに比較優位で特化した方が効率が高い。性別で分業が決まるのは、人的資源が無駄になってる可能性がありますが。

女性は遊休化しているのではなく、家事という形で、それなりに有用な役割を担っている。であるなら、家事の効率化が必要です。

じゃあ、どうやって家事を効率化するか。アウトソースできる余地は、せいぜい、育児と老人介護くらいしかない。後者はすでにアウトソースが進んでいる。残るは育児くらいしかない。

ところが、育児のアウトソースは、「社会的要求水準が高い」という重大な問題があって、多分、進まない。

普通に考えると、園庭を作って運動能力の向上をさせるとか、情操教育だとかは、金持ちの贅沢であり、せいぜい、虐待や事故に遭わない程度の安全性くらいが確保されればいいと思うのですが、生保家庭ですら、それを受け入れない。こどもに対する要求は無限大なのです。
Posted by 井上晃宏 at 2013年08月28日 02:26
母性信仰ってのがあって、子供は母親に育てられるのが最高の環境で、それ以外はすべて劣るって話があります。

本当かどうかは、わからない。しかし、この信仰がある限り、育児のアウトソースは無理だろうと思う。
Posted by 井上晃宏 at 2013年08月28日 04:28
> 仕事と家事とに比較優位で特化した方が効率が高い。

 その話は前に話題になりましたが、成立するのは、男性の所得が女性の所得の2倍以上になる場合だけです。たとえばハーバード大卒の夫みたいな。日本で言えば年収2000万円クラス。この場合は専業主婦でいいだろう。
 井上さんの言う例はあくまで例外的なケースばかりです。
  ・ 零歳児保育
  ・ 男性が高所得
 このような場合には保育園に出す必要はない。それはその通り。しかしあくまで例外です。

 基本的には、先の対比が成立します。再掲すると:

 対比
 (1) 10人の母親が15人の子供の面倒を見て、生産量はゼロ。
 (2) 10人の母親のうち3人が子供の面倒を見て、残りの7人は働く。働いた7人は、残りの3人に保育料を払う。

 後者の方が社会的には効率的です。

 なお、育児のアウトソースが進まない理由は、企業の女性差別です。女性が働きたくても、企業が就労を阻害する。朝日新聞で何度も話題になっています。読んでいませんか?
Posted by 管理人 at 2013年08月28日 06:18
あと、女性が家事をしているなんて、嘘ですよ。昔は洗濯や炊飯も大変だったが、今ではスイッチポンで済む。やっている家事は掃除と買物ぐらいだが、大幅に手抜きが可能。
 家事の実働は1日2〜3時間で十分で、それくらいだったら、共働き世帯で分担が可能。夫婦で長時間残業しなければ、共働きは十分に可能です。実際、世界各国はそうしている。日本だけが特異な状況にある。
Posted by 管理人 at 2013年08月28日 06:32
日本維新の会が、保育所増設の住民運動が発生した杉並区を例にとって、試算をしてます。
http://ebisawayuki.com/blog/%E5%BE%85%E6%A9%9F%E5%85%90%E7%AB%A5%E2%91%A0/
やっぱり、5歳時まで通算しても、保育コストは、年間240万円以上かかるのが相場なのです。

月20万円も稼げる主婦がどれだけいるんですか?フルタイムならともかく、パートタイムです。無理だ。

企業が子持ちの主婦を雇いたくないなんて、経済合理性から考えたら当たり前です。時間限定のパートタイムですら、しばしば休むんだから、あてにできない。

これも、主婦には、仕事を休まねばならないほど、重要な仕事があることの傍証です。

>(2) 10人の母親のうち3人が子供の面倒を見て、残りの7人は働く。働いた7人は、残りの3人に保育料を払う。

保育士がやってることが、母親による保育と同水準ならそれも可能ですが、保育士って、母親よりもずっと多くの仕事をしてます。要求水準が高いのです。家庭内でこどもが怪我をしても、親に虐待されても、大して問題にならないが、保育園で起きたら、組織そのものの存亡にかかわるのです。

>やっている家事は掃除と買物ぐらいだが、大幅に手抜きが可能。

地域活動(自治会やPTAへの参加)、保育、老人介護などはどうなったんですか?老人介護だって、その一部しかアウトソースできてません。

主婦をやりつつ夫なみに稼ぐことがどれだけきついかって話は、「七人の敵がいる」って小説で、詳しく述べられてます。フェミニズム学者の下手なレポートよりも、こちらの方が、生々しい。
Posted by 井上晃宏 at 2013年08月28日 07:02
杉並区の0〜5歳児の平均で年間214万円。0歳児は374万円。
  5*A+314=214*6
 これを解いて、1〜5歳児の平均は
  (214*6-314)/5=194
 世田谷区ならば、杉並区よりも 32(=213-181)万円低いので、 194-32=162 で、 162万円となります。若干プラスして、165万円。これが世田谷区の区立幼稚園の、1〜5歳児の保育コスト。(区立ということは、画像に「区立保育園」と書いてある。)

 一方、私立の場合には、大幅にコストが下がります。

> 立川市の11園の公立保育園の正規保育士(平均年齢40歳)の平均給与は42万1000円、17園の私立保育園の正規保育士(平均年齢32歳)の平均給与は25万5000円で、16万6000円の差があります。

 また、公立の場合は、土地の取得費が新たにかかることが多いが、私立の場合は手持ちの土地を使うことが多いので、それほど多くの土地代はかからない。いろいろとローコストです。
 あれこれかんがみて、私立ならば年間コストは 90〜130万円程度でしょう。

 ネットで調べると、コストは「公立に比較して、認証保育所では半額、無認可では3分の1」という数値もあります。
  → http://d.hatena.ne.jp/azuma_ryo/20100831/1283237249

 井上さんの主張が「公立保育所を増やすな」という趣旨であれば、私も賛同します。コストがかかりすぎますからね。しかし横浜市は、公立保育所を増やして「待機児童ゼロ」を実現したのではありません。それ以外の方法です。私もその方針を支持します。
 したがって公立保育所の高コストをいくら示しても、意味がありません。「公立保育所を増やせ」というのは、現在の主流ではありません。その方針ではいつまでたっても待機児童ゼロを実現できない、ということはとっくに判明しています。
 現在の主流は、横浜市の方式です。つまり、公立保育所以外の民間施設を増やす方式です。その場合には、行政コストはあまりかかりません。横浜市で実現済みです。

 ──

 なお、仮に年間 240万円がかかったとしても、それは5年程度に過ぎません。「その後の女性の就業率向上による GDP 増加」と、「女性戦力がパートタイマーのレジ打ちになるかわりに専門職に就く高技能化」を考えると、社会的には高所得化が長期にわたって進むので、その GDP増加効果も大きい。
 出産後の女性労働力を眠らせることの社会損失はきわめて大きい。
 ちなみに、現状では女性就業率が 70%ですが、この労働力が一挙に消えたら、どうなるか? 日本は崩壊します。井上さんの主張が机上の空論であることは、ここからもわかります。

 ※ ちなみに、私は昨日、大きなメガネ屋に行ったが、店内の技能士はほぼ女性ばかりだった。この人たちがあらゆる職場でいなくなったら、どうなることやら。
Posted by 管理人 at 2013年08月28日 12:57
> 年間240万円以上

 公立の自己負担は低すぎるので、もっと高めにしてもいいでしょう。
 私のお勧めは、競争入札か、ネットオークション(ヤフオク利用)です。最も高い値段を出した人を入所させればいい。結果的に、金持ちばかりになるが、やむを得ない。それで浮いた金を、無認可保育所用の補助に回せばいい。高い金で高度サービスか、低い金で低度サービスか、二者択一。こういう市場原理ならば、井上さん好みでは? 

> 地域活動(自治会やPTAへの参加)、保育、老人介護などはどうなったんですか?

 地域活動(自治会やPTAへの参加) → 高齢者と専業主婦に任せる。一部の人で足りる。
 保育 → 保育園
 老人介護 → 保育世代とは重ならない。50歳の親を介護する必要はない。(例外を除く)

> 主婦をやりつつ夫なみに稼ぐことがどれだけきついか

 夫婦で長時間残業するからですよ。そんなのはやめて、外国並みに、楽に働けばいい。

> 企業が子持ちの主婦を雇いたくないなんて、経済合理性から考えたら当たり前です。

 それには短時間勤務を導入して成功している、という企業の例が朝日新聞に掲載されていましたよ。一昨日か昨日あたり。
 本項(本文)の政府の方針も、そうです。
Posted by 管理人 at 2013年08月28日 12:57
私が横浜方式の件で言及したように、あれは、一種の規制緩和です。だから安くできて、供給が拡大した。杉並区住民は、認可保育所の増設を要求してます。

>女性戦力がパートタイマーのレジ打ちになるかわりに専門職に就く高技能化

本当にそんなものがあるなら、子持ち主婦は、高い保育料を払ってでも、働きに出るはずですし、企業も雇う。育児休暇だって与えて、退職させない。

そういう主婦も企業も、ほとんど存在しないことこそ、高い技能の主婦が存在しないってことの傍証なのではありませんか?余計なコストを払って引き止めるよりも、退職してもらって、別の人を雇った方がましなんでしょう。

>地域活動(自治会やPTAへの参加) → 高齢者と専業主婦に任せる。一部の人で足りる。
>保育 → 保育園
>老人介護 → 保育世代とは重ならない。50歳の親を介護する必要はない。(例外を除く)

こうはならない。そもそも「暇な専業主婦がいない」上に、実務能力のある人が少ないって話が、小説「七人の敵がいる」です。なかなかツボをついた小説で、
・高齢者と専業主婦だと、ペラ1枚の文書も帳簿も作れない。パソコンは持ってても、Webを見てるだけ。事務処理が一切できない。
・保育
保育は保育所に預けて終わりではなくて、小学生になっても続く。一人で留守番できるのは、少なくとも、小学校高学年以上。親がめんどう見るか、学童保育が必要になる。さらに、子供が習い事をやると、親が同伴させられる。学童保育ですら、結局、親の参加が強制である。
・老人介護
結婚や出産が高齢化しているので、親も高齢化している。世代が2つ同時に高齢化しているから、相乗効果が出てくる(30歳で産まれた子が、後に、30歳で子を生んだら、子供が10歳の時に、祖父母は70歳)

まあ、こんなわけで、主婦の仕事をアウトソースするなんて、ほとんど無理なんです。
Posted by 井上晃宏 at 2013年08月28日 18:45
> 杉並区住民は、認可保育所の増設を要求してます。

 そんなのはほっとけばいい。「かわりに増税します」と言えば、すぐ黙る。
 でも、私が言ったように、「オークション」にすれば、何とかなるかも。
 ただ「くれくれ」と言う人には、「乞食」と言い返せばいいかも。

> そういう主婦も企業も、ほとんど存在しない

 それ以前に、高技能の男がいっぱい余っているデフレが理由でしょう。
 あと、存在するか否かじゃなくて、「存在させること」「すでに存在しているものを消滅させることをやめること」が話題です。
 特に、女医や看護婦さんなら、高い技能があることが実証されています。それが本項の話題。

> 高齢者と専業主婦だと、ペラ1枚の文書も帳簿も作れない。

だったら、男を呼び出せばいい。「育児中の若い母親を呼び出せ」というのは、解決案になっていない。

> 一人で留守番できるのは、少なくとも、小学校高学年以上。

そんなことはないと思いますが、そうだとしても、近所の友達と遊んでいるか、学校に残っているか、地域センターにいるか、学習塾に入るか、何らかの手がある。別に母親が面倒を見る必要はない。
 「友達の母親に預けて、預かり料を払う」という手もあるが、私のお勧めは、こうです。
 「小学校の放課後を、学童預かり施設に利用する。高齢者を雇用して、学童を預かる。午後7時ごろまで。預けた親は、委託料を払う」
 この場合は、保育園に比べて、格安です。月1万円で済むでしょう。

> 子供が10歳の時に、祖父母は70歳

 子供が10歳なら、もう手間はかからなくなっています。
 祖父母が70歳なら、まだ手間はかかりません。今の70歳はたいてい、ぴんぴんしていますよ。(少数の例外を除く。)

> 主婦の仕事をアウトソースするなんて、ほとんど無理なんで

 日本でも70%が就業しているし、外国じゃ80〜90%が就業している。そういう現実を見れば、「無理じゃない」とわかる。
 なのに無理っぽいのは、男性も女性も長時間労働の就業形態が常態化しているから。ここを改めて、週40時間労働を基本とすれば、共働きは十分に可能です。実際、欧州ではそうだし。
Posted by 管理人 at 2013年08月28日 19:06
>特に、女医や看護婦さんなら、高い技能があることが実証されています。それが本項の話題。

日本の女医の就業率は、国際比較してすら、とても高いです。90%をはるかに超えてる。妊娠出産期の女性を加えてもこの数字なので、すでに増加の余地はありません。(これは私見ではなく、医科大学の公衆衛生学講座の教授による研究結果です。文献を示すことも可能)

それに対して、看護師の就業率が80%そこそこなのは、低賃金(低スキル)だからなのです。低スキル低賃金の主婦は、パートタイマーで小遣い稼ぎをするか、育児でもやっているしかないという状況は、不愉快だが効率的です。

>別に母親が面倒を見る必要はない。

南堂さん、多分、身の回りで子育てしている人がいないんじゃないですか?自分の子供の頃の延長で想像をしている。

今の親は、学校はもちろん、学習塾やスポーツクラブにすら、自家用車で送迎するんです。友達の家に遊びに行く場合ですら、親が送迎します。小学生くらいならまだいい。家庭によっては、高校生になってすら、親が送迎するのが普通になりつつある。親は無料タクシー運転手なのです。

その事実を知ったときは、僕も、開いた口がふさがらなかったが、それが、世の中のスタンダードなのです。
Posted by 井上晃宏 at 2013年08月29日 04:07
> それが、世の中のスタンダードなのです。

 それは北海道みたいな田舎や、名古屋みたいに鉄道のないところでしょう。
 都会では、若者が免許を持たなくなった、と話題になっています。交通機関が発達しているので、自動車の必要性がない。最近では電動自転車もできて、自動車の必要性はますます薄れる。
 自家用車で送迎なんて、私の近辺でやっている人はいません。
 ただ、田舎ならば、「100メートル歩くのも面倒で自動車を運転する」というぐらいだから、そのくらいのことはやるかもしれない。

 ただ、本質的には、母親が就職する先もないので、暇つぶしにドライブするんでしょうね。別に過保護じゃないでしょ。母親の暇つぶしドライブです。親子のコミュニケーションも取れるし、けっこうなことです。
 ドライブするから就職しないんじゃない。就職できないから、ドライブするんです。

> 日本の女医の就業率は、国際比較してすら、とても高いです。90%をはるかに超えてる。

 どこからそのデータが出たのか知りませんが、私はちゃんと出典を示しています。本文中に NHK と書いてある。
 ネットでも「女性医師 就業率」でググれば、同様のデータがいくつか見つかります。まずはググりましょう。そうすれば勘違いを避けられます。

> 看護師の就業率が80%そこそこなのは、低賃金(低スキル)だからなのです。

 80%? 引用記事では、「看護師150万人に対して、遊休70万人」です。こちらの方が信用が置けそうです。政府の公的な数字ですからね。

 あと、看護婦の賃金は一般事務員よりもずっと高賃金です。ググればすぐにわかる。
 → http://www.kango-roo.com/sn/a/view/307

> 低スキル低賃金の主婦は、パートタイマーで小遣い稼ぎをするか、育児でもやっているしかない

 話が逆でしょ。高スキルの女医や看護婦さんが、長時間労働の職場しか提供されないので、レジ打ちなんていう馬鹿げた職場しか選択できないんです。つまり、選択肢がないことで、最適化ができない。これこそ無駄。
 井上さんの好きな市場原理の理屈で言えば、「市場の流動性」が必要なことはわかるでしょ? 市場が硬直していては、最適化はできないんです。
Posted by 管理人 at 2013年08月29日 07:12
> 横浜方式の件で言及したように、あれは、一種の規制緩和です。

 横浜市が成功したのは、「規制緩和の自由主義を取ったから」ではなくて、「民間福祉の拡大のために公的補助を増やしたから」です。
 何もしなかった(自由放任にした)のではなく、適切な公的政策を取ったのです。悪いことをしなかったのではなく、良いことをしたのです。マイナスをなくしたのではなく、プラスをなしたのです。
 民間活力を利用することは良いことですが、それは自由放任だけでは進みません。正しい公的措置を取ることで推進されます。そのことを横浜市は示しています。
 安倍さんだってそのことを理解しているのに、池田信夫流の古臭い古典派はいまだにそれを理解できない。
Posted by 管理人 at 2013年08月29日 07:12
本項を書いたあとで、年度が替わったが、続報はない。本項で示した話は、空打ちに終わったのかもしれない。期待はずれ? 空回り? 

 なお、元の記事は、下記にある。
  → http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=83578

 読売の書いた、夢物語だったのか?
Posted by 管理人 at 2014年05月07日 20:54
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