2013年08月07日

◆ 超音速機の衝撃波の解消は翼で

 超音速機の衝撃波の解消には、主翼を小さくすることが大切だ。そのためには、「胴体翼」「先尾翼」「可変翼」を併用するといいだろう。(提案) ──

 超音速機の衝撃波の解消の方法を JAXA が研究している。下記に報道がある。
  → 「コンコルドの夢」再び JAXAが挑む超音速の難敵

 この2ページ目には、次の図がある。(JAXA 提供)

jaxaplane.png

 これを見ながら考えた。
 「上の図では、主翼があまりにも大きい。衝撃波の解消には、機首部分における衝撃波の解消が大事だが、主翼部分でも対策をすることが必要だろう」

 機首部分については、すでに別項で述べた。
  → 超音速機の衝撃波の解消は、針で

 そこで本項では、主翼部分での衝撃波について考える。

 ──

 超音速機の画像を見ると、主翼がとても大きいとわかる。しかし、超音速飛行にとって、大きな主翼は必要ない。むしろ抵抗となって邪魔になるだけだ。主翼はなるべく小さい方が好ましい。
 それでも主翼が大きいのは、離陸時に大きな揚力を必要とするからである。
 逆に言えば、離陸時に必要なだけの巨大な主翼を、超音速の飛行中は無駄に持っていなくてはならない。邪魔なのに。
 これを解決するには、どうすればいいか? いろいろ考えたすえ、次の三つを採用するべきだ、と考えた。
  「胴体翼」「先尾翼」「可変翼」


 「胴体翼」は、機体の下面を平らにして、主翼のかわりにするものだ。
 「先尾翼」は、機体の前半分に、尾翼に相当するものを置くことだ。
 「可変翼」は、普通は後退翼であるのに、離陸時には翼が前方に繰り出して、翼が真横になるようなものだ。

 これらはいずれも、主翼の負担を減らす効果がある。
 そこで、これらをすべてまとめて、次のようなデザインを考えた。(提案)

  ・ 胴体は、円筒形をやめる。幅広にして、底面を平らにする。
  ・ この底面は、機首前端は高く、後方に行くにつれて下がる。
   そのことで、下向きの空気の流れを作り、揚力を生む。


 さらに、次の案を加える。
 「胴体の下部(平らな底面)に、平らな板を付ける。これは回転式とする。飛行中は、平らな板は、胴体と密着しており、何の効果もない。一方、離陸時と着陸時には、この平らな板を水平に 90度 回転させて、真横に伸ばす。このことで、平らな板を、小翼として使う」

 図示すると、上から見た場合には、次のようになる。(左が前方で、右が後方)

 《 飛行中 》
        ━╋      (後方に主翼がある)
 《 離陸時 》
        ┿╋      (前方にも小翼がある)


 飛行中には、巨大な主翼が機体後方にあるだけだ。
 離陸時には、機体前方にも小翼があって、これが浮力を生む。この小翼は、離陸したあとで、飛行が安定した状態で、ゆっくりと水平状に 90度回転して、胴体の底面に重なる。

 ( ※ この図にはないが、別途、尾翼もある。尾翼は必要。)


 ──

 ここまでを整理しよう。
 先に述べたように、飛行中は小翼は出さず、主翼だけがある。ただし、幅広の胴体が翼のかわりとなって、揚力を生む。
 この幅広の胴体は、主翼のある機体後半にはなく、主翼のない機体前半にある。上から見ると、次のような感じ。

sonic1.png

 これを見ると、「胴体部が幅広すぎる」と思うかもしれないが、そうではない。実は、主翼が小さくなっているのだ。元の機体では、はるかに幅広い主翼が付いている。その幅広い主翼の幅を狭くすることで、空気抵抗を少なくすることが目的だ。胴体が少しばかり幅広になったことよりは、主翼の幅がとても狭くなったことの方が、効果は大きい。
 
 こうして、やや幅広の胴体が機体前半にある。その底面は平らであり、揚力を生む。さらに離着陸時には、可変翼も使える。

( ※ 図では、尾翼は省略されているが、尾翼もある。)

 ──

 さて。以上に加えて、次の案も加えたい。
 「主翼は、胴体の下方に接続するのではなく、胴体の上方に接続する。小型機(セスナ)の多くと同様に」


 このような方式は、通常は合理的ではない。なぜなら、主翼を高い位置に据えると、車輪を出す足が長くなって、重量増加などのデメリットが生じるからだ。
 しかし、超音速機では、重量増加よりも、空気抵抗の減少が重要だ。そのためには、主翼を高い位置に置いた方がいい。
 なぜか? 通常は、そうとは言えない。しかるに、前方にも翼がある場合には、そう言えるのだ。

 そのことは、次の図を見るとわかる。(側面図)

  前   _____  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   後

 この図で、左側の線は胴体の底面を意味し、右側の線は主翼を意味する。
 この二つの間には、空隙がある。この空隙部を通って、空気が流れる。そのことで、(真空に近いような)低圧部がなくなり、空気抵抗が下がる。

 一般に、自動車でもそうだが、機体の後方に(真空に近いような)低圧部が生じて、これが機体を後方に引っ張るブレーキのような役割を果たす。つまり、空気抵抗になる。これを避けるには、この部分に空気を少し入れるといい。そうして圧力を上げることで、抵抗力を下げる。
 飛行機の場合も同様だ。大きな主翼(長い主翼)があると、その後方に、(真空に近いような)低圧部が生じて、これが機体を後方に引っ張るブレーキのような役割を果たす。つまり、長い翼は好ましくない。
 そこで、上図のように、前半の胴体翼と、後半の主翼の間に、空気の流れ込む空隙を作る。そのことで、空気が流れやすくなり、(真空に近いような)低圧部が生じなくなる。

 この方式は、次のメリットもある。
 「エンジンを胴体の最後尾に置くことができるので、エンジン部分が突出しなくなり、空気抵抗が下がる」

 具体的に言おう。JAXA の試験機には、エンジンが搭載されていないが、JAXA の本物には、エンジンが搭載される。そのときの予想図は、下記だ。
  → JAXA の模型 (図)

 この図を見ればわかるように、胴体の上にエンジンが載せられている。「親亀の上に子亀を載せる」という感じだ。これでは、乗せられた子亀の分だけ、空気抵抗が増える。
 一方、私の案ならば、エンジンは胴体の最後尾に置かれるので、空気抵抗は特に増えない。

 空気取り入れ口はどうする? 胴体の上部に、小さな穴を横に並べればいいだろう。JAXA古い案 を真似る。


JAXA2.jpg


 この図では、機体の下部に空気取り入れ口があるが、逆に、機体の上部に空気取り入れ口があるようにする。そこから空気を取り入れて、機体最後尾から吐き出せばいい。
 この空気取り入れ口は、胴体の上に出っぱっていると空気抵抗が大きくなるから、むしろ、空気取り入れ口の前方の機体を凹ませるようにするといい。次のように。


sonic2.png


 空気の流れは、機体上面に沿って流れたあと、機体上面の凹みに従って少し下がり、そのあとで空気取り入れ口に吸い込まれる。ここでは(凹みのせいで)減圧されているので、空気取り入れ口の空気抵抗が少なめで済む。(直接、高圧でぶつかるのとは違う。衝撃波も小さい。)
 機体の上側から取り込まれた空気は、機体最後尾から吐き出されるが、ここではやや下向きに排出される。
 以上の全体で、機体上側にある空気が機体下方に押し出される。こうして、作用反作用の効果で、揚力を得る。……詳しくは、下記項目の図を参照。
  → 飛行機はなぜ飛ぶのか?

 ──

 ついでに言うと、ジェット気流の吐き出し口は、できれば、主翼よりも上側にある方がいい。その理由は、ホンダジェットと同様だ。
  → HondaJetの主翼上面配置

 このことからすると、次のように言える。
 「主翼は、胴体下部でなく胴体上部に付けると言ったが、実際には、胴体上部ではなく、胴体中央に付けるだけで十分だ」

 
 つまり、先に述べたときは、「機体前半と機体後半の間に空気を流す」と述べたのだが、そのことのためには、主翼を機体上部に付ける必要はない。機体下部よりも少し上にあるだけでいい。
 したがって、主翼を機体上部に付けるかわりに、主翼を機体の中央(上下方向で)に付けるのでもいい。正面から見ると、次のような感じ。


danmen4.png


 以上を持って、私の提案とする。
 愛称を付けるなら、「イカ飛行機」 or 「スルメイカ」だ。



 [ 付記1 ]
 次の図について注記しておく。

sonic1.png

 この図では、機体後半が細くなっているが、実際には細くする必要はない。機体前半と同じ太さのままでいい。なぜなら、細くしても空気抵抗は減らないゆえに、搭載容積を増やした方がいいからだ。
 ではなぜ、上のような図を書いたかというと、概念の理解のためだ。上の図は、実は、機体底面の面積を示しているのだ。
  ・ 機体前半では、底面が幅広い。
  ・ 機体後半では、底面が幅狭い。

 このことをわかりやすく示しているのが、上の図である。
 なお、いずれにせよ、機体の底面で揚力を持たせる。それが大切だ。

 [ 付記2 ]
 一般の飛行機では、「機体の底面で揚力を持たせる」という設計方針は取られない。かわりに、「円筒形」という設計方針を取る。その理由は、「円筒形が一番軽いから」である。円筒形は、丈夫な構造であるがゆえに、軽く作ることが大切だ。(そうすれば燃費もよくなる。)
 しかし超音速機は、「軽くすること」は二の次であり、「空気抵抗を減らすこと」が最優先となる。したがって、円筒形よりは、半円形(底面が平らである)という形の方が、好ましい。底面を翼のかわりにして、揚力を得ることができるので、その分、翼を小さくできるからだ。
 実は、超音速機で最も抵抗が大きいのは、(機首を除けば)胴体ではなくて、主翼である。この主翼を小さくすることが最優先である。
 JAXA のモデルでは、機体の抵抗を小さくすることばかり狙っているが、機体よりも主翼の抵抗を小さくすることが大切なのだ。そこに着目したのが、本項の提案である。

 [ 付記3 ]
 書き忘れていたが、コックピットに風防などのガラスは不要である。すべては「カメラと液晶画面」で電子的にモニターすればいい。
 これは、超伝導のリニア新幹線の場合と同様である。
  → リニア、窓は小さく鼻先にカメラ
 
 たとえば、四つのカメラで、前方について四方向の画像を得る。それぞれの画像の接続部は歪んでいるが、歪みについてはデジタル技術で補正する。こうしてデジタル化された広い視界が、パイロットの前に出現する。ほとんど現実そっくりだ。風防みたいな窓枠に液晶パネルを嵌めたら、現実と区別することはほぼ不可能だろう。
 
 [ 付記4 ]
    ※ 細かな話なので、特に読まなくてもよい。


 空気抵抗を減らすために、空気取り入れ口の前の機体正面を凹ますというが、無効では? 減圧すれば、その分、空気をたくさん吸い込まなくてはならない。逆に、高圧ならば、狭い開口部からたくさん空気を吸い込める。差し引きして、無効。
 それどころか、空気取り入れ口のところで空気圧が高いと、スクラムジェットエンジンには有利だ。ターボジェットならばともかく、スクラムジェットならば、高圧空気の方がいい。

 それは考えたけれど、結論は同じです。
 第1に、スクラムジェットエンジンは、マッハ6〜12の速度で使うので、今回のようなマッハ3程度の超音速機には当てはまらない。
 第2に、 の効果を考えても、空気取り入れ口の抵抗を減らすことが優先される。その後、高圧の空気がほしければ、空気取り入れ口の内部(つまり開口部の奥)で、メガホン状の通路で圧縮すればいい。これで空気の圧縮ができる。一方、空気取り入れ口は空気抵抗が減るし、そこで生じる衝撃波も減る。
 第3に、本項の方式ならば、空気取り入れ口を偏平方にできるので、空気抵抗が減る。通常の方式では、空気取り入れ口が円形であり、胴体から少し離れるので、空気抵抗が増えてしまう。いろいろと無駄な空気の流れが生じてしまう。非効率だ。



 【 関連項目 】

 → 超音速機の衝撃波の解消は、針で





posted by 管理人 at 21:05| Comment(8) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんだか、生物を模倣するバイオミメティクス(生物模倣技術)みたいですね。
http://www.nhk.or.jp/gendai-blog/sp/100/160532.html
Posted by こもの at 2013年08月07日 21:56
機体前方の小翼ですが 胴体上部に付ければよいのでは 

 飛行機設計 面白いですね
Posted by k at 2013年08月07日 23:25
>  機体前方の小翼ですが 胴体上部に付ければよいのでは 

 断面図は ∩ みたいな半円形な形です。(図参照)
 その上に平らな板を付けると、通常時に空気抵抗となってしまいます。
 一方、その下に平らな板を付ければ、機体下面の平らな部分と一体化するので、空気抵抗となりません。

 厳密に言うと、曲率を考えて、右翼と左翼が少し非対称になりますが、気にしなくていい。どうせ離着陸の低速時にしか使わないので。
 大切なのは、離着陸のときに仰角があることです。その仰角は、機体下面の傾きに従って、自動的に生じます。

 場合によっては、巨大なフラップをつけてもいい。というか、この小翼を(飛行時に)前後2分割して、後半部分はフラップにしてもいい。
Posted by 管理人 at 2013年08月07日 23:44
ミサイルみたいですね。
Posted by 京都の人 at 2013年08月08日 01:01
JAXAの超音速試作機が失敗しましたね。

超音速試作機の飛行失敗、地上に落下…JAXA
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130821-OYT1T01033.htm?from=main5

 ベストな状態で成層圏を飛んでいるときに最適な形で、離着陸時やベストな状態でなくなったとき、
心配な形状のような気がします。
Posted by 思いやり at 2013年08月22日 11:28
JAXAの超音速試作機が失敗したのは、翼ががガタついたからだという。

> 滑空開始から約40秒後に機体の翼が上下に振動する現象が発生、62秒後には機体を制御できない状態となった。

 主翼が幅広くなりすぎたせいでしょう。主翼の最後部は、低速時のために、幅が広くなりすぎている。低速用の翼を、超音速時にも使ったのが、根本原因だろう。

 私の案ならば、その問題はない。可変翼ですからね。(超音速時には、前翼が本体と重なって隠れる。)
 
  JAXAは失敗を反省して、私の案を採用するといいですよ。アイデア料は無料です。
Posted by 管理人 at 2013年08月22日 19:56
計算してみると、40秒後というのは、だいたい音速をいくらか越えたあたり。とすると、衝撃波のせいだろう。
 試作機の先端はあまり衝撃波を抑えることができていない。だから先端で発生した衝撃波が、斜め後方に広がったあとで、主翼の端の方にぶつかって、主翼が衝撃波でガタガタになったのだろう。

 これはだいたい予想されたことである。だからこそ私の案では「主翼の幅を狭くする」ということを最優先にした。それが本項のテーマだった。(試作機の案では主翼が大きすぎて駄目だ、と本項の冒頭で指摘している。読み直してほしい。)

 私の案では、衝撃波の発生(先端)も少ないし、受けた衝撃波を受ける部分(主翼)の幅も狭くて衝撃波を受けないようにしている。
 ひるがえって、今回の試作機では、衝撃波対策がろくにできていない。失敗は初めからわかりきっていた、とも言える。
 
 JAXA はどうするつもりだろうね? 「設計思想が根本的に間違っていた」と理解できるだろうか? それとも、理解できないまま、同じ失敗を何度も繰り返すのか? あるいは、超音速機という計画自体を断念するのか? 
 それとも、本項の案を採用して、超音速機を実現するか? 
 どうするんでしょうねえ。
Posted by 管理人 at 2013年08月22日 21:59

>主翼が幅広くなりすぎたせいでしょう。主翼の最後部は、低速時のために、幅が広くなりすぎている。
>低速用の翼を、超音速時にも使ったのが、根本原因だろう。

D-SEND#2飛行異常の原因究明結果とJAXAの取り組み状況(PDF)
ttp://www.jaxa.jp/press/2014/03/20140312_dsend2_j.pdf
こちらによりますと、主翼等のハードウェアではなく、
飛行制御プログラム等のソフトウェアの問題と解析、対策されたそうです。



>JAXA はどうするつもりだろうね? 「設計思想が根本的に間違っていた」と理解できるだろうか?
>それとも、理解できないまま、同じ失敗を何度も繰り返すのか? あるいは、超音速機という計画自体を断念するのか? 
>それとも、本項の案を採用して、超音速機を実現するか?

D-SEND#2試験結果について(PDF)
ttp://www.jaxa.jp/press/2015/12/files/20151224_dsend2_j_01.pdf
上記対応後に再試験を実施し、衝撃波の低減効果を確認されたとのことです。
Posted by 検校 at 2016年03月27日 23:53
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