2013年08月07日

◆ グローバル化とは何か?

 グローバル化とは何か? 国際化とは何か? それらは英語力を付けることで獲得できるものか?
 ( ※ 前項の続き。) ──

 東大は秋入学をめざした。それは国際化をめざすものだった。
  → 「東大 秋入学 国際化」 - Google 検索

 企業はグローバル化をめざした。そして英語を社内公用語化したりした。
  → 「グローバル化 英語 社内公用語」- Google 検索

 ──

 では、このように国際化やグローバル化をめざすこと(そして英語を重視すること)は、正しいことなのだろうか? 東大や大手企業のやっていることは、正しいことなのだろうか?

 ここで、実際に世界進出に成功している事例を挙げよう。それは韓国のサムスンだ。サムスンは世界各国に進出して、日本企業をしのぐシェアを上げている。アメリカで液晶テレビを買おうとすれば、サムスン製が当然であり、日本製テレビなんかは二の次の扱いだ。
  → 1週間で3台のテレビを試した結果Samsungが最高だった話

 日本のお家芸であった液晶テレビでさえ、このありさまだ。まして、冷蔵庫やスマホとなると、サムスンには遠く及ばないありさまだ。

 ではなぜ、サムスンはこれほどにも成功したか? グローバル化したからか? 違う。こうだ。
 「家電製品の場合、現地の需要に合わせて、現地ふうにカスタマイズした。各地の生活様式に合わせて、その生活様式に合わせた製品を提供した」


 これは、グローバル化ではない。逆に、ローカル化である。製品をローカライズしたのだ。

 ──

 このことから、次のように言える。
 日本の人々は、「グローバルスタンダード」というものがあると信じている。それは英語や米国だと思っている。だから英語や米国を見習うことで、グローバルスタンダードにならって、世界シェアを獲得できると思っている。
 しかしそれは大いなる勘違いである。仮にそれが正しいとしたら、米国企業や英国企業が世界シェアを獲得しているはずだが、それは一部のIT分野でしか成立していない。ほとんどの分野で、米国企業や英国企業は他国の後塵を拝している。
 サムスンの例からもわかるだろう。大切なのは、グローバルスタンダードというものを信じてグローバル化することではない。むしろ、世界各地はバラバラだと理解して、ローカル化することが大切だ。
 ここで、ローカル化というのは、ただ一つのローカル化ではない。多様なローカル化だ。日本では日本ふうに。中国では中国ふうに。インドではインド風に。そういう多様なローカル化が大切だ。……そして、それこそが、真の国際化なのである。

 日本企業はこれまで、日本流を押しつけようとしてきた。「日本は世界最先端だ」と信じて、「世界各国は日本の真似をすればいい」と信じてきた。しかしそれは、たった1通りのローカル化だったのだ。それがつまりは、ガラパゴス化だったのだ。
 これを反省した人々は、国際化やグローバル化をめざそうとした。その意図はいい。しかし、「英語を学ぶ」「米国に学ぶ」というふうな方針を取れば、それは「米国ふうのローカル化」を取るにすぎない。それは決して国際化やグローバル化ではないのだ。
  
 めざすべきは、「多様なローカル化」である。たった1通りの「日本ふうのローカル化」をやめたあとで、たった1通りの「米国ふうのローカル化」をしても、意味はない。大切なのは、英語や米国にこだわらない、「多様なローカル化」なのである。それこそが真の国際化であり、真のグローバル化なのだ。

 グローバル化とは、多様なローカル化のことである。世界各地における多様なローカル化をすべて持つことを、グローバル化という。このことを誤解してはならない。注意しよう。



 [ 付記 ]
 東大の視点は、どういうものか? こうだ。
 「自分が世界の中心にいる。そして英語を導入して交流することで、自分を中心に放射的な線ができて、自分は国際化する」

 それでは駄目だ。日本に視点を置いて周囲を見るのでは駄目だ。それは地上に立つ視点だからだ。
 かわりに、空から見る視点が大切だ。それは Google アースみたいな視点であり、世界を地球儀のように見る。そのあとで、特定の一地点に着目して、特定の一地点に降りていく。



 東大の視点は、地球の一点に留まる視点だ。それは、大航海時代の船の視点だ。
 しかし、グローバル化時代の視点は、宇宙衛星の視点だ。それは地球儀をグルグル回す視点だ。
 こういう視点を取ってこそ、スタンフォード大のような広い視野を獲得できる。



 【 関連項目 】

  → 大学は何をめざす? (前項)
 


 【 関連サイト 】

 あとで気づいたが、本項と似たことを述べている人がいる。
  → 企業はグローバルを履き違えている。必要なのは多言語化

 この人は対案として、「多様な第二言語」(英語のかわりにスペイン語や中国語などを提案しているが、それはおかしい。第二言語は英語が当然だ。第三言語としてスペイン語や中国語がくればいい。
 だが、根本的には、「日本人が外国を学ぶ」という方針がおかしい。そんなことはいくらやっても、たいして効果がない。なすべきことは、その逆だ。つまり、「現地の人を社員として採用する」という「会社の現地化」だ。
 ここでも、「企業のローカル化」が大切なのである。それを理解できない日本の会社が多いから、世界各地でサムスンや華僑に負けてしまうのだ。
posted by 管理人 at 21:03 | Comment(5) | 一般(雑学)2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>ではなぜ、サムスンはこれほどにも成功したか? グローバル化したからか? 違う。こうだ。
 「家電製品の場合、現地の需要に合わせて、現地ふうにカスタマイズした。各地の生活様式に合わせて、
その生活様式に合わせた製品を提供した」

 管理人さんの言われるように、健全な成長や発展は、現場や現実からの発想が不可欠ですね。
 大富豪の多いアラブで、日本の家電メーカーが韓国メーカーに惨敗して、撤退したのは有名な話です。
 そのケースでは、日本製品は性能面では勝っていた。負けた理由は、韓国メーカーが「鍵をかけれる」冷蔵庫
を開発して売りまくったから。アラブ人はそれを望んだ。使用人を信頼していないから。
 現地に入り込みニーズを吸い上げる韓国人社員、現地のニーズを報告せよと命じる韓国本社に対して、日本人
社員は商社などに任せ、現地に溶け込まず、顔は日本の本社を向いていた。その本社は権力闘争で忙しい。
仮に、現地から「鍵のかかる冷蔵庫を作ってくれ」と訴えても、非常識なことやって評価が下がるリスクを負う
本社役員はいない。これまで技術者は優秀であったが。その優秀さも社会の土台から壊れようとしています。

 異質な子供はいじめられ、ユニークな発想や行動をする社員は陰口を叩かれるようでは、英語教育以前に取り
組むべき問題がありそうです。

 成功体験を単純に延長する線形予測か外国の翻訳発想しか持たない人が経営してきた会社はおかしくなった。
プラズマTVでこけたパナ、技術開発の真髄を知らない文科系CEOが没落させたソニーなど、ガラパゴスとは、
そういう、異質を恐れ、主流的なものに群れて安心を求める精神の発露かも知れません。
 日本復活のためには、元気が良く、やや異端的な中小企業やNPOを支援する方が、確率が高いかもですね。
Posted by 思いやり at 2013年08月07日 22:22
したたかさは遵法精神の薄い所でも垣間見えますね。
様々な非関税障壁規制、もしもの事故、必要以上の耐久性を考えてマジメに取組んで、コスト高となるガラパゴス諸企業。
そんなもんバレたらリコール・交換すれば良いし、どうせ買い替えるからバレないと開き直る企業。
両者では固定費的な差が大きすぎます・・・。
ま、昭和の日本車もそんな感じだった様な気がしますが。
Posted by 京都の人 at 2013年08月08日 00:58
ものを作るとき、古いものの上に追加していくやり方だと容易に新製品になります。
その結果、日本の家電は使われない機能が満載で、限度を超えると、消費者がおかしいと気づく運命にありました。
必要な技術は持っているが、全体を貫く思想やコンセプトが希薄に感じます(場当たり的な対応が習い性に)。
日本に限らず、マイクロソフトのWORD,EXCELなどは、どんどん使いにくい代物になって呆れます。
 それが分かっていたのは、スティーブ・ジョブズ。大ナタをふるい、芸術的にシンプルな製品を世に送り出した。

 コンパクトデジカメは、画素数を上げることで新製品だと吹聴し、画質はイマイチのままでしたが、SONYが、
裏面照射型CMOSセンサーを開発し、画像処理をPhotoshop並に向上させて、画質等が一新しましたね。スナップ写真
であれば、重たい一眼レフカメラを持ち歩かなくてもよくなりました。
 管理人さんも取り上げられた、SIGMA DPn Merrill なら、ほとんどの一眼レフを超えた写真が撮れるポテンシャル
を秘めています。SIGMAは福島から逃げ出さず、独自技術を磨いている姿勢は見事ですね。

 原点から発想することの大切さということでしょうか。
Posted by 思いやり at 2013年08月09日 00:40
そもそも日本製品が世界中を席巻したのは海外用に開発からじゃなくて、
厳しい日本人のために作っていたら高品質な製品になって海外でも通用したからですよね。
ローカライズも大事ですがまずは圧倒的な品質を目指すべき。
Posted by じん at 2013年08月09日 15:37
> 圧倒的な品質を目指すべき。

 それは高コストの道なので、売れません。
 昔はそれでよかったのは、もともと低品質で円安だったから。その時代には「高品質」をめざすべきだったし、円高問題もなかった。

 昔のやり方が今でも成立するとは言えない。
 「ローカライズ」の真の意味は「顧客の声を聞くこと」です。これはドラッガーの「マネジメント」にも書いてある、基本中の基本。それができないのが日本の家電企業。
Posted by 管理人 at 2013年08月09日 18:44
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